1:2008/12/20(土) 14:05:44.51 ID:
生きているということ

いま生きているということ

それは喉がかわくということ

木漏れ日が眩しいということ

ふっと或るメロディを思い出すということ

くしゃみすること

あなたと手を繋ぐこと


2:2008/12/20(土) 14:08:05.23 ID:
生きているということ

今生きているということ

それはミニスカート

それはプラネタリウム

それはヨハン・シュトラウス

それはピカソ

それはアルプス

すべての美しいものに出会うということ

そして

かくされた悪を注意深く拒むこと



3:2008/12/20(土) 14:11:06.75 ID:
生きているということ

いま生きているということ

泣けるということ

笑えるということ

怒れるということ

自由ということ


4:2008/12/20(土) 14:14:32.35 ID:
生きているということ

いま生きているということ

いま遠くで犬が吠えるということ

いま地球が廻っているということ

いまどこかで産声があがるということ

いまどこかで兵士が傷つくということ

いまぶらんこが揺れているということ

いま いまが過ぎてゆくこと



5:2008/12/20(土) 14:17:17.28 ID:
生きているということ

いま生きているということ

鳥は羽ばたくということ

海は轟くということ

カタツムリは這うということ

人は愛するということ

あなたの手のぬくみ




命ということ


7:2008/12/20(土) 14:22:08.91 ID:
谷川俊太郎だっけ
支援

9:2008/12/20(土) 14:27:27.81 ID:
>>7
知ってる人がいることに感激した
11:2008/12/20(土) 14:30:43.45 ID:
>>9
小学校の卒業式で朗読したぜ
いい詩だよな
12:2008/12/20(土) 14:33:10.35 ID:
>>11
谷川俊太郎の詩はわりと好きです
なんか表現が分かりやすいというか
綺麗というか
6:2008/12/20(土) 14:20:27.11 ID:




( ^ω^)怪物のようです




8:2008/12/20(土) 14:23:13.83 ID:
遠くの方から鎖と鈴の音のような音が聞こえる。
村の広場では10数人の男女がそちらを見ていた。

と、動物も1匹そちらを見ていた。

人は皆鼻をつまんでいる。


( ^ω^)「それにしても臭いお」

(,,゚Д゚)「あたり一面臭いな」

从 ゚∀从「それにしても、でかい」

('A`)「うん。でか。超、でか」

(´・ω・`)「例えるなら…」

(・∀・ )「例えるなら、何?」

(´・ω・`)「……動物」

( ・∀・)「……漠然」


10:2008/12/20(土) 14:30:10.04 ID:
(-_-)「それにしても、変な動物」

(*゚∀゚)「動物か、あれ」

(-_-)「動物だろ」

(*゚∀゚)「動物かな」




人々は、遠くを見つめる。
そして、お互いの顔を見て首を傾げあった。


(,,゚Д゚)「……ケモノだな」

('A`)「ケモノかな」

从 ゚∀从「ケモノってか、ケダモノだな」

('A`)「ケダモノかな」

('、`*川「ケモノもケダモノも同じでしょ」

(´・ω・`)「例えるなら……」

( ・∀・)「例えるなら、何?」

13:2008/12/20(土) 14:36:06.44 ID:
从*゚∀从「ケモノに襲われるよりも、ケダモノに襲われて熱い一夜を過ごしたい!」



(´*・ω・`)*-_-)*'A`)*゚Д゚)*^ω^)うっふ~~~ん(・∀・*从゚∀*('、`*(゚∀゚*)



14:2008/12/20(土) 14:39:32.86 ID:
( ・∀・)「ケモノに襲われたら、死ぬな」

(-_-)「あれはケモノだ」

(*'∀`)「ケモノってか、ノケモノだなっ!」

(´・ω・`)「お前がな」


('A`)ウツダシノウ


('、`*川「馬鹿だよね」

( ;A;)「お前までノケモノに」

('、`*川「あのケモノが」

('A`)「何で」

('、`*川「だって、あんな単純な罠にかかるんだから」

一人の女がそう言った途端、辺りに騒がしい程の鎖と鈴の音が響き渡った。



動物「シーッ!」
15:2008/12/20(土) 14:42:16.51 ID:
(^ω^ )「静かに!」

(,,゚Д゚)「何だ」

( ^ω^)「聞こえるだろお?」

男の声に、その場にいる全員が口を閉じ耳を澄ませた。
鎖と鈴の音が収まり、かすかに洞窟を抜ける風のような音が聞こえてきた。


(,,゚Д゚)「聞こえる」

('、`*川「何の音だろう」

( ^ω^)「あいつの呼吸する音だお」

从 ゚∀从「こんな遠くまで聞こえて来るのか」

( ^ω^)「だって、あいつは怪物だから…」


16:2008/12/20(土) 14:45:16.02 ID:
村より少し離れた場所に、大きな家がある。
そこには村の長老が住んでいた。

今は村中の人々がソコに集まって、昨晩現れた大きな動物の話を思い思いに語っている。
しばらくすると、奥から長老らしき老人が杖を持って現れた。

しかし、村人達は話に夢中で気付かない。


( ФωФ)「うぉっほん、うぉっほん!」

村人「!!」


シーン……


( ФωФ)「報告を聞こう」

( ^ω^)「はい、長老。ぼくは昨晩、村の大きな罠の見張り当番でしたお。
でも、罠の近くで眠っていたんですお」

( ФωФ)「眠ることは許されておる」

( ^ω^)「鎖と鈴の音で目が覚めましたお。罠に掛かったのは……この近辺にはこれまで一度も現れたことのない動物ですお」

17:2008/12/20(土) 14:46:10.84 ID:
ん、頑張りなね
18:2008/12/20(土) 14:48:20.38 ID:
( ^ω^)「めちゃくちゃデカくて、他のどんな動物からも想像することの出来ないようなやつですお」

動物「それがまた、臭い!」

从 ゚∀从「あの臭いには耐えられません!」

一人の女が立ち上がり訴えるように叫ぶと、周りの村人達も口々にモンクを言い始める。



( ФωФ)「うぉっほん、うぉっほん」

村人「………」


シーン


( ФωФ)「死んだのか?」

从 ゚∀从「死んではいません。呼吸しています。
ここにいても、その音が聞こえます!」

村人1「そうなんです、聞こえるんです」

村人2「wwwぱねぇwwwマジ半端ねぇwww」

村人3「私男だけど、赤ちゃんが起きちゃうわ!」

( ФωФ)「うぉっほん、うぉっほん」
20:2008/12/20(土) 14:51:20.64 ID:
( ФωФ)「耳を澄ませてみよう」

長老が一言そう発すると、痛いほどの沈黙が訪れた。
そして、遠くからまたあの風のような音が聞こえてくる。



( ФωФ)「!!」

( ФωФ)「…生きておる」

(ФωФ )「罠の奥には尖った槍が何本も仕掛けてあるのに……」

( ФωФ)「矢を放て!!!」


21:2008/12/20(土) 14:54:06.33 ID:
人類は小さな球の上で
眠り起きそして働き
ときどき火星に仲間を欲しがったりする
火星人は小さな球の上で
何をしてるか 僕は知らない
(或いはネリリし、キルルし、ハララしているか)
しかし、ときどき地球に仲間を欲しがったりする
それは全く確かなことだ

万有引力とは
引き合う孤独の力である
宇宙はひずんでいる
それ故みんなはもとめ合う宇宙はどんどん膨らんでゆく
それ故みんなは不安である二十億光年の孤独に
僕は思わずくしゃみをした

22:2008/12/20(土) 14:57:05.48 ID:
( ^ω^)

(^ω^ )

( ^ω^)「変だお」

ξ゚⊿゚)ξ「何が?」

( ^ω^)「何って、分からないけど、何かが変」

ξ゚⊿゚)ξ「変なのはアナタよ」

( ^ω^)「あの怪物のせいだお」

ξ゚⊿゚)ξ「怪物って、何」

( ^ω^)「何って、何だお」

ξ゚⊿゚)ξ「何って何って何」

( ^ω^)「だから怪物」

動物「怪物ってなーんだ?」

  *
  |
~...(´゚ω゚`)


23:2008/12/20(土) 15:00:04.20 ID:

24:2008/12/20(土) 15:03:02.35 ID:
( ^ω^)「何か変だお」

ξ*゚ー゚)ξ「みんな、楽しいの」

( ^ω^)「みんな、あいつを見たからだお」

ξ゚⊿゚)ξ「怪物なんていないのよ」

(^ω^ )「ツンも見たのかお?」

ξ゚⊿゚)ξ「怪物なんていないから、怪物を見たことはない」

(#^ω^)「あの晩、殺そうとしたのに、死ななかった、あの怪物だお!」

25:2008/12/20(土) 15:04:20.06 ID:

_,
(,,゚Д゚)ギロ

('、`#川ギロ

(#゚∀゚)ギロ

('A`#)ギロ

  _,
从 ゚∀从ギロ

(-_-#)ギロ

  _,
( ・∀・)ギロ

26:2008/12/20(土) 15:07:03.86 ID:




( ^ω^)あれから一月。みんな、どんどん変になっていくお



27:2008/12/20(土) 15:10:21.52 ID:
(,*゚Д゚)「いい匂いだ」

(*'∀`)「本当だ。いい匂いだ」

( *・∀・)「花のようにいい匂いだ」

(*-_-)「花畑にいるように心が和むいい匂いだ」

(*゚∀゚)「あの動物の背中の花畑はなんて素敵なんだろう」

('、`*川「あの動物の灰色のごわごわした背中の花畑はウットリするようないい香りを放っていて、幸福にしてくれる」


川'‐`)ーДー)-_-)*ー∀ー)'A`)ー∀ー)スー…ハー


( ^ω^)

(^ω^ )スー……

(;ω; )ゲホッ!ゴホゴホ!!ゲホッ!!!
28:2008/12/20(土) 15:13:19.06 ID:
( ;ω;)「臭いおっ!」

ξ*゚ー゚)ξ「臭くない。いい匂い」

(#;ω;)「身体中臭い!髪の中、服の中、食べ物の中、君の中、全部臭いお!
あいつの匂いが移ってる!」


男に言われて、村人は首を傾げながらお互いの匂いを嗅ぎ始める。
29:2008/12/20(土) 15:14:12.13 ID:
支援
30:2008/12/20(土) 15:16:24.80 ID:
ξ゚⊿゚)ξ「臭い?」

(,,゚Д゚)「無臭」

('A`)「無臭」

( ・∀・)「無臭」

('、`*川「無臭」

(-_-)「無臭」

(*゚∀゚)「無臭」

動物「無臭!」

( ^ω^)「臭くないのかお」

ξ゚⊿゚)ξ「結論。それは妄想。あの動物から花の匂いをとったら無臭」

( ^ω^)「あいつの呼吸する音は?」

ξ゚⊿゚)ξ「それは聞こえる」

( ^ω^)「イライラするお。一日中」

ξ*゚ー゚)ξ「ほっとするわ」
31:2008/12/20(土) 15:18:07.62 ID:


女の言葉を切っ掛けに人々はウットリと耳を澄ます。
呼吸音は以前とは比べものにならないほど、大きく、騒がしくなっていた。

男は思わず耳をふさいだ。
32:2008/12/20(土) 15:18:13.75 ID:
おもすれー

>>32
本当ですか!頑張ります!  
33:2008/12/20(土) 15:20:15.93 ID:
(∩;ω;)「うわーっ!」

ξ゚⊿゚)ξ「耳を塞ぐか、鼻をつまむか、どっちかにしたら?」

(∩;ω;)「これに耐えられるのかお?」

ξ゚⊿゚)ξ「耐えるも何も耐えられないのはアナタだけよ」

女はそう言って、村人達と共に、動物の方へフラフラと歩いていく。

34:2008/12/20(土) 15:24:44.21 ID:
( ;ω;)「行くなお!」

ξ゚⊿゚)ξ「変わっちゃったね、一月で。変わった、変」

( ;ω;)「変に変わったのはこの村だお!」

(*'∀`)「変わってないよ、村は」

(,*゚Д゚)「あの動物がやって来たことくらいだろ」

( ;ω;)「それが変わったって言ってるんだお!」

('、`*川「でも変じゃないよ」

(m9;ω;)「よく見ろお。変だお、あいつ」

(*゚∀゚)「どこがさ」

( ;ω;)「どんどん大きくなってるお」

(*-_-)「場所ならたっぷりあるよ」

( ;ω;)「場所はね。でも、あいつが食べる量は増えてる!」

35:2008/12/20(土) 15:26:52.32 ID:
wktkできそうだ。あとで読む
頑張れ

あの詩は小学校で習うから覚えてる奴結構いるぜ
38:2008/12/20(土) 15:30:59.71 ID:
>>35
周りの人に聞いても知らないっていう人が多くかったから…

かなり嬉しい
36:2008/12/20(土) 15:27:34.32 ID:
( ;ω;)「どんどん臭くなってるし、どんどんうるさくなってる!!」

( ・∀・)「お前、やっぱりちょっと変」

(#;ω;)「あいつ、人間を喰うんだお!!!!!」

(,,゚Д゚)「行こう」
39:2008/12/20(土) 15:34:47.14 ID:
人々は叫ぶ男と女を残して、動物の元へと去っていった。
男は崩れ落ちて涙を溢した。

女はじっとソレを見つめ、口をゆっくりと開いた。
40:2008/12/20(土) 15:37:02.37 ID:
ξ゚⊿゚)ξ「そういう言い方、やめて。実に不愉快」

( ;ω;)「は?」

ξ#゚⊿゚)ξ「彼だって、そんなつもりはなかったのよ!!」

( ^ω^)「は?」

ξ;゚⊿゚)ξ「あの人はうっかりして、動物の口の前にいた。動物はただ口を閉じた」

ξ;゚⊿゚)ξ「ただそれだけのことよ。ね、動物に悪意はないでしょ?」

( ^ω^)「ツン、変なこと言ってるお」

ξ#゚⊿゚)ξ「動物は、自分じゃ動くことも出来ないのよ!!」

ガシャン ガラガラガラ

ギャアアアアアアアアアア
42:2008/12/20(土) 15:40:02.93 ID:
(;゜ω゜)「ほほほほらっ!」

ξ*゚ー゚)ξ「楽しそう」

( ;ω;)「時々、足の下に子供を押し潰すだお?」

ξ゚⊿゚)ξ「母親がしっかり子供たちを見張っていないからでしょ」

( ;ω;)「変だお!」

ξ*゚ー゚)ξ「恋よ」

( ^ω^)「恋?」

ξ*^ー^)ξ「だって、私彼が大好きなんだもの」
44:2008/12/20(土) 15:43:14.11 ID:

45:2008/12/20(土) 15:45:02.30 ID:
最近は対象年齢が高めのブーン系が増えてきたな
面白い、支援!
46:2008/12/20(土) 15:46:10.70 ID:
ξ゚⊿゚)ξ「みんなも彼のことが好き。アナタ以外、みんな彼のことが好き」

ξ゚⊿゚)ξ「だから、変なのはアナタ。別れましょう」

( ^ω^)「は?」

ξ゚⊿゚)ξ「だって、変な人とは付き合えないもん」
47:2008/12/20(土) 15:50:13.79 ID:
( ^ω^)「!!」

( ^ω^)「一人減ってるお」

( ・∀・)(,,゚Д゚)(-_-)从 ゚∀从(*゚∀゚)('、`*川


アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ハハハハハハハハハハハハ
49:2008/12/20(土) 15:53:14.65 ID:
( ∩∀・)「あいつ、うっかり動物の口の中に入っていっちゃってさぁ」

人々は一歩ずつ男に迫り寄ってくる。
男は背筋に寒気を覚えて、人々の間をすり抜け動物を見た。

(;^ω^)「あいつまたデカクなってるお。人間を喰ったからだ」

ξ゚⊿゚)ξ「確かにそうだわ」

(^ω^;)「あいつのせいで、家を全部建て替えたんだお」

(;^ω^)「このままだったら、また家を立て直さなきゃならなくなるお!」

ξ゚⊿゚)ξ「彼もいつかは大きくなるのをやめるでしょうよ」

(^ω^;)「何でそんなことが分かるんだお!」

ξ゚⊿゚)ξ「だってそうじゃなきゃ、私達の住む場所がなくなっちゃうでしょ」

50:2008/12/20(土) 15:56:21.89 ID:
もうどうにでもな~れ

51:2008/12/20(土) 15:59:23.81 ID:
ξ*゚ー゚)ξ「ごめんね」

( ^ω^)「え」

ξ゚⊿゚)ξ「別れるなんて言って」

( ^ω^)「別れないのかお」

ξ゚⊿゚)ξ「別れない」


女はそう言うと、殆んどタックル同然で男に抱きつき、その場で男を押し倒した。

ξ*゚ー゚)ξ「いい匂い。嫌なことは全部忘れて、幸福ぬなれる匂い」

(;^ω^)「くぁwせdrftgyふじこlp;」

ξ*゚⊿゚)ξ「今日のわたし、何か変」

( ^ω^)「わお」

ξ*゚ー゚)ξ「明日、一緒に彼に会いに行きましょうね」

( ^ω^)「…………」



( ^ω^)変だとは思うけど、今の幸福に酔いしれて、それはまた明日考えよう
52:2008/12/20(土) 16:00:35.30 ID:
支援
53:2008/12/20(土) 16:01:45.13 ID:
子供は一週間たてば
一週間ぶん利口になる
子供は一週間のうちに
新しいことばを五十おぼえる
子供は一週間で
自分を変えることができる大人は一週間たっても
もとのまま
大人は一週間のあいだ
同じ週刊誌をひっくり返し
大人は一週間かかって
子供を叱ることが出来るだけ
54:2008/12/20(土) 16:04:08.51 ID:
暗闇の中、男と女は隣に座っていた。
遠くから小さな鈴の音が一定のリズムで刻まれているのが聞こえる。

ぼんやりと遠くを見ていると、村人達が一基の棺をかついでコチラにやってくるのが見えた。



棺はゆっくりゆっくりと男達に近付き、やがて男の目の前に棺を下ろした。
56:2008/12/20(土) 16:08:22.99 ID:
( ^ω^)「誰が死んだんですかお」

(,, Д )「誰も死んじゃいない」

(  Д )「死んだんじゃない」



( ・∀・)「生まれたんだ!」


   ヽ('A`)ノ
    ノ ノ バブー!!


(-_-)「怪物の赤ん坊が!」

動物「かわいい!!」

('A`)「バブー」
57:2008/12/20(土) 16:10:25.85 ID:
不覚にもワロタ
支援
58:2008/12/20(土) 16:11:56.47 ID:
ドクオwww
59:2008/12/20(土) 16:12:17.17 ID:
('A`)「ばぶばぶ」

ξ゚⊿゚)ξ「かわいそうに、おなかがすいてるのね」

女が男の傍から離れ、赤ん坊を抱き締める。
そして、服をたくしあげオッパイを与えようとした。


(;゜ω゚)「やめるんだお!!」

ξ*゚ー゚)ξ「どうして?」

(;゜ω゚)「どうしてって、それは怪物の赤ん坊だお!?」

ξ*^ー^)ξ「可愛いわよ。アナタも抱いてあげて」


(;゜ω゚)「うっ、うわあああああああ!!」 


バチっ 

60:2008/12/20(土) 16:15:02.37 ID:
('A`)「バブー…」

(#・Д・)「お前、わざと落としたな!」

从#゚Д从「抱きたくないのか。嫌なのか!」

(*゚∀゚)「殺せ、殺してしまえ!」


( ;ω;)「うわあああああああ、やめてくれお!放してくれお!!」


(,,゚Д゚)「赤ん坊にちょうどいい食べ物だ」

('A`*)「バブーバブー」

(-_-)「たっぷり食べなさい」


赤ん坊は嬉々として男に襲いかかった。
その牙が男に届く瞬間………


世界の時が止まった
61:2008/12/20(土) 16:18:05.38 ID:
男は鳥になっていた。
白い、鳥に。

まるで醜いアヒルの子が美しい白鳥になったかのように。

遥か下には村人と、かつての恋人がいた。
遠く離れているハズなのに、その声はハッキリと耳に届いた。
62:2008/12/20(土) 16:21:08.00 ID:
ξ゚⊿゚)ξ「どこへ行くの」

ナンダ

⊂二二二( ^ω^)二二二⊃


ここじゃない所に行く

トリダ

ξ゚⊿゚)ξ「そんな場所なんてない」 トリダ

オトコ ガ トリ ニナッタ

ドコヘ イクンダ

⊂二二二( ^ω^)二二二⊃

もう一つの世界へ行く

モウヒトツノ セカイ
モウヒトツノ セカイ
モウヒトツノ セカイ

ξ゚⊿゚)ξ「もう一つの世界なんて何処にもない!」
63:2008/12/20(土) 16:24:14.21 ID:
⊂二二二( ^ω^)二二二⊃

あるさ。ぼくにはね。
ぼくだけしか行けないけれど、ここ以外に世界はもう一つある。

影のない、怪物のいない世界だ


ξ;゚⊿゚)ξ「そっちへ行っちゃ駄目!落ちるわよ!」

⊂二二二( ^ω^)二二二⊃


「ぼくは鳥なんだよ?」


64:2008/12/20(土) 16:26:30.06 ID:
鳥は空を名付けない

鳥は空を飛ぶだけだ

鳥は虫を名付けない

鳥は虫を食べるだけだ

鳥は愛を名付けない

鳥はただふたりで生きてゆくだけだ


65:2008/12/20(土) 16:26:36.48 ID:
支援します。

なんかいい感じの雰囲気で好きだな
67:2008/12/20(土) 16:28:12.39 ID:
鳥は歌うことを知っている
そのため鳥は世界に気付かない
不意に銃声がする


小さな鉛のかたまりが鳥を世界から引き離し鳥を人に結びつける


そして人の大きな嘘は鳥の中でつてましい真実になる
人は一瞬鳥を信じる


だがその時にさえ、人は空を信じない
そのため人は鳥と空と自らを結ぶ大きな嘘を知らない


人はいつも無知に残されて
やがて死の中で空のために鳥にされる

やっと大きな嘘を知り やっとその嘘の真実なのに気付く


68:2008/12/20(土) 16:30:04.18 ID:
鳥は生を名付けない

鳥はただ動いているだけだ

鳥は死を名付けない

鳥はただ動かなくなるだけだ



空はいつまでも広がっているだけだ


69:2008/12/20(土) 16:32:06.34 ID:
( ^ω^)「という夢を見ましたお」

( ФωФ)「他の世界などありはしないぞ」

( ^ω^)「生命の……終わった後の世界もですか?」

( ФωФ)「つまり、死のことか?」

( ^ω^)「死があって、そのあとに続く別の世界」

( ФωФ)「……………」

( ^ω^)「……………」

70:2008/12/20(土) 16:34:29.08 ID:
( ФωФ)「なぜ死にたいと思うのか」

( ^ω^)「怪物のせいですお。ぼくはあいつを憎んでいます」

( ФωФ)「他の者は皆、あれを好きになっておるぞ」

( ^ω^)「長老も?」

( ФωФ)「我輩は、あいつが不幸をもたらすことを知っているからな」

( ^ω^)「それなら、どうして行動を起こさないんですかお!」

( ФωФ)「みな、あれの味方だ。年寄りひとりじゃ無理だ」

( ^ω^)「あなたはひとりじゃありませんお。僕はもう此処では生きていけません」

( ФωФ)「………」

72:2008/12/20(土) 16:36:57.80 ID:
( ФωФ)「聞け。怪物のいない世界、そこは死後の世界ではなく、この地上で、我々のこの世で見い出すのだ」

( ФωФ)「お前の夢は、お前が怪物に打ち勝つことを意味しているのだ」

( ^ω^)「どうして、僕なんでしょうかお?」

( ФωФ)「お前はこれまでに怪物の背中の花の香りを嗅いだことはあるか?」

( ^ω^)「いいえ、一度も」

( ФωФ)「それこそがお前の強みだ。あの花々の香りを嗅いだことのないのは、我輩を別にすれば唯一お前だけなのだ」

( ^ω^)「あの花の香りを嗅いだらぼくの負けですお」

( ^ω^)「ぼくもみんなと同じようにやつのことが好きになり出しますお」

( ФωФ)「怪物に勝つのはお前だ」

( ^ω^)「…………どうすればいいんですかお」
73:2008/12/20(土) 16:38:55.04 ID:
支援
74:2008/12/20(土) 16:40:25.90 ID:
To be, or not to be, that is the question.

ハムレット、 第三幕第一場

やるか、やらないか、それが問題だ
じっと耐え抜くか、戦って負けるか
死ぬことは━━━眠ること、たったそれだけ
眠れば全てが終わる
死ぬ。眠る
眠る、多分、夢を見る━━どんな夢だ?
眠るのが怖い━━だから、起きている
起きているのは大変なこと
集団は面倒だ
国はぐちゃぐちゃだ
気に入らぬ奴がいる
恋はそう上手くはいかない
テレビでは今日も人殺しのニュース
僕らはじっと我慢する
死んだらどうなるんだろう
想像がつかない
だから僕らは起き続ける
怖いから
怖いから
我慢して起きているほうがずっといい
でも人はいつか眠る
じゃあ 起きているうちに何をする?
考えてるだけじゃ 何も動かない
すごいことを考えても 何も変わらない

To be, or not to be, that is the question.
75:2008/12/20(土) 16:42:20.54 ID:
( ^ω^)「それにしても、ちっちゃいお」
  _
( ゚∀゚)「随分ちっちゃいな」

( ^ω^)「ちっちゃくて、見えないくらいだお」
  _
( ゚∀゚)「いや、見えなくはないぞ」

( ^ω^)「見えないくらい、ちっちゃくなったってことだお」
  _
( ゚∀゚)「…そうだな」

    _
~...( ゚∀゚) ヨタヨタ


( ^ω^)「行くなお」
  _
(゚∀゚ )「いいじゃん」

( ^ω^)「ルールだお」
  _
(゚∀゚ )「頼むよ」



    _
~...( ゚∀゚) ヨタヨタ
78:2008/12/20(土) 16:44:03.15 ID:
( ^ω^)「殺すお」
  _
(゚∀゚ )「頼むよ」

( ^ω^)「冗談じゃないお」
  _
( ゚∀゚)「冗談じゃないのは分かってる。お前はツンも殺した。両親も殺した。皆殺した」

( ^ω^)「…………」
80:2008/12/20(土) 16:46:19.90 ID:
( ^ω^)「あいつらは誘惑に負けていったんだお」

( ^ω^)「怪物に近づこうとしたお。ぼくはあいつらを殺した。一人残らず」

( ^ω^)「怪物を消滅させるためだった。」

( ^ω^)「そして、ぼくは成功したんだお」

( ^ω^)「あと数日で、怪物の姿は跡形もなくなるんだお!」
81:2008/12/20(土) 16:47:29.87 ID:
  _
( ゚∀゚)「それが何の役に立つんだ。もう誰ひとり残っていないぞ」

( ^ω^)「え」
  _
( ゚∀゚)「残っているのは長老と、お前と、俺だ」
  _
( ゚∀゚)「だけど、おれはもう生きていたくない。幸福が味わえないなら」

( ^ω^)「幸福?」
  _
( ゚∀゚)「お前はな、幸福を一度も味わったことがないんだ。花の香りから生まれていた幸福」

(#^ω^)「そんなものは味わったことがないお!」
  _
(゚∀゚ )「だから、お前は情けを知らないんだ」
  _
( ゚∀゚)「憎しみしか知らない」
82:2008/12/20(土) 16:48:27.96 ID:
支援
83:2008/12/20(土) 16:48:27.98 ID:
(#^ω^)「憎しみがなかったら、怪物には勝てなかったお!」

  _,
( ゚Д゚)「怪物はお前だ!」

  _
( ゚∀゚)「何ヵ月も前から、お前のしていることといったら殺すことばかりだ」

(#゜ω゚)「ぼくは、この世界を救ったんだ!!」

    _
~...( ゚∀゚) ヨタヨタ
84:2008/12/20(土) 16:49:58.00 ID:
(#゜ω゚)「行くな。本当に殺すお!!!」

  _
( ゚∀゚)「殺す前に、もう一度、怪物の花の香りを嗅がせてくれ。最後にもう一度、幸福を味わわせてくれ」


(#゜ω゚)「そんなことをしたら、怪物がお前を喰って、また成長するお!」

(#゜ω゚)「僕はまた何ヵ月も待たなきゃならない……もうほんの少しで奴は消滅するんだ!!!!!」


あぁあぁぁぁぁああぁあ━━━━━━━━!!!

85:2008/12/20(土) 16:50:44.58 ID:
とても明るい日だった。


辺り一面がひまわり畑になっている花畑に男は立っている……


その周りを動物が嬉しそうに駆け回っていた。

87:2008/12/20(土) 16:52:47.48 ID:
素直に考えさせられるな
88:2008/12/20(土) 16:57:56.36 ID:
以上で『( ^ω^)怪物のようです』を終わります。
途中に入ってる詩は谷川俊太郎とハムレットに使われてる台詞です。

この話の元はアゴタ・クリストフの戯曲『怪物』を元に書いてみました。
村人の頭に咲いているのは花です。

ちょっと用事があるのでコレで落ちます。
もし9時過ぎてもスレが残っていたら質問など受け付けたいと思っています。


支援してくれた方有り難う御座いました。

89:2008/12/20(土) 16:59:10.24 ID:
乙ー!!
91:2008/12/20(土) 17:01:22.43 ID:

よくわからん世界だ
92:2008/12/20(土) 17:06:02.99 ID:
わからんかったがこういう詩とかを引用して雰囲気出した作品は好きだ
93:2008/12/20(土) 17:16:49.12 ID:
おつ、よかった!
言われてみれば20世紀演劇のテーマっぽいな
97:2008/12/20(土) 18:23:37.20 ID:
はっきりとした結末は書かれていないが、それはこちら側で推測するいい材料になる
99:2008/12/20(土) 19:41:09.23 ID:
結末は自前で用意しろって事だな
元スレ: