919 : 雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM : 2014/06/21(土) 21:34:25.17 ID:
山仲間の話。

一人でキャンプ中に鼻歌を歌っていると、誰かが近くの藪中でハミングを始めた。
自分の歌っている曲を、同じようにくり返している。
「誰か居るのか?」そう藪に声を掛けると、子供のような声が返ってきた。
『誰か居るのか?』
微妙に彼の口調を真似ているのが腹立たしい。

「誰だよ、こんな山の中で悪戯すんのは!?」
『誰だよ、こんな山の中で悪戯すんのは!?』

「おい、姿を見せろよ!」
『おい、姿を見せろよ!』

正体不明の悪戯者は、彼とまったく同じ台詞を返してくるばかりで、
それ以上は何の行動も起こさない。
ただ、その声に面白そうな響きが感じられて、どうにも頭に来たという。

そこで彼は、当時流行っていたあるバンドの歌を絶唱し始めた。
サビが非常に早口で、途切れなくズラズラと流れる難しい歌だったのだが、
カラオケで鍛えた彼には何の問題もなかった。

(どうだ、真似できるモンなら真似してみやがれ!)
そんなことを考えながら、早口部分を何度もくり返す。
興が乗って、身振り手振りまで交えた大熱唱となった。
no title


「ハミング」【山にまつわる怖い・不思議な話】 →続きを読む