1:2015/08/22(土) 01:09:14.86 ID:
あれは1年前、札幌記念の日のことだった

俺と彼女は朝7時に駅で待ち合わせをし札幌競馬場へと向かった

すでに行列ができており俺たちもそこに列んだ

俺は彼女に競馬についての簡単な薀蓄を語りながら開門の時間を待っていた

2:2015/08/22(土) 01:14:50.26 ID:
そして開門の時間がやってきた

俺は入り口付近でエアグルーヴという馬が表紙に描かれたオリジナルノートを係員から受け取ると良い座席をゲットするために一目散にダッシュした
3:2015/08/22(土) 01:16:04.53 ID:
けつが開門したのか
4:2015/08/22(土) 01:21:10.39 ID:
もちろん良い座席を狙っているのは俺だけではない
競馬場内は我先にと観客席へ走って向かう人で溢れていた

座席は瞬く間に間に埋まり俺もなんとかそこそこ見やすい席をゲットすることができた

そして席に荷物を置くと電光掲示板正面の芝の上で彼女が入ってくるのを待った
5:2015/08/22(土) 01:21:51.02 ID:
うんこたれぞう

6:2015/08/22(土) 01:26:18.41 ID:
彼女と合流すると俺たちは陣取った席へ向かった

一つの席には俺の鞄、もう一つの席にはスポーツ新聞とアクエリアスが入ったペットボトルを置いておいた

彼女もその席を気に入ったようでしばらくコースを眺めながら「右から左に向かって馬が走ってくるんだよ」等と彼女にレースについての簡単な説明をした

これから楽しい一日が始まる

俺のテンションは上がっていた
7:2015/08/22(土) 01:33:41.97 ID:
そんなこんなで時間が経ち第1レースのパドックが始まった

俺と彼女もパドックを見に行った

「すごーい、大きい!」彼女が馬を見て言った

俺は第1レースから買う気満々でいつものように出走馬の馬体と新聞を交互に見ながらマークシートの番号に印をつけつつ彼女の話を聞いていた
9:2015/08/22(土) 01:40:03.37 ID:
すると彼女が言った

彼女「あっ、あの馬うんちした!」

俺「あー、あれはね、ボロをするっていうんだよ」

俺「そんなに珍しいことではないし、ボロをしたからと言って体調が悪いとかではないんだよ」

何気なく交わしたこの会話

まさかこの後俺自身がボロを漏らすことになるとは想像もしていなかった
10:2015/08/22(土) 01:48:33.85 ID:
パドックを見たら馬券を購入して座席に戻りレースが始まるのを待つ

本馬場入場のBGMを聴きながら俺は自分が立てた予想のあれこれを彼女に説明する

彼女も自分が気に入った馬の単勝馬券を購入していた

この本馬場入場が終わってレース開始を待っている時間が一番ワクワクするといっても良い時間だ
11:2015/08/22(土) 01:51:27.62 ID:
レースが始まる

まだ1レース目にも関わらず大観衆が歓声を上げた

さすが札幌記念の日

この日の来場者数は最終的に4万人を超えている
12:2015/08/22(土) 01:56:53.99 ID:
第1レースの結果

俺は3連複を買っていたが軸にした馬が2頭とも馬券外に飛んでしまった

彼女は見事単勝を的中させた

あんなに偉そうにあれこれ語っていた自分が少し情けなくなった
15:2015/08/22(土) 02:00:55.69 ID:
そんなこんなでレースは次々と行われていった

俺にはまだ当たりがなかった

11時頃に売店で昼ご飯とつまみとビールを買い席に座り空腹を満たす

良い具合にほろ酔いになった俺は彼女を席に残しビールを買い足しに行った
17:2015/08/22(土) 02:10:16.96 ID:
ビールを買いに行く途中で後ろから肩を叩かれた

中山雅史似の職場の先輩だった(以下、ゴンさん)

奥さんも一緒だった

ゴンさん「どう?儲かってる?」

俺「いやー、全然ダメっすね」

ゴンさん「彼女と来てんだろ?」

俺「はい、一緒です」

ゴン「俺今日勝ってるからさ、おごったるわ」

ゴンさんはすでにボチボチ酔っていたようで俺に2つビールを奢ってくれた
18:2015/08/22(土) 02:14:21.25 ID:
紙パックのビールを両手に抱え俺は席に戻った

彼女はビールを飲まないのでこのビールは必然的に俺が飲むことになる

もちろん有難い話なのだが・・・

席に戻ると彼女はレーシングプログラムを見ていた

そこで俺もそのレーシングプログラムを覗き込みながらまた薀蓄を語り始める
19:2015/08/22(土) 02:15:22.39 ID:
見てるぞ
20:2015/08/22(土) 02:18:41.63 ID:
だいぶ酒も回ってきて良い気分だった

俺たちは第5レース2歳新馬戦のパドックを見に行った

そのレースには今年の桜花賞馬であるレッツゴードンキが出走していた

ここでようやく俺の予想が当たることになる
21:2015/08/22(土) 02:19:26.84 ID:
早く漏らせよ
22:2015/08/22(土) 02:24:45.98 ID:
俺「あのキンカメ産駒なかなか良さそうだな」

レッツゴードンキの馬体を見て俺は言った

しかし実際は馬体を見ても殆ど何もわからない

血統だけで買いだと判断したも同然である

俺「よし、この馬から馬連で人気薄に流そう」

俺は馬連、彼女は別の馬の単勝を買い席へと戻った
23:2015/08/22(土) 02:27:53.70 ID:
結果、第5レースはレッツゴードンキの圧勝

見事俺はその日初の馬券を的中させた

俺のテンションは最高潮に達していた

彼女「ソフトクリーム食べたい」

俺「買ってくるわ」

俺はソフトクリームを買いに売店へ行った
24:2015/08/22(土) 02:31:18.33 ID:
はやくしろ
25:2015/08/22(土) 02:31:40.61 ID:
ソフトクリームを買って席に戻り二人で食べた

俺のビールはまだ残っておりソフトクリームをつまみにしながらそのビールを飲んだ

なんとも変な組み合わせだがそれがとても美味く感じた

これが俺の腹に致命的なダメージを与えたのだろうか?

今はもうわからないが間違いなく俺の腹の中はヤバイことになっていた
26:2015/08/22(土) 02:34:59.15 ID:
それから数時間が経った

俺の腹にはまだ異常が現れてはいなかった

しかし着々とその時間は近づいていたのである

メインレース札幌記念のパドックが始まる数分前のことだった
27:2015/08/22(土) 02:43:25.14 ID:
第7レースでも馬単を的中させわりと調子の良かった俺はあの後もビールを買い足して飲みまだノリノリだった

しかしメインレースのパドックに向かう途中突然便意をもよおした

俺「ちょっと腹痛いからトイレ行ってくる。先にパドック見てて」

俺は彼女にそう言い残すと急いでトイレへ向かった

しかしなんということだろう

すでに先客で満杯だった
28:2015/08/22(土) 02:46:29.78 ID:
トイレから一旦出てパドックのほうに目をやると人で溢れかえっており彼女の姿を確認することはできなかった

そして再びトイレへ戻る

しかし限界は近かった

まだか・・・まだか・・・

俺は祈るような気持ちでドアが開くのを待っていた
29:2015/08/22(土) 02:49:53.42 ID:
しかしドアは開かない

うっ・・・

ついに限界が来たのだ

ブリュ・・・

終わった

祈りは届かなかったのである
30:2015/08/22(土) 02:53:07.86 ID:
それから数秒後だった

水を流す音と同時に顔を真っ赤に染めた見るからに酔っぱらいのおっさんがドアを開けて出てきた

おっさん「ふぅ・・・」

俺はこのおっさんを憎んだ

おっさんは何も悪くないけれどこのおっさんのせいにするしかなかった
31:2015/08/22(土) 02:57:04.01 ID:
ここで用を足してもこのまま彼女のところには戻れない

俺はとっさに競馬場の出口へ向かった

人目を気にしながら人混みをそそくさとすり抜けた

少なくとも俺とすれ違う際に鼻をつまむ人間はいなかった

俺は競馬場を後にすると近くのイオンへ向かって走り出した
32:2015/08/22(土) 03:02:52.81 ID:
なんとも不自然な格好で走っていたことだろう

もうすぐ札幌記念が始まってしまう

しかしそれよりも優先しなければならないことが今俺にはある

馬に向かって「差せ!」「残せ!」などと叫んでいた自分がこんな無様な体勢で走ることになろうとは・・・

「レッツゴー便器!レッツゴー便器!」

そのときの状況では到底笑えないようなそんな言葉が頭の中を駆け巡っていた
33:2015/08/22(土) 03:07:34.05 ID:
イオンに着くと真っ先に用を足した

水を流しその後何度もパンツを濯いだ

運良くチノパンのほうにはそれほど染みていなかった

しかしこれももう履くわけにはいかない

俺はパンツを絞ってゴミ箱の中に捨て直にチノパンを履いた
34:2015/08/22(土) 03:13:46.10 ID:
下着売り場でボクサーパンツを買いトイレに駆け込んですぐにそれを履いた

そして次は服売り場へ行き今履いているチノパンになるべく近い物を買った

そして今まで履いていたチノパンをゴミ箱の中に捨てた

掃除のおばちゃん、申し訳ない・・・

すでに彼女からは何通かLINEにメッセージが入っていた

俺はようやくそこで彼女に連絡を入れた

「ごめん、競馬場のトイレ空いてなかったからイオンまで行ってた」
35:2015/08/22(土) 03:17:21.27 ID:
「大丈夫?」

彼女が何かを察したのかはわからないがその言葉が嬉しかった

すでに札幌記念は終わっている時間だ

俺はケータイで結果を見て思った

ああ、買わなくて正解だったな・・・

彼女はちゃんと馬券を買えただろうか
36:2015/08/22(土) 03:21:44.74 ID:
彼女のところへ戻ると彼女は笑顔だった

彼女は今朝からハープスター1着、ゴールドシップ2着固定の三連単を買うと決めていた

しっかり3着のホエールキャプチャも押さえていた

見事三連単的中である

彼女はあえて俺に何があったのかは聞かなかった
37:2015/08/22(土) 03:25:26.72 ID:
今も彼女とは付き合っている

そして明日の札幌記念も二人で見に行く予定である

今年は無事札幌記念を一緒に見られるように祈るばかりだ

ビールは明日の夜まで我慢だ




38:2015/08/22(土) 03:31:41.54 ID:
意外と濃い内容でワロタ
元スレ: