4 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:04:36.62 ID:
僕は見事VIP高校に合格し、その場で歓喜の雄叫びを上げた。
周囲からは冷たい視線と、生温い視線が同時に注がれてくる。
そういえば、ここは合否の紙を貼り出している掲示板の前だったんだっけ。
残念な結果に終わってしまった人にとっての僕の存在は、非常に疎ましいものだっただろう。
全速力で、駅へと逃げだした。

ともあれ、僕の笑顔が抜けることはなかった。

念願のVIP高校。僕の偏差値レベルでは到底無理とも言われていた。
だから頑張った。一日に十時間以上、寝る間も惜しみ、盆も正月も無く勉強した。
当初の理由は些細なものだったけれども、冬にもなると、純粋に合格だけを目指して勉強していた。

その結果がついに報われたのだ。喜びの度合いは人生最高のものだった。
両親に結果を話し泣いた。部屋の中一人泣いた。友と抱き合い泣いた。
VIP高校のパンフレットを眺め、自身が校内を駆け回る姿を想像し、嬉し涙を零した。

そして春休みも終わる頃。いよいよ明日が入学式という日の夜。
僕は、不安や緊張、楽しみのあまり、とうとう一睡も為す事が出来なかったのだ。
no title

5 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:06:33.33 ID:
おかげで、当日の体調はボロボロだった。
僕は自分で言うのもあれだが真面目君で、毎日八時間の睡眠は欠かさないタイプである。
皺一つない制服に袖を通すことも、憧れの電車通学も、桜吹雪の舞う校門も、全て何の想いも抱けぬままに過ぎていった。
そこにあったのは、むかむかする胃の痛みと、強烈な眠気だけだった。

入学式が始まった。
眠い。周囲の人間の顔すらぼやけていて、校長の話は長く、更には身になりそうもない。
パイプ椅子が軋む、僕の体はそれ以上に軋んでいる。前の席にいる女生徒のスカートが短い。
どこかから談笑が聞こえる。もう友達が出来たのか、羨ましい。

思考が上手く纏まらない。
神経が研ぎ澄まされていて、全ての情報を素直に受け止めている。

これ以上は限界だ。
そう思っていた矢先、校長の話が終わり、起立の号令がかかる。

―――いけない、立たなければ! 

足腰に伝導される命令、最後の力を振り絞り持ち上がっていく体。
そして次の瞬間、全身が羽のように軽くなり、世界がぐるりぐるりと回転を始めた。
心地よい浮遊感を得た後、鈍い痛みが駆け巡り、そして視界は黒く染められていった。

6 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:08:23.49 ID:
こうして、僕の高校生活での立ち位置は決定された。
学生なんてそんなものだとは分かっていても、未だに納得のいかないこの渾名。

あの日、入学式のあの時、僕は貧血を起こした。
そして全員が思った『ああ、この人は体の弱い人なんだな』と。
退屈とはいえ、高校生活の始まりを告げる入学式に僕が引き起こしたインパクトはあまりに大きく、
生徒達は、僕こと内藤ホライゾンの名前を、嫌でも脳裏に植え付てしまった。

その結果、誰かが言った『病人の内藤ホライゾン』。
次に誰かが面白おかしく言い触らした『やまいゾン』。
僕が否定した渾名を誰かが当たり障りなく改変した『やまさん』。

いくら拒絶しようともいたちごっこだと悟った僕は、それで妥協した。

その日から、VIP高校での僕は内藤ホライゾンではなく、体が弱く病がちな『やまさん』なのである。


―――( ^ω^)やまさんのようです

7 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:10:14.07 ID:
僕の友人の長岡ジョルジュは、教室に入り、開口一番こう言った。

( ゚∀゚)「やまさん、やまさん、保健室のベッドが新しくなったってさ!」

( ^ω^)「なんと! その寝心地を試すのは間違いなく僕になるでしょうね!」

クラスメイトの数人が、その掛け合いを聞いて噴き出した。
病人扱いする言葉に、僕が面白おかしく乗っかる。
これが、このクラスの、所謂鉄板ネタというやつなのである。


( ゚∀゚)「やまさぁん~、今日も相変わらず顔色が悪そうですね~」

( ^ω^)「朝っぱらからジョルジュ君のハイテンションにはついていけそうにないです……ごほっごほっ」

わざとらしい咳、それを見てニヤニヤと表情を歪ませるジョルジュ。
この様子を何も知らない人が見たなら、虐めだと勘違いするのではないかと時々不安になる。
もっとも、僕が『やまさん』である事は、最早全校生徒に広まっているので、その心配など微塵もいらないのだが。

8 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:11:43.66 ID:
( ゚∀゚)「う~ん、やっぱり一日一回はやまさんで遊ばないと調子が出ねぇな!」

( ^ω^)「良い迷惑だお」

( ゚∀゚)「はっはっはっ、確かに入学したてのやまさんは酷かったなぁ~」

あの頃はジョルジュの話す言葉をそのままに受け止めてしまい、本気で落ち込む日々だった。
お先真っ暗な高校生活だと、絶望までする始末であった。

( ^ω^)「今じゃ完璧開き直ってるお」

( ゚∀゚)「だな、おかげで校内でも人気者! いやぁ~羨ましい!」

( ^ω^)「……じゃあ代わるかお?」

( ゚∀゚)「それは勘弁だけどね!」

見知らぬ生徒に、やまさんと親しげに呼ばれ、希少動物のように写メを撮られるのに慣れたのはいつ頃だっただろうか。
可愛い女生徒とメアドを交換出来たのはラッキーだったけど。 ……一度もメールしてないとはいえ。

保健室の先生に、君のせいで保険室を使用する生徒が増えたと怒られたのはいつの事だっただろうか。
僕がいないかと覗く人が多いらしいが……そもそも僕は入学式以来、保健室にお世話になったことはないし、知ったこっちゃない。

9 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:14:01.58 ID:
( ゚∀゚)「ある意味、学校のアイドルだもんな~、友人の俺は鼻が高い!」

( ^ω^)「このキャラを定着させていったのはジョルジュじゃないかお」

( ゚∀゚)「あれ? そうなの?」

(#^ω^)「そもそも、やまいゾンとかひでぇ渾名をつけられた恨み、僕は未だに……!!」

( ゚∀゚)「なんでだよ! 最高じゃねぇか、やまいゾン!」

クラスから同意の言葉が降り注ぐ。
冗談じゃない、そんなウルトラマンの敵みたいな名前だけは絶対に嫌だ。


軽口を叩き続けるジョルジュの態度を改めさせようとしたとこでチャイム。
同時に担任のモララー先生が姿を現し、暴れる僕とジョルジュを見つけ、言った。

( ・∀・)「おいおい、やまさん、もう年なんだから無理はしないでくれよ」

爆笑が巻き起こった。

この世界は腐っている。

10 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:17:10.07 ID:
放課後、部活へと向かうジョルジュを見送り、玄関へと歩を進める。
帰宅部であるという誇りを忘れず、僕は寄り道もせずに真っ直ぐ家へと向かうのだ。

( ^ω^)「青春、何それ美味しいの?」

学校なんて、はぶかれない程度に過ごせればそれで良い。
向上心が無いと言われたらお終いだが、これくらいのポジションが僕には合っているのだろう。


( ^ω^)「―――おっ?」

ロッカーから外履きを取り出した時、強烈な視線を感じた。

まるで獲物を駆る獣のように、凶暴かつ冷静な気配。
背筋にその妙な寒気が走り、思わず身震いしてしまう。

その視線の主を探そうと、僕は周囲を見回す。
しかし360度確認しようとも異変を見つけることは出来ない。

気のせいだったのかと僕が虚空を見上げる―――そんな時だった。

11 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:19:17.56 ID:
いたのだ『ソレ』は。

ソレはじっくりと、僕を舐めまわすかの様に凝視していた。
首から上だけを覗かせて、黒く伸びた体毛をロッカーの上からだらりと下げている。
得体の知れない雰囲気を感じさせながら、しかし美しさだけは健在で―――


(;^ω^)「って、何やってんすか、クー先輩」

川 ゚ -゚)「む、もうちょっと驚いてくれるものかと思ったんだがな」

先輩はロッカーの上から軽やかに飛び出し、着地する。
その際にスカートが翻ったので、僕はほんの少しだけ目を瞑った。

川 ゚ -゚)「久しぶりだな内藤君、元気そうでなによりだ」

(;^ω^)「久しぶりですクー先輩、貴方も相変わらずの破天荒っぷりですお。
       ほら、変な場所にいるから制服が埃まみれじゃないですかお!」

川 ゚ -゚)「君も相変わらずのお節介っぷりだな」

埃を叩こうとした僕に、クー先輩は笑いながらそう言った。
久しく見たその笑顔があまりに眩しくて、目を逸らさざるを得なかった。

12 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:22:06.74 ID:
川 ゚ -゚)「君がこの学校に来たというのは知っていたから挨拶に行こうと思ってたんだがな。
     新入生は忙しいだろうしと思い、ちょっぴり時間を置いたから行くことにしたんだ」

( ^ω^)「ちょっぴりって、もう夏ですお、テストも終わってもうすぐ夏休みですお」

川#゚ -゚)「それならお前の方から来れば良かっただろうが!」

(;^ω^)「逆ギレですかお!? ていうか喧嘩する内容でもないですお!」

一年以上も会っていなかったが、精神面での成長をクー先輩に見ることは出来なかった。
体の方は無駄に成長しているというのに……特にけしからん部分とか、けしからん部分とかが。


川 ゚ -゚)「まぁいい、内藤君、夏休み明けの生徒会役員選挙には必ず立候補しろよ。
     私も生徒会長に立候補するつもりだからな、中学の時と同じく一緒に頑張ろう!」

( ^ω^)「言われなくてもそのつもりでしたお……またこき使われるんでしょうけど」

川 ゚ -゚)「何を言う、目を掛けてやっている証拠だろう!」

きっと、この人は僕が裏で『下僕』などと呼ばれていたことを知らないのだろう。
生徒会への要望に『内藤ホライゾンの解放を要求する』なんてのもあったっけ……僕が隠しておいたけど。

13 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:23:45.57 ID:
( ^ω^)「今日はそのことを言いに来たんですかお?」

川 ゚ -゚)「いや違う、ちょっとお前に頼みたいことがあってな」

( ^ω^)「パシリは、せめて生徒会に入ってからにして欲しいものですお」

川 ゚ -゚)「そういうことじゃなくてだな、お前、『やまさん』と呼ばれているだろう?」

心臓が、一瞬だけ、どくんと跳ねた。
その名前を、無理とは分かっていても、この人にだけには知られたくなかった。
期待はあっさりと砕かれたけど、そんな気持ちが、ほんの一瞬体に表れたのだと思う。


( ^ω^)「……それがどうかしたのかお?」

川 ゚ -゚)「体が弱く病がちか……私の知る限りでは風邪一つかかったことのないお前がなぁ」

( ^ω^)「クー先輩も同じですお」

川 ゚ -゚)「超健康体だからな……で、体の弱い振りなんかしていると?」

縦に頷いて返すと、先輩はそうかそうかと呟いた後、顔を輝かせた。

14 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:26:32.55 ID:
川*゚ -゚)「私を弟子にしてくれ!」

( ^ω^)「……は?」

そして元気一杯、ぐっと握り拳を掲げて確かにそう言ったのだ。
当然、僕には理解することも出来ず、間抜けな声を上げるのが精々だった。

( ^ω^)「……は?」

また、数秒の時を経た後でも、その衝撃は抜けきっていなかった。
全く同じ調子で、言葉ともいえない言葉を呟いていた。


川 ゚ -゚)「いやなぁ、私ってば超健康体じゃないか。
     喜ばしい事に、スポーツ面でも人より優れて産んでもらったりもしている」

先輩は、学業もスポーツも、有りっ丈の賞を掻っ攫うレベルだった。
創立の浅い僕の中学では、この人が残していった様々な賞状が、全体の半分を占めていたと思う。
特に陸上関係……短距離走では全国大会でも引けをとらないとかなんとか。

川 ゚ -゚)「しかし、しかしだよ明智君」

( ^ω^)「内藤ですお」

16 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:29:12.54 ID:
川 ゚ -゚)「私は思った、これでいいのか私の青春、と。
     部活に燃える……大いに結構だと思うのだが、やはり女子高生に必要不可欠なのは恋愛ではないのかと!」

( ^ω^)「まず貴方に必要なのは恥じらいですお」

川 ゚ -゚)「とにかく、つまりはそういうことだよ!」

(;^ω^)「……いやいや、どういうことですお」

先輩はやれやれと大袈裟なジェスチャー付きで溜め息を零した。
少しだけ、いらっときた。


川 ゚ -゚)「清純派、処女崇拝、病弱ハァハァ、包帯萌え、パンツは純白……etc、etc。
     これらの言葉から分かる通り、世の男共は大人しめの女子に首ったけと見える」

( ^ω^)「少々意味不明の言語が行き交ったけども、まぁ大体は納得ですお」

川 ゚ -゚)「そこでだ、私も目指すことにしたのだ、病弱な小娘というやつを!!」

( ^ω^)「はぁ……」

本当になりたいのか疑問になる言い方だった。

17 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:31:46.46 ID:
川 ゚ -゚)「だが、この丈夫な体は真冬に滝を浴びようとも風邪すらひかん……。
     ならば演技だ、そしてそれには師匠が必要だ」

( ^ω^)「あぁ、んで、僕に病弱な振りをどうすればいいのか教えろと」

川 ゚ -゚)「拒否権はない、断ろうものなら生徒会長権限として、お前を生徒会に入れさせん」

(;^ω^)「まだなってもいない癖に、早速独裁者気取りですかお……」


ともあれ、これといって僕に反論する気はなかった。
何より先輩のキラキラと輝かせた瞳の前で拒否など出来るはずもない。


( ^ω^)「……この道は修羅の道ですお?」

川 ゚ -゚)「構わん、いくつの命を消すことになろうとも、私は突き進んでみせる」

(;^ω^)「流石にそこまで大袈裟なことにはならない……まぁ、とりあえずよろしくですお」

川 ゚ -゚)「おお、よろしくな、やま師匠!」

(;^ω^)「その呼び方は止めるお!」

こうして、奇妙な師弟関係が出来上がったのだった。

18 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:33:13.50 ID:
川 ゚ -゚)「じゃ、私はこれから部活があるからな、明日からは指導をビシビシ頼むよ」

歩き出した先輩の後ろ姿。
その頼もしくも美しい姿を、僕は何度となく見つめてきた。

そして、僕はその度に―――


( ^ω^)「あ、ちょっと待ってください、クー先輩」

川 ゚ -゚)「む、どうした?」

振り向き様に髪がなびく。
それを手で優しく整えて、先輩はまた僕を見据えてくれた。

( ^ω^)「恋愛がしたいって言いましたよね、誰か好きな人でも出来たんですかお?」

川 ゚ -゚)「恥ずかしいことを聞くなぁ、お前は」

( ^ω^)「師匠になるんだから、それくらいは聞かせて貰っても良いお?」

川 ゚ -゚)「好きな人ねぇ、この気持ちがそうなのかどうなのかは分からん……が」

19 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:35:49.46 ID:
川 ゚ -゚)「少なくとも、部活よりも夢中になってしまう相手がいるのは確かだな」

そう言い残し、先輩は足早にその場を立ち去った。
照れくさいのだろうか、どことなく頬が赤らんでいたような気もしなくない。


( ^ω^)「部活よりも夢中になる相手……ね」

僕は僕で、中断していた帰宅作業を続けることにした。
と言っても、ロッカーに履き替えた上履きを戻して、閉じるだけなのだが。

( ^ω^)「……あ」

そういえば中学の頃、先輩が言っていた。
あの時も確か下駄箱の前だった。生徒会の会議を終えて帰る時だったか。


『走っていると、風を感じる、そうすると世界と一緒になれている気がする。
 速く走れば走るほど、その気持ちは強くなるから、だから私はもっともっと速く走りたいんだ』


当時は何て臭い台詞なんだと口に出してしまい、先輩にジャーマンスープレックスをかけられた。

20 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:38:43.41 ID:
しかし、もしもこの言葉が真実だったとするならば、それ以上に夢中になるなんて、とんでもない事ではないだろうか。
世界との一体感を得れる部活よりも、先輩が一緒になりたい相手だなんて想像もつかない。

( ^ω^)「男と女のマッスルドッキング……卑猥だお」

陰険な言葉を吐きながらも、僕の心はぽっかりと穴の空いたようだった。
目の前を通り過ぎようとする黒猫を威嚇してみたりするも、穴が塞がる様子はない。


―――VIP高校を第一志望にした理由。


無理だ無理だと言われながらも、絶対に受かってやると僕をやる気にさせた原動力。

それは他でもなく、クー先輩が通う高校だったからだという訳で。
ちょっとでも一緒に居たいと、あの頃の僕はずっと願い続けていた訳で。

今、その気持ちがまたぶり返そうとしている。

きゅうと痛む胸を押さえる仕草は、演技ではなく、紛れもない本物だった。

21 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:39:39.60 ID:O7dOHqjYO
支援

22 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:41:03.32 ID:
翌日の昼休み、山のように菓子パンを持って僕の元にくるジョルジュを呼び止める。

( ^ω^)「あー、ジョルジュ、悪いけど今日は違うとこでご飯食べるから、僕はちょい行ってくるお」

( ゚∀゚)「そうか? じゃあ俺は寂しくトイレで飯食うかな」

(;^ω^)「……いつも、僕たち二人で飯食ってる訳じゃねぇお」

僕らを除いた普段のメンバーが、ジョルジュを敬遠するように輪を小さくした。
どうやら自分たちが必要とされていない風な言葉に納得がいかなかったのだろう。


( ゚∀゚)「冗談だよー! 俺はお前たちも大好きだよー!!」


そして、その輪に、ジョルジュはあろうことかダイブした。
当然大惨事が起こり、散らばる弁当、踏み潰されるパンやおにぎり。

その結果、本気でジョルジュはトイレ飯を強要されていたが、僕は涙目な友人を無視して屋上に向かった。

23 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:43:07.52 ID:
( ^ω^)「屋上に来たのは初めてだお」

川 ゚ -゚)「そうか、実は私も初めてなんだ。
     漫画のように、屋上で授業をさぼったりなんて出来るもんではないんだなぁ」

先に屋上で待ち受けていた先輩は、太陽を眩しそうに手を掲げながら言った。
仮にも生徒会長を目指す人間なのだから、まずサボリを否定すべきだと思う。

( ^ω^)「一年以上いても屋上には来ないもんなんですかお?」

川 ゚ -゚)「ああ、そもそもここは普段鍵が閉まっていて入れないからな」

( ^ω^)「あれ? じゃあ今日はどうやってここに……」

川 ゚ -゚)「それは、その、まぁ色々あるんだよ、うん」

まさか、ドアの窓が無かったのは、つまりそういうことなのだろうか。
色々恐ろしい想像が浮かんだが、考えないでおく。

24 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:45:13.05 ID:
川 ゚ -゚)「それじゃ、師匠、早速ご指導宜しくお願い致します」

(;^ω^)「師匠って、なんだかむず痒いから止めてくれお」

川 ゚ -゚)「じゃあ、やまさん、宜しくお願いします」

(;^ω^)「普通に内藤君って……ああもう面倒くさい、それじゃあ講座を始めるお!」

川 ゚ -゚)「ふっふっふっ、意外とノリノリ」

(;^ω^)「五月蠅い!」


この快晴の空の下、自分は何をやっているのだろうと空しくなってくる。
が、そんな気持ちを押し込めて、目の前にいる頭の良い馬鹿の相手をしてやることにした。

( ^ω^)「まず第一に、それ禁止だお」

川 ゚ -゚)「それって?」

( ^ω^)「……その意味の分からない量に積まれている弁当だお」

一応、ここで昼食を摂っておくつもりだったので、僕も先輩も弁当を持参している。
しかし、先輩の弁当は、一般的な男子生徒の倍以上、どこのフードファイイターだと疑うレベルだった。

25 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:47:30.59 ID:
( ^ω^)「体が弱いことをアピールするためには、小食が基本だお!
       小さい弁当を、半分残すくらいの小食っぷりが望ましいお!」

川 ゚ -゚)「馬鹿な、飯を食わねば健康が疎かになってしまう」

( ^ω^)「だ・か・ら、健康でないことをアピールするのを目指しているんだお?」

川 ゚ -゚)「あっそうか、なるほど……つまり、隠れて食えばいいんだな?」

( ^ω^)「……どうしても食いたきゃいいんじゃないですかお」

ほっと胸を撫で下ろす先輩。
正直、先輩が普通の弁当のサイズを持ってきたたげで異変だと騒がれる気もする。


( ^ω^)「格好の点からいえば、眼鏡、夏でも長袖、黒髪で大体おーけーだお」

川 ゚ -゚)「ほほう、図書館系眼鏡っ子タイプか、中々やるな」

( ^ω^)「良く分からないけど、とりあえず分かってるならそれで良いと思うお」

出来れば胸がないのを条件に付け加えたかった。
もっとも、先輩のサイズでは『爆』で表すのが妥当であるので止めておこう。

26 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:48:39.43 ID:
( ^ω^)「運動は御法度、休み時間は常に自分の席で読書。
       夏の日差しで目が眩み、雑踏で気分を害し、200m以上の歩行は不可能」

川 ゚ -゚)「お、おお、急に凄い条件が加わったな!」

( ^ω^)「階段を一階上がる毎に息切れを起こし、声は出来るだけ小さく、どことなく上目遣い。
       寒がりで暑がり、保健室は憩いの場、パンツは白、電化製品は苦手、でも夢はでっかくアイドルになりたいの!」

川 ゚ -゚)「マニアック、マニアックだな、やまさん!!」


どれもジョルジュのネタだったり、僕の趣味だったりするけどまぁいいか。

そもそも先輩が病弱って絶対に無理があるんだもの。
この人、男の子だったら真冬に半袖短パンってレベルの風の子元気の子だもの。

あ、夏の太陽に頭がやられたってことで万事解決か。
……今の僕がその状態なんではないかという疑問は捨てておく。

27 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:51:32.93 ID:
川 ゚ -゚)「……ふむ、これらを実行すれば男共はイチコロか?」

( ^ω^)「ええまぁ」

川 ゚ -゚)「やまさんもかい?」

( ^ω^)「ええまぁ」

そもそも、半分は僕の趣味ですもん。
先輩が実行するとなると話は別ですが。


川 ゚ -゚)「よし、やってやるぞ、目指せ貧血レディー!!」

( ^ω^)「あいあい、頑張ってください貧血レディーさん」

川 ゚ -゚)「あら、立ち眩み」

( ^ω^)「この実行力の早さ……出来る!」


一週間以内に諦めるであろうと僕は予想していた。
正確に言うなら、一週間以内に目を覚ましてくれる……であるのだが。

太陽は今尚、さんさんと降り注いでいる。
やっぱり夏は人を解放させるのだなぁと、しみじみ思った昼下がりであった。

28 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:51:51.94 ID:YL35/3IdO
はい支援

29 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:53:35.46 ID:
―――ところが、である。

一週間後のある日のこと、先輩のことをちょっと忘れかけていた時。
帰宅しようとした僕が玄関から出た所、とんでもないものを目にしてしまったのだ。


川 ゚ -゚)「うふふ、ごめんあそばせ」


祭りの神輿のように男たちが台座付きの椅子を担いでいる。
その上には、まるでどこぞの女王様のように、日傘を差して踏ん反り返る先輩の姿が!


(; ゚ω゚)「えええええええええええええええ!!」

(; ゚ω゚)「えええええええええええええええ!!」

(; ゚ω゚)「っええええええええええええええええええええええええええええ!!」


思わず、叫んでしまった。
多分、今後を考えても僕の人生でトップクラスの衝撃だった。

30 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:54:40.00 ID:
( ・∀・)「凄いよね、彼女」

( ^ω^)「あれ、モララー先生、随分と薄汚れていますお」

( ・∀・)「あの美女神輿を担いでみたかったんだけどね……ふふ、親衛隊の力は凄まじかったよ」

肩を落とし、しょんぼりと項垂れる先生。
色々と突っ込みどころが満載だが、何か事情を知っている雰囲気だったのでスルーしておく。


( ^ω^)「彼女って、クー先輩に何があったんですお?」

( ・∀・)「知らないのかい? 元々人気のあった素直クー。
      新たに病弱設定を加え、今や不動の地位を手に入れた……ってここ最近のトップニュースを」

( ^ω^)「随分と域の限定されていそうなニュースですお」

( ・∀・)「実際のところは、病弱を振る舞おうとしている空回りっぷりが受けてるらしいけどね。
      読書しているかと思ったら空気椅子だったり、トイレに行って帰るとほっぺにご飯粒つけてたり。
      眼鏡がグラサンの時があったり、長袖着てるのに汗だくだったり、ジャニーズに入るとか小声で呟いてたり」

まさかの天然タイプ、さしもの僕もこれは予想外だった。

31 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 19:58:45.74 ID:
( ^ω^)「その結果が、あれですかお」

( ・∀・)「受け狙いの一言で済ませない何かが彼女にはあるからね。
      やまさんのキャラが確立した時以来の衝撃だよ……僕も嬉しいね」

(;^ω^)「貴方は唯の祭り好きですかお」

( ・∀・)「はっはっはっ、神輿がありゃ担ぎ、音楽がありゃ歌って踊り、
      スカートがあれば捲り、遊ぶ時は全力で、生徒の笑顔がいの一番……モララー先生ってのはそういう奴なんだなぁ」

遠くを見ながら黄昏れているのか、それともこれは単なる突っ込み待ちなのか。
恐らく後者だと思うので『ソウデスネ』と返すと、案の定物足りないような顔をされた。


( ・∀・)「でも素直クールも何であんな事を始めたんだろうなぁ。
      私としては、昔の熱血キャラもかなりの高得点だったんだが」

( ^ω^)「さぁ、何ででしょうお」

僕は理由を知っている。
だけど、その根底にあるものだけは知らないし、知りたいとも思わない。

32 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:00:20.67 ID:
先輩は好きな人に気に入られたいから努力している。

その努力は素直に称賛すべきだ。
並大抵の人じゃ、そう簡単にあんな風にはなれない。

でも、やっぱり僕は拍手を送ることが出来ない。
送れたとしても、それは心の底からではない、唯単に手を打ちつけるだけの作業だ。

ここまでくると僕は認めなければならない。
僕は先輩のことが好きなんだと。
過去に忘れた気持ちではなく、今現在の僕が好きなんだと。

だから、好きな人の為に努力している先輩の姿を見るのが辛い。
先輩が笑えば笑うほど、僕の心はぎゅうぎゅうと締め付けられる。

こんな気持ちになるなら、この高校に来なければ良かった。

僕は、そんな後悔を抱かざるを得なかった。

33 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:02:03.21 ID:
次の日の学校は苦痛にしか感じなかった。

きっと今も先輩はどこかの誰かに気に入られる為に演技を続けているんだろう。
その妄想が頭からずっと離れなかったから、机に突っ伏してやり過ごしていた。

理由も分からないまま、元気付けようと奮闘するジョルジュには悪い事をしたと思う。
けど僕はこれといった反応を示すこともなく、そのまま学校も終わってしまった。


( ^ω^)「あーあ、明日はちゃんとしないとなぁ……」

自分に言い聞かせるように呟いた時、右ポケットから震動が伝わる。
携帯に届いたメールは母親からのもので、帰り際に買い物をしてこいとの通達だった。

何もこのタイミングでとも思ったが、一種の気晴らしにもなるだろうと思い、
洋服やら本やら、自分の趣味の類のものもついでに買う事にした。

おかげで、本当に家に帰る頃には、日も暮れかけていた。

34 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:04:45.76 ID:
(;^ω^)「最悪……だお」

更には雨まで降ってきた。
単なる夕立ちに過ぎないだろうが、雨宿りに時間を奪われるのは確かだった。

シャッターの閉じた小さな店の屋根は、僕一人入るのがやっとだった。
そこから、ぼーっと過ぎ行く人の波を眺める。

遊び帰りとも見れる小学生達は、濡れる事など気にせずと談笑しながら歩く。
鞄を頭上に掲げて傘代わりにするサラリーマンは、必死の形相で駆け抜ける。
折りたたみ傘を差して歩く老夫婦は、きっとこんな突然の雨にも慣れっこなのだろう。
中には僕と同じように、そこらにある屋根の下で雨宿りしている人もいる。

ほんの少しの時間だったが、夕方の日が沈むのは早い。
雨宿りをしている間に、どんどんと光は失われていく。

雨足も弱まり、そろそろ屋根の下から飛び出そうかと迷う頃。

僕は、見たくもないものを見てしまった。

35 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:07:30.14 ID:NGriRoJxO
支援

36 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:07:35.16 ID:
( ^ω^)「……あ」

僕は大した反応も示さず、ただぽつりと声を漏らした。
それからも視線で追うばかりだった。
屋根の下だけが僕の活動出来る範囲だったかのように、見ていることしか出来なかったのだ。


クー先輩は、相合傘で歩いていた。

隣にはジョルジュがいた。

とても楽しそうに、笑いながら、僕になど気付く様子もなく歩いていく。


そういえば、ジョルジュも陸上部だったと、僕は今更そんな事を思い出していた。
二人の姿が小さくなって、遠くの建物の影で見えなくなって、僕はようやく自分の体はもっと自由に動ける事に気付いた。

二歩、三歩と水溜りを乱暴に踏みしめていく。
しかし、踏みだしたのはたったそれだけだった。

気付かない内に雨は止んでいたけど、僕の耳には、未だ降り注ぐ雨音が聞こえている気がした。

37 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:10:21.80 ID:
学校をサボることも考えたが、もうすぐ終業式だからと重たい足を引き摺る。
その過程は千里の道よりも遠く、教室のドアが鋼鉄のように重かった。

( ゚∀゚)「うーす、やまさん、おはよーございまーす」

( ^ω^)「……おはよーだお」

僕の心中など知る由もなく、ジョルジュは今日もへらへらとした笑みを浮かべている。
普段は陽気な奴だと思える態度も、今は無神経なんじゃないかと害されるばかりだった。


( ゚∀゚)「どーした、今日も元気ないのか!」

( ^ω^)「そうみたいだお、そっとしておいてくれお」

( ゚∀゚)「でもよー、ほっておいたらそのままご臨終しちゃいそうだしー?」

( ^ω^)「…………」

今は、今だけは止めてほしい。
ジョルジュの顔を見るのは、きっと、先輩の顔を見るよりもずっと辛いと思うから。

38 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:11:59.67 ID:
( ゚∀゚)「……なぁ本当にどうしたんだよ、悩みとかあるなら言ってくれよ」

( ^ω^)「何でもないお、本当に」

( ゚∀゚)「何もないなら、そんな顔しないだろ? 
     眉間にしわが寄って、本当にお爺ちゃんみたいだぜ?」

( ^ω^)「別に、ただ眠いだけだお」

僕の受け答えが気に食わないのか、ジョルジュが更に詰め寄る。
心配してくれてるのは分かってる、けど、それでどうにかなる問題でもなかった。


( ゚∀゚)「な、俺とお前の仲だろ、言いにくいなら外で聞くしさ!」

( ^ω^)「ほっておいてくれお」

( ゚∀゚)「つれねーなぁー、どうしちまったんだよー!
     本当に病気だったりするんかい、やーまーさん!!」

ああそうだ、ジョルジュは良い奴なんだ。

分かっているのに、なのに。

39 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:14:19.75 ID:
(#^ω^)「ほっとけっつってんだおッ!!」

(;゚∀゚)「…………っ!」


叫ばずにはいられなかった。

教室中が静まり返って、僕達に注目していて、それでも言葉が勝手に飛び出していく。


(#^ω^)「何がやまさんだお、僕は内藤ホライゾンだおっ!!
       いつもそうだ、お前は僕を見下して!! 僕を馬鹿にするんだおっ!!」

(;゚∀゚)「お、俺はそんなつもりじゃ」

(#^ω^)「五月蠅い、僕は何回も止めてくれと言ったじゃないかおっ!!
       それでもお前は止めなかった!! 僕を貶し続けた、これのどこが故意はなかったって言うんだおっ!!

(;゚∀゚)「俺は……本当に……!」


分かってるんだジョルジュ、悪いのは全部僕だってことも。

でも、今は何かに怒りをぶつけずにはいられなくて、ごめん、本当にごめん。

40 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:16:54.49 ID:
(  ∀ )「ごめん、本当に……俺はそんなつもりじゃ……」

(#;ω;)「泣くなお!! だって、僕は、僕は……!!」

(  ∀ )「ごめんな内藤、俺は、俺は……!!」


なんでジョルジュが謝るんだ。
全部僕が悪いんだ、そう、全て、何もかも。


(#;ω;)「僕が……こんなだから……先輩だって……!!」

(  ∀ )「ごめんな、本当に、ごめん……」


(#;ω;)「う…うう……」

(#;ω;)「……ジョルジュ、分かってるんだお、本当に……ごめんだお」


精一杯の勇気を振り絞り、僕は最後にそう言って、教室から逃げだした。

41 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:18:16.52 ID:
真っ白な視界の中で、昔の記憶が再生されていく。
僕が中学生の頃、それも入って間もない、夏休み前の出来事だった。

僕は校舎裏の人気のない場所で、膝を抱えて蹲っていた。
恥ずかしい話だが、部活をさぼり、その場所で時間が経過するのを只管に耐えていたのだ。
一秒が何倍にも長く感じて、酷く心細かったのを覚えている。

そんな時、誰かが僕の肩を叩いた。
僕は震えた。部活の先生か先輩が、僕を連れ戻しに来たと思ったからだ。


川 ゚ -゚)「泣いているのかい、少年」


けど違った。クー先輩だった。
当時は綺麗な女の人だなと思い、その頬笑みに不思議と心が安らぐのを感じていた。

胸元のバッヂから判断すると、二年生。
大人びて見える風体からは、とても一つ違いには見えなかった。

42 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:20:19.13 ID:
川 ゚ -゚)「どうしたんだ、困ったことでもあるのか」

( ;ω;)「部活が、辛いんですお」

川 ゚ -゚)「ほほう部活、一体何をやっているんだ?」

( ;ω;)「……バスケットボールですお」

川 ゚ -゚)「ふむ、あそこは無駄に厳しいことで有名だからなぁ……。
     でも、好きで入ったんなら最後までやりぬくべきじゃないか?」


( ;ω;)「ちがっ、僕は! 別に、好きで!!」

川 ゚ -゚)「あーいいから、鼻水拭けって、な?」


先輩が差し出したのは、綺麗なハンカチだった。
僕はそれを汚すのを躊躇ったけど、先輩は早くしろと促すばかりで、しょうがなく従った。
良い匂いがして、何だか温かかった。

43 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:23:13.64 ID:
川 ゚ -゚)「で、どうしたって?」

( ;ω;)「担任の先生がバスケ部の顧問で、僕みたいな奴は無理矢理入部させられるんだお。
       根性つけてやるって……皆、辞めていったけど、僕だけは辞めさせて貰えないんだお」

川 ゚ -゚)「何で?」

( ;ω;)「未経験者の中では僕が最後に残っちゃって、僕が抜けると一年生は四人しかいないから、それだと試合が出来ないんだお。
       他の学年の生徒でも良いのに、五人いた方が都合いいからって……」
      
川 ゚ -゚)「でも、部活が嫌で逃げ出してきたと」

( ;ω;)「……はいですお」

川 ゚ -゚)「よし、事情は分かった、それなら先輩に任せんしゃい!」


どんと胸を叩いた先輩を、僕はヒーローみたいに崇めていたと思う。
それくらいにその出来事は衝撃的で、輝かしい思い出だった。

44 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:25:42.64 ID:
結果的に言うなら、僕はバスケ部を辞めさせて貰えることになった。

先輩は、校長やらPTAやらお偉いさんに自ら掛け合い、この問題を解決した。
顧問の先生も、かなり叱咤を受けたらしく、行き過ぎた熱血の火は大分消化させられてしまった。
卒業する日まで、僕とその先生のギクシャクは続いたけど……今となってはどうでもいい話だ。

部活を辞める事が出来た日、僕は先輩にお礼を言いにいった。
今思えば、これが僕の人生のその後を左右していったんだろう。


( ^ω^)「本当にありがとうございましたですお!」

川 ゚ -゚)「生徒会役員として当然のことをしたまでだよ。
     個人的には、あのままでも別に良かったかなと思うけどな」

( ^ω^)「どうしてですお?」

川 ゚ -゚)「君はあまりになよなよし過ぎている。
     もうちょっと男らしくしないと、女の子にもてないぞ?」

まさかそんなことを言われるとは思いもしなかったので、僕は赤面した。

45 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:28:48.71 ID:
(;^ω^)「強くならないと……ダメですかお?」

川 ゚ -゚)「そうだなぁ、少なくとも私はダメじゃないかと思うなぁ」

(;^ω^)「でも……その……」

川 ゚ -゚)「部活はトラウマか? そりゃあなぁ……うーん」

しばし考えに耽った後、先輩はいかにも閃いたと顔を明るくした。


川 ゚ -゚)「それなら夏休み明け、生徒会に立候補するといい!
     私は生徒会長になるつもりだ、君が来たならビシバシ指導してやるぞ!」

( ^ω^)「生徒会……僕に出来ますかお?」

川 ゚ -゚)「出来る出来ないじゃない、やるかやらないかだ!
     やれば出来る、やらなきゃ出来ない、トライすれば何事も成功だ!!」

(;^ω^)「よく分からないけど、分かりましたお」

こうして僕は生徒会に入り、それからずっと指導を受けてきた。
その甲斐あってか、僕は先輩の次の生徒会長にもなり、少しは立派になれたんだと思う。

46 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:29:15.88 ID:olxrd+WXO
キャラいいなあこれ

51 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:43:18.11 ID:
雲が流れて、空が一面の青になって、僕はようやく今に戻ってきた。
教室から逃げだした僕はそのまま屋上に向かい、仰向けに寝転んでいたんだっけ。


( ^ω^)「……ああ、空は青いなぁ」

川 ゚ -゚)「ああ、あつはなついんでんなぁ」

( ^ω^)「あつとなつが逆やないかーい」


(; ゚ω゚)「―――ってぬおわああああああああああああああ!!」


びっくりした、心臓が止まるかと思った。
僕の驚愕の雄叫びに耳を塞ぐ先輩を見て、我にかえった。

52 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:45:14.15 ID:olxrd+WXO
よっしゃ
ゆっくりがんばれ

53 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:45:19.42 ID:
川 ゚ -゚)「五月蠅いよ、ホントに君は、五月蠅いよ」

( ^ω^)「さり気ない五・七・五止めるお」

川 ゚ -゚)「そうそう、私の病弱演技も板についてきたとは思わんかね?」

( ^ω^)「いやどこがですお、思いっきり普段の調子じゃないですかお」

川 ゚ -゚)「む……それはあれだ、君の前だとボケずにはいられないっていう何かが!」

( ^ω^)「僕も先輩には突っ込まずにはいられませんお」

師弟で、漫才コンビで、先輩後輩で、男と女で。
僕と先輩の間には色々あるのだなと改めて認識すると、妙に嬉しかった。


( ^ω^)「本当、先輩は愉快な人ですお」

川 ゚ -゚)「君には負けるよ」

( ^ω^)「先輩に勝てる人なんて、全世界でも一握りだっていうのに?」

川 ゚ -゚)「ジョルジュから色々聞いているからな」

……その言葉を聞いた僕の顔が、先輩に見られなくてよかったと思う。

54 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:47:27.31 ID:
川 ゚ -゚)「内藤君の話は、どれも面白いものばかりで反則級だよ。
     話をしているジョルジュでさえ、思い出し笑いを堪えるのに必至だからな」

(  ω )「へ、へぇ、そうですかお」

川 ゚ -゚)「死んだふりをしていたら偶然ティッシュが顔の上に乗った話とかな!
     他にも色々! 積もるほど君についての話を聞いたものさ!」

(  ω )「……へー」

そんなに色々話したってことは、それだけ長い間一緒にいたということなのだろう。
きっと、この前の雨の日みたいに楽しそうに、二人仲良くして。

先輩がジョルジュと言う度に、僕の心がどす黒く染まっていくのが分かる。
それはもう、全てを埋め尽くす寸前で。


川 ゚ -゚)「それで、今もジョルジュに話を聞いてここに来たんだ。
     一体どうしたんだ、悩みがあるなら私で良いなら聞くぞ?」

そして、今とうとう僕の心を真っ暗にしてしまった。

55 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:48:51.91 ID:olxrd+WXO
ジョルジュいいやつだなあ

56 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:50:28.93 ID:
(  ω )「ははっ、いいですお、それじゃあ僕はもう行くんで」

川 ゚ -゚)「待て、どうしたんだ一体?」

(  ω )「本当必要ないんですお、僕はもう昔みたいに弱い僕じゃないし」

川 ゚ -゚)「……何?」

(  ω )「もう先輩に頼ることもないし、先輩に守ってもらう必要もないんですお。
       僕はもう一人でやっていけるから、だから来ないでください、それじゃ」

川;゚ -゚)「ま、待て!」


止めようとする先輩を振り切って、僕は屋上から、また逃げだした。
教室からも屋上からも逃げ出して、僕はどこに行けばいいんだろう、僕の居場所なんてどこにもないんだろうか。

きっとその通りなんだ。
皆良い人なのに、僕が汚れているから傷つけてしまう。

こんな人間なんていない方が良いんだ。

僕は誰にも必要とされていないから、消えた方が良いんだ。

57 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:52:32.67 ID:
「待つんだ、内藤君!!」


後ろから先輩の声が聞こえた。
本気で追いかけられたらあっという間に捕まってしまうだろう。

だけど、僕は、それでも必死に逃げようとした。
捕まっても振りほどいて逃げるつもりだった。
もう二度と、先輩と話なんてしたくなかった。

いや違う、話はしたいけど、してはいけないんだ。
きっと僕は先輩を傷つけてしまうから、また皆に迷惑をかけてしまうから。


一度だけ、最後に一度だけの想いで振りかえった。


―――先輩が廊下の奥で、うずくまっているのが見えた。

58 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:54:44.90 ID:
その時、何を思うのよりも早く、僕の足は先輩に向かって駆け出していた。




何故と疑問に思うのよりも早く、口からは言葉が漏れていた。




『助けなくちゃ』、と。




全部諦めるつもりだったのに、そんな想いにだけ体は正直だった。

60 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:56:37.99 ID:
(;^ω^)「先輩、先輩!! どうしたんですお!!」

先輩の体を抱き抱え、呼びかける。
先輩は泣きながら、何かをうわ言のように繰り返していた。


(;^ω^)「どうしたんですお、どこか痛いんですかお!!」

川 ; -;)「ぅ……ぇ……ぅぅ……」

(;^ω^)「何ですかお! もっとはっきり!!」

川 ; -;)「う……ぇぅぅ……!!」


(;^ω^)「わ、分かんないですお! 保健室行きますかお!?」

こんなに泣いているのだから、よっぽどの重傷なのだろう。
そう思った僕は救急車を呼ぶ覚悟だったのだが……先輩は鼻水を啜ってから再び口を開いた。

61 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:57:19.41 ID:olxrd+WXO
こいつぁまさか……

62 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 20:58:29.31 ID:
川 ; -;)「に、200メードルだっだがらぁ……ごれ以上ば、だめだっでぇ……」

(;^ω^)「にひゃっ……!?」

それはあれか、僕が200m以上の歩行を禁止したアレなのか。
あれは『歩行』であって、全速力で200mではなかったのだが……今は突っ込むべきではないだろう。


(;^ω^)「あのー、その……」

川 ; -;)「にがざない」

(;^ω^)「で、ですよねー」


先輩の腕はがっちりと僕の体をロックしていた。
豊満な胸の感触が艶めかしく、こんな状況だというのに意識せざるを得ない。

一通り泣き終えた後、先輩が言葉を綴始める。

63 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 21:00:39.19 ID:olxrd+WXO
演技と思ったら違ってたか

64 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 21:00:48.68 ID:
川 ゚ -゚)「……駄目なのか、私のは」

( ^ω^)「何がですかお」

川 ゚ -゚)「その、体の弱い子を装うってやつ……可愛くなかったか」

( ^ω^)「まぁ、ぶっちゃけて言うと……はい」

川 ゚ -゚)「そうか……」

どうやら本気で落ち込んでいるようで、消え入りそうな声であった。
ここまで落ち込まれると、悪い事をした気分になってしまう。


川 ゚ -゚)「どこがダメだったんだ、言われれば直す、教えてくれ!」

( ^ω^)「いやそもそも、先輩がやるっていうのに無理が……」

川 ゚ -゚)「何だそれは! 私を全否定か! つまり私はお前を好いてはいけないというのか!」

( ^ω^)「そういう訳では……って、ん?」

今、とんでもない言葉が聞こえたような―――

65 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 21:03:08.12 ID:5ohdzQXQO
こんな好かれ方したい

66 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 21:03:08.11 ID:
(;^ω^)「えっ……先輩はジョルジュが好きなんじゃないんですかお?」

川 ゚ -゚)「何だそれは、変な事を言わないでくれ」

(;^ω^)「だって、この前相合傘……」

川 ゚ -゚)「見てたのか? いや私が傘を忘れてしまってな……」

(;^ω^)「あんなに楽しそうに!」

川 ゚ -゚)「君の話をしていたからなぁ」

つまり……僕の勘違いだったということか?
あれだけ悩んで、あれだけ苦しんで、あれだけ迷惑を掛けて……全て僕の勘違い?


川 ゚ -゚)「もしかして、君の悩みってのはそういうことだったのか?」

(;^ω^)「……えーと」

川 ゚ -゚)「何だ両思いだったか、ははっそうか、嬉しいぞ内藤君!」

先輩のふくよかな物体がより一層押しつけられるも、僕はその感触を味わう余裕もなかった。

67 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 21:03:25.24 ID:1yD/41pz0
やまさん って昆布つゆ?

やまさん♪

69 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 21:04:56.67 ID:cK6S9L5xO
それヤマサ

68 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 21:04:51.75 ID:
(;^ω^)「だ、だって先輩、弱い男は駄目だって!
       だから『やまさん』なんて呼ばれている僕はダメだと思ったのに!」

川 ゚ -゚)「そんな事を言うなら、君だってか弱い女の子が好きなんじゃなかったのか?」

( ^ω^)「誰から聞いたんですお?」

川 ゚ -゚)「ジョルジュが言っていたんだが?」

そういえば、ちょっと前にそんなことを言ったような気もする。
でもあれは何となく有りがちな模範解答をしたまでで、本心という訳では……。


( ^ω^)「なんて言うか、好きになる人と」

川 ゚ -゚)「タイプっていうのは」

( ^ω^)「また違うんじゃないかなと」

川 ゚ -゚)「また違うんじゃないかなと」

二人で言って、二人で笑ってしまった。
どうやら僕たちは似た者同士だったらしい。

70 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 21:06:58.68 ID:
( ^ω^)「僕はずっと、先輩に追いつけないと思ってたんですお」

川 ゚ -゚)「ん?」

( ^ω^)「背中を追いかけるばかりで、遠い存在だったから、ずっとずっと追いかけることしか出来ないんじゃないかって。
       それでも一緒にいたいなと思って、それでこの学校に来たんですお」

川 ゚ -゚)「別に私が先に行ってるつもりはないんだがなぁ」

( ^ω^)「年上だったり何だりで、先輩は自分が思っている以上に進んじゃってるんですお」

むぅと悲しそうに唸ったかと思えば、今度はぽんと手を叩く先輩。
すると僕の手を握り、愛しそうに指を絡めるのだ。


川 ゚ -゚)「君が後ろにいるというのなら、私がちょっと戻ろうじゃないか。
     長い人生だ、少しくらい振り返ったって罰は当たるまい」

( ^ω^)「良いんですかお?」

川 ゚ -゚)「構わん、私はずっとずっと内藤君と一緒に居たい」

その時は先輩は、あの時のように頼もしくて、それでいて最高に可愛かった。

71 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 21:09:49.75 ID:
『先輩』


『内藤君』


『愛してます』


『愛してるよ』



色々あったけど、物語が二人の口付けで終わったなら、


それはきっと、最高のハッピーエンドなんだと僕は思う。

72 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 21:10:35.45 ID:olxrd+WXO
とりあえずやまさんはジョルジュに土下座するべき

73 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 21:10:54.68 ID:
(*・∀・)「おーう、ビューティフォー」


( ゚∀゚)「おーう、ビューティフォー」



(*・∀・)「イッツ、ワンダフォー!!」


( ゚∀゚)「イッツ、ワンダフォー!!」



ちなみに、僕と先輩の行動をとある二人の人間が監視していたと知ったのは、もう少し後の話。

74 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 21:11:58.98 ID:olxrd+WXO
ジョルジュやっぱりいいやつだなあ

75 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 21:13:50.74 ID:
それから数ヶ月後、木枯らしが吹き始め、肌寒く感じることの多くなった季節。
僕と会長が並んで歩くと、至る所から挨拶のお声がかかった。


( ^ω^)「うーん、ちょっぴり有名人気分ってやつだお」

川 ゚ -゚)「生徒会長と副会長のカップルとなればな、物珍しい気分になるのも分からなくはない」

( ^ω^)「おまけにバカップルとなれば、だお」

川 ゚ -゚)「む、まさか先にボケられるとは心外だな」

別にボケたつもりは無かったんだけどなぁ。
とは流石に照れくさくて言えず、笑って誤魔化すしか出来なかった。


玄関で先輩に暫しの別れを告げ、階段を上り、教室に入る。
今ではあの時のヒステリックも無かった事にして貰えたようで、皆、平然と付き合ってくれる。

……たった一人を除いては。

76 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 21:16:42.82 ID:
( ゚∀゚)「ないとぉおおおおおおおおお!! おはよぉおおおおおお!!」

( ^ω^)「はいはい、おはよーおはよーこけこっこー」

( ゚∀゚)「元気かぁああああああああああ!! 俺は元気だぁああああああああ!!」

( ^ω^)「元気元気のんたんだお、だからとりあえず離れるお」

あの時の事がトラウマになったのか、ジョルジュは毎朝僕に飛びついてくるようになった。
僕のせいであるのは確かなので、強く止めるように言えないのが難しい所だ。


ちなみに『やまさん』という渾名は廃止された。
もっとも、不快だからだとか、そういう訳ではない。

やまさんは恋をしている全ての男女を指して言われるようになった。
東にカップルがいると聞けばやまさん、西に片思いしている子がいればやまさん……という具合である。

名付け親はジョルジュとモララー先生。
僕と先輩が口付けしている場面を見ていて思いついたらしい。
非常に悪趣味でむかついてはいるのだが、全校生徒が楽しんでいるので、まぁ良しとしよう。

77 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 21:18:50.98 ID:
( ゚∀゚)「あーあ、渾名ないのはさびしーよなー」

( ^ω^)「僕は清々してるお」

( ゚∀゚)「今の候補としては、副会長的な意味を込めてサブちゃん、もしくはもーほーちゃんなんてのが……」

(;^ω^)「待て、もしかして後者はお前と僕を指して言う気なのか、そうなのか!?」

( ゚∀゚)「でもなー、やまさんみたいに何かそれを決定付ける事件が欲しいんだよなぁ……」

(; ゚ω゚)「おい聞け、お前もしかしてそっちの気があるのか、そうなのか!?」



( ・∀・)「うっさいぞ馬鹿二人ー、席につけー」


(; ゚ω゚)「ママは黙ってて!! 今とっても大事な話をしてるから―――」

78 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 21:21:09.12 ID:E361Gk4kO
支援

79 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 21:21:14.32 ID:
( ・∀・)「……ママ?」

( ゚∀゚)「……ママ?」



(;^ω^)「……やべっ」



どうやら、とんでもない渾名が与えられる予感がする。


明日から、また騒がしくも楽しい毎日が始まる……いや、今も、そして明日からも続いていくんだろう。

80 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 21:21:16.75 ID:olxrd+WXO
ママってwwwwwwwwwwww

84 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 21:39:03.66 ID:
それと、『やまさん』の名が恋をしている人に与えられるようになった理由。




なんでもやまさんの『やま』は、『恋の病』の『やま』らしい。




表向きには変だと言ってはいるが、実はちょっと気に入ってるのは秘密だ。




―――( ^ω^)やまさんのようです おしまい

86 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 21:47:17.01 ID:E361Gk4kO

85 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 21:41:59.26 ID:olxrd+WXO
おーつ

ブーンの新しいあだ名はスネちゃま系統だな

88 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 21:49:15.51 ID:hrxCm14M0
おもしろかた

91 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 22:19:13.83 ID:EovgEQWAO
イイハナシダナー( ;∀;)

90 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 22:14:19.11 ID:mpAp/kXxO
素晴らしい短編をありがとう

93 : 名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2009/03/29(日) 22:29:50.27 ID:tybz9WzlP
久々に俺の中で来た作品でした。

乙!