1:2009/10/25(日) 01:53:25.19 ID:
『モナー、どうしよう』


 なきそうなその声を聞くたびに、モナーはいつも少しだけうれしく思っていた。
 まだ自分は彼女の兄貴分でいられると、ほんの少しだけの誇りと鬱陶しさ。


5:2009/10/25(日) 01:57:08.85 ID:
( ´∀`)いた、ようです




6:2009/10/25(日) 02:01:09.93 ID:
( ´∀`)「モララぁー?」

(;*゚∀゚)「ちょ、でかい声で言うなよ」


7:2009/10/25(日) 02:03:50.62 ID:
( ´∀`)「ツーちゃん、モララーが好きモナ?」

(#*゚∀゚)「でかい声で言うなっつってんだろ!」


 拳がふるわれて、ごん。
 ちかちかと火花が目の前に散るようなげんこつを受けた。
 額にそれを受けたモナーは、涙を浮かべて目前の友人を見る。


(;*゚∀゚)「誰にも聞かれてねぇよな」

( ´∀`)(うお)


 珍しく、顔を真っ赤にした彼女がいた。

8:2009/10/25(日) 02:07:07.46 ID:
( ´∀`)「ふーん、ツーちゃん、ああいうのがタイプだったモナ」

(#*゚∀゚)「ああいうのっていう言い方すんなよ」

( ´∀`)「モララーみたいなのがタイプだったのか」

(*゚∀゚)「……まぁ、よし」

( ´∀`)「モナモナ」


 からからと喉を鳴らしながらモナーは膝を抱えた。
 モララーというのは、所謂優等生タイプの同級生である。
 自由奔放な性格のツーとは真逆と言っても良くて、ひとは正反対の性格に惹かれるというのはどうやら本当らしいとモナーは思った。

 放課後の教室は真っ赤に、燃えるような日の光が差し込んでいる。壁に掛かったプリントが日に焼けていた。
 ツーは丁度窓に背を向けるようにして座っていたので、モナーは必然的に日に向かうことになる。
 黒いスラックスが光を吸い込んで、暖かだった。



9:2009/10/25(日) 02:11:21.70 ID:
(*゚∀゚)「これ言ったの、おまえが初めてなんだ。誰にも絶対言うなよ」

( ´∀`)「モナが?」

(*゚∀゚)「あ? なんだよ、文句あっかよう」


 今にも掴みかからんばかりに言ってくるツーに笑いかける。
 小柄なツーは、椅子に縮こまったモナーより僅かに大きいばかり。
 シャツを握る小さな小さな手はぷるぷると震え、顔は夕焼けに負けない程真っ赤に染まる。


( ´∀`)(……)

( ´∀`)「モナがそういうの言うわけ無いよ」

(;*゚∀゚)「それでもっ!」

( ´∀`)「十何年の付き合いなのに、信用ないなぁ……」

(;*゚∀゚)「ほっ、保険だ!」


10:2009/10/25(日) 02:15:53.37 ID:
モナーとツーは幼馴染みだった。
 小さな小さな頃から自由奔放を絵に描いたようなツーと、その不始末をフォローするモナー。
 成長してもその関係は変化出来ずに居た。

 ツーは事有る事にモナーに頼り、モナーはそれを引き受ける。
 お互いに踏み込みすぎた所為で色恋のようになれることもなく、


( ´∀`)(すきなひととか)

( ´∀`)「でも、何でそんなことモナに言ったの」

(*゚∀゚)「そんなこと、ってお前な……」

( ´∀`)(なんでそんな、)

(*゚∀゚)「だっておまえモララーと仲良いじゃん」

( ´∀`)(僕にとっては、それって多分、出来れば、聞きたくないような事、……かな? あれ?)

( ´∀`)(どうなんだろう?)

( ´∀`)(でもツーちゃん、知らないものな)


 モナーもツーに想いを打ち明けることもなかった。


11:2009/10/25(日) 02:19:45.12 ID:
( ´∀`)「……ふつうに付き合いあるくらいだよ?」

(*゚∀゚)「でも、喋ったこと無いアタシよかましだろ。何か、知らないか? すっ……好きなタイプとか」

( ´∀`)「んー」


 この想いは、もしかしたら何かの勘違いかもしれない。
 もしもそうなら恥ずかしいから、黙っておこう。言わないでおこう。しまってその内に忘れてしまおう。
 それにもし言ってしまったら、成就しようがしまいが、間違いなくこの関係は壊れるだろう。

 今までの関係を右に、それ以上を左に。
 天秤に乗せると、かたんと右が傾いていた。



12:2009/10/25(日) 02:24:25.66 ID:
(* ∀ )

 ツーは頬を赤らめたままでモナーを見つめている。
 時々話す趣味の合う友人の言葉を幾つも巡りながら、モナーは目を細めた。


( ´∀`)(すげぇツーちゃんあっかい)

( ´∀`)(モナが応援、してやらなくちゃ)

( ´∀`)(ツーちゃんはいつもさぁ、モナが居なきゃ)


( ・∀・)『僕、清楚っていうかさ、しゃらんらって感じがタイプでさ、だからこのヒロイン凄い好きなんだよな』


( ´∀`)(……あれ)

( ´∀`)(でも今は、応援してあげれても)

( ´∀`)(いつか、モナが居なくなったら?)

( ´∀`)(……)

( ´∀`)(……うん?)

( ´∀`)(まぁ、いいや)

( ´∀`)「モララーは、」
13:2009/10/25(日) 02:30:34.22 ID:
( ´∀`)「元気なこ、好きって言ってたから、きっとツーちゃんなら大丈夫」


(* ∀ )

(*゚∀゚)「ほんとかっ!?」

(*゚∀゚)「ほんとだな?! うそ言わないな!? 信じるぞ、信じるからな!?」


( ´∀`)(信じてくれなくてもいいよ)


 うそをついた。
 悪意は無かったけれど、確かに何かがモナーの胸にどろりと溜まった。




14:2009/10/25(日) 02:36:34.39 ID:
( ´∀`)(そうか、ツーちゃん、モララー好き、なら)

( ´∀`)(モナがモララーと仲良くしてたら、上手く架け橋に、なれるかな)

( ´∀`)(……うん?)


 濡れた手をハンカチで拭きながら放課後の廊下を歩く。
 鞄が肩にみしりと食い込んでいて、モナーはひどく不快に感じていた。
 人探しという行為自体にも不快を感じていたからかもしれない。

15:2009/10/25(日) 02:40:58.55 ID:
支援しようか
16:2009/10/25(日) 02:47:13.78 ID:
( ´∀`)(いらいら、はしない。別に、モララーだからじゃない)

( ´∀`)(人探しが嫌いなだけ)

( ´∀`)(ツーちゃんに協力するのが、嫌な訳が無い)


 きょろきょろと探すのは、ツーの想い人。当の本人が中庭で飛び回っているのを窓から見てモナーは苦笑する。
 モナー達の教室は一階なので、上靴のまま中庭に飛び出す生徒が後を絶たないのだ。
 ツーもその常連だった。

 探し人は、飛び出さずに眺める方なので構内にはいるだろう。


( ´∀`)「あ、モララーモララー」

( ・∀・)「んー? モナー、何だー?」

( ´∀`)「この前言ってた漫画の一巻、やっぱ貸して欲しいんだけど」


18:2009/10/25(日) 02:51:50.02 ID:
モララーに話しかける内容を考えに考えた結果、モナーはずいぶん昔に進められた漫画を使うことにした。
 適当に流して忘れてしまったそれを覚えていたのは奇跡に近い。
 良かった、と胸をなでおろしていた。


( ・∀・)「あれ? 買うんじゃなかったのか?」

( ´∀`)「あれ何か知らんけど中々売ってないモナ」

( ・∀・)「ん? そうか?」

( ´∀`)「てか、出版社何処かわからなくて」

( ・∀・)「あー、そっかそっか。まぁちょっと待って欲しいんだからな!」


 モララーは快活に笑って、教室に飛び込む。程なくしてその手から大判の漫画本を手渡された。
 表紙でエプロンをしめた猫が胸を張っている。
 少し前に彼から薦められた漫画の一巻。これを自分の代わりにツーに返してもらおう。

 それで、会話くらいは。


19:2009/10/25(日) 02:54:42.65 ID:
( ´∀`)(うん、これで、よし)

( ´∀`)(……なんかどろっとした)


 制服の下の胃袋に、生暖かく重たい何かが流れ込んだ気がした。
 錯覚だ、気のせいだと腹を軽く押さえてモララーにお礼の飴を押し付ける。
 みかん味、ハッカ、ミルクティ。色とりどりの包装を落とした。わあ、とモララーが歓声を上げる。


( ´∀`)「ありがとモナ」

( ・∀・)「どういたしましてなんだからな」


 鞄の中に入っている同じ漫画の存在は、全く無かったことにしてモナーは笑った。


20:2009/10/25(日) 03:03:35.19 ID:
( ・∀・)「モナーはもう帰るのか?」

( ´∀`)「ん、多分、そーなる」

( ・∀・)「今からなら……二便か。僕も乗ってけるかなぁ……ヒッキー見なかったか?」

( ´∀`)「ヒッキー? いや、見てないけど」

( ・∀・)「ぬー、そっか、うん」

( ´∀`)「あ、ちょっといい?」


 橙の光が差し込んでいる。

 受け取った漫画もそのままに廊下の窓を開け放し、中庭で何故か走り回っているツーに向かって呼びかける。
 日が差し込まない中庭はしっとりとしたゼニゴケが蔓延っていた。
 どうやら数人の生徒で鬼ごっこをしていたらしい。

21:2009/10/25(日) 03:03:52.18 ID:
支援
22:2009/10/25(日) 03:09:27.31 ID:
( ´∀`)「ツーちゃーん、帰るモナー?!」

(*゚∀゚)「おー!!」


 窓から身を乗り出して叫ぶようにすると、小さな影はすぐにこちらへと飛んでくる。
 後ろではモララーが楽しそうにその様子を見ていた。


(*゚∀゚)「もう帰んのか? しぃは?」

( ´∀`)「先バス停行ってるってさ。先輩いるから」

(*゚∀゚)「そっか、待ってろ今荷物とってくるから」

( ´∀`)「靴は?」

(*゚∀゚)「もー履いた!」


23:2009/10/25(日) 03:12:58.34 ID:
ツーとモナーのそんなやり取りを見ていたモララーが、モナーの肩に乗り上げて頭を突き出す。
 唐突な重みで窓サッシに押し付けられたモナーは眉を寄せてモララーを見上げた。
 それから、急激に血の気をなくしていくツーを見る。


( ・∀・)「ツーさんそっちにヒッキーいる?」

(;*゚∀゚)「……もっ、ほげぇっ?!」

( ´∀`)(もっほげぇ?)

( ・∀・)「もっほげぇ?」


 珍妙な悲鳴を上げたツーに、二人して不可解な視線を送る。
 ツーはあわててモララーから目をそらし、手首が千切れんばかりに振りまくった。
 それがなんだか愉快な気がして、モナーは笑ってしまう。

 本人は必死なのだからと懸命にかみ殺した。


(;*゚∀゚)「あっ、あっいや?! ヒッキーなら図書室に居たぜっ!?」

( ・∀・)「そ、っか。ん、じゃ二人ともばいばい」

( ´∀`)「バイバイモナ」

(;*゚∀゚)「ばっ、ばいばいなー!」

24:2009/10/25(日) 03:17:28.92 ID:
(*゚∀゚)「話し、話した! 話したぞっ!」

( ´∀`)「モナモナ」

(*゚∀゚)「モララーと、ちょっとだけはなせた!」

( ´∀`)「モナモナ」


 冷たい空気が鼻先にまとわりついていた。
 帰り道、二人がバスを降りる頃にはあたりは薄暗くなり始めていて、歩き読み出来ないか
とモララーに借りた漫画を開いていたモナーはぱたんとそれを閉じた。
 それをそのまま隣で興奮気味に話すツーに差し出す。


25:2009/10/25(日) 03:19:35.35 ID:
(*゚∀゚)「ん?」


 とツーは首を傾けた。


( ´∀`)「それ読めたから、ツーちゃんモララーに返しといて」

(*゚∀゚)「え?」

( ´∀`)「モナがさっき借りてたやつ、これ」

(*゚∀゚)「……モナー、まさかお前」

( ´∀`)「明日でいいから、お願いモナ」

(*゚∀゚)「……っお、おう!」


 がってんしょうちだ! と拳を握るツーを見て、鼻から抜けるようにモナーは笑う。

26:2009/10/25(日) 03:21:16.48 ID:
( ´∀`)「あと、ツーちゃんあんまどもってると変だから」

(;*゚∀゚)「どっ、うっ、るっせ!」


 骨が浮いた拳、ふるわれて、ごん。
 肩胛骨のあたりに直撃したそれにモナーは目を細める。張っていた肩肘がほぐれた気がした。
 隣でツーが携帯を開く。もう六時だ、と細いつぶやきが聞こえた。

 西の空にうっすら残った昼間が落ちていく。


( ´∀`)「ツーちゃん」

(*゚∀゚)「んー」

( ´∀`)「モナ、応援するよ」

(*゚∀゚)「んー」



27:2009/10/25(日) 03:23:44.77 ID:
( ´∀`)「モララー良い奴だから、モナも仲良くする。だからツーちゃん、がんがん話に来いモナ」

(*゚∀゚)「……んー」

( ´∀`)「そしたら今度は、二人ではなせるようになるよ」

(*゚∀゚)「……」


 ツーはうつむき、うにゃうにゃと何かを言いかけて、口を閉じた。
 数分。気がつけば、とっぷりと日がくれている。
 街灯が瞬き、点いた。

 空は冷たく暗い。低い位置に黄色い月が浮かんでいた。


( ´∀`)(……さむい)

(*゚∀゚)「……モナー」

( ´∀`)「モナモナ」


28:2009/10/25(日) 03:25:56.47 ID:
(*゚∀゚)「ありがと、な。いっつも、助けてくれてさ」

( ´∀`)「モナモナ」

( ´∀`)(ほんとに、ツーちゃんは)

(*゚∀゚)「勉強わかんない時も、宿題終わんない時も、母さんに怒られた時もさ、」

( ´∀`)(家出するなんて言い出した時も、大切なプリント無くした時も、制服破った時も)

(*゚∀゚)「いつも助けてくれて」

( ´∀`)(いっつも泣きついてきて)

(*゚∀゚)「アタシお礼も言えねぇのに」

( ´∀`)(その癖お礼も言わなくて、終わったらケロっとしてて)

(* ∀ )「ごめんな」


29:2009/10/25(日) 03:27:25.65 ID:
( ´∀`)(モナーがいなくちゃ、本当に)

( ´∀`)(だめなんだから)

(*ぅ∀ )「ごめんな」

( ´∀`)(ほら、まただ)

(*ぅ∀∩)「ごめんな」

( ´∀`)(泣き虫)

( ´∀`)「泣かないの」


 立ち止まってしまったツーの鞄を引っ張り、歩き出す。ツーもそれによたよたとついてくる。
 家に帰り着くまでには泣き止んでもらわなくてはならない。
 決して手を握れないのが、距離だ。

30:2009/10/25(日) 03:32:15.10 ID:
(*ぅ∀∩)「ごめんな、ごめんな、モナー、ありがとな」

( ´∀`)「はいはい」


 腕一本と、通学鞄のもち手分。
 モナーとツーの、距離だ。


( ´∀`)(なんかどろっとしてる)

( ´∀`)(どろっと、でぉろっと、おなかが)


31:2009/10/25(日) 03:33:51.91 ID:
『モナー、どうしよう!』

『もな?』

『しゅくだいおわんない!』

『も、もな? しゅくだい、て、もうなつやすみ終わりモナよ?』

『手伝って!』

『も、もなー……』



( ´∀`)(なんだこれ、怖っ)

( ´∀`)(死ぬの、病気なの?)



32:2009/10/25(日) 03:35:39.82 ID:
『モナー、どうしよう!』

『モナ?』

『このままじゃ中学、落ちるって言われた!』

『ま、まぁツーちゃん、勉強してなかったモナ』

『勉強教えて!』

『も、モナも受験生なんだけど』



( ´∀`)(僕は、)



33:2009/10/25(日) 03:37:33.15 ID:
『モナー、どうしよう!』

『……モナ?』

『制服破れた! やばい! 怒られる!』

『うお……何やったの、制服破けるって』

『釘にひっかけたんだって!』

『……家庭科室から裁縫道具借りてくるから、待ってろモナ』


( ´∀`)(えっと)

( ´∀`)(えええっと、えっと)

( ´∀`)(ええええぇえぇぇぇえぇっと、)






34:2009/10/25(日) 03:38:43.04 ID:
『モナー、どうしよう!』


( ´∀`)(……あー)


 その、今にも泣きそうな声を聞くたびに、鬱陶しいようなうれしいような、ねじくれた気分になる。
 そうして頼ってくれているうちは自分はまだツーとふたりでいれる。
 けれど自分が、居なくなったら? ツーが自分ひとりで始末をつけられるようになったら?

 自分は、ひとりでいなくてはいけなく、なる。
 そんな日がいつか来る。


 モナーはそんなに頭が悪くはなかったので、わかっていた。



( ´∀`)(ああ、そっか)

( ´∀`)(ツーちゃんてつだってあげなきゃ)


 けれど、その日までは、と。

35:2009/10/25(日) 03:39:45.27 ID:
『ツーちゃんはしょうがないなぁ』










36:2009/10/25(日) 03:40:54.75 ID:
放課の鐘が鳴って、モナーはすぐに鞄を持ち上げてモララーのクラスへと向かった。
 廊下へ出る生徒達と肩をぶつけながら、教室に残っているモララーに手を振る。
 何人かのクラスメイト達となにやら雑誌を囲んでいたらしいモララーが手を振りかえした。その輪が一斉にモナーを振り返る。


(=゚ω゚)ノ「よー、何か用?」

( ´∀`)「えーあー、モナの日本史の教科書、知らない?」

(´・ω・`)「あ、宿題あったよな」

( ・∀・)「……おまえ、無くすの何回目なんだからな?!」

( ´∀`)(「やっぱ嫌いな教科の教科書は身に付かないみたいで」

(-_-)「なんだそれ」

( ^Д^)「モナー何処の席だった?」

(´・ω・`)「探せ探せ」


37:2009/10/25(日) 03:43:50.62 ID:
そうして始まる大捜索。

 適当な机を覗き込みながら、ため息をひとつ漏らす。
 窓の外は黄金色だった。山に向かってぼってりと膨れた太陽が落ちていく。
 草の陰影が深い。グラウンドで走っている体育会系の影が跳ねては落ちる。


( ´∀`)(やっぱりクラスが違うとなぁ)

( ´∀`)(放課後くらいしか、話に来れない)

( ´∀`)(てか、肝心のツーちゃんが居ないし)

( ・∀・)「あそだ、モナー、二巻読むかー?」

( ´∀`)「モナ? あー、読む」

( ・∀・)「んじゃあ、はい」


 鞄を漁って、取り出された漫画本を受け取る。
 二巻はまだ読んでないな、と純粋に楽しみに思いながらそれをしまった。
 お礼に、とまたそのあたりにあったあめ玉をモララーに押しつける。

38:2009/10/25(日) 03:45:09.79 ID:
( ・∀・)「読み終わったらツーさんに貸してあげて」

( ´∀`)「モナ?」

( ・∀・)「なんか、気に入ったみたいだからさ。っていうか、横着せずに自分で返しに来いよ」

( ´∀`)(……あ、なんかまたやっぱ)

( ´∀`)(どろーっと、きた)

( ´∀`)「モナモナ」

( ´∀`)(修行が足りんな)


 からからと喉の奥から絞り出すように笑う。
 あらかたの机を探し終わったのか、無いぞおい、と不満の声があがった。
 笑みをひっこめて、モナーはまなじりを垂れる。


39:2009/10/25(日) 03:46:54.76 ID:
( ´∀`)「ん、無いならあきらめる」

( ・∀・)「いやあきらめんなよ。宿題は」

( ´∀`)「それもあきらめる」

( ・∀・)「おまえ……!!」

( ´∀`)「皆ありがとモナ。お礼に、あー、飴ちゃん大放出する」

(=゚ω゚)ノ「おー、飴だ飴だ」

( ^Д^)「俺メロンなメロン」

( ・∀・)「じゃあ僕みかん貰ってくんだからな」


│゚∀゚)


( ´∀`)(あ)

( ´∀`)「ツーちゃん!」


40:2009/10/25(日) 03:48:46.02 ID:
│゚∀゚)そ


( ´∀`)「飴、食べる?」

(;*゚∀゚)「おぉお、おうっ!」


 ドア越しにこちらを覗いていたツーは、あわてたように飛び出してくる。
 ばね仕掛けのような動きに思わず笑みが漏れた。
 ヨーグルト味の飴を手渡し、自分は鞄を片手に立ち上がる。

 スラックスに付いていた埃を払った。
 何処か所在なさげに飴をなめるツーと、楽しげに包装を破るモララーとを見比べる。


( ´∀`)(……んー)

( ´∀`)「じゃあ、モナは先帰るから」

(;*゚∀゚)「え?」

( ・∀・)「おう、バイバイ」

( ´∀`)「モナモナ」


42:2009/10/25(日) 03:50:19.53 ID:
おっさん?
43:2009/10/25(日) 03:50:20.51 ID:
突っかけた上靴の底を擦りながら早足で教室を出る。
 後ろからは和やかな談笑の声が聞こえた。
 早足は次第に小走りへと移行していく。

 すぐにばからしくなって足の速度を落とすが、心臓の音だけがいつまでも五月蠅い。


(*゚∀゚)「おいっ、モナー!」


 後ろから、声がかかった。



『モナー、どうしよう!』


(*゚∀゚)「ばいばい!」




 泣きそうなその声に、モナーは「ん!」と怒鳴るようにして返す。
 息を吸って、それから吐いて、

44:2009/10/25(日) 03:51:49.88 ID:
( ´∀`)「ばいばい、モナ!」


 真っ赤な冬の夕日が、通り過ぎた教室に差し込んでいた。
 さっきまで一緒に話していた生徒たちの楽しそうな声が耳から離れない。
 立ち止まったモナーは目を細めて、黄金色になった教室を眺める。


( ´∀`)(……あー)

( ´∀`)(早く帰って寝よう)


 スラックスに引っかかった温もりが、ひどく暖かかった。
 どろどろとした生暖かさを胃袋に抱え込んで、

 モナーは一人で廊下を行く。





45:2009/10/25(日) 03:52:41.62 ID:
かつて、黄金色に光る教室には、モナーとツーがふたりで









( ´∀`)いた、ようです

END
46:2009/10/25(日) 03:54:05.66 ID:
眠いからもう寝るよ!
なんでこんな時間までかかってんだファッキン
おやすみなさい。質問等は特に受け付ける予定はありません。別におっさんじゃないです

47:2009/10/25(日) 03:56:11.92 ID:
うおう、そう終わるか。
乙。良作だた
48:2009/10/25(日) 03:56:36.47 ID:
なんか切なくなった

50:2009/10/25(日) 03:57:27.33 ID:
…なんか胃袋に夏みかんぶち込まれた気分だぜ
51:2009/10/25(日) 04:14:33.01 ID:
切ない気分を味わったぜ
良作だろ・・・
52:2009/10/25(日) 04:28:48.51 ID:
全霊の乙
53:2009/10/25(日) 05:39:45.89 ID:
切ない、乙!
元スレ: