1:2007/06/17(日) 02:55:16.68 ID:
~2014年5月3日(憲法記念日)~

どこまでも広がる田園風景。その真ん中を貫くように伸びる線路。
窓から入り込む風は、春の独特の緑の匂いがした。

「まもなく、VIP。終点VIP駅に到着いたします。お忘れ物の無いようにお気をつけ下さい」

終点到着のアナウンスと共に各駅停車は少しづつスピードを緩め、定位置に停車する。

停車した電車の昇降口から一歩踏み出すとジャリという音が足の裏から聞こえる。
不意に吹いた春風に前髪撫でられ、うつむき加減の顔を上げると昔と同じ姿で出迎える駅舎が見えた。

('A`)「ふう、相変わらずのどかだなぁ」

まるで昔にタイムスリップしたかのような、錯覚を覚えつつドクオは改札をくぐる。
錆びた画鋲の刺さった掲示板。ところどころペンキのはげた駅舎の柱。他愛も無い落書きのされた待合室の伝言板。

('A`)「なにも変わってないな」

駅舎を抜け、申し訳程度に設けられた駅前のロータリーに出ると、
相変わらず暇そうに商売道具に腰を預け、食後のタバコを吹かしながら雑談するタクシーの運転手達が居た。

なんとなくドクオが腕時計を見ると時刻は午後の一時を回ろうとしていた。

('A`)「そうか、この時間じゃ当たり前か」

そんな事を呟くと背中のバッグを背負いなおしドクオは歩き出す。

ドクオの成人式以来5年ぶりの帰郷はそんな風景から始まった。

2:2007/06/17(日) 02:57:59.48 ID:
事の発端は一月前の週末、一本の電話だった。

('A`)「…もしもし」

( ^ω^)「お?ドクオかお?」

旧友の内藤からの電話。会うことは少なくとも月に2.3回は電話を掛けてくる。

('A`)「俺の携帯に掛けて俺以外が出ることがあるのか?」

( ^ω^)「それもそうだお。ドクオに彼女が出来るなんて事はあるはずなかったお」

('A`)「…いい度胸だ。次に会うときがお前の命日になる。遺書の準備をしておけ」

( ^ω^)「次に会うときはめでたい席になるから、それは勘弁していただきたいお」

('A`)「…どういう意味だ?」

ドクオの問いかけに内藤は少し間を置き答える。

(*^ω^)「…実はツンと結婚することになったお」

内藤の発言にドクオは少なからず驚く。

('A`)「そうか、やっと決心したか」

( ^ω^)「それで来月の四日に結婚式代わりに、仲のいい友達だけで小さなパーティをするから、出席してほしいお」

('A`)「…もっと大々的にやれよ。約8年越しだろ?」
3:2007/06/17(日) 02:58:55.09 ID:
( ^ω^)「ツンが恥ずかしいから嫌だって言うから仕方ないお」

('A`)「まぁ、あの性格じゃな。それに旦那がお前じゃ、俺なら紙切れ一枚出して済ませたいところだ」

( ^ω^)「嫉妬カコワルイお」

('A`)「はいはい、わかったよ。なら休暇取って三日にはそっちに帰るから、駅まで迎えに来いよ」

( ^ω^)「お安い御用だお。何時ごろ着きそうだお?」

('A`)「昼過ぎにはそっちに着くだろうよ」

( ^ω^)「把握したお」

('A`)「じゃあ、もう切るぞ」

( ^ω^)「ばいぶー」

ドクオは電話を切ろうとして慌てて思いとどまる。

('A`)「あ、そーだ」

( ^ω^)「お?」

ドクオは少し間をおき、一つだけいい忘れた言葉を口にする。

('A`)「結婚おめでとう。よかったな」

( ^ω^)「ありがとうだお」
4:2007/06/17(日) 03:00:10.09 ID:
支援
5:2007/06/17(日) 03:01:53.15 ID:
春にしては少し暑いくらいの陽気の中、歩くこと五分。駅から一番近いコンビニに入る。
程よく冷えたエアコンの風がうっすらと汗をかいた体に心地よく吹き付ける。
ドクオは雑誌コーナーで立ち読みを開始する。
今では殆ど知らない連載の中、知っている連載を流し読みしていたドクオの肩を誰かが叩いた。

( ^ω^)「おまたせだお」

('A`)「よう、久しぶり」

内藤と合流を果たしたドクオはレジでタバコを買いコンビニを出た。
駐車スペースでアイドリング中の内藤の車に目を向けると、助手席と後部座席に見知った顔が二つ。

ξ゚⊿゚)ξ「よっ、久しぶり」

川 ゚ -゚)「元気そうだな」

ツンとクー、同じ思い出を共有する大切な仲間たちがドクオを出迎えた。

('A`)「なんだよ、今日はVIP高映画研究部の同窓会か?」

ドクオは皮肉を漏らしながら後部座席に乗り込む。

川 ゚ -゚)「いつも同窓会に顔を出さないくせに何を言ってるんだ」

ξ゚⊿゚)ξ「そーよ、あんた盆と年末くらいはこっち帰ってきなさいよ」

( ^ω^)「おばさんも心配してるお。電話くらいしたらどうだお?」

ドクオの皮肉に地元組の非難が集中する。
7:2007/06/17(日) 03:03:06.52 ID:
('A`)「あー、分かった分かった、三人してしゃべるな。暑苦しい」

相手にするのも面倒だと言わんばかりに、強引に話を打ち切る。

('A`)「で?何でまた全員集合してんだよ?」

内藤には迎えに来いと言ったが、全員で出迎えろと言った覚えは無い。そんな意味を込めてドクオは内藤に質問する。

( ^ω^)「ちょっと、探し物をするためだお」

内藤はドクオの質問に答えながら車を発進させる。

ξ゚⊿゚)ξ「物探しは人手が必要だからね」

('A`)「何を探すんだよ」

川 ゚ -゚)「『木漏れ日の詩』。私たちが三年の時、撮ったやつだ」

('A`)「あー、あれか。何に使うんだよ」

( ^ω^)「明日、上演するんだお」

内藤の答えにドクオが動揺する。

Σ('A`;)「な、なんでそうなる?!」

ξ゚⊿゚)ξ「私が見たいから」

ドクオの言葉に今度はツンが反論する。
8:2007/06/17(日) 03:04:42.79 ID:
('A`;)「だからなんで『木漏れ日の詩』なんだよ!お前らの結婚式なんだからお前ら主演のヤツ使えよ。
    二年の夏に撮った『砂浜のメモリーズ』があるだろ?」

(;^ω^)「僕もそう言ったんだお。だけどツンが…」

ξ゚⊿゚)ξ「やーよ、あれ失恋の話じゃない。結婚式に縁起悪い」

川 ゚ -゚)「それにあれはギコ先輩の作品だからな。内藤の結婚式なら内藤の監督したやつの方がいいだろう」

女性陣二人の意見にドクオは言葉に詰まる。

('A`;)「だからって、主演の俺に一言も言わずに決めるのはどうかと…」

ξ゚⊿゚)ξ「あら、もう一人の主演と監督は快く承諾したわよ?」

川 ゚ -゚)「うむ」

('A`;)「ちょ、クー!何、承諾してんだよ!」

川 ゚ -゚)「いいじゃないか。女の子にとって結婚式は一生に一度の事だ。好きにやれば」

ドクオの抗議に対し、クーはさらっと流すように答える。

('A`;)「おい、ブーン!てめぇは何で承諾してんだよ!」

(;^ω^)「し、仕方ないんだお。ツンのお願いは絶対なんだお」

ξ゚ー゚)ξ「ふふーん。そういうことよ」
10:2007/06/17(日) 03:07:34.58 ID:
内藤の言葉にツンは得意そうに微笑む。まるでイタズラが成功したいたずらっ子のようだ。

('A`)「やれやれ、もう尻に敷かれてんのか?お前の行く末はもう見えたな、ブーン」

決定が覆せないと悟ったドクオはせめてもの仕返しとばかりに内藤に皮肉を吐いた。

(;^ω^)「そ、そんなことないお!僕は亭主関白になるんだお」

('A`)「その程度のお願いを断れないようじゃ、無理だな」

川 ゚ -゚)「うむ、絶対無理だな」

内藤の関白宣言にドクオとクーは脊髄反射で否定する。

(;^ω^)「ふ、二人ともツンのお願いの仕方を知らないから、そんな事が言えるんだお」

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょ」

内藤の言葉に今度はツンが反応する。

(*^ω^)「目を潤ませて、上目遣いで『おねがい』なんて言われt…」
11:2007/06/17(日) 03:08:15.94 ID:
その瞬間ドクオの目の前を閃光が横切った。

( ゚ω(#)「ひでぶっ!」

ξ//⊿//)ξ「何を口走ってんのよ!!!」

川 ゚ -゚)「見事な右ストレートだな」

('A`;)「冷静に言ってる場合か!ツン、運転中に何してんだよ!」

殴られた内藤の心配より事故の心配をするドクオに、クーが冷静に解説をする。

川 ゚ -゚)「いつもの事だ。心配するな」

('A`)「へ?」

クーの言葉通り車は蛇行することなく、きちんと走ってる。

(;^ω^)「今日のはいつもより痛いお」

ξ゚⊿゚)ξ「当たり前でしょ、グーで殴ったんだから」

そして二人は何事もなかったように会話している。
12:2007/06/17(日) 03:09:05.51 ID:
('A`)「うぇ、とんだバカップルだな」

川 ゚ -゚)「毎度付き合わされる身にもなってみろ」

('A`)「この5年帰ってこなくて正解だったわ」

川 ゚ -゚)「お陰で私の苦労は2倍だがな」

('A`)「そいつは悪かったな。…おい、ツン。この車禁煙じゃねーよな?」

ξ゚⊿゚)ξ「窓さえ開けてくれればね。ブーンも吸うし」

('A`)「そいつぁ、助かる」

ドクオは窓を5㎝程開けてタバコに火を着けた。

(;^ω^)「この車は僕のなのに、なんでドクオはツンに聞くんだお?」

('A`)「だまれ、尻に敷かれマン」

(;^ω^)「それなんてテイルズ?」

そんな他愛も無い会話を続けているうちに車は、私立VIP高等学校と書かれた門をくぐり敷地内に入っていった。
13:2007/06/17(日) 03:11:52.54 ID:
職員用昇降口から入り事務所受付にいた事務員に用件を告げると、すぐに内線で目的の人物を呼び出してくれた。

/ ,' 3「やあ、みんなご無沙汰だな。元気にしていたかね?」

来客用のスリッパに履き替え昇降口で待つこと5分。目的の人物は昔と変わらぬ佇まいでやってきた。

( ^ω^)「荒巻先生、おいすー」

ξ゚⊿゚)ξ「あんたは25にもなって、挨拶もまともに出来ないの?…荒巻先生、ご無沙汰してます」

('A`)「荒巻先生、お久しぶりです」

川 ゚ -゚)「荒巻先生もお元気そうで何よりです」

(;^ω^)「なんか、僕だけ馬鹿みたいだお」

ξ゚⊿゚)ξ「馬鹿みたいじゃなくて、馬鹿そのものよ」
14:2007/06/17(日) 03:13:55.30 ID:
/ ,' 3「みんな元気にしていたようだね。変わりがなくてうれしいよ」

高校時代から変わらないやり取りを見て荒巻は、笑みをこぼす。

ξ゚⊿゚)ξ「それで早速なんですけど、昨日連絡していた件なんですが…」

/ ,' 3「わかっておるよ。ホレ」

荒巻はポケットから二つのカギを取り出す。

/ ,' 3「視聴覚室と映研の部室の鍵。視聴覚室の使用許可も取ってある。
    機材は変わっとらんから使い方は分かるな?今日は映研の部活動は休みだから好きに使うといい」

ξ゚⊿゚)ξ「荒巻先生、お手数かけます」

/ ,' 3「可愛い教え子の頼みだ、大したことではないよ。私は職員室にいるから、終わったら鍵を持って来ておくれ」

( ^ω^)「わかりましたお」
15:2007/06/17(日) 03:16:19.77 ID:
荒巻は「それじゃ、また後でな」と声を掛け職員室に戻ろうとして、思い出したように立ち止まる。

/ ,' 3「ああ、そうだ。一つ忘れていたよ。内藤君、玲川君」

( ^ω^)「お?」

ξ゚⊿゚)ξ「はい?」

荒巻は内藤とツンに声を掛けると上着の内ポケットから祝儀袋を取り出す。
そこには国語教師らしく、見事な楷書体で【御結婚御祝】と書かれていた。

/ ,' 3「本来は挙式の一週間前までに渡すのが作法なのだが…。ご結婚おめでとう」

(*^ω^)「ありがとうございますお」

ξ////)ξ「……ぁ、ぁ」

( ^ω^)「ツン、こういう事はちゃんとお礼言わなきゃ駄目だお」

ξ////)ξ「わ、わかってるわよ!…あ、ありがとうございます」

/ ,' 3「ほっほっほ。ではお幸せにな」

そういい残して荒巻は職員室に戻っていった。
16:2007/06/17(日) 03:16:57.60 ID:
支援
18:2007/06/17(日) 03:18:37.87 ID:
卒業以来7年ぶりに足を踏み入れた校舎を歩き、4人は映画研究部の扉の前に立つ。
荒巻から預かった鍵で開錠し扉を開けると、そこには懐かしい光景が広がっていた。

ξ゚⊿゚)ξ「うわー、懐かしいね」

普通教室の半分程度の広さの部室。隅に置かれた大型テレビにダビング用のDVDレコーダーとビデオデッキ。
真ん中には長机が置かれ、壁際に置かれた大きな本棚には、歴代の先輩たちの残した作品と台本が整然と収められている。

('A`)「いつの時代も高校生は似たようなもんだな」

雑誌や台本が乱雑に置かれ、開きっぱなしのノートパソコンの脇に、捨て忘れた空き缶の放置された机を見ながらドクオは苦笑する。
その目に映る光景は正に7年前の光景と変わりはしなかった。

ξ゚⊿゚)ξ「ねー、みんな。こっち来て」

不意にツンが窓際で手招きをする。

('A`)「なんだよ?なんかあったか?」

( ^ω^)「お?まだ、これ残ってたのかお?」

川 ゚ -゚)「懐かしいな」

三人の視線の先、ツンの指差した場所。

窓のすぐ下の位置に懐かしいものを発見する。
20:2007/06/17(日) 03:20:11.36 ID:

21:2007/06/17(日) 03:22:59.90 ID:
油性ペンで書かれた落書き。
7年という年月に少し色あせてはいたが、それはしっかりとそこに存在していた。

まるで、4人がここに帰ってきた時に『おかえり』を言うために存在しているかのように。

( ^ω^)「もう、とっくに消されてると思ってたお」

('A`)「まったくだ」

後輩たちが掃除をサボった結果なのか、それとも顔も見たことのない先輩たちに敬意を払った結果なのかは定かでは無い。
それでも、自分達が確かにそこにいた証が残っている事がなんだか誇らしく思えた。

川 ゚ -゚)「さて、感傷に浸るのもいいが、そろそろ目的の物を探そうか?」

ξ゚⊿゚)ξ「そうね、急がないと日が暮れちゃう」

クーの言葉を合図に4人は目的の物の捜索に取り掛かった。
22:2007/06/17(日) 03:25:19.96 ID:
捜索はあっさりと済み、すぐに目的のDVD-Rを発見する。
4人が在籍していた頃と違い、きちんと年代ごとに仕分して本棚にしまってある上に
ご丁寧にタイトルの書かれたラベルまで貼ってあれば、猿でも見つけられるだろう。

目的の物を発見し、ディスクのコピーをドクオと内藤に任せるとクーとツンは「飲み物買ってくる」と言い残し部室を出て行った。

残された二人は窓を開けると、長机に放置されていた空き缶を灰皿代わりにタバコに火を点ける。

('A`)「なぁ、俺らこれにラベルなんか貼ったっけ?」

発見した『木漏れ日の詩』をビデオにダビングしながらドクオはケースを眺める。

ケースには女の子が書いたと思われる可愛らしい字で
【2007年・春製作『木漏れ日の詩』(VIP市主催・映像コンクール(高校生の部)優秀賞受賞作品)】
と書かれたラベルが貼ってある。
26:2007/06/17(日) 03:26:58.53 ID:
( ^ω^)「それ、1っこ下のしぃちゃんがやったんだお」

('A`)「あのチビスケが?」

( ^ω^)「そうだお。ほら、あそこを見るお」

ブーンが指差した先には、日に焼けて少し茶色くなった紙が貼られていた。そこにはでかでかとこう書かれていた。

『整理整頓!出来ない子はお仕置きしちゃうぞ!  第14期部長 猫野 栞』

('A`)「ギコ先輩ならまだしも、あのチビスケがお仕置きねぇ。…怖くねぇなwww」

( ^ω^)「それが、そうでもないお」

('A`)「そりゃ、どういうことだ?」

( ^ω^)「ああみえて、しぃちゃんは掃除とか整理整頓の事になると人が変わるんだお」

⊿゚)ξ「なんで、そんな事をブーンが知ってるのかしら?」

Σ('A`;)「…?!」
28:2007/06/17(日) 03:28:48.46 ID:
学生時代に戻りたい支援
29:2007/06/17(日) 03:29:30.58 ID:
( ^ω^)「それは、僕は引退した後もちょくちょく部室に顔を出して、しぃちゃんの部室掃除を手伝ってたからだお」

-゚)「ほう、ツンはそれを知ってったか?」

⊿゚)ξ「いいえ、初耳ね」

(*^ω^)「そりゃ、当たり前だお。放課後の部室で二人っきりで掃除してたなんて、ツンにばれたら殺されるお」

('∀`)「あのチビスケ、確かギコ先輩と付き合ってたよな?」

ドクオはあることに気づきながらも、あえて話を続ける。

(*^ω^)「だから『ギコせんぱいに誤解されても困るし、ブーンせんぱいにも迷惑だからいいです』ってよく言ってたお」

('∀`)「それでも、お前は手伝ってたわけだ?」

(*^ω^)「そうだお。その時の申し訳なさそうな顔がか可愛かったから、全部終わるまで付き合ったお」

内藤は何も気づく事無く、自慢げに話を続ける。

('∀`)「確かにしぃは可愛かったな」
30:2007/06/17(日) 03:30:54.13 ID:
ー゚)ξ「まぁ、あの子は可愛いわよね?私達の自慢の妹分だもの」

-゚)「そうだな」

(*^ω^)「まったくだお!ツンもあの可愛さは見習うべきだ…ぉ……?」

('∀`)「…気がついたようだな?(ニヤニヤ)」

内藤が恐る恐る後ろを振り替えるとそこには…

Σ(゚ω゚ )「フォーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

ξ#゚ー゚)ξ「…」

ジュースを持った鬼が笑顔で仁王立ちしていた。

ξ#゚ー゚)ξ「…覚悟はできてるかしら?」

(((゚ω゚;)))「ツンさん、これには深いわけが…」

ξ#゚⊿゚)ξ「問答無用!!!色欲撃滅!!!」

(゚ω゚;)「おーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
31:2007/06/17(日) 03:33:15.01 ID:




━━━━━m( __ __ )m【不適切なシーンの為、お見せできません。クーとドクオの会話からご想像ください】m( __ __ )m━━━━━





川 ゚ -゚)「休みの日って保健の先生いたか?」

('A`;)「まぁ、運動部は部活してるみたいだし、いると思うけど。保健室じゃ無理じゃないか?」

川 ゚ -゚)「安心しろ。まだ、日常の範囲内だ」

('A`)「馬乗りで右フックと裏拳の往復ビンタが?」

川 ゚ -゚)「レア物の部類だが月に一度くらいは見ることが出来る」

('A`)「そうか。なら俺は、モップと水入れたバケツ持ってくるわ」

川 ゚ -゚)「そうだな。部室に赤い水たまりがあったら後輩達は驚くしな」

('A`)「じゃあ、日常の範囲を超えそうだったら止めといてくれ」

川 ゚ -゚)「把握した」
34:2007/06/17(日) 03:34:18.76 ID:
ジュース吹いた支援
35:2007/06/17(日) 03:35:29.83 ID:
ダビングと散らかした部室の掃除を終えた4人は、部室を出る。
そして『木漏れ日の詩』を試写するべく今度は視聴覚室へ向かう。
もっとも数年前に完成した作品に手直しする気などなく、試写なんてただの建前。
自分たちで残したものを、もう一度この4人で見たかっただけなのかもしれない。

視聴覚室は普段からあまり使用される機会の少ない教室なだけに、扉を開けると光が反射してキラキラ光る埃が舞っていた。

('A`)「うーん、やっぱりいいな。この匂い」

ドクオは視聴覚室の真ん中に立ち大きく伸びをする。

川 ゚ -゚)「…そうか?」

ξ゚⊿゚)ξ「あんた昔からそんな事、言ってなかった?」

('A`)「言ってたな。俺この匂い好きなんだよ。締め切ってほとんど人の出入りの無い部屋の匂いってなんか独特だろ?」

川 ゚ -゚)「言いたいことはなんとなく理解できるが、その嗜好は理解できん」

ξ゚⊿゚)ξ「理解出来ないし、したくも無い」

('∀`)「馬鹿だなー。この良さが分からないなんて、人生三分の一は損してるぞ?」

川 ゚ -゚)「そんな事で三分の一も埋められる人生ならいらないな」

ξ゚∀゚)ξ「まったくよ。そんな事で三分の一埋めるなら、ほかの事で埋めるわよ」
36:2007/06/17(日) 03:37:34.96 ID:
そんな話題で盛り上がっている三人の耳に、情け無い声が届く。

(;^ω^)「あのー、盛り上がってるとこ大変申し訳無いですが、誰か暗幕閉めるの手伝ってくれませんかお?
       それくらいはしてくれても、罰は当たらないと思うお?」

ξ#゚ -゚)ξ「……そんな無駄口叩く暇あったら、早く上映準備したら?」

(;´ω`)「…把握しましたお。もう少々お待ちくださいお」

そこには関白宣言をした男の姿はなく、女房の尻に敷かれるパシリ亭主でもなく、ただの犬に成り下がった者の姿があった。

('A`)「こりゃ、カカァ天下決定だな」

ツンに聞こえないように、ドクオはクーに耳打ちする。

川*゚ -゚)「んっ…そうだな」

普段表情の変化の少ないクーの表情が少しだけ変わる。

('A`;)「ど、どうした?」

もちろん付き合いの長いドクオはすぐに気付く。

川 ゚ -゚)「いや、何でもない」

('∀`)「…もしかして耳弱い?」

川*゚ -゚)「いや、まぁ、その、なんだ」

('∀`)「動揺するクーってのも初めて見るな」
37:2007/06/17(日) 03:39:12.57 ID:
1/3の純情な感情と共に支援
38:2007/06/17(日) 03:39:26.01 ID:
ξ゚ー゚)ξ「…」

そんな二人のやり取りをツンは満足そうに眺めていた。

('∀`)「大体、いつもはズバズバ物をいうクーが口ごもるの自体珍しいじゃねーか」

川 ゚ -゚)「そ、そんな事はない」

('∀`)「無理すんな。今もどもったし」

川 ゚ -゚)「む、だからそんなこt「みんなお待たせだお!準備できたおー!」(^ω^*)

その空気をぶち壊すように内藤は3人のところに戻ってきた。

('A`)「お?お疲れさん。早速見ようか?」

川 ゚ -゚)「そうだな。ブーン、照明落としてくれ」

( ^ω^)「把握したお!…お?ツン、どうかしたかお?」

ξ#゚ -゚)ξ「…別に、早く上映しなさいよ」

(;^ω^)「わかったお(…まだ、怒ってるのかお?)」

内藤は首をかしげながら入り口付近のスイッチで照明を落とすと、DVDを再生した。

ξ;‐⊿‐)ξ(ホント空気が読めないんだから…)

ツンの小さなため息と共に、7年ぶりとなる『木漏れ日の詩』の上映が始まった。
39:2007/06/17(日) 03:41:24.72 ID:
………

……………

丘の上に一本の大きな古木。

空は高く、どこまでも突き抜けるような水色。

不意に吹く春風に揺れる草原は、まるで狼が群れを為して疾走するかのごとく波を打つ。

丘の古木の木陰には、白いワンピースに麦わら帽子の女の子。

木漏れ日の中で空を見つめる少女の視界を横切る白い綿毛。

少女は、風に舞うたんぽぽの綿毛を追って視線を草原に向ける。



…そこには一人の青年が立っていた。


41:2007/06/17(日) 03:43:38.18 ID:
('A`)『よう、日光浴かい?』

川 ゚ -゚)『木漏れ日の中にいるんだから、森林浴だと思う』

('A`)『木が一本じゃ森じゃないだろ。それでも森林浴って言うのか?』

川 ゚ -゚)『森林浴は木の息吹を感じ、木漏れ日のぬくもりを感じ、吹き抜ける風の清々しさを感じるもの』

('A`)『なるほどね。なら森林浴だな』

青年は無言のまま歩み寄り少女の正面に立つ。

二人の間に無言の時が流れ、一陣の風が吹き抜ける。

先に口を開いたのは少女だった。

川 ゚ -゚)『…いつ、帰ってきたんだ?』

('A`)『たった今だ。真っ先にここに来た』

川 ゚ -゚)『約束、覚えてたのか?』

('A`)『当たり前だ。誰よりもお前に会いたかった』

川 ゚ー゚)『…その言葉が聞きたくて私はここで待ってた』
44:2007/06/17(日) 03:44:43.39 ID:
そう微笑むと少女は青年に抱きつく。

川 ;ー;)『…おかえり』

微笑みながら涙を流す少女を青年は優しく抱きとめる。

('A`)『ただいま』

キラキラと輝く木漏れ日の中で二人はいつまでも抱き合っていた。

45:2007/06/17(日) 03:44:49.56 ID:
ドクオ&クーものはやっぱりええのう
47:2007/06/17(日) 03:45:22.61 ID:
昔映研だった支援
48:2007/06/17(日) 03:45:30.46 ID:
―キャスト―

【砂尾 久琉美 -Kurumi Sunao-】

【弄内 毒雄 -Dokuo Moteuchi-】


【玲川 律子 -Rituko Reikawa-】

【猫野 栞 -Shiori Nekono-】

友情出演

【葉仁屋 擬古 -Giko Haniya-】



脚本【砂尾 久琉美 -Kurumi Sunao-】

音楽協力【頃淵 庶梵 -Syobon Korobuchi-】(吹奏楽部・部長)及び吹奏楽部一同

監督/演出【内藤 地平線 -Horaizon Naitou-】


製作・私立VIP高等学校映画研究部



…Fin
52:2007/06/17(日) 03:47:38.50 ID:
ショボンの名字凄いな
56:2007/06/17(日) 03:49:40.85 ID:
ブーンが超DQN名www
49:2007/06/17(日) 03:46:42.11 ID:
ξ;⊿;)ξ「…やっぱりいいわね。これ」

スタッフロールを見ながらツンが呟く。

ξつ⊿;)ξ「三年間で色々なの撮ったけど、これが一番好きだな」

( ^ω^)「僕もそう思うお」

ツンにハンカチを渡しながら内藤も同意する。

('A`)「…」

ドクオは何も映っていないスクリーンをぼんやりと眺めていた。

川 ゚ -゚)「…ドクオ?どうかしたか?」

('A`)「ん?…あー、なんでもねーよ」

クーに声を掛けられ曖昧な返事でお茶を濁したドクオは、立ち上がり大きく伸びをする。

('A`)「さて、目的も果たしたことだし、そろそろ行こうぜ。あんまり長居したら荒巻先生に悪いしな」

ξ゚⊿゚)ξ「そうね。ブーン、今何時?」

( ^ω^)「大体6時くらいだお」
51:2007/06/17(日) 03:47:31.51 ID:
大学の映研はただの飲み会サークルになってて
その年の一年生だけで新しい映研つくったなあ
53:2007/06/17(日) 03:48:37.89 ID:
腕時計をみながら答える内藤の言葉に、ツンが慌てる。

ξ゚⊿゚)ξ「もうそんな時間なの?急がなきゃ」

('A`)「そんなに慌てる時間でもなくね?」

ξ゚⊿゚)ξ「そうもいかないのよ。これからパパ達と食事に行くの。一応、娘でいられる最後の日だからね」

('A`)「親にしてみりゃ、さっさと出て行って欲しいんじゃねーの?」

ξ#゚⊿゚)ξ「…ケンカ売ってる?」

ツンは右手を握り、拳を構える。

('A`)「猛獣相手に素手でケンカ売るほど腕に自信ねーよ」

ξ#゚⊿゚)ξ「なんですってー!」

川 ゚ -゚)「ドクオ、その辺にしておけ。ツンも急いでるんだろう?」

ドクオがちょっかいを出し、ツンがそれに反応して、内藤はオロオロしながら状況を見守り、ケンカになる前にクーが止める。
最早昔から決まった役割分担だった。
今回一つだけ違う点があるとするなら…

(;^ω^)「あのー、暗幕開けるのぐらいは手伝って欲しいお」

内藤は一人で後片付けをいていた。
57:2007/06/17(日) 03:50:30.18 ID:
その後、ツンに急かされるように母校を後にして、ツンとクーを家まで送ると、車内には内藤とドクオだけが残された。
既に日は沈み、時刻は7時半を回り8時になろうかという時間になっていた。
田舎町だけに国道を走っている車も少なく、辺りは都会の同時刻よりも暗くなっていた。

( ^ω^)「ドクオはこの後どうするお?」

内藤はドクオの家に向けて車を走らせながら話しかける。

('A`)「別に予定なんかねーよ。家に帰って久しぶりにカーチャンの飯食うくれーだな」

( ^ω^)「なら少し、付き合うお」

('A`)「ああ、かまわねーよ」

( ^ω^)「フヒヒヒwwww今夜は帰さないおwww」

そういうとわき道に入り、目的地に向かって車を飛ばす。

('A`)「それはお前が困るだけだろ?明日遅刻なんてしようものなら嫁に何されっかわからねーぞ?」

( ^ω^)「ドックンはノリが悪いお。それに明日のパーティは午後からだから多少遅くても平気だお」

('A`)「ドックンゆーな。あまり悪乗りするなよ」

( ^ω^)「わかってるお。ただ、最後のシングルナイトくらい楽しんでも罰はあたらんお」

('A`)「仕方のねーヤツだな」

ドクオはあきれながら苦笑した。
59:2007/06/17(日) 03:51:50.97 ID:
('A`)「コンビニで酒買うなんて言うから、どこ行くのかと思えば…」

( ^ω^)「こういうのも悪く無いと思うお」

('A`)「まっ、確かにこの夜景を肴に一杯やるのも悪くない」

二人が向かった場所は【VIP市民文化会館】の駐車場。
山の上に作られた文化会館の駐車場には簡単な展望台があり、憩いの場となっている。

その展望台はVIP市を一望でき、地元民の間ではちょっとしたデートスポットになっている。

( ^ω^)「しかし珍しいお。いつもなら車の一台や二台停まって、ギシアンしてそうなもんだお」

('A`)「そんな場所に野郎二人でいるのも、いかがなものかと思うがな」

(;^ω^)「別にそんなつもりで連れて来たわけじゃないお」

内藤は即座に否定する。

('A`)「わかってるよ。この場所の意味くらい」

( ^ω^)「さすがは唯一無二の大親友だお」
61:2007/06/17(日) 03:52:51.87 ID:
超支援
62:2007/06/17(日) 03:53:34.61 ID:
('A`)「大親友とか関係ないと思うぞ。少なくとも俺らの2コ下までの映研部なら誰でも知ってるだろ?」

(;^ω^)「それもそうだお。若気の至りとはいえとんでもない事をしたもんだお」

('A`)「『ツーン!お願いだから僕の彼女になってくれおーーーー!!』だったか?」

(;^ω^)「改めて言われると照れるお」

('A`)「爆笑もんだったな。コンクール終わった直後に展望台で絶叫。しかも内容は愛の告白。
   『お願いだから』ってどこまで必死なんだよwww」

ドクオはくっくっくと堪えた笑いを漏らしながら缶チューハイを開ける。

(;^ω^)「それがまさか、結婚まで来るなんて思いもしなかったお」

内藤もドクオに倣い缶チューハイのプルトップに指を掛ける。
ちょっと力を込めるとプシュと小気味のいい音が響く。

('A`)「じゃ、末代まで語られる恥ずかしい愛の告白をした英雄と」

( ^ω^)「その標的にされた哀れなお姫様に…」

( ^ω^)/「乾杯」\('A`)

乾杯を交わした二人はそのままチューハイをあおる。
65:2007/06/17(日) 03:55:09.25 ID:
春とは言え夜の風は少し肌寒く二人の間を吹き抜ける。
内藤は風にあおられ乱れた前髪をかき上げると、展望台の手すりに寄りかかる。

( ^ω^)「さて、次はドクオの番だお」

('A`)「…相手もいないのにか?」

ドクオは馬鹿馬鹿しいといわんばかりにハンッと鼻で笑う。

( ^ω^)「…ホントにいないのかお?」

('A`)「いねーよ。期待に添えなくて悪かったな」

ドクオはきっぱり言い捨てると、内藤の隣に並び手すりに肘を付くと夜景を見下ろした。
マンハッタンだの香港だの函館だの、そんな有名な夜景と比べれば豆電球みたいなものだったが、それでも綺麗だった。

ドクオと同じように内藤も黙って夜景を眺めていた。

二人の間にわずかな沈黙が流れる。

その沈黙を破り内藤が真面目な声でドクオに語りかける。
68:2007/06/17(日) 03:56:38.72 ID:
( ^ω^)「僕がその程度の嘘を見抜けないとでも思っているのかお?」

感情の波の無い真っ直ぐな言葉が、ドクオの心に切り込む。

('A`)「…」

( ^ω^)「二十年来の親友の嘘くらい見抜けるお」

昔からそうだ。コイツは普段抜けているくせに変なところで鋭い。
それを知ってるドクオは舌打ちをする。

('A`)「ったく、てめーには敵わねーな。物心付いた頃からの付き合いってのも考え物だぜ」

( ^ω^)「高校生の頃、ツンの事好きだって見抜いたドクオに僕が同じ事を言った時、ドクオはなんて言ったか覚えてるかお?」

('A`)「『気心知れた友人がいることを感謝しな』…だったか?」

( ^ω^)「その言葉たった今、熨しつけて返してやるお」

内藤はドクオを出し抜いてやったとばかりに得意そうな笑みを浮かべる。
71:2007/06/17(日) 03:58:29.90 ID:
('A`)「…だが、断る」

( ^ω^)「なんでだお?今でも好きなんじゃないかお?」

('A`)「…」

( ^ω^)「だから、今日も見とれてたんじゃないかお?…『木漏れ日の詩』のラストシーンのクーに」

('A`)「…」

( ^ω^)「八年前のあの時と同じ様に。…違うかお?」

('A`)「…」




72:2007/06/17(日) 03:59:24.51 ID:
これでクーに断られたら面白いのにな
73:2007/06/17(日) 03:59:28.29 ID:
『ふぉーーー!!編集が終わらんおーーー!!』

『だから言ったんだよ!ツンとクーにも手伝って貰おうって!!』

『女の子をそんな遅くまで残しちゃイカンお!』

『へんな所でジェントルマン振りやがって…』

『そうじゃないお。キャストとスタッフの努力の結晶を形にするのが、監督のつt』

『分かったから、手を動かせ!』

『こりゃ、すまんかったお』

『まったく、なにが監督の務めだ。主演の俺には付き合せてるくせに』

『それはそれだお。ドックンは僕の相棒だお』

『今度、ドックンて言ったらぶち殺す!』

『ちょ、分かったから、三脚を振り上げるのやめるお!!』

『  な  ら  、  手  を  動  か  せ  !  !  』

『把握したお』
74:2007/06/17(日) 03:59:43.24 ID:
よいいいいい
77:2007/06/17(日) 04:00:37.26 ID:
『…後はラストシーンを編集して繋げるだけだお』

『じゃ、ラストはお前に任せる。ちょっと購買の自販機でジュース買って来るわ。何にする?』

『奢りかお?』

『しょうがねぇ。完成祝いだ奢ってやるよ』

『おっおっお、言ってみるもんだお。ポーション頼むお』

『ねーよ!!!』

『冗談だお。コーラでいいお』

『ダイエットコーラな。了解』

『僕はピザじゃないお!!普通のコーラだお!』

『分かったよ。じゃあ、言ってくる』

『あっ!500mlのお徳用で頼むお』

『ピザ乙』

『ピザじゃねーお!』

『うるせーな。分かったから、編集やっとけ!!』

『把握したお』
79:2007/06/17(日) 04:01:39.75 ID:
『ただいま』

『お?丁度終わったところだお』

『そうか、やっと終わったか』

『疲れたおー。こんな事ならもっとスケジュール詰めてやればよかったお』

『お前が、ラストシーンに丸一日使ったのが悪い』

『仕方ないお。どうしても狼の群れが疾走するような草原を撮りたかったんだお』

『こだわった甲斐はあったんだろうな?』

『バッチリだお。イメージ通りの画が撮れたお!』

『ならいいさ』

『早速、完成作品を見てみるお!』

『今、九時半だぞ?残ってくれてる荒巻先生の迷惑も考えろ』

『私は構わんよ』

『荒巻先生!居たんですか?』

『ああ、様子を見に来たのだが。完成したようだね?』

『たった今、完成しましたお!』
81:2007/06/17(日) 04:02:27.92 ID:
わかってたならブーン空気嫁よ…
82:2007/06/17(日) 04:03:10.51 ID:
『では、その試写会に私も招待してくれないかね?』

『でも、時間が…』

『ああ、構わないよ。それにお客さんはまだ居るのでな』

『お?』

『あんた達だけで試写会なんて許さないんだからね』

『お疲れ様。差し入れだ』

『ツンにクー!お前ら何でここにいるんだよ』

『言ったでしょ、あんた達だけで試写会なんか許さないって。安心して、ちゃんと親には許可を取ってきたから』

『帰りは荒巻先生が送る事を条件に荒巻先生も許可してくれた』

『というわけだ。私も君たちの作品が見たいのだよ』

『そういう事なら…』

『ちょっと待つお!』

『なによブーン。まだ、何か問題あるの?』
84:2007/06/17(日) 04:04:26.20 ID:
『せっかくみんな居るんだし、まずは乾杯するお!』

『…あんたねぇ。少しは空気読みなさいよ』

『しょうがねぇヤツだ』

『ああ、だがそれがブーンのいいところでもある』

『では、みんな飲み物はもったかお?』

『早くしろ。許可が出たって言っても早い時間じゃねーんだから』

『ドクオはうるさいお。では、かんぱーい!!』

『かんぱーい!』

『では、続きまして試写に入りたいと思いますお。…ホントは視聴覚室でやりたいところだお』

『すまんの、内藤君。さすがにそこまでは許可できんよ』

『いいんですよ、先生。こんな馬鹿の言うこと聞かなくても』

『ツン、いくらなんでも馬鹿はひどいお』

『いいから早くしなさいよ』

『…把握しましたお』
88:2007/06/17(日) 04:05:40.18 ID:
……

………

川 ゚ -゚)『…いつ、帰ってきたんだ?』

('A`)『たった今だ。真っ先にここに来た』

川 ゚ -゚)『約束、覚えてたのか?』

('A`)『当たり前だ。誰よりもお前に会いたかった』

川 ゚ー゚)『…その言葉が聞きたくて私はここで待ってた』

そう微笑むと少女は青年に抱きつく。

川 ;ー;)『…おかえり』

微笑みながら涙を流す少女を青年は優しく抱きとめる。

('A`)『ただいま』

キラキラと輝く木漏れ日の中で二人はいつまでも抱き合っていた。



『…いい出来じゃない』
90:2007/06/17(日) 04:06:19.82 ID:
『ツン、泣いてるのかお?』

『うるさい!見るな!』

『これは、素晴らしい出来じゃないか。内藤君』

『お?荒巻先生にそう言ってもらえると、僕も嬉しいですお』

『アンタだけで作ったみたいな言い方するの止めなさい!クーの脚本のお陰でしょ』

『…それじゃ、僕が能無しみたいじゃないかお』

『そう、言ったのよ』

『おっおっお。ドックン、ツンがいじめるおー!』
92:2007/06/17(日) 04:07:01.39 ID:
『……』

『ドクオ?どうしたんだ?』

『ん?…あー、何でも無い』

『…ドクオ、ほんとにどうかしたかお?』

『いや、さすが俺様。カメラ映えする顔だなって思っただけだ』

『やーね、鏡で自分の顔見てから言いなさいよ』

『へっ!ツンに言われるようじゃ、俺も終わりだな』

『なんですってーー!!』

『なんだなんだ?ツン。図星突かれて悔しいのか?』

『ドクオ!アンタいい度胸してるじゃない』

『ドドドド、ドクオ。その辺にしといたほうがいいお』

『ツン、ドクオ。そこまでにしておけ。荒巻先生もいるんだぞ』
94:2007/06/17(日) 04:07:52.20 ID:
支援
95:2007/06/17(日) 04:08:06.51 ID:
『楽しそうでいいじゃないか』

『ドクオ、荒巻先生の許可がでたわよ。アンタとは一度白黒つけようと思ってたのよ』

『俺は勘弁だね。虎も裸足で逃げ出すような猛獣を、素手で相手するほどMじゃない』

『はいはい、時間切れ。ツン、もう遅いしそろそろ帰ろう』

『分かったわよ。ドクオ、命拾いしたわね』

『安心しな、逃げ足には自信がある』

『内藤君と弄内君も送ろうか?』

『いえ、大丈夫です。俺ら家まで自転車で15分くらいですから』

『そうかね。では片付けて施錠したら職員室まで鍵を持ってきなさい』

『分かりましたお』



96:2007/06/17(日) 04:08:49.10 ID:
肌寒くも穏やかな夜風に吹かれながら、二人は無言で夜景を見ていた。

( ^ω^)「…」

('A`)「…まさか、あの時から気付かれてるとは思わなかったな」

( ^ω^)「その前からなんとなくは気付いていたお。それであの時、確信したんだお」

('A`)「それなのに、何も言わなかったのか?」

( ^ω^)「ドクオから話さないなら聞くべきじゃないと思っただけだお」

風で乱れた前髪をかき上げ内藤は笑う。

( ^ω^)「だから今度はドクオの番だお」

('A`)「そいつは無理だな」
98:2007/06/17(日) 04:09:48.61 ID:
ドクオは表情を変えず、無感情な声で否定する。

('A`)「あの頃の俺には自信がなかった。お前みたいにうまくいくなんて思えなかった」

( ^ω^)「…」

('A`)「お前みたいに何か誇れるものを、俺は持っていなかった」

( ^ω^)「…」

('A`)「だから大学も別にしてお前から離れたんだ。俺も何かを成し遂げれば
   お前みたいに自信が持てるんじゃないかって思って」

( ^ω^)「…」

('A`)「そうしたら、俺も胸張ってクーに気持ちを伝えられるかもしれない。そう思ってた」

( ^ω^)「…」

('A`)「結局、その自信も手に入れられないまま7年が過ぎた。…もう手遅れなんだよ」
101:2007/06/17(日) 04:10:35.53 ID:
自嘲気味に笑うドクオを内藤は無言で殴りつけた。

('A`#)「いきなり何しやがんだ!」

( #^ω^)「うるせーお!何が手遅れだお!なんでクーに言ってやらないんだお!!」

('A`#)「いまさら何を言うっていうんだよ!!」

( #^ω^)「まだ好きなんだお?ならその気持ちを伝えたらいいお!!」

今度はドクオが内藤を殴り飛ばす。

('A`#)「馬鹿かテメーは!!いまさら言ったって迷惑だろ!!」

( #^ω^)「馬鹿はドクオだお!!なんでクーの気持ちに気付いてやれないんだお!」

('A`#)「テメーはクーの気持ち知ってるとでも言うのかよ!!」

( #^ω^)「『木漏れ日の詩』のラストシーン見て気付かないのはドクオくらいだお!」

('A`#)「アレは演技だろうが!頭沸いたこといってんじゃねーよ!」
105:2007/06/17(日) 04:12:02.13 ID:
ドクオの言葉に内藤は拳を返す。

( #`ω´)「ふざけんじゃねーお!あんな迫真の演技、高校生に出来るわけねーお!」

珍しく激昂する内藤の勢いにドクオは気圧されて黙り込む。

( #`ω´)「どうみたってクーの本心だお!!!なんで気付かないんだお!!!」

('A`)「あれが、クーの本心?」

( ;ω;)「ドクオは自分で言うほどダメな男じゃないお。僕もツンも、もちろんクーだって知ってるお」

('A`)「…」

( ;ω;)「クーにちゃんと伝えてあげて欲しいお。クーだってきっと待ってるお」

二人の間に先ほどとは違う無言の時が流れる。
心地よい無言ではなく、何かに圧迫されるような気まずい沈黙。



その沈黙に耐え切れず、口を開いたのはドクオだった。

('A`)「…帰ろうか」

ドクオは携帯を取り出すと運転代行業者に連絡を入れる。

( ;ω;)「…」

その後、二人は口を開くことはなかった。
108:2007/06/17(日) 04:13:11.50 ID:
家に着いたドクオはベッドに大の字になった。
普段からカーチャンが掃除しているらしくドクオの部屋は綺麗だった。
物置代わりにされているせいか、荷物がやたら増えたことを除けばだが。

('A`)「…」

無言のまま内藤の言った言葉を思い出す。


『まだ好きなんだお?ならその気持ちを伝えたらいいお!!』



『どうみたってクーの本心だお!!!なんで気付かないんだお!!!』



『クーにちゃんと伝えてあげて欲しいお。クーだってきっと待ってるお』


('A`)「…今更、どのツラ下げてそんな事を言えってんだよ」

ドクオはそのまま目を閉じる。
開けっ放しの窓から吹き込む夜風が、殴られて火照った頬を優しく撫でていた。

優しい夜風を感じながらドクオは徐々に深い眠りに落ちていった。


まるで全ての答えから逃げる様に。
112:2007/06/17(日) 04:14:20.49 ID:



その夜ドクオは昔の夢を見た。


114:2007/06/17(日) 04:15:05.48 ID:
盛り上がってきた支援
115:2007/06/17(日) 04:15:36.65 ID:
支援
まさか、この時間帯にこんなものが投下されるとはな…
116:2007/06/17(日) 04:15:41.52 ID:
友情の支援
117:2007/06/17(日) 04:15:47.86 ID:
('A`)『クー、何でここにいるんだ?』

季節は冬。午後四時を回ると空は赤く染まる。夕焼けに染まる昇降口で、ドクオはクーと会った。

川 ゚ -゚)『放課後の昇降口に生徒がいるのは当たり前だろう』

('A`)『テスト前で部活も無いのに、こんな時間まで残ってる生徒はいないぞ』

川 ゚ -゚)『既に私の目の前に一人いるじゃないか』

('A`)『…担任に呼び出されたんだよ。今回の英語50は取らないと、来年も一年生だって脅迫された』

川 ゚ -゚)『意外だな。ドクオは成績いいほうだと思ったんだが』

('A`)『まぁ、悪くは無いんだがな。英語だけは中学から苦手でな』

クーは興味があるのか無いのか分からないような態度で「ふーん」と返事をしただけだった。

('A`)『で、クーはなんでこんな時間まで残ってるんだ?』

川 ゚ -゚)『委員会の仕事でな』

('A`)『そりゃ、難儀だな』

川 ゚ -゚)『まぁ、誰かがやらなきゃならないんだ。仕方ないだろう』

('A`)『…テスト前に随分余裕だな』

川 ゚ -゚)『誰かさんと違ってな』
121:2007/06/17(日) 04:16:40.71 ID:
ねれねー!!!おもしれぇ
122:2007/06/17(日) 04:16:43.02 ID:
ドクオのささやかな皮肉もクーはさらっとスルーした。

川 ゚ -゚)『なぁ、ドクオ。これから暇か?』

('A`)『いや、これから勉強だよ。クー先輩なんて呼びたか無いからな』

川 ゚ -゚)『なら都合がいい。私が英語を教えてやろう』

('A`)『マジで?!』

川 ゚ -゚)『マジだ。ドクオにクー先輩なんて呼ばれたら精神衛生上よろしくないからな』

('A`)『なんでもいいさ。マジ助かる』

川 ゚ -゚)『その代わりマック奢れ』

('A`)『それで進級できるなら安いもんだ』

川 ゚ -゚)『なら、駅前のマックで勉強しようか』

('A`)『いいぜ』

そう言って二人は昇降口を出る。
127:2007/06/17(日) 04:17:45.62 ID:
ドクオは自転車を押しながら駅前まで、クーと二人並んで歩く。

('A`)『そういえば、二人で帰るのは初めてだな?』

川 ゚ -゚)『ドクオとブーンは自転車通学。私とツンは電車通学。
     ドクオたちの家は駅と反対方向なんだから一緒に帰らないのは当然だろう』

('A`)『そういわれりゃ当然だな』

川 ゚ -゚)『うむ』

('A`)『…』

川 ゚ -゚)『…』

('A`)(やべぇ、話が続かねー)

いつもはやかましいブーンやツンがいる。
そこには当然のように話の流れが存在し、ドクオはそれに乗るだけだ。

クーも自分から話の流れを作るほうじゃない。
どちらかといえばブーンやツンが振った話題に乗るほうだ。

別に仲が悪いわけでは無い。
だが、話の流れに乗るだけの者同士では話の流れが発生しないのは当然の結果だ。

川 ゚ -゚)『…』

('A`)(何か話題無いか?)
131:2007/06/17(日) 04:19:04.38 ID:
ドクオがそんな事を考えていると、コツンとつま先に何かが当たった感触を覚える。

('A`)『ん?』

川 ゚ -゚)『どうかしたか?』

ドクオは無意識に蹴ったソレを、拾い上げる。

('A`)『なにか蹴ったなと思ったらビー玉か』

道に落ちていたビー玉。
別に何処か特別なわけじゃない。どこにでもあるような普通の赤いビー玉。

川 ゚ -゚)『みせてくれないか?』

そう言われドクオはクーにビー玉を手渡す。

クーは手渡されたビー玉を沈みかけた太陽にかざす。
太陽にかざされたビー玉は光を反射してキラキラと光っていた。
135:2007/06/17(日) 04:19:40.74 ID:
支援
映研でちゃんと映画撮っときゃ良かったな・・・俺
140:2007/06/17(日) 04:21:00.49 ID:
これはいい
137:2007/06/17(日) 04:20:11.31 ID:
川 ゚ー゚)『綺麗だな』

('A`)『…』

その瞬間ドクオは言葉を失った。
いつも大人びた表情を浮かべるクーからは想像できない、無邪気な笑顔に言葉が出なかった。

川 ゚ -゚)『どうかしたか?』

('A`)『…いや。確かに綺麗だな』

………

……



それから先、何を話したかなんて覚えていない。

一つだけ確かなのは留年はせずに済んだ事だけだった。
141:2007/06/17(日) 04:21:12.59 ID:
('A`)「…」

外から差し込む朝日に目を細めながら、ドクオは体を起こす。

('A`)「…随分と懐かしい夢を見たな」

ポツリと呟くとドクオは立ち上がって大きく伸びをする。
背中でパキッと骨が鳴る。

('A`)「…今日もいい天気だな」

窓から見える空はどこまでも高く、透き通るような水色。



その空は、ある決意をしたドクオの心のように晴れ晴れとしていた。


144:2007/06/17(日) 04:22:29.99 ID:
~2014年5月4日(みどりの日)~

時刻 PM2:51

父親の車を借りドクオはとあるBARに到着した。
車を降り『本日貸切』と書かれたBARの扉を開く。

(´・ω・`) 「やぁ、ようこそバーボンハウスへ。サービスのテキーラは無いが落ち着いて欲しい。
      うん、『貸切』なんだ、すまない」

('A`)「言われんでも、ドアに貸切って書いてあったから知ってるよ。会場はここでいいんだろ?」

(´・ω・`)「一応、お約束ってやつさ。ドクオ、久しぶりだね。元気そうで何よりだ」

('A`)「ショボンの相変わらず、しょぼくれた顔してんな。それみたら安心したわ」

(´・ω・`)「あ?ぶち殺すぞ!」

('A`)「さすが本家本元は凄みが違うねぇ。おお、怖い」

ドクオがショボンと漫才のような掛け合いをしていると不意に肩を叩かれる。
143:2007/06/17(日) 04:22:03.71 ID:
あああああ・・・・
なんかカントリーロードで欝になる奴の気持ちが判った気が・・・
147:2007/06/17(日) 04:23:54.50 ID:
良いわぁ~、青春群像劇良いわぁ~


同時に己の過去を振り返り発狂したくなるがな('A`)
149:2007/06/17(日) 04:24:24.57 ID:
(,,゚Д゚)「ドクオ、遅かったじゃねえか、ゴルァ!」

('A`)「ギコ先輩!なに言ってるんすか、三時からでしょ?」

(,,゚Д゚)「いつも10分前行動って言っただろうがゴルァ!」

('A`)「ちょ、今日は部活じゃないっすよ」

(,,゚Д゚)「やかましい!俺が10分前って言ったらその時間に集まるんだゴルァ!」

既に酔っ払ってるギコの絡み酒に辟易していると、助け舟を出す人物が現われた。

(*゚ー゚)「ギコせんぱい、いつまで絡んでるんですか!」

('A`)「おう、チビスケ。久しぶりだな」

(*゚ー゚)「もー、ドクオせんぱい。そのチビスケって言うのやめて下さいよ。子供じゃないんだから」

('A`)「実際ちっこいんだから仕方ねーだろ。そんな事より他のやつらはまだか?」

(*゚ー゚)「ツンせんぱいは、奥で着替えてます。クーせんぱいはそのお手伝いをしてます」

('A`)「ブーンは?」

(*゚ー゚)「ブーンせんぱいはあっちです」
153:2007/06/17(日) 04:25:38.43 ID:
しぃが指差す方には扉がある。その扉には【御手洗い】と書かれている。

('A`)「あの馬鹿、相変わらず緊張すると腹下すのか」

(,,゚Д゚)「気合がたりねー証拠だ!ゴルァ!俺がいっちょ気合入れてやるか」

(*゚ー゚)「もー、ギコせんぱい、いい加減にしなさい!」

酔っ払いの相手はしぃに任せ、ドクオは内藤が立て籠もっている扉の前に立つとコンコンとノックする。

「誰だおー。ただいま使用中だおー」

('A`)「俺だ」

「…なんだお?今は忙しいから手短に頼むお」

一呼吸おいてドクオは手短に用件を話す。

('A`)「…ブーン、ありがとう。ケリつけるわ」
157:2007/06/17(日) 04:27:37.00 ID:
その言葉を聞くと中で水が流れる音が聞こえ、すぐに扉が開くと内藤が飛び出してきた。

( ^ω^)「本当かお?!」

('A`)「ああ」

( ^ω^)「さすがはドクオ!漢だお」

('A`;)「まぁ、何がさすがなのかよくわからんが、落ち着け」

( ^ω^)「これが落ち着いていられますかってんだお!」

('A`;)「うん、分かったから落ち着こうな」

興奮の収まらない内藤はドクオの話をまったく聞こうともしない。

その内藤を止めたのは…
160:2007/06/17(日) 04:27:56.99 ID:
支援
163:2007/06/17(日) 04:28:22.25 ID:
ξ#゚⊿゚)ξ「貴様は何をしておるかーー!!」

(#)ω゚ )「ひでぶっ!」

着替えを終えたツンだった。

( ^ω^)「いきなり何をするんだお?」

ξ#゚⊿゚)ξ「まずはその格好を見てから物を言いなさい!」

ツンの言葉に内藤は全身を見渡すと

(  ゚ω゚ )「ふぉーーー!!」

下半身に何も身に着けていなかった。

驚いた内藤はすぐにトイレに駆け込んだ。

ξ#゚⊿゚)ξ「まったく、あの馬鹿は!」

('A`)「ツンも苦労するな」

憤るツンにドクオが同情する。

ξ#゚⊿゚)ξ「ほんとよ!これは決断間違ったかも知れないわ」

('A`)「確実に間違えたな」

ドクオはくっくっくと堪えた笑いを漏らす。
165:2007/06/17(日) 04:29:05.65 ID:
ξ゚⊿゚)ξ「…アンタはクーにこんな思いさせるんじゃないわよ」

Σ('A`;)「なっ!」

ξ゚⊿゚)ξ「ゴメン、今の会話全部聞いてたの。昨日の事も今朝ブーンから聞いた」

('A`;)「そ、そうか」

ξ゚ー゚)ξ「しっかりしなさい、きっとうまくいくから。私が保証してあげる」

そういうとツンは優しく微笑んだ。

('A`)「ああ」
170:2007/06/17(日) 04:29:47.18 ID:
(´・ω・`)「では、新郎新婦が揃いましたところで、始めたいと思います。皆さんグラスは持ちましたか?」

('A`)「おいおい、このメンバーで堅苦しい挨拶なんざ無しにしろよ!」

(´・ω・`)「あ?ぶち殺すぞ!」

('A`)「きゃー、ショボンが怒ったー!」

(*゚ー゚)「ドクオせんぱい!いつまでも始まらないでしょ!」

(,,゚Д゚)「ゴルァ!ドクオいい加減にしろ!俺が飲めねーだろうが!」

ギコはそういうとドクオの脳天に拳を振り下ろす。

('A`)「あだ!!」

(´・ω・`)「そろそろ、乾杯してもいいかな?」

(,,゚Д゚)「おう!早くしろゴルァ!」

(´・ω・`)「それでは、ブーンとツンの結婚を祝って」

『かんぱーい!!』

(´・ω・`)「では、続きまして『木漏れ日の詩』の上映に入りt…

こうして宴は始まった。
175:2007/06/17(日) 04:30:42.75 ID:
(  ω )「…もう飲めないお~」

(,, Д )「…うげぇ~。世界がグルグルまわるぞ~ゴルァ」

開始から4時間が過ぎた頃、内藤とギコはつぶれてた。

ξ゚⊿゚)ξ「相変わらず、だらしないわねぇ」

ツンはカウンターに座りワイングラスを傾ける。

(*゚ー゚)「ホントですね」

その隣でしぃはカクテルグラスを手の中で弄ぶ。

('A`)「お前らが強すぎるんだよ」

(*゚ー゚)「あれ、ドクオせんぱいは平気なんですか?」

少々驚くしぃに、グラスを持ち上げてドクオは答える。

('A`)「今日は車だから、飲んでねぇんだ。これはただのジンジャエールだ」

(*゚ー゚)「意外と真面目なんですね」

ξ*゚ー゚)ξ「ふふふふふ。しぃ、違うのよ。実はねー」

('A`)「おい!ツン!!」

いたずらっ子のような笑みを浮かべるツンをドクオが制する。
178:2007/06/17(日) 04:31:41.05 ID:
ξ*゚ー゚)ξ「きゃー、こわーい」

(*゚ー゚)「えー。なんなんですかぁ?」

('A`)「なんでもねーよ」

そういってドクオはジンジャエールを飲み干す。

ξ*゚ー゚)ξ「じゃあさ、飲んでないドクオはクーを送ってあげてね」

ツンはそういうとカウンターに突っ伏して寝ているクーを指差す。

('A`)「お前らは?どうすんだよ?」

(*゚ー゚)「あー、そういう事かぁ」

ツンの言葉に何かを悟ったしぃが声を上げる。

('A`)「おい、チビスケ。なにがそういう事なんだよ?」

(*゚ー゚)「いえいえ、こっちの話です。私たちは運転代行頼みますから平気ですよ。ね?ツンせんぱい」

ξ*゚ー゚)ξ「そういうこと。だからクーをお願いね?」

('A`)「ああ、任せろ。…おい、クー起きろ」
180:2007/06/17(日) 04:32:16.86 ID:
しえん
182:2007/06/17(日) 04:33:07.40 ID:
川 つ _`)「ん?どうした、ドクオ」

ドクオがクーの肩をゆするとクーは目をこすりながら体を起こす。

('A`)「お開きにするってよ。送ってくから起きろ」

川 つ _`)「ん。了解だ」

そういうとクーは先に外に出て行った。

('A`)「じゃあ、俺も行くわ。ツン、しぃ、またな」

「そこの酔っ払い共にもよろしくな」と告げ、ドクオは入り口に向かう。

ξ*゚ー^)ξ「ドクオ、がんばれ」

ツンはそう励ますととウィンクをした。

('A`)「あー、わかったよ。…また連絡する」

めんどくさそうに手をひらひらさせるとドクオも店を出て行った。

(*゚ー゚)「うまくいくといいですね?」

しぃがカクテルをクイッと飲み干すと、グラスの中の氷がカランと音を立てた。
188:2007/06/17(日) 04:34:04.26 ID:
(´・ω・`)「その、心配は必要ないんじゃないかな?」

しぃに新しいカクテルを出しながらショボンが口を挟む。

(´・ω・`)「男と女の事で周りが心配することなんて無いよ。意外と成るように成るもんさ」

ξ゚⊿゚)ξ「なにやら、意味深な発言ね」

そういうとツンは空になったワイングラスを突き出す。

(´・ω・`)「職業病さ。バーテンなんてやってると、そういうのをよく目にするからね」

ツンのグラスにワインを注ぐと、自分もグラスを用意してバーボンを注ぐ。

ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ、ドクオとクーの幸せを願って…」

『乾杯』

残された三人は、チンとグラスを合わせた。
192:2007/06/17(日) 04:34:52.99 ID:
ドクオがバーボンハウスを出ると車の脇にクーが待っていた。

('A`)「じゃあ、行くか?」

川 ゚ -゚)「うむ」

二人が車に乗り込みドクオがキーを回すとブオンと調子よくエンジンが掛かる。

('A`)「…なぁ、クー。まだ眠いか?」

川 ゚ -゚)「いや。外の空気を吸ったら目が冴えた。この時期、夜風って意外と冷たいんだな」

いつもの調子に戻ったクーに、ドクオは胸をなでおろす。

('A`)(酔っ払ってたら、連れまわすわけにもいかないもんな)
195:2007/06/17(日) 04:35:49.38 ID:
それと同時にある計画を実行しない口実を失ったことにドクオは身を固める。

('A`)(落ち着け。このままじゃ、今までと何も変わらない。ただのチキン野郎だ)

川 ゚ -゚)「どうかしたのか?様子が変だぞ」

衝動不振なドクオにクーは問いかける。

('A`)「なぁ、これからちょっと付き合って欲しいところがあるんだが、いいか?」

川 ゚ -゚)「ん?かまわないぞ。どこに行くんだ?」

('A`)「んー。まぁ、行けば分かる」

川 ゚ -゚)「…そうか。なら聞かないでおこう」

('A`)「…ありがとよ」

そういうとドクオはアクセルを深く踏み込んだ。
199:2007/06/17(日) 04:36:48.53 ID:
川 ゚ -゚)「…ここは」

30分ほど車を走らせ二人は目的の場所に到着する。

丘の上に一本の大きな古木。
春風に揺れる草原は、まるで狼が群れを為して疾走するかのごとく波を打つ。

川 ゚ -゚)「ラストシーンのロケ地じゃないか」

('A`)「あれ以来、初めて来たが何も変わって無いな」

川 ゚ -゚)「そうだな。違うとすれば空くらいか?」

クーが見上げるとそこには、どこまでも透き通った水色の空ではなく、キラキラと輝く満天の星空が広がっていた。
その星空の下クーは大きな古木の立つ丘に向かい、ドクオはその後についていく。

大きな古木の下に着くとクーはその幹にそっと触れる。

川 ゚ -゚)「この樹もぜんぜん変わってないな」

そう呟くと急にドクオの方に振り向く。

二人は無言で見つめあう。
201:2007/06/17(日) 04:36:53.67 ID:
目を擦るクーのAAが可愛いので支援
204:2007/06/17(日) 04:37:53.93 ID:
('A`;)(やばい。どうやって切り出そう)

ドクオの頭の中はそれで一杯だった。

そのまま、どれくらい時間が過ぎたのか分からなくなった頃、不意にクーが口を開く。

川 ゚ -゚)「…いつ、帰ってきたんだ?」

それが何を意味するのかドクオには分からなかったが、続けるべき言葉は分かっていた。

('A`)「たった今だ。真っ先にここに来た」

川 ゚ -゚)「約束、覚えてたのか?」

('A`)「当たり前だ。誰よりもお前に会いたかった」

川 ゚ー゚)「…その言葉が聞きたくて私はここで待ってた」

そう微笑むとクーはドクオに抱きつく。

川 ;ー;)「…おかえり」

微笑みながら涙を流すクーをドクオは優しく抱きとめる。

('A`)「ただいま」

キラキラと輝く星空の下で二人はいつまでも抱き合っていた。
207:2007/06/17(日) 04:38:44.08 ID:
この先の展開は台本なんか無い。

それでも、ドクオには何を言うべきかだけは分かっていた。

後はどうやって切り出すのか。それだけだった。

ドクオがそう考えていると、先にクーが口を開いた。

川 ;ー;)「ドクオ、この5年間本当に会いたかった」

('A`)「ああ、俺もだ」

川 ;ー;)「ドクオ。あの頃から私は…」

('A`)「まった!」

川 ; -;)「ん?」

('A`)(ここで切り出せなきゃ、男じゃねぇ)

急に言葉を遮られクーは困惑する。

('A`)「こんな時くらい、俺にかっこつけさせてくれや」

そう呟くと、ドクオは一回だけ深く息を吸い込む。
212:2007/06/17(日) 04:39:33.34 ID:
ドクオかっけええええええええええええええええ
214:2007/06/17(日) 04:40:02.63 ID:
('A`)「…ずっと、好きだった。こんなどうしようもない俺だけど一緒にいてくれ」

川 ;ー;)「…嬉しい。その言葉をずっと待ってた」

そのまま二人はお互いに吸い寄せられるように顔を近づけると…





永い永い口付けを交わした。まるで今まで遠回りしたぶんを取り戻すように。












…fin
216:2007/06/17(日) 04:40:40.46 ID:
乙!
222:2007/06/17(日) 04:41:23.20 ID:
乙~!
起きててよかった
224:2007/06/17(日) 04:42:30.99 ID:
うおおおおおおおおおっし!!!!!!

乙だした
227:2007/06/17(日) 04:42:47.04 ID:
イイハナシダナー(;∀;)
GJ!!
228:2007/06/17(日) 04:42:55.02 ID:
やばい・感動支援あげ
219:2007/06/17(日) 04:41:09.22 ID:
うずくまってプルプルしてる奴挙手
229:2007/06/17(日) 04:43:04.39 ID:
>>219
プルプルはしてるww
なんかうおおおおおおって叫びたい
230:2007/06/17(日) 04:43:10.81 ID:
乙!

超乙!

睡眠時間削ったのなんか気にならんほど感動した
231:2007/06/17(日) 04:43:14.76 ID:
以上です。こんな時間まで支援ありがとうございました

総合の短編用に書いたのにえらく長くなった…orz

一応もらったお題は
・木漏れ日
・道に落ちてたビー玉
・風に舞うたんぽぽの綿毛
・メモリーズ
・麦わら帽子の女の子

なんとか消化できたぜ
235:2007/06/17(日) 04:45:08.00 ID:
>>231
本気で乙!
232:2007/06/17(日) 04:43:49.97 ID:
ここで終わりかよ格好付けすぎだろこんちくしょおおおおおお!!
233:2007/06/17(日) 04:44:17.77 ID:
僕は>>1に敬意を表する!!!!!!!!!

AA(ry
236:2007/06/17(日) 04:45:40.00 ID:
寝てないのにいい夢みたよ

改めて乙
237:2007/06/17(日) 04:45:40.55 ID:
>>1 乙!!!
感動した。

漏れも頑張ろー。
ここを見たおまいらもがんがれ。