1 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 00:31:06.655 ID:
その子は何十年も昔に死んだ女の子の幽霊だったみたいな
no title

4 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 00:39:02.624 ID:
少年「田舎ってほんと何もなくてつまんないや」

少女「そう? 私は気に入ってるけど」

少年「うわあ!?」

少女「なにさ」

少年「いつから、っていうか誰!?」

少女「キミこそ誰? この辺じゃ見ない顔だよね?」

5 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 00:39:56.239 ID:A0twWn560.net
>>4
蜃気楼に消えた遠い思い出…

6 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 00:42:10.181 ID:
少女「ふーん、おじいちゃんおばあちゃんの家に泊まってるんだ」

少年「ヤッカイバライされたんだよ、父さんも母さんも自分勝手だ」

少女「……そういうこと言うの、よくないよ」

少年「な、なんだよ」

少女「どこの家庭だって、お父さんもお母さんも、子供のことが大好きに決まってるもん」

少年「……ばっかみて」

少女「……」

7 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 00:45:41.893 ID:
少女「それより、さ。どっか遊びに行こうよ!」

少年「遊びにって、この辺何もないじゃん」

少女「あるよ? いっぱいある」

少年「ゲームセンターもカラオケも何もないじゃん!」

少女「山とか川とか! えへ」

少年「……なら一人で行けばいいだろ」

少女「私と同じくらいの子ども、この辺にいないんだよう」

8 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 00:48:37.222 ID:
少年「ふぅ、ふぅ……まだ?」

少女「もうちょっともうちょっと♪」

少年「さっきからそればっか……ふぅ」

少女「ほんとにもうちょっとなんだってばー、ホラ立って立って!」

少年「ちょ、ま、一旦休憩……」

少女「だらしないなー、男のコでしょ? 都会っ子は運動不足ってホントなんだね」

少年「っ、この……!」

少女「なーんだ、全然元気じゃん! えへへ」

9 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 00:53:11.288 ID:
少年「はぁ、はぁ、はぁ」

少女「ふーぅ、はいっ到着ー! 長旅おつかれさまでしたー」

少年「はぁ、はぁ……到着って、何、っも……」

少女「ふふーん」

少年「すげ……」

少女「えへへ、えーい!」

少年「うわぁあ!?」

少女「あはははは! 気持ちいいでしょー? よっ!」

少年「っぷは! ちょ、いきなり何! ってうひゃ!?」

少女「……ぷっはー! やっぱり夏は川に飛び込みだよね! ほらほら早く上がって、もう一回!」

10 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 00:58:23.144 ID:
少年「うわ……改めて見るとすごい高い……」

少女「ふふーん、こんなのラクショーでしょ? それとも怖い?」

少年「……いや、だってあそこよく見てみろよ」

少女「ん、なになに? どこー?」

少年「よく見ろって、ほら、あそこ……さっきのお返、し!」

少女「きゃぁあ!?」

少年「あっははは! 思い知ったか!」

少女「あはははは! やられちゃったあ! ふふ、あはははは!」

少年「なっ」

少女「ほら、早くキミもー!」

少年「……」

少女「あー……ふふ、怖い?」

少年「っ、見てろ!」

少女「早く早く♪」

少年「……たああああ!!」

11 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 01:01:27.765 ID:QgTR//lY0.net
no title

12 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 01:04:47.244 ID:
少女「ね、楽しかったでしょ?」

少年「……別に」

少女「ふふーん、楽しかった?」

少年「……まぁ」

少女「楽しかったよね♪」

少年「ちょっとは、な、ぁ!?」

少女「なに?」

少年「す、すすけ」

少女「煤け? すすけ、すすー、すけー? ……あっ」

少年「変なモン見せんな!!」

少女「いやん」

13 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 01:07:33.925 ID:
少年「わっ……あー、くそ。やっちゃった」

少女「? なにそれ? あっ、ポラか」

少年「デジカメだよ。うわー、防水付いてたかな……」

少女「ふーん、壊れちゃった?」

少年「お前のせいだからな……お、点いた」

少女「ぴーすぴーす!」

少年「……なに」

少女「壊れてなかったんでしょ、撮ってくれないの?」

少年「別にいいけど。ハイ、チーズ」

少女「えへ。可愛く撮れた?」

少年「んー、ん……あ、読み込めない。撮れてないかも」

少女「光ったし撮れたんじゃないの?」

少年「分かんね」

少女「……ふーん」

14 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 01:11:33.063 ID:
少女「ね、明日はどこ行く? 山?」

少年「一人で行けばいいじゃん」

少女「私と同じくらいの子ども、この辺にいないんだよう」

少年「……何時?」

少女「お昼のサイレン鳴ったら! そうだなー、今日いた駄菓子屋さんの前で!」

少年「ん。じゃあな」

少女「うん、また明日!」

少年「ん」

15 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 01:14:18.752 ID:
爺「ん」

婆「はい、おかわりどうぞ。あんたは?」

少年「いらない」

婆「いっぱい食べなきゃ大きくなれないよ。はい、おかわりどうぞ」

少年「……」

爺「しっかり食え」

少年「ん……」

17 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 01:17:35.605 ID:
少年「カメラ、一応撮れてるかもだし持って行こう。今日も暑そうだな……んしょっと」

婆「こりゃ! 行ってきますぐらい言いなさい」

少年「……行ってきます」

婆「はい、いってらっしゃい。ほれ、あたしの帽子乗せていきな」

少年「ん」

婆「夕方には帰って来なよ」

少年「んー」

18 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 01:20:18.017 ID:
少女「ごめーん、お待たせ!」

少年「別に。それよりここ……」

少女「あー、今日はやってないみたいだね」

少年「昨日もアイス買いに来たのに開いてなくてさ」

少女「ここのお婆ちゃん70くらいだからねー、体調崩したのかもね」

少年「ふーん」

19 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 01:26:52.444 ID:
少年「ふぅ、ふぅ、はぁ、はぁ……」

少女「ほらもうちょっともうちょっと」

少年「昨日も、それ、散々、聞いた!」

少女「ふふーん、休憩したい?」

少年「いらね!」

少女「じゃあがんばっていこー。ほらもうちょっともうちょっと」

少年「うるせ!」

20 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 01:28:41.474 ID:RZiXfoY7p.net
はよ

21 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 01:31:43.404 ID:
少年「くっ、うぅ?……!」

少女「あはははは! ハズレ引いたね、酸っぱいでしょ?」

少年「なんらこぇ……!」

少女「知らなーい。でもちゃんと熟してるのは甘くて美味しいんだよ?」

少年「うそつけ」

少女「ほんとだってば! ええと、これとかー、それとか!」

少年「……じゃあお前食べてみろよ」

少女「はむ、うん、うん、うんうん、甘くて美味しい?!」

少年「……あぐ」

少女「ど?」

少年「別に」

少女「甘い?」

少年「まぁ」

少女「美味しい??」

少年「ちょっとは、な」

22 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 01:35:56.900 ID:
少年「ひゃ!?」

少女「ぷぷぷ、ひゃーだって、あはは!」

少年「うるせ。セミ嫌いなんだよ」

少女「うっはー、足がワサワサしてる」

少年「キモい、マジキモい」

少女「そうかな? ほーら」

少年「ひゃあ!? 近づけんなマジキモい死ね!!」

少女「……そこまで言わなくても、この子もうすぐ死んじゃうよ」

少年「な、なんだよ」

少女「ほら、木に捕まりな。もう落ちてきちゃダメだよ?」

少年「……キモい」

少女「ハイハイわかったわかった。ほら、もっと上に行ってみよ! 私のお気に入りの景色があるんだー♪」

23 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 01:40:28.878 ID:
少年「すっげー……っ」

少女「なに?」

少年「また突き落とされるのはゴメンだ」

少女「川でもないのにそんなことしないってば!」

少年「ふんっ。それにしてもキレイだな、ここ」

少女「でしょ? 誰にも教えなかったんだ、ここ」

少年「風、気持ちいいな」

少女「うん、気持ちいい。村の全部が見えそうなくらい……きゃっ!?」

少年「きゃー、だってさ。ほら」

少女「いいじゃん、女のコなんだもん。えへ、帽子ありがと!」

少年「しっかり被っとけ」

少女「うん♪」

24 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 01:46:00.102 ID:
少年「……」

少女「撮れた?」

少年「分かんね」

少女「私も入っていい?」

少年「ハイ、チーズ」

少女「わっ」

少年「撮ったから終わりな」

少女「何それー! アンコール、アンコール!」

少年「充電切れそうだし今日の分は終わり」

少女「ふーん、じゃあ明日はどこ行く?」

少年「他はどんなとこあるんだよ?」

少女「昔作った秘密基地、はーもう壊れてるかな。また川行こ!」

少年「何時?」

少女「今日といっしょ、お昼のサイレン鳴ったら! 駄菓子屋さんの前ね!」

少年「ん。じゃあな」

少女「うん、また明日!」

少年「また明日」

25 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 01:47:07.313 ID:
爺「ん」

婆「はい、おかわりどうぞ。あんたは?」

少年「ちょっとだけちょうだい」

婆「いっぱい食べなきゃ大きくなれないよ。はい、おかわりどうぞ」

少年「……」

爺「しっかり食え」

少年「んー」

27 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 01:50:00.535 ID:
少年「ねえ、アイスないの?」

爺「なかったらない」

婆「あそこの駄菓子屋行って買ってきな、あの田んぼ沿いの」

少年「そこ、昨日も今日も閉まってた」

婆「あら……でもそうねぇ、考えてみれば歳だもんねえ」

爺「明日買ってきてやる、何がいい」

少年「ガリガリソーダ」

爺「ん」

28 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 01:51:53.928 ID:
少年「雨……」

婆「今日は遊びに行かないのかい?」

少年「んー、んー……ちょっとだけ。行ってきます」

婆「足元には気を付けなよ、行ってらっしゃい」

30 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 01:54:05.059 ID:
少年「また閉まってる」

少年「……」

少年「……」

少年「……今日は、来ないかな。雨だし」

少年「……」

少年「んー」

少年「……また川って、言ってたっけ」

少年「……」

31 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 01:59:50.705 ID:
少女「あ、やっほ。あはは、来ると思ってなかった」

少年「バカ! ずぶ濡れじゃん、風邪引くぞ!」

少女「へーきへーき、死にはしないって」

少年「だからバカ!! いいからこれ使え!」

少女「キミの傘を私が借りちゃったらキミはどうするのさ」

少年「走って帰る。お前もさっさと帰って風呂入って寝ろよ、ちゃんと髪乾かせよ!」

少女「いいよいいよ、大丈夫だから」

少年「よくない! 大丈夫じゃない! 風邪から肺炎になったりするんだぞ!!」

少女「あっ、今またスケスケ見つめてた?」

少年「っ、勝手にしろバカ!!」

少女「ちょ、ホントに走って帰るのー!? これ、キミの傘どうすんのさー!?」

少年「知らねー!」

32 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 02:01:56.250 ID:
婆「何してんだい」

少年「……転んで傘なくした」

婆「ふんっ」

少年「いっ……てぇ!!」

婆「風呂入ってきな、しっかり髪も乾かすんだよ」

少年「ん……」

婆「返事は!」

少年「ひゃ! は、はい!」

33 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 02:04:56.672 ID:U+4bZy1R0.net
バッドエンド嫌だぞ

34 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 02:05:54.638 ID:Q6ZY+p7D0.net
ぽ…ぽ…ぽぽ…ぽ…ぽぽぽぽ…

36 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 02:10:19.612 ID:
少年「あいつ、ちゃんと帰ったのかな……」

婆「電話ー、パパからだよー」

少年「んー。しょっ……もしもし」

父「もしもし、楽しくやってるか?」

少年「別に。何?」

父「いや、元気にしてるならそれでいいんだ。声が聴きたくなってな」

少年「ふーん。今忙しいからもういい?」

父「ああ、すまんな。ちゃんとおじいちゃんとおばあちゃんの言うこと聞くんだぞ」

少年「分かってるって……もういい?」

父「ん、またな」

少年「ん」

37 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 02:17:06.667 ID:
婆「なんだって?」

少年「おじいちゃんおばあちゃんの言うことちゃんと聞きなさいって」

婆「あれま、それだけ?」

少年「……ん。あと元気にしてるかって」

婆「うんうん、そうかい」

少年「あと、今度サッカーの試合連れて行ってくれるとか、ディズニー行こうとかそんな話した。帰ったらお寿司食べに行こうとか」

婆「そうかい、そりゃあ良かったね」

少年「ん。まぁ、ね」

38 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 02:21:34.673 ID:
爺「ただいま」

少年「おかえり」

婆「はい、おかえりなさい。ありゃこっちも濡れ鼠だ。転んで傘なくしたかね?」

爺「バカ言え。車からちょいと歩く内にこんなだ。ああそうだ、ほれ」

少年「わ、アイス」

爺「これで良かったな?」

少年「あ、あずきバー……!」

爺「なんだ、違ったか?」

少年「ん……これでいい。ありがと」

爺「ん」

39 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 02:27:56.771 ID:
爺「ん」

婆「はい、おかわりどうぞ。あんたは?」

少年「ちょうだい。明日って晴れ?」

爺「晴れたら晴れる」

少年「なにそれ?」

婆「どうだったかねぇ。天気予報は雨なんて言ってなかった気がするけど……はい、おかわりどうぞ」

少年「ありがと」

40 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 02:32:12.239 ID:
少年「あ」

少女「あ」

少年「……」

少女「昨日は傘ありがとね。助かっちゃった」

少年「いい、別に」

少女「えへへ、ありがと! 今日はどこ行く?」

少年「昨日も濡れたし、今日は山にしようぜ」

少女「うん♪」

41 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 02:36:33.805 ID:
少年「くっ……くく、う」

少女「キミ、ホントハズレばっかり引くよねー。わざと?」

少年「わざろりゃらいっ!」

少女「舌回ってない、ぷぷ」

少年「うるへ!」

少女「はい、あーん」

少年「!?」

少女「? あーん、だってば」

少年「あ、あー……」

少女「ぽいっと。甘くて美味しい?」

少年「……」

少女「んー?」

少年「甘くて、美味しい……」

少女「よろしい♪」

42 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 02:45:58.158 ID:
少女「ね、今度遅くまで遊べない?」

少年「なんで?」

少女「ここから見るお祭りの花火、ホンットにキレイなんだ! 誰かに見て欲しくって」

少年「ん。それっていつ?」

少女「そうだなぁ、大体来週くらい……だったかな?」

少年「ん、分かった。お祭りは」

少女「あー私人混みニガテで。そっちはパス、ごめん! 花火だけって、だめ?」

少年「別に」

少女「えへ。っとと、今日も結構遅くなっちゃったね、そろそろ帰……」

少年「? あっ」

43 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 02:50:16.371 ID:
少女「……」

少年「わ、わわ……」

少女「花火だ」

少年「……すげえ、すっげーキレイだ……な!これ、すっげーな!?」

少女「う、ん。キレイ……花火、キレイだね!」

少年「なー! すげー、すっげー……」

少女「えへへ、そんなに喜んでくれると私も嬉しい、かな」

少年「なぁ、そこ立てよ。花火と一緒に撮ってやるから」

少女「あはは、壊れてるんでしょ?」

少年「撮れてるかも知れないから。ほら、早く!」

少女「えへへ、こんな感じ?」

少年「ああ、キレイだ」

少女「ななっ」

44 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 02:56:16.352 ID:
少年「七?」

少女「何を恥ずかし、わ、わー! やっぱ撮るのなし、なしなーし!」

少年「なんだよ、そんなに嫌がんなよ……まぁいいけど」

少女「はー、もう暑……キミ、急にそういうのズル」

少年「にしてもホントキレイな花火だな、村の特産?」

少女「おい」

少年「ん?」

少女「おい私も撮れ」

少年「は? いや、今撮るなって」

少女「撮れー! 私も花火といっしょにキレイに撮れー! かわいい私を撮れー!!」

少年「なんなんだよ意味分かんねー! っていうかジッとしろよ、ブレる!」

45 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 03:00:06.538 ID:
爺「ん」

婆「はい、おかわりどうぞ。あんたは?」

少年「ちょうだい」

婆「はい、おかわりどうぞ」

少年「ありがと」

爺「明日迎えに来るそうだ」

少年「んー。え?」

婆「急ねぇ」

爺「昼間は別にいいが夕方には家にいろ」

少年「……」

婆「返事は!」

少年「……ん、分かった」

46 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 03:04:39.212 ID:
少女「お待たせー! んー、今日も閉まってるね」

少年「もう慣れた」

少女「ここのお婆ちゃんが作ってるお団子がすっごく美味しいんだよねー、是非ご賞味頂きたい!」

少年「でも閉まってるし」

少女「そうなんだよねー、まあきっと明日こそ開くでしょ」

少年「明日は……」

少女「明日は?」

少年「開いてると、いいな」

少女「ねー。えへへ」

47 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 03:08:23.247 ID:n5RVJ5dUa.net
はよ

48 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 03:12:48.421 ID:
少年「とうっ!」

少女「うわっ、すっごーい!! はー、やっぱり男のコには敵わないなぁ。あの高さは流石の私もムリだ」

少年「っぷは、へへ! 見たかオレの実力!」

少女「ホントすごいよ。この前までピーとかパーとか言ってかわいかったのに、ねぇ?」

少年「言ってない!」

少女「あはは! じゃあまだ私の勝てる釣りでもやってみようかな?」

少年「釣りもコツを掴めば多分簡単なんだろ」

少女「いやいや、釣りは奥が深いんだよキミ。石と、川と、風と、世界と一体化して……」

少年「うるせ」

少女「きゃあぁあ!?」

少年「ぷっ、はははは!」

少女「ぷへぇ、ちょっと! マナー違反だよキミ!」

49 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 03:16:24.192 ID:
少女「んもー、おかげでサッパリいい気分だよう」

少年「くく、ごめん」

少女「……笑うようになったねー」

少年「ん?」

少女「キーミ。だって最初は、もっと、なんかズーンってしてたもん」

少年「そうかな」

少女「そうだよ」

少年「そうかも。なぁ、オレ」

少女「明日、帰っちゃうんだねー」

少年「……ん」

50 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 03:20:13.917 ID:6Blf7wRAM.net
お前の後ろだ!!!

51 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 03:22:30.946 ID:
少女「ね、ポラ貸して」

少年「デジカメだって。何するんだ?」

少女「撮られてばっかりだったからさ。はーい、笑って笑ってー」

少年「ん、んん」

少女「あはははは! 引きつってるじゃん、ほら、もっとニコーって! あーもう、ダメダメ、ほら!」

少年「ちょ! ま、近……!?」

少女「ね、カメラ見て?」

少年「おお、う」

少女「ハイ、チーズ♪ えへへ、ありがと!」

少年「これ、撮れてないかもだぞ」

少女「へーきへーき、心のアルバムにしまっといてよ」

少年「……ん」

少女「私とのツーショットなんてお宝だよ??」

少年「うるせ」

少女「えへ」

52 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 03:24:02.948 ID:
少年「また遊びに来るから」

少女「うん、待ってる」

少年「じゃあ」

少女「うん」

少年「またな」

少女「またね」

53 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 03:34:38.232 ID:
父「おばあちゃんの家は楽しかったか?」

少年「結構楽しかったよ」

父「はは、お前がそんなに日焼けするなんてな」

少年「前見て運転してよ」

父「父さんも昔はあの辺一帯を走り回ったもんだ。懐かしいなあ」

少年「ふーん」

父「……」

少年「……山に、さ」

父「ん?」

少年「山に、木の実が生ってて、すっごく甘いのと、すっごく酸っぱいのが見分けつかなくて、オレ酸っぱいのばっかりでさ」

父「……ん」

少年「友達が教えてくれたんだ。そいつ、すごいやつでさ! 色んなこと知ってて、色んな場所知ってて、毎日、いっしょに、あそ、遊びっに」

父「そうか」

少年「川、飛び込ん、込んだりして、カメラ、こっ壊れたっかもだけど、いっぱい、写真、いっぱい……とったがらっ」

父「防水のデジカメ買わなきゃな。また、来年も来ような」

少年「ん゛……!」

54 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 03:38:45.497 ID:6w6emhS6d.net
でも実は生きてるパターン

55 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 03:44:12.247 ID:
父「トイレ大丈夫か?」

少年「ん。ねえ」

父「ん?」

少年「田んぼ沿いの駄菓子屋、行ったことある?」

父「ああ、まだ残ってたか。あそこの団子は絶品だったなあ」

少年「ふーん、やっぱりそうなんだ。ずっと閉まってたけど」

父「そりゃそうだろうなあ、あそこのお婆さんも生きてたらもう100近いか? 仕事は無理だろうな」

少年「……え?」

父「父さんも昔はよくあそこに入り浸ってたんだよ、今思うとちょっと迷惑だったかもなぁ。お婆さんは『身寄りもないからみんな孫みたいなもんだ』ってよく言ってたけど」

少年「そう、なんだ……」

父「お腹空いたのか? やっぱりサービスエリア寄るか?」

少年「ん、大丈夫」

56 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 03:48:43.239 ID:
父「明日は病院で検査してもらって、何かしら食べて、カメラのことはそれからだな」

少年「ん」

父「まだしばらくかかる、寝てていいぞ」

少年「ん、ありがと……」

父「おやすみ」

57 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 04:17:44.946 ID:6w6wNi0t0.net
死んだか

58 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 04:28:55.376 ID:mxLzHS9Px.net
はよ

59 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 04:29:33.981 ID:
父「よかったな、ちゃんとこれでまた使えるってさ」

少年「ん、ありがと……ああ。やっぱり」

父「父さんにも見せてくれ。おお、どれもいい風景だな、こんなの撮れる所があったのか?」

少年「写真には写ってないけど、友達に、案内してもらった」

父「ああ、例の同じ年頃の。お婆ちゃん経由で渡してもらうか?」

少年「……ん、やめとく」

父「あ、この子か?」

少年「!?」

父「あー……相当仲良くなったんだな、ツーショットか。ん、そういうこともあるな」

少年「写ってる……写ってる!」

父「お、おい。何をそんな、ん、んん? この子、

60 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 04:33:39.502 ID:
少年「相変わらず何にもないな」

少女「そう? 私は気に入ってるけど」

少年「久しぶり」

少女「久しぶり! ちょっと背伸びたんじゃない?」

少年「ん、去年から5cmくらい。お前は変わらないな」

少女「えへへ、まあね」

61 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 04:40:11.406 ID:
少女「ふーん、おじいちゃんおばあちゃんの家に泊まってるんだ」

少年「もう肺もよくなったから、田舎に来ることもないんだけどな」

少女「でも、来てくれたんだ?」

少年「ん。また遊びに来るから、って約束したし」

少女「ふふ、私も待ってた」

62 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 04:47:41.309 ID:
少年「カメラ、見られなくなってただけでさ。やっぱりちゃんと撮れてたんだ」

少女「ふーん、ちゃんと撮れてたんだ」

少年「……ちゃんと、じゃないな。お前だけが写ってなかった」

少女「あー、やっぱりね」

少年「知ってた?」

少女「うっすら。色んな子と友達になって、中にはポラ持ってる子もいて、一緒に撮り合ったりもしたんだけどね。カメラの調子が悪いのか私だけ写らなかったり」

少年「……」

少女「忘れてたんだよね、あんまりみんなといるのが楽しくって。夏が来る度に、お日様の眩しさで目が眩んで、迷って」

少年「お前」

少女「うん、死んでる。死んでます。お化けだね」

63 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 04:50:15.869 ID:iJpA/Xh/0.net

64 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 04:56:48.306 ID:
父「この子、そっくり……いや、似てるどころか本人じゃないのか?」

少年「え?」

父「父さんが村に住んでた頃、川で足を滑らせて亡くなった子がいてな。明るい子で、村のみんなから可愛がられてたんだ」

少年「……」

父「父さんもまだ小さい頃、一人で家にいなきゃいけない時とか何度か面倒を見てもらってな。ああ、それにしてもよく似てるなぁ」

少年「川で、足を滑らせて?」

父「ん、ああ。雨の日に川へ……何しに行ったのかは知らないが、川へ行ってそこで、って話だったはずだ。詳しくは覚えてないが村中大騒ぎになったのはよく覚えてる」

65 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 05:06:31.995 ID:
少年「スケスケだな」

少女「あはは、思い出しちゃったからね。足なんかもうほとんど溶けちゃってるみたいでしょ」

少年「なんか、今目の前にいるのに本当はいないような……変な感じだ」

少女「あんまり見つめちゃだめだよ、えっち」

少年「花火のさ」

少女「あ、うわ、すごいね」

少年「ん?」

少女「うん、あの時にハッキリ思い出したんだ。んー、分かっちゃった? なのかも。お祭りの日は第三日曜日なのに、前倒しにするはずないもん」

少年「そうなのか。いや、そっちじゃなくて……花火の次の日、川行った時の、これ」

少女「これ、この写真」

少年「一枚だけあった。お前がちゃんと写ってる写真……もらってくれるか?」

少女「……えへ。うん! えへへ、ありがと♪ かわいく撮れてるじゃん」

66 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 05:08:15.268 ID:VxU6bdzDa.net
!!(´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`)

68 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 05:21:09.310 ID:
少年「もう?」

少女「うん。ホントは思い出した時にすぐ行くべきだったんだけど」

少年「そっか」

少女「でも、待ってたおかげでこんなに立派な冥土のお土産もらっちゃった。ありがとね」

少年「ん」

少女「笑顔、上手になったね」

少年「お前のせいだ」

少女「どういたしまして! じゃあね」

少年「またな」



少年「……またな」

おわり

26 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 01:48:40.542 ID:RIs0d9DB0.net
なにこれおもしろい

29 : ?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/07/01(日) 01:53:36.724 ID:Ew2Gz9Ym0.net
好きな感じの話だなー