1:2009/11/14(土) 22:30:48.61 ID:
顔も知らない恋人よ

 君はいま、何を思っているのでしょうか


4:2009/11/14(土) 22:33:39.80 ID:
爪'ー`)


( ゚д゚ )


爪'ー`)

爪'ー`)「そろそろかな」


( ゚д゚ )

( ゚д゚ )「そうだな」


爪'ー`)「ええと、090の、××××、××××」


5:2009/11/14(土) 22:36:14.88 ID:
プルルル、プルルル……


爪'ー`)


( ゚д゚ )

( ゚д゚ )「どうして」

( ゚д゚ )「いつも一つ一つ番号を押しているんだ?」

( ゚д゚ )「着信履歴を使えば、もっと楽だろう」


6:2009/11/14(土) 22:39:06.18 ID:
爪'ー`)

爪'ー`)「いやねぇ」

爪'ー`)「こうやって番号を一つ一つ押していると」

爪'ー`)「なんだか気分良く話せるんだよ」

爪'ー`)「手間暇かけてるほうが、気持ちがこもるのかねぇ」

爪'ー`)「愛のための作業は、作業にならないのかもな」


7:2009/11/14(土) 22:41:44.88 ID:
( ゚д゚ )

( ゚д゚ )「そうか」


爪'ー`)「もう黙っててくれないかな、旦那」


( ゚д゚ )


爪'ー`)「繋がったよ。大事な蜜月の時間だ」


8:2009/11/14(土) 22:44:14.59 ID:
(   )【もしもし?】


爪'ー`)「もしもし、聞こえてるよ090」


(   )【それは良かったです、090】

(   )【ええと、今は何時でしょうか】


爪'ー`)「んん、時間か。そうだなぁ、夜の九時かな」


(   )【そうですか】

(   )【では改めて、こんばんは090】


9:2009/11/14(土) 22:45:06.77 ID:
支援、期待
10:2009/11/14(土) 22:46:40.38 ID:
爪'ー`)「こんばんは、090」


(   )

(   )【どうしましょうか】

(   )【いつものことですけど、聞きたい事がいっぱいで】

(   )【いざ話してみると、何を聞こうか忘れてしまいます】


爪'ー`)「俺も聞きたい事がいっぱいだよ」

爪'ー`)「先に聞いてもいいかい?」


(   )【どうぞ】


13:2009/11/14(土) 22:49:10.64 ID:
爪'ー`)「ありがとう」

爪'ー`)

爪'ー`)「今日の夕食はどうだった?」


(   )【そうですね】

(   )

(   )【おいしくなかったです】


爪'ー`)

爪'ー`)「俺もだよ」


14:2009/11/14(土) 22:51:35.31 ID:
(   )【くすくす、なら聞かなければいいのに】


爪'ー`)「いやあ」

爪'ー`)「俺がまずくて食えたものじゃないって思った飯を」

爪'ー`)「090はどんな風に味わったのかなぁって」

爪'ー`)「思ったのさ。可笑しいかい?」


(   )【そうですね、可笑しいです】


15:2009/11/14(土) 22:54:13.82 ID:
爪'ー`)「でもよぉ、これで」

爪'ー`)「090と俺の味覚は、似通ったものなんだって分かったよ」

爪'ー`)「運命を感じちゃうね」


(   )【あの夕食なら、十人が食べれば十人がおいしくないと】

(   )【言うと思いますよ。私は】


爪'ー`)「おやおや」

爪'ー`)「そうなると随分大安売りな運命になっちゃうなぁ」


16:2009/11/14(土) 22:56:37.44 ID:
(   )【くすくす】

(   )

(   )【090は本当に口だけは達者ですね】


爪'ー`)

爪'ー`)「俺が君に披露できるものは喋くりしかないからね」

爪'ー`)「見せられるなら、ぜひともこのツラをお見せしたいよ」

爪'ー`)「あまりの美男子ぶりに、三回くらい恋に落ちてしまうかも」


(   )【くすくす】


17:2009/11/14(土) 22:59:51.01 ID:
(   )

(   )【でも、私は090に顔を見せる自信が無いです】


爪'ー`)

爪'ー`)「おやおや、それは意外だね」

爪'ー`)「090は鳥のさえずりよりも美しい声をもっている」

爪'ー`)「こんな綺麗な声の女性なら、容姿見た目もさぞ美しいだろう」

爪'ー`)

爪'ー`)「――なんて、俺は思っていたのだけれど」

18:2009/11/14(土) 23:02:13.16 ID:
(   )【くすくす】

(   )【もしかしたら、とても綺麗な女声の男かもしれませんよ?】

(   )【それに、期待しているほど私は見た目が良くありませんから】


爪'ー`)「おやおや、090は男だったのか」

爪'ー`)「残念至極だ。電話越しの美声の持ち主が」

爪'ー`)「腕も脛も毛深くって、胸板の厚い無頼漢だったとはね」

爪'ー`)「怖い怖い。これからは尻の穴に気をつけないとな」


19:2009/11/14(土) 23:04:35.05 ID:
(   )


爪'ー`)「おっと」

爪'ー`)

爪'ー`)「女性との会話で尻の穴は卑猥だったかな」


(   )【そうですね】

(   )【少し下品ではないかと】


爪'ー`)「ということは090は女性で構わないね」


(   )【あ】


20:2009/11/14(土) 23:07:36.87 ID:
(   )

(   )【本当に、090は口ばっかりが達者な人ですね】

(   )【おまけにいじわるです】


爪'ー`)「失敬、ははは、これは失敬」

爪'ー`)「ちょっとした冗談を言う君も可愛いが」

爪'ー`)「ふてくされた声の君もまた可愛いよ」


(   )

(   )【またそんなことを】


21:2009/11/14(土) 23:10:41.66 ID:
(   )【きっと、090は今までにもこうやって】

(   )【何人もの女の子を口先でからかってきたのでしょうね】

(   )【ひどい人です】


爪'ー`)「可愛い女の子をからかうこと以上に楽しい事なんて」

爪'ー`)「この世にないからね」

爪'ー`)

爪'ー`)「機嫌を悪くしたかな? なら謝るよ」


(   )

(   )【気にしていません】


22:2009/11/14(土) 23:11:20.72 ID:
支援しようか
25:2009/11/14(土) 23:12:51.86 ID:
(   )【090はいつもそんな風ですからね】

(   )

(   )【でも、そういうのも嫌いじゃないですから】


爪'ー`)「それは喜ばしいことだ」


(   )【くすくす、またそんなことを言って】

(   )

(   )【いつか】


爪'ー`)


26:2009/11/14(土) 23:15:18.81 ID:
(   )【いつか、あなたに会いに行きたい】

(   )【会って】

(   )【こうやって、電話じゃなくて直に話して】

(   )【笑ったり、からかったり】

(   )


爪'ー`)

爪'ー`)「会えるさ」

爪'ー`)「いつか必ずね」


(   )


28:2009/11/14(土) 23:17:48.11 ID:
(   )【そう、ですよね】

(   )【こんな変なことを聞いてしまって】

(   )【ごめんなさい。すごく不安なんです】


爪'ー`)「どうして?」


(   )【夢を見るんです】

(   )【もう何年も見なかったはずなのに】

(   )【最近は、眠ると必ず夢を見る】


29:2009/11/14(土) 23:20:11.03 ID:
爪'ー`)

爪'ー`)「どんな、夢だい?」


(   )

(   )【思い出せないんです】

(   )【でも】

(   )【きっと嫌な夢です】

(   )【じゃなきゃ、毎日がこんな不安にはならない】

(   )

(   )【夢を見るのが怖いんです】


30:2009/11/14(土) 23:22:38.86 ID:
爪'ー`)

爪'ー`)「そうか」

爪'ー`)「俺に出来ることはあるかな」

爪'ー`)「一晩中、君が眠りに落ちないように語らい続けるとか」


(   )【くすくす】


爪'ー`)「俺は真面目だよ?」


(   )【どうでしょうね】


31:2009/11/14(土) 23:25:21.40 ID:
(   )

(   )【でも、気にしないでください】

(   )【思わず、こぼしてしまったけど】

(   )【こんなことで、090に迷惑をかけたくないから】

(   )

(   )【それに】

(   )【怖い半面、私はすごくその夢が気になるんです】

(   )【よく分からない感情だけど、それは】

(   )【とても大切な気持ちだと思います】


32:2009/11/14(土) 23:27:31.33 ID:
爪'ー`)

爪'ー`)「そうか」


(   )

(   )【どのくらい、喋っていたのでしょうか】

(   )【もう今日はこれで終わりにしましょう】


爪'ー`)「そうだね」


(   )【ごめんなさい】

(   )【私のせいで、気分を悪くしてしまったでしょうか】


33:2009/11/14(土) 23:30:18.32 ID:
爪'ー`)

爪'ー`)「いいやそんなことはないよ、ない」

爪'ー`)「ただ、君のことが純粋に心配で」

爪'ー`)「愛おしいだけさ」


(   )


爪'ー`)


(   )【おやすみなさい、090】


爪'ー`)「おやすみ、090」


34:2009/11/14(土) 23:32:38.84 ID:
プツッ


爪'ー`)


( ゚д゚ )


爪'ー`)

爪'ー`)「旦那」


( ゚д゚ )「どうした」


爪'ー`)「あと」

爪'ー`)「何ヶ月……いや、何日だい?」


35:2009/11/14(土) 23:36:13.51 ID:
( ゚д゚ )

( ゚д゚ )「もう一ヶ月は切っている」

( ゚д゚ )「あと二十三日だ」


爪'ー`)

爪'ー`)「そうかい。もうひと月ないのかい」

爪'ー`)「そうかそうかぁ、早いもんだなぁ」


( ゚д゚ )

( ゚д゚ )「楽しいか?」

( ゚д゚ )「顔も見えない相手と、恋人ごっこを繰り返すのは」


37:2009/11/14(土) 23:39:07.47 ID:
爪'ー`)

爪'ー`)「あぁ、もちろんだとも」

爪'ー`)「楽しいに決まっている」

爪'ー`)「分かり切っていることを聞かないでおくれよ」


( ゚д゚ )

( ゚д゚ )「そうだな」


40:2009/11/14(土) 23:41:23.83 ID:
爪'ー`)「旦那、もう行ってくれよ」

爪'ー`)「野郎のツラを眺めて眠りたくないんだ」

爪'ー`)

爪'ー`)「おやすみ」


( ゚д゚ )

( ゚д゚ )「おやすみ」


41:2009/11/14(土) 23:42:01.10 ID:
この淡々とした感じ好きだ支援
43:2009/11/14(土) 23:44:36.41 ID:
* * *


 プルルル、プルルル……


爪'ー`)

爪'ー`)「もしもし」


(   )【もしもし? 090ですか?】


爪'ー`)「心配しなくても、この番号で俺以外の人間が出ることはないよ」


(   )【そうでしたね】


45:2009/11/14(土) 23:47:08.77 ID:
(   )

(   )【こんばんは、090】


爪'ー`)「こんばんは、090」

爪'ー`)「珍しいね。いつもは俺の方から」

爪'ー`)「君にコールするのに。何かあったのかい?」


(   )

(   )【ええ】

(   )【前に、怖い夢の話をしましたよね】


46:2009/11/14(土) 23:49:39.05 ID:
爪'ー`)「ああ」


(   )【昨日も、またその夢を見ました】

(   )

(   )【でも、いつもと違う所があったんです】

(   )【夢を、夢の内容を、憶えていたんです】


爪'ー`)

爪'ー`)「そうか。もし」

爪'ー`)「君が辛くないのなら、どんな夢だったのか教えて欲しいな」


48:2009/11/14(土) 23:52:25.92 ID:
爪'ー`)「その話を聞いてから毎晩」

爪'ー`)「君の夢のことが気になって仕方なかったんだ」


(   )【ええ、大丈夫です】

(   )【私もお話しするつもりで、こうやってこっちから電話をかけたわけですし】

(   )


爪'ー`)


(   )

(   )【――猫】


49:2009/11/14(土) 23:55:27.24 ID:
猫がいるんです。


 綺麗な猫。黒猫。

 ベルベットよりもきめの細かそうな毛並み。

 瞳の色は、翡翠を埋め込んだかのような息を呑むグリーン。

 ガラスの床の上で、訳もなく突っ立っている私の周りをぐるぐるぐると。
 
 歩き回っては、鈴を転がしたような鳴き声で私を誘惑します。


50:2009/11/14(土) 23:58:06.06 ID:
私はとても気分がよくて。

 この世のものとは思えないほど綺麗な、その猫を眺めていると。

 心の底から満たされていくのが、分かるんです。

 毛づくろいをする猫に触れたい、抱きしめたい。

 でも、ガラスは薄くて。

 私が不用意に動けば、そのままぱりんと割れてしまいそう。

 為す術もなく、私は蟲惑的な猫の艶姿を、ただじっと見つめている。


53:2009/11/15(日) 00:00:34.01 ID:
それが口惜しくて、悔しくて。

 
 なんだか、そのもどかしさが、次第に怒りへと変わって。


 私は、黒猫のことを美しいと思うより。


 憎たらしいと、思い始めるのです。




55:2009/11/15(日) 00:01:39.06 ID:
面白い
支援
56:2009/11/15(日) 00:03:59.65 ID:
爪'ー`)


(   )

(   )【憶えているのは、ここまで】

(   )【不思議な夢でしょう】


爪'ー`)

爪'ー`)「あぁ、不思議な夢だ」

爪'ー`)「君はその夢が怖いのかい?」

爪'ー`)「不安を覚えて」

爪'ー`)「一人の夜に涙するくらいに」


58:2009/11/15(日) 00:06:44.73 ID:
(   )

(   )【ええ】

(   )【怖いです】


爪'ー`)


(   )【なにより】

(   )【夢の中で、猫に憎しみを抱く自分が】

(   )【堪らなく怖いんです】


60:2009/11/15(日) 00:09:13.41 ID:
爪'ー`)

爪'ー`)「そうかい」

爪'ー`)「でも、夢は夢だろう?」


(   )


爪'ー`)「安心しておくれよ。君には」

爪'ー`)

爪'ー`)「俺が付いている」


(   )


61:2009/11/15(日) 00:11:49.56 ID:
爪'ー`)

爪'ー`)「俺では少し頼りないのかな?」


(   )

(   )【くすくす】

(   )【ありがとうございます】

(   )【少しだけ、元気になれました】


爪'ー`)「君がいつも健やかでいることが」

爪'ー`)「俺にとっての数少ない喜びなんでね」


62:2009/11/15(日) 00:12:58.95 ID:
(   ) ちゃん可愛い!
63:2009/11/15(日) 00:15:29.12 ID:
(   )【あら、じゃあ】

(   )【女の子をからかうこととでは、どちらが嬉しいんですか?】


爪'ー`)

爪'ー`)「うぅん」

爪'ー`)「女の子をからかうことかなぁ」


(   )【もう】

(   )【またそんなことを言って】


64:2009/11/15(日) 00:18:14.60 ID:
(   )

(   )【ねぇ、090】


爪'ー`)「なんだい?」


(   )

(   )【あなたは、本当に顔も見たことのない人を好きになれるのですか?】


爪'ー`)


(   )【時折、不安になるの】

(   )【ごめんなさい、こんなことあなたに言うべきことじゃないのに】


66:2009/11/15(日) 00:20:05.34 ID:
(   )

(   )【でも、堪らないんです】


爪'ー`)「うん」


(   )【私、顔は綺麗じゃない】

(   )【きっとスタイルも良くありません】

(   )【声は……あなたが褒めてくれたように、少しは自信がある】

(   )【でも、声だけじゃ本当の私じゃない】


68:2009/11/15(日) 00:22:39.89 ID:
(   )

(   )【あなたが、私の声だけで私を好きだと言ってくれるのなら】

(   )【きっと、私はいつかあなたの気持ちを裏切ってしまう】

(   )【それが怖くて、怖くて】


爪'ー`)

爪'ー`)「うん」


(   )【だから、私は時々】

(   )【この携帯電話を――】


70:2009/11/15(日) 00:25:12.02 ID:
ぱきっと、二つに折ってしまいたくなるんです。





71:2009/11/15(日) 00:27:36.24 ID:
(   )【見せかけだけで、あなたの気持ちを裏切ってしまうのなら】

(   )【もう、終わりにした方が……って】

(   )


爪'ー`)

爪'ー`)「そうか」


(   )【ごめんなさい】

(   )【本当に、こんな泣き事言うべきじゃなかった】

(   )【気分を悪くしてしまったのなら謝ります】

(   )


72:2009/11/15(日) 00:30:45.22 ID:
爪'ー`)

爪'ー`)「君は俺のことが嫌いかい?」


(   )【いいえ】

(   )【いいえ、そんなことないです。ない……】

(   )


爪'ー`)「ならいいじゃないか」


(   )


爪'ー`)「俺も君のことが好きだよ」


73:2009/11/15(日) 00:32:01.19 ID:
支援
74:2009/11/15(日) 00:33:35.70 ID:
爪'ー`)

爪'ー`)「だから、また」

爪'ー`)「こうして君からも、電話をかけて欲しい」

爪'ー`)「構わないかな?」


(   )


爪'ー`)「下らない話でもいいんだ」

爪'ー`)「そうだ、また」

爪'ー`)「夢を見て、怖くなったらでもいい」

爪'ー`)「電話しておくれ。そうしたら」


75:2009/11/15(日) 00:37:13.30 ID:
爪'ー`)

爪'ー`)「いつだって、君の話を聞いてあげられるから」

爪'ー`)「こうやって笑わせてあげられるから」


(   )


爪'ー`)「電話の向こうでも、好きな人が悲しそうにしているのだけは」

爪'ー`)「俺だって堪えられないから」


(   )


爪'ー`)


77:2009/11/15(日) 00:39:12.40 ID:
(   )【かけます】

(   )【私、電話をかけます】

(   )【いつだって、何度だって】


爪'ー`)「うん」


(   )【あなたのことが知りたいから】

(   )【好きな人のことを】

(   )【もっともっと知りたいから】

(   )

(   )【そして私のことも、知って欲しいから】


79:2009/11/15(日) 00:41:07.19 ID:
爪'ー`)

爪'ー`)「俺も」

爪'ー`)「俺のことをもっと君に知って欲しい」

爪'ー`)「君のことを知りたい」

爪'ー`)「だから電話を待ってる」

爪'ー`)「そして電話をかけるよ」


(   )

(   )【グスッ…………】


爪'ー`)


80:2009/11/15(日) 00:43:06.22 ID:
(   )【ありがとうございます、090】

(   )【私、あなたのことが好きだったみたいです】


爪'ー`)「うん」


(   )

(   )【おやすみなさい、090】


爪'ー`)「おやすみ、090」


 プツッ


83:2009/11/15(日) 00:50:01.56 ID:
なにこれおもしろい
89:2009/11/15(日) 01:04:34.86 ID:
* * *


 プルルル、プルルル……


爪'ー`)


 プルルル、プルルル……


爪'ー`)


( ゚д゚ )

( ゚д゚ )「今日も、彼女は出ないんじゃないのか?」


90:2009/11/15(日) 01:07:29.69 ID:
爪'ー`)「そんなことはないさ」

爪'ー`)「きっと彼女だって俺の声を聞きたいに決まってる」

爪'ー`)「俺だって」

爪'ー`)「彼女の声が聞きたいんだ」


( ゚д゚ )「だがもう二週間だろう」

( ゚д゚ )「彼女からのコールが来なくなって」

( ゚д゚ )「それからというもの、こうしてお前からコールしても」

( ゚д゚ )「まったく出る気配が無い」


93:2009/11/15(日) 01:10:09.30 ID:
爪'ー`)


( ゚д゚ )「気付いたのかもしれんな」

( ゚д゚ )「こんな恋人ごっこの無意味さに」


爪'ー`)「黙ってくれよ、旦那」


( ゚д゚ )「フォックス、もう二週間だ」


爪'ー`)


( ゚д゚ )「そしてお前には、もう十日も時間は残されていない」


97:2009/11/15(日) 01:12:57.14 ID:
( ゚д゚ )「諦めろ、なんてことは言わないが」

( ゚д゚ )「そろそろいいんじゃないか?」


爪'ー`)

爪'ー`)「全然良くないさ」

爪'ー`)「まだ、二週間だ」

爪'ー`)「あと十日もないって言うなら、その間ずっとコールしてやる」

爪'ー`)「最後の日の、一分、一秒でも」

爪'ー`)

爪'ー`)「俺は彼女に電話をかけ続けるんだ」


98:2009/11/15(日) 01:15:38.48 ID:
( ゚д゚ )


爪'ー`)「馬鹿だと思うかい? 阿呆だと思うかい?」

爪'ー`)「かまわないさ。自分でも馬鹿だと思ってる」

爪'ー`)

爪'ー`)「でも、馬鹿にならずにはいられないんだ」


( ゚д゚ )

( ゚д゚ )「そうか」


100:2009/11/15(日) 01:18:14.70 ID:
プツッ


(   )【もし……もし……?】


爪'ー`)「!」

爪'ー`)「090、090なのか?」


(   )【その声は……090ですか?】

(   )【お久しぶりです。えっと】

(   )【今は……今、は、何時でしたっけ?】


101:2009/11/15(日) 01:19:07.38 ID:
繋がったか…!支援
102:2009/11/15(日) 01:20:40.19 ID:
爪'ー`)「いいんだ。時間なんていいんだ」

爪'ー`)「何があったんだい? 今までどうしていたんだ?」

爪'ー`)「ずっと不安だったんだ」

爪'ー`)

爪'ー`)「君の、君からの電話が無くて」


(   )【ご……めん、なさい、ぅ、ぅぅ】

(   )【少し、事情があって】

(   )【電話に、出れなくて】

(   )【うぅ、うううう、うぅうう……】


104:2009/11/15(日) 01:23:09.13 ID:
ブチッ……ブヂブチッ……ブチッ……ブヂッ


(   )【う゛ぐぅううう、うぐ、うぅ゛ううう】


爪'ー`)「一体、どうしたんだ?」

爪'ー`)「すごく苦しそうだ。具合が悪いのかい」

爪'ー`)「何か……変な音も、聞こえる」


 ブヂュ、ブヂ……ブギ、ミチ……ブチッ


(   )【あ゛あ゛ぅう゛ううう、うぅう゛、ううぅ、う】


105:2009/11/15(日) 01:24:38.07 ID:
何だ何だ
106:2009/11/15(日) 01:25:34.53 ID:
爪'ー`)

爪'ー`)「090」

爪'ー`)「返事をしてくれよ、090」


(   )

(   )【ご、めんなさい】

(   )【私、醜いのは、顔や体だけじゃなかった】

(   )【心まで、腐ってる】

(   )【化物】


爪'ー`)


108:2009/11/15(日) 01:28:26.57 ID:
(   )【人を、愛してはいけなかったんだ】

(   )【そんな資格、わた、私には、なかった】


爪'ー`)

爪'ー`)「お願いだ、090」

爪'ー`)「もう、どうして電話をくれなかったかなんて聞かない」

爪'ー`)「代わりに教えてくれ、何があったんだ?」

爪'ー`)「一体君に、何が起きているんだ?」


(   )

(   )【あの、夢に、は……怖い夢、には――】


110:2009/11/15(日) 01:31:50.46 ID:
続きがありました。



 薄いガラスの上で、猫を恨めしく見ている私。

 その周りを、いつしか同じような黒猫が何匹も何匹も現れる。

 みんな美しい、みんな息を呑むような愛おしさ。

 ころころ、ころころと喉を鳴らして私を呼んでいる。

 嗚呼、抱きしめたい。

 頬ずりしたい。


111:2009/11/15(日) 01:34:20.23 ID:
でも手が届かないの。伸ばしても伸ばしても届かない。

 もう少し触れそうになっても、すいっとみんな逃げてしまう。

 私は気付きました。猫は私の手を嫌がっている。

 赤切れて、渇いて、爪もぼろぼろな醜い手を。

 そんなあんまりよ、と叫んでも、どの猫も近づいて来てくれない。

 ころころ喉を鳴らして、翡翠の瞳で私を誘惑するだけ。

 どうしてなの?


112:2009/11/15(日) 01:35:12.91 ID:
やめてー><
113:2009/11/15(日) 01:36:53.04 ID:
そんなに醜い私に、触られるのが嫌なの?

 美しいことがそんなに偉いの? 生まれ付いて醜い私はそこまで落ちぶれているの?

 憎たらしい、憎たらしい。

 どうして、どうして。

 嗚呼、憎い猫、猫、猫、猫猫猫、見渡す限りの黒猫。


 認めてくれないなら、蔑むのなら。


 殺してやる。


115:2009/11/15(日) 01:40:08.09 ID:
(   )【私はガラスにヒビが入ることも厭わずに】

(   )【立ち上がると手当たり次第に猫を捕まえて】



 く     びり        こ ろし       て       。



(   )【あああ、私はそれが嬉しくてたまらなかった!】

(   )【猫が! 綺麗な猫が! ごみくずのように崩れるのが嬉しくて!】

(   )【醜い自分を蔑んでいたものたちが、豚の鳴くような呻き声をあげて!】

(   )【死んでいった! 息をしなくなった! ざまあみろ、ざまあみろ!】


116:2009/11/15(日) 01:42:06.76 ID:
ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
 ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
 ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
 ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
 ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
 ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
 ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
 ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
 ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
 ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
 ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
 ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
 ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
 ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
 ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
 ざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろざまあみろ
118:2009/11/15(日) 01:44:53.35 ID:
うわぁぁぁ
119:2009/11/15(日) 01:44:56.20 ID:
oh...
120:2009/11/15(日) 01:45:41.64 ID:
(   )【うぅう、うわああ、あああ……なんて、なんてことを!】

(   )【ずっと忘れていたんです。ずっと忘れて、無かったことにしてた】

(   )【私は卑怯な女、醜い怪物、悪魔……!】

(   )【あんなに、あんなに殺してしまうなんて、酷い、酷い……】


爪'ー`)


(   )【う、うぅ、うぅ……】

(   )【私には、もう誰かを愛することなんてできない】

(   )【その資格が無いんです……】


121:2009/11/15(日) 01:46:40.98 ID:
それでも夢だと…!!
122:2009/11/15(日) 01:48:35.80 ID:
爪'ー`)「090……」


(   )【私が、私がここにいる理由がやっと思い出せた】

(   )【全部、罰だったんですね】

(   )【罪を清算するために、ここに閉じ込められたんだった……】


爪'ー`)


(   )【電話をかけなかったことは、ごめんなさい】

(   )【でも、もうかけられない】

(   )【かけたくても、かけれないんです】


124:2009/11/15(日) 01:51:13.94 ID:
ブヂュッ


(   )【う、うぅ゛、もう゛、もうかけられない】


爪'ー`)

爪'ー`)「指を」

爪'ー`)「指を噛んでいるのかい?」


(   )

(   )【今日は】

(   )【今日だけは、痛くても】

(   )【我慢して、ボタンが押せました】


126:2009/11/15(日) 01:54:31.50 ID:
(   )【でも、もう】

(   )【腐って、膿んだ指じゃ、電話をかけられない】


爪'ー`)


(   )【ごめんなさい、ごめんなさい】

(   )【私は】

(   )【あなたに愛してもらえない……】

(   )【今日は、それを伝えたくて、電話を】

(   )


128:2009/11/15(日) 01:55:45.21 ID:
支援
129:2009/11/15(日) 01:57:06.35 ID:
爪'ー`)


(   )【忘れて下さい】

(   )【私の事なんて、全部ぜんぶ】

(   )【あなたにも、もう時間が無いんでしょう?】

(   )【私なんかのために、最後の時間を浪費しないで】

(   )【私はこのままでいいんです】

(   )

(   )【このまま一人ぼっちで死んでいきます】


爪'ー`)

爪'ー`)「そんな」

爪'ー`)「そんなこと、言わないでくれよ」


130:2009/11/15(日) 02:00:08.64 ID:
爪'ー`)「なら君は俺にも一人ぼっちで死ねと言うのかい?」


(   )


爪'ー`)「返事をしておくれ、090」

爪'ー`)「君は確かに、恐ろしいことをしてしまったかもしれない」

爪'ー`)「でも」

爪'ー`)「言ったろう。君はここに罰を受けにきたんだ」

爪'ー`)「罪を認めて、受け入れたんだ」


(   )


131:2009/11/15(日) 02:02:29.43 ID:
爪'ー`)「無くなったものはもう帰ってこない」

爪'ー`)「それなら」

爪'ー`)「与えられた罰を、潔く受けるなら」

爪'ー`)「もうそれでいいじゃないか」

爪'ー`)「これ以上に、君が苦しめられる必要なんてないよ」

爪'ー`)「だから」

爪'ー`)

爪'ー`)「最後のほんの少しの時間を、安らかな気持ちで過ごしたいと思う」

爪'ー`)「それはヒトとして当たり前の感情だ」

爪'ー`)「それは罪深いことなのか?」


132:2009/11/15(日) 02:05:16.75 ID:
(   )

(   )【ええ、罪深い】


 ブチッ……ブチチッ……ブヂッ


(   )【私には、死を与えられるその日まで、安らぐことは許されてはいけない】

(   )【人を好きになるなんて、幸福な気持ちは持ってはいけない】

(   )【だから寂しく、一人で】

(   )

(   )【もう、これで終わりにしてください】


134:2009/11/15(日) 02:08:52.58 ID:
(   )【電話を切って】

(   )【私は、もうボタンを押せないから】


爪'ー`)


(   )【あなたが終わらせて、090】


爪'ー`)

爪'ー`)「俺は」

爪'ー`)

爪'ー`)「僕は婚約者を殺して、ここに来た」


(   )


爪'ー`)「聞いて欲しいんだ」

爪'ー`)


135:2009/11/15(日) 02:11:10.93 ID:
美しい人だった。


 細く華奢な見た目だったが、たっぷりと流れる黒髪が綺麗だった。

 いつも花の香りがする女性で、僕の自慢の婚約者だったんだ。

 ただ、頑固なところもあって。

 最初は些細な口論で、次第に二人とも見境がつかなくなったんだ。

 僕は彼女を愛していたし、彼女も僕を愛していたと思う。

 でも、喧嘩はどんどん過激になって。

 ある日、彼女を軽く突き飛ばしたつもりが。


 がつん、と。


136:2009/11/15(日) 02:11:28.34 ID:
あぁ、あるある
138:2009/11/15(日) 02:12:37.49 ID:
>>136
保守してないで自首しろ
139:2009/11/15(日) 02:13:47.01 ID:
打ちどころが悪かった。

 彼女はクローゼットの角に頭をぶつけて、もう二度と目を覚まさなかった。

 僕は、僕は恐れた。

 そしてあろうことか、彼女の亡骸を隠そうとした。

 酷い行いだった。

 僕は、彼女の死と罪を受け入れるよりもまず、

 保身に走ったんだ。

 とても口で言えないような方法で、彼女の亡骸を処理しようとしていたら。


 呆気なく、彼女の家族にバレた。


141:2009/11/15(日) 02:17:45.14 ID:
僕はどうかしていた。

 その時、彼女の両親に何と謝ろうかと考える前に、

 彼らを殺すことしか思い付かなかった。

 父になるはずだった人を殴り倒し、

 母になるはずだった人を絞め殺していた。

 
 いろんな理由があったんだろう。

 彼女たちを殺して三日もせずに、警察が僕の家を訪ねてきた。

 後は、もう全てが明らかになっていくだけだった。

143:2009/11/15(日) 02:20:07.55 ID:
爪'ー`)「婚約者の死因は事故だと認められた」

爪'ー`)「でも死体の処理と両親を殺したことは、どうあっても許されなかった」

爪'ー`)「そして僕はここに入れられた」

爪'ー`)「君と同じ、死を待っている」

爪'ー`)「償いを待っているんだ」


(   )


爪'ー`)「僕は愛した人を殺してここに来たけど」

爪'ー`)「今だって彼女を愛している」

爪'ー`)「そして、彼女と同じように君のことも愛している」


144:2009/11/15(日) 02:22:31.36 ID:
(   )

(   )【ひどいですね】

(   )【それじゃ、二股じゃないですか】


爪'ー`)「そうだね」

爪'ー`)

爪'ー`)「でも、それが正直な気持ちなんだ」

爪'ー`)「君のことが好きなんだ」

爪'ー`)「だから、君のことを想って死んでいきたい」


145:2009/11/15(日) 02:25:09.37 ID:
(   )


爪'ー`)「もう一度聞きたいんだ」

爪'ー`)「君は、僕のことが嫌いかい?」


(   )

(   )【その聞き方は……卑怯、です】

(   )【嫌いなわけ、ない……じゃ、ないですか】

(   )【こんなに、こんなにあなたのことが好きなのに】


147:2009/11/15(日) 02:27:28.61 ID:
爪'ー`)「僕もだよ」

爪'ー`)「だから、たくさん殺してきたことを受け入れよう」

爪'ー`)「僕も、愛した人を殺したことを受け入れる」


爪'ー`)「君と一緒に、罪を償いたいんだ」


(   )

(   )【私の罪は、償えるの?】

(   )【たくさんの命を、私一人の、死で】

(   )【未練がましく、愛情にしがみつく、私なんかの死で】


149:2009/11/15(日) 02:30:28.07 ID:
爪'ー`)

爪'ー`)「足りないかもしれない」


(   )


爪'ー`)「でもこれ以上に幸せで、辛い死に方もないだろう?」

爪'ー`)「誰かを愛して、その人と添い遂げられないまま死ぬなんて」


(   )

(   )【グスッ……グスッ……】

(   )【そうですね】


150:2009/11/15(日) 02:33:14.30 ID:
(   )【あなたと知り合えたことは幸福だけど】

(   )【あなたに会うこともないまま死ぬのは不幸ですね】


爪'ー`)「うん、だから」

爪'ー`)「僕たちのような罪人は、これでいい」

爪'ー`)「愛して、苦しんで、死んでいく」

爪'ー`)「それが、唯一無二の償いなんだ」


(   )


爪'ー`)


153:2009/11/15(日) 02:35:38.26 ID:
(   )【グスッ……グスッ……】

(   )【会いたい】

(   )【あなたに会いたい】

(   )【死ぬ前に一度だけでいい】

(   )【会いたい、会いたいです】


爪'ー`)

爪'ー`)「僕も会いたいよ」

爪'ー`)「電話じゃなくて。直接君に会いたい」


154:2009/11/15(日) 02:38:16.11 ID:
(   )【090……090、私は、私は】



 プツッ



爪'ー`)

爪'ー`)「090……?」


【バッテリーが切れました。充電し直してください】


爪'ー`)

爪'ー`)「090……君は」

爪'ー`)「…………」


155:2009/11/15(日) 02:40:09.25 ID:
あああああああ
158:2009/11/15(日) 02:47:24.47 ID:
* * *


爪'ー`)


( ゚д゚ )

( ゚д゚ )「いいのか?」


爪'ー`)「ああ」


( ゚д゚ )「今日なんだぞ」

( ゚д゚ )「もう最後の日なんだ」

( ゚д゚ )「未練があるだろう、例え仮初の恋人だとしても」


162:2009/11/15(日) 03:00:13.60 ID:
( ゚д゚ )

( ゚д゚ )「電話をかけてやらないのか?」


爪'ー`)

爪'ー`)「いいんだよ」

爪'ー`)「俺たちはいくら電話をかけあっても、これ以上の距離は縮まらないんだ」

爪'ー`)「もう一センチも」

爪'ー`)「一ミリもね」


( ゚д゚ )


163:2009/11/15(日) 03:01:05.56 ID:
こ、こっちみてる
164:2009/11/15(日) 03:02:12.55 ID:
こっちミルナァ!!
165:2009/11/15(日) 03:02:42.11 ID:
爪'ー`)「今日は優しいじゃないか、旦那」

爪'ー`)「どういう風の吹き回しなんだい」


( ゚д゚ )「別に」

( ゚д゚ )

( ゚д゚ )「手紙も残さんのか?」


爪'ー`)「読む相手がいないよ」


( ゚д゚ )「望むならば彼女に届けてやってもいい」


166:2009/11/15(日) 03:05:33.28 ID:
爪'ー`)

爪'ー`)「本当に今日は優しいねえ」

爪'ー`)「でも、いいんだ」

爪'ー`)「死んだ奴の手紙なんか受け取っても嬉しくないに決まっている」

爪'ー`)「貰った相手は、ただ泣くしかないじゃないか」


( ゚д゚ )

( ゚д゚ )「本当に、いいのか」


爪'ー`)

爪'ー`)「ありがとう、旦那」



167:2009/11/15(日) 03:07:32.94 ID:
爪'ー`)「いいんだ。それに約束したから」


( ゚д゚ )「彼女とか?」

( ゚д゚ )

( ゚д゚ )「何と?」


爪'ー`)「必ず会える、って」


( ゚д゚ )

( ゚д゚ )「そうか」

( ゚д゚ )「約束を、守れるといいな」


168:2009/11/15(日) 03:07:47.86 ID:
なんなんだ
170:2009/11/15(日) 03:10:04.88 ID:
( ^Д^)



( ^Д^)「…………」

( ^Д^)「時間です。あとは我々が引き継ぎます」


( ゚д゚ )「はい、お願いします」


( ^Д^)「はい」


爪'ー`)


171:2009/11/15(日) 03:11:41.57 ID:
新キャラ現る
172:2009/11/15(日) 03:13:06.38 ID:
( ^Д^)「立て、囚人番号090206、フォックス」


爪'ー`)「あぁ、はい」


( ^Д^)「今からお前を絞首刑場まで連れていく」

( ^Д^)「牢を出たら両手を壁に突け。手錠をかける」


爪'ー`)


 ガチャ、ガチャ……


173:2009/11/15(日) 03:14:55.19 ID:
なん…だと…?
174:2009/11/15(日) 03:15:23.15 ID:
(´;ω;`)
175:2009/11/15(日) 03:15:33.21 ID:
( ^Д^)「前の者に続いて歩け。後ろには私がいる」


爪'ー`)「はいはい、今さら逃げませんよ」


( ゚д゚ )


爪'ー`)

爪'ー`)「じゃあな、旦那」


( ゚д゚ )

( ゚д゚ )「ああ」


176:2009/11/15(日) 03:18:07.67 ID:
* * *


 この国には法律がある。


 法律がある以上、それを破る人間もいるわけで。

 つまり犯罪者だ。
 犯罪者は刑務所に入らなければならない。もっと酷ければ死刑になる。
 俺は死刑になる人間だ。死んで当然の罪を犯したから。

 でもこの刑務所はお優しいことに、死んで当然の屑にも温情を与えようとしてくれる。


 それが携帯電話だ。


177:2009/11/15(日) 03:20:40.94 ID:
ある決まった番号にしか、かけられないように細工された携帯電話。
 それを渡されて、一日の決まった時間にだけ電話をかけることを許される。
 田舎のお袋の声が恋しくなっても無理だ。外の番号にはかけられない。

 生涯を終える冷たい牢獄で、俺達が話すことを許された相手。

 同じ犯罪者だ。

 俺の相手にあてがわれたのは、同じ人殺しの女だった。
 とても綺麗な声で喋る人だったんだ。いつも、彼女と話すことだけが楽しみだった。
 偽善で与えてられた温情で、俺は彼女と出会えた。

 それで幸せだった。

 もう、何もいらないはずだった。


179:2009/11/15(日) 03:22:37.06 ID:
爪'ー`)



 でも、いざ死ぬ時になると、最後に一目だけでも会いたかったなあなんて思ってしまう。





183:2009/11/15(日) 03:27:16.34 ID:
( ^Д^)「どうした、歩け」


爪'ー`)

爪'ー`)「あぁ、すいませんね……」


 看守に尻を警棒で突かれながら、自分の墓場まで急かされる。
 そんな時だよ。いっつも牢屋で俯いて暮らしていたんだ。
 最後にぐるっと首を回して、すっきりしようと思ったらさ。



                川;д川



 通り過ぎた牢の中で、女を見た。


186:2009/11/15(日) 03:30:15.50 ID:
鳥肌たった
支援
187:2009/11/15(日) 03:30:45.32 ID:
随分と顔を泣き腫らして、元がどうかは分からないが酷く不細工な顔をしていた。
 俺が看守と前を通り過ぎる間も、すんすんとしきりに鼻をすすっている。
 よっぽど悲しいことがあったんだろうなあ、なんて何の気なしに思っていたんだ。


 そしたら彼女、どうやら指を怪我してるらしくて。


 潰れた両の指で、床に転がってる携帯電話を愛おしそうに。
 何度も何度も、突いている。


188:2009/11/15(日) 03:30:53.31 ID:
貞子きたぁ
190:2009/11/15(日) 03:33:56.68 ID:
爪'ー`)



 そんな怪我した指で、携帯なんて触っていたらそりゃあ痛いだろうに。
 泣きたくもなるだろうに。
 なんて思ってたら、なんだか俺も泣きたくなって。




191:2009/11/15(日) 03:37:11.26 ID:
悲しくなって。


 嬉しくなって。


 こんな最後に、こんな出会いに。


 文句の一つもつけたくなった。




192:2009/11/15(日) 03:39:55.13 ID:
( ^Д^)「どうかしたか」


爪'ー`)

爪'ー`)「いいや」

爪'ー`)「何でもない」

爪'ー`)「何でもなかったのさ」


爪'ー`)「ただ約束を思い出しただけだよ」


194:2009/11/15(日) 03:42:41.38 ID:
川д川「…………」

川-川

川д川「もし……もし……」




196:2009/11/15(日) 03:46:05.85 ID:
牢屋の泣き声が、止んだ気がする。

 それは、可愛い女の子をからかうことより嬉しいことだ。





199:2009/11/15(日) 03:49:35.63 ID:
爪'ー`)アイラビュー、ナンバー090のようです川д川



おわり



200:2009/11/15(日) 03:52:25.53 ID:
泣いた
202:2009/11/15(日) 03:52:37.89 ID:
>>1

203:2009/11/15(日) 03:54:29.49 ID:
最後に、このお話はフィクションです。

090は日本国内における、携帯電話番号に割り振られた最初の3桁の数字であり。
1999年の電話番号計画に基づいて、すべての携帯電話の電話番号に使用されてきました。

今回のお話で、特に舞台設定を日本としているわけではなく。
つまるところ、登場した090という3桁の携帯番号は架空のものとさせていただきます。


ここまで支援・ROMしていただき、ありがとうございました


208:2009/11/15(日) 04:15:45.94 ID:
「まあ死刑囚か実験台的設定だろう」と察しやすくして気になりすぎないようにしつつも、直接は触れず、電話のやりとりに集中させる匙加減とその描写力に感服乙
225:2009/11/15(日) 11:24:01.90 ID:
乙ー。おもしろかった
あなたの書く短編は切なくて好きだ
210:2009/11/15(日) 06:14:08.30 ID:
イイハナシダナー( ;∀;)


せつねええええでも優しいような残酷なようなあああああ!
駄目だ俺にはこの感動を言語化出来ねえええええええ!乙ぅぅぅぅぅ!!
227:2009/11/15(日) 11:33:30.38 ID:
乙!泣いた
209:2009/11/15(日) 04:51:01.82 ID:
ラストでタイトルに繋がる感じになってシビれた
良作に精一杯の乙を
元スレ: