233 : 本当にあった怖い名無し : 2008/01/26(土) 16:45:59 ID:
これは私が五歳のときに見た夢の話です。すこし長くなるかもしれません。

気がついたら車の中にいました。助手席できちんとシートベルトをしめて両親が用事を済ませて戻ってくるのを待っていたのです。
どのくらい待ったでしょうか。
ふと見上げるとミラーの真ん中に真っ赤な唇がはりついているのに気づきました。
その唇は「こんにちは」「今1人?」「パパとママは?」と丁寧な口調で私に話しかけてきました。しばらく話したあと、唇は小さい私に優しい口調で問い掛けてきました。「食べてもいい?」
no title


235 : 本当にあった怖い名無し : 2008/01/26(土) 17:01:29 ID:

私は急に怖くなり「わかんない」とくりかえしました。
幼女ながらに冷静でいようと取り繕おうと必死でした。
その日はそこで目が覚めました。

次の日の夜、私はまた車の助手席に座っていました。
またあの夢でした。
ミラーにはまたあの唇が存在感をはなっていました。
「今日はいい?」そう唇は昨日と同じように優しく言います。
私が親に聞いてきてもいいか聞くと意外にも唇はいいよ、と許してくれました。
私は急いで両親のもとに走り、拙いながらも事情を話しました。
しかし母は「今大事な話しをしてるからちょっとまって」と一向に話を聞いてくれません。
私は「食べられてもいいの!?」と癇癪をおこしかけましたが、母に車に戻るように言われ、とぼとぼと車に引き返しました。
車に戻るとまだ唇はミラーにいました。
「どうだった?」「ちょっとまってって」
私はそう言ってうつむきました。「○○ちゃん」
唇に名前を呼ばれて顔をあげると
車の中一面に唇がひろがっていました。

241 : 本当にあった怖い名無し : 2008/01/26(土) 17:20:32 ID:

「食べてもいい?」「食べてもいい?」「食べてもいい?」「食べてもいい?」「食べてもいい?」「食べてもいい?」「食べてもいい?」「食べてもいい?」「食べてもいい?」

唇たちが口々にくりかえすのはやっぱり「食べてもいい?」だけなのです

ざわ…ざわ…と不気味な声が私に問い掛けてくるのを泣きそうになりながら「だめ!だめ!だめ!」と出したこともない大声をはりあげて耳をふさぎました。
叫び続けて気が付いたら目が覚めていました。
夢の話はこれで終わりです。

夢を見てからは車や鏡を怖がる生活が続きましたが、もともと悪夢に車がでてくることは度々あったので、しばらくしたら夢のことは思い出さなくなりました。

10年以上がたち、先日私は車の免許をとりました。
練習もかねてよく夜道にドライブに行っていたのですが、最近またあの夢を思い出してしまい、車に乗るのが怖くなってしまいました。
というのも、視界の端にうつるサイドミラーや窓ガラスに、あの唇がちらちらと見えるようなのです。
あの赤いグロテスクな程に生々しい唇が、またいつ「食べてもいい?」と口を開くかと思うと、恐ろしくてなりません。


そんなに怖くなくてすみませんでした。

243 : 本当にあった怖い名無し : 2008/01/26(土) 17:29:46 ID:q5vykou10
>>241
安全運転に徹することです。
さもなければ本当に車に食べられてしまいます。

「夢日記」【洒落怖】
「隣の車両に座ってる女性」【洒落怖】
「お遍路さん」【不可解な体験、謎な話】