233 : 全裸隊 ◆CH99uyNUDE : 2012/06/09(土) 00:18:11.87 ID:
連休の山小屋には色々な客がいる。
相部屋になったのは外国人、高校生、若い会社員と
珍しい取り合わせだった。

夕飯を食い、部屋に戻って皆で話しているうちに
俺は眠ってしまい、夜中にトイレへ行きたくて
目を覚ました。

トイレは部屋を出て廊下の先の方にある。
廊下へ出て玄関を通りかかると、相部屋の会社員が
背中を丸めて出発の準備をしている。

午前2時。
早いねと声をかけ、小声で話し、その日の行動予定と
目的地を聞いた。
やがて靴を履き終え、ザックを背負い、ヘッドランプを
つけ、彼は出かけていった。

暗い部屋に戻り、ベッドに目をやると、そこには
今出かけたばかりの彼が寝ている。
声が出そうになり、不思議に思い、声をかけようかと
少し迷い、結局そのまま俺は自分のベッドに戻った。
no title

234 : 全裸隊 ◆CH99uyNUDE : 2012/06/09(土) 00:26:31.05 ID:
朝起きると彼の荷物はベッドの上にある。
食堂へ行き、彼の正面に座った。
飯を食いながら、夜中の2時に彼を見送ったことを話した。

彼は俺の話を最後まで聞き、ふぅん、と呟いた。
たまに聞くんですよ、その話。
山で自分が夜中に出かけたって話です。

何が起こっているのだろう。
俺は勿論、彼にも分からない。

235 : 全裸隊 ◆CH99uyNUDE : 2012/06/09(土) 00:29:28.20 ID:
ただね、と彼は言う。
たぶん今日と明日はここから動けないんですよ。
理由を訊ねる俺に、彼は靴が無いからだと言った。

服も荷物も全部残っているのに、靴だけが消えるらしい。
で、翌日か翌々日の朝になると靴が玄関に戻ってくる。
どこを歩くのか、毎度びっくりするほど汚れた靴が玄関に
ちょこんと置かれているという。

236 : 全裸隊 ◆CH99uyNUDE : 2012/06/09(土) 00:33:12.81 ID:
出かける自分と鉢合わせしたことは?
それがないんですよねえ。
口惜しいのは、その日は絶対に晴れるってことです。
それと泊りが延びるから、余計な宿代ね。
彼は笑った。

朝食後、俺は彼に見送られて小屋を出た。
見上げるだけで頬がゆるむような晴天。
もうひとりの彼はきっとご機嫌だろうなと思い、俺は歩き出した。

237 : 本当にあった怖い名無し : 2012/06/09(土) 02:10:09.83 ID:79N/pWGj0