201:2011/02/20(日) 22:01:31 ID:
※前スレ→( ゚∀゚)人はその男を『決闘』と呼ぶようです


第三章:英雄は色を好み、海賊は甘い血を舐める




イ从;゚ ー゚ノi「はぁ……はぁ……!!」

イ从;゚ ー゚ノi「こ、ここまでくれば……大丈夫…!」

イ从;゚ ー゚ノi「はぁ……はぁ……はぁ……」

イ从;ー;ノi「誰か……!!助けて……」

イ从;ー;ノi「こんなところで……死にたくないよお……」

「…………あ~!!」

イ从;ー;ノi「!!」

(  )「みーつけった!」

イ从;ー;ノi「い、いやああああああああああああああああああああああああ!!」

( e')「い、いやああああああああああああああああああああああああw」



( e')「あああああああああああああっはははははははは!!」

202:2011/02/20(日) 22:04:54 ID:
ξ゚⊿゚)ξ『ごめんねジョルジュ。私この人と結婚するから』
  _
( ;゚∀゚)『な…何言ってんだよ……ツン』

( ・∀・)『モララーです。貴族でイケメンです』
  _
( ;゚∀゚)『おい、やめろよ!!ツンなあ…ツン』

ξ゚⊿゚)ξ『そういう事だから。じゃあね。さ、行きましょうモララー様』
  _
( ;゚∀゚)『行くなツン!!俺は…お、俺はお前の事が……!!』




ξ゚⊿゚)ξ『…………』







ξ゚⊿゚)ξ『ウザ……』

203:2011/02/20(日) 22:12:05 ID:
_
( ;゚∀゚)「ツン!!」



  _
( ;゚∀゚)「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ」
  _
( ;゚∀゚)「…………………………夢?」
  _
( ;゚∀゚)「………………………………」


  _
( ;∀;)「………………」






夢であってほしかった。

204:2011/02/20(日) 22:17:23 ID:
俺は辺りを見渡す。
気が付けば俺はベッドに寝ていた。
見たことも無い部屋。
真新しい家具がいくつも並び、壁も汚れ一つなく綺麗だ。

家具や窓際に洒落た人形の置物がいくつも並んでいた。
しかしこの部屋からは生活感がまるで感じられない。
  _
( ゚∀゚)「……誰だ?」

よく見ると俺の体にはしっかりと包帯が巻かれていた。
手当もされており、傷口には消毒が施されている。
一体誰が……?
  _
( ;゚∀゚)「ん…んー?」

昨日の夜の記憶を辿る。
たしか俺は昨日『海底』と……。
  _
( ;゚∀゚)「そうだ!……きょじっ……!!」

その時、無意識に跳ね上がってしまった為に体のあちこちが痛みだした。
昨日負った傷がフラッシュバックする。

205:2011/02/20(日) 22:21:29 ID:
ふむ

206:2011/02/20(日) 22:22:33 ID:
_
( ;゚∀゚)「痛っ!!…………………あっ」

昨日、俺は巨人の強襲に遭い叩きのめされた。
最後に海に落ちたのは覚えている。
しかしそこで俺の意識はプッツリと途絶えてしまった。
  _
( ゚∀゚)「『楽譜』か……?」

あいつが助けてくれたのだろうか。
しかしあいつがこの街に部屋を持っているとは考えにくい。
安静させるとしたら船に連れていくはずだ。
  _
( ゚∀゚)「!!」

そう考えている最中、徐にドアが開いた。
俺はとっさに身を構えた。
もしかしたら『巨人』の手中に置かれているのかもしれない。
油断はできない。

ζ(゚ー゚*ζ「あっ……起きたんですね?」
  _
( ゚∀゚)「………………あ?」

予想外にも入ってきたのは女性だった。
『楽譜』かと考えていたせいで一瞬誰だか分からなかったが、次の瞬間には港で会った女性だと分かった。

207:2011/02/20(日) 22:25:37 ID:
_
( ゚∀゚)「……あんたが助けてくれたのか?」

ζ(゚ー゚*ζ「ええ。昨晩波に揺られているところを偶然発見しまして」
  _
( ゚∀゚)「そうか……世話になったな」

この女とはやけに度々会うようだ。
そういえばこの街に戻って来た時、初めて会ったのも彼女だ。

ζ(゚ー゚*ζ「いえいえ………私も助けられました。おあいこですよ」

そう言うと、彼女は持っていたトレイをテーブルに置き、乗せた器を俺の元へと運んできた。

ζ(゚ー゚*ζ「これを飲んで元気を付けてください」

まろやかな香りが俺の鼻の奥を刺激する。
そこで俺は昨日丸一日何も食べていなかった事を思い出した。
『海底』探しに熱が入りすぎたようだ。
  _
( ゚∀゚)「おいおい…なんだこれ。うまそうだなおい」

ζ(゚ー゚*ζ「私の手作りです。お口に合わないかもしれませんが……」

208:2011/02/20(日) 22:30:31 ID:
_
( ゚∀゚)「いや、今かなり腹が減っててな。多分、まずくても完食すると思うぜ」

彼女から木のスプーンを受け取り、スープの中へ沈める。
スプーンが退けた隙間から暖かい湯気が現れ俺の顔に当たる。
直に鼻に当たった香りが更に俺の食欲を沸き立てる。
俺は一心不乱にシチューを掻き込んだ。
  _
( ゚∀゚)「おお、うめえ!」

味が深く染み込んだ株の肉、柔らかく噛みごたえのあるジャガイモ、甘いアクセントとなったニンジン、
そして脂が程よく詰まった羊の肉が口の中でクリームと絡まるように流れ込む。
こんなに上手いと思ったシチューは初めてだ。
空腹のせいもあるが、やはり作り手の腕が良いおかげだろう。

ζ(゚ー゚*ζ「そうですか。それはよかったです」

ζ(゚ー゚*ζ「それと…洋服に数ヶ所破けた個所があったので直しておきました」

ニッコリと彼女は微笑んだ。料理も上手く、裁縫も出来て、言葉遣いも良い。そして何より素敵な笑顔を持っている。
身なりはあれだが、それは階級のせいだろう。
身分など気にしない海賊の俺にとっては2段も3段も彼女が素晴らしく見える。
  _
(* ゚∀゚)「……………………」



天使はここにいたのか。

209:2011/02/20(日) 22:32:46 ID:
乗り換えはやいwww

210:2011/02/20(日) 22:34:01 ID:
_
( ゚∀゚)「おっと………これくらいにしておくか」

結局俺は計4回おかわりを貰い、腹を満たした。
食べれば食べるほど次を欲するようになる。
いかんいかんと思いながらも口に入れ続けた。

ζ(゚ー゚*ζ「そうですか?もっと食べても良いんですのに」
  _
( ゚∀゚)「いや、これ以上食べるとここに根付きそうだ」

そう言うと彼女はクスクスと笑った。
何時振りだろう。
女性と談笑したのは。

ζ(゚ー゚*ζ「そう言えば、自己紹介がまだでしたね」
  _
( ゚∀゚)「そう言えばそうだな」

彼女はデレと名乗った。
たった一人でパン屋を経営しているらしい。
涙ぐましい話だ。
  _
( ゚∀゚)「俺はジョルジュ・キッド。まあ、海賊だな」

212:2011/02/20(日) 22:39:20 ID:
ζ(゚ー゚*ζ「ジョルジュ様の噂はかねがね聞いております。なんでも街の英雄だとか」
  _
( ゚∀゚)「英雄はこの街を拠点にしてる海賊全員だ。アイツらはこの街の市民を守る義務がある」

ζ(゚ー゚*ζ「まあ。それは頼もしい限りですね」
  _
( ゚∀゚)「まあそれでも住民の奴らからの評判は悪いがな」

俺の回答にデレはクスクスと笑った。
楽しい。
彼女と話しているときに真っ先に沸いた感情だ。
女性と話す新鮮さもあり、時を忘れ俺は彼女と会話を繰り返す。
  _
( ゚∀゚)「…そういえば、俺の剣はどうした?」

ζ(゚ー゚*ζ「ああ、下に大事に仕舞ってますよ。取りに行きましょうか?」
  _
( ゚∀゚)「ああ、いい。それよりもデレ」

ζ(゚ー゚*ζ「なんですか?」

彼女は笑顔で答える。
どんな時でも笑顔を忘れない完璧人間ともいえよう。

213:2011/02/20(日) 22:41:15 ID:
_
( ゚∀゚)「一つだけ聞きたいことがあってな」

ζ(゚ー゚*ζ「はい。何でしょうか?」

小さな顔、くりっとした大きな瞳、亜麻色の髪。
一つ一つに魅力的な要素がある。

流石だ。



  _
( ゚∀゚)「ああ、デレ……お前…」

ζ(゚ー゚*ζ「?」




  _
( ゚∀゚)「俺に一体何の用があって近づいた?」

その顔で裏に生きることができるなんて。

214:2011/02/20(日) 22:45:16 ID:
ほう

215:2011/02/20(日) 22:45:52 ID:
ζ(゚、゚*ζ「…………」

デレの表情が一気に強張った。
その顔から肯定の意を取っても構わないだろう。
  _
( ゚∀゚)「ご丁寧にまあ、ここまで良い待遇をしてくれんのはありがてえけどな」

ζ(゚、゚*ζ「……いつから気付いていらしたんですか?」
  _
( ゚∀゚)「あんた、海に浮いた俺を助けたって言ってたな。あれは嘘だ」

俺は両手を頭の後ろで組み、壁に寄り掛かった。
  _
( ゚∀゚)「俺が覚えている最後の記憶は服に仕込んでいた道具の重みで沈む俺の姿だ」
  _
( ゚∀゚)「子供でも分かるよな。浮く訳がねえんだ」

ζ(゚ー゚*ζ「…でも、あなたは私の恩人です。沈んだ貴方を潜ってまでも救出しようとくらいするのでは?」

既に彼女は認めているがそれでも執拗に尋ねて来る。
恐らく俺を試しているのだ。

216:2011/02/20(日) 22:48:21 ID:
_
( ゚∀゚)「まあな。その可能性は否定できねえ……だがアンタの正体を伺える要素は他にもある」

俺はこの部屋にある家具を一つ一つ指で示していく。
テーブル、物入れ、ベッド、カーテン、カーペット、観葉植物……あとこの陶磁器もか。

ζ(゚ー゚*ζ「?」
  _
( ゚∀゚)「これ……随分新しいな」

ζ(゚ー゚*ζ「ええ。最近買い換えたんです」
  _
( ゚∀゚)「なら…なんで服はそんなに小汚いんだ?」

ζ(゚ー゚*ζ「!!」
  _
( ゚∀゚)「家具一式買い替えるなんざ……相当な金持ちじゃないとできねえよな」

答えは分かりきっている。
この家具の謎も、彼女の正体も。


  _
( ゚∀゚)「盗品なんだろ?全部」

217:2011/02/20(日) 22:52:21 ID:
この家が元々空き家だったのか知らないが、彼女が来た時には何も無かったのだろう。
しかし生活するには必要な物がある。
だから必要な物は盗んだ。
あるいは盗んだ金で買ったのか。

しかし身なりだけは家に合わせなければならない。
なので着ている服と家具に身分の差が生まれてしまった。

ζ(゚ー゚*ζ「……流石は『決闘』ですのね」
  _
( ゚∀゚)「別に俺が何て呼ばれていようが今は関係無いだろ」

ζ(゚ー゚*ζ「貴方の言う通り……私は貴方に頼みたい事があるんです」
  _
( ゚∀゚)「……その前にデレの正体を教えてくれ」

デレは俺の膝の上に置いてあった食器をテーブルに移し、そっとベッドの上に座った。




ζ(゚ー゚*ζ「初めまして。私、盗賊のデレと申します」

219:2011/02/20(日) 22:55:50 ID:
_
( ゚∀゚)「………盗賊」

ζ(゚ー゚*ζ「ええ。主に貴族を中心に」
  _
( ゚∀゚)「それで盗賊さんがこんな無一文な俺に何の用だ?」

悪いが今は本当に金が無い。
『海底』に全て奪われ、取り返す前に海に落ちたのだ。
盗める物なんて数が知れてる。

ζ(゚ー゚*ζ「盗賊とは申しましたが、仲間はおらず一人で活動しております」

単身の女盗賊か。
なかなか言葉にすると魅力的だが、いざ目の前にすると特別妖艶とした雰囲気を出してるようにも思えなかった。
デレは毛布に手を付けて這うように近づいてきた。

ζ(゚ー゚*ζ「ご存知でしょう?フィレンクト卿が狙っている『メデューサの瞳』を…」
  _
( ゚∀゚)「なんだ。デレもあの宝石を狙ってんのか」

まあ盗賊だ。
不思議な話でも無い。

221:2011/02/20(日) 22:59:02 ID:
ζ(゚ー゚*ζ「一目見たとたん、あまりの美しさに石になるという秘宝『メデューサの瞳』」

ζ(゚ー゚*ζ「先日、フィレンクト卿の部下がそのありかを突き止めたそうですが…」

そこで俺はピンときた。
彼女が俺に近付いてきた真の理由が。
  _
( ゚∀゚)「ははぁ…なるほどな。つまりお前は俺に宝探しを手伝わせたいわけか」

ζ(゚ー゚*ζ「…話の早い方で安心しました」

デレの話は更に続いた。
話によると、フィレンクト卿は大の宝石コレクターで、価値のある宝石を世界中から取り寄せているという。
そのフィレンクトの部下が『メデューサの瞳』を見付けたのが6日前。

自分の宝石は誰にも触られたくないという重度の潔癖症のせいで部下は持ち帰る事ができなかったそうだ。
フィレンクトは自ら宝石の眠る島に向かい、それを手にするつもりらしい。
その隙を狙って宝石を奪おうと、この島に多くの海賊が集った。

ζ(゚ー゚*ζ「私一人では厳しいですが、貴方と手を組めば不可能な話ではありません」

確かに、本当の敵はフィレンクトではなくそれにまとわりつく海賊たちかもしれない。
そうなった時に彼女一人で戦うのは明らかに不利だ。

223:2011/02/20(日) 23:01:24 ID:
ζ(゚ー゚*ζ「分け前はあなたが上でも構いません。なので……」

そう言うと、彼女はゆっくりと俺の胸まで近づいてきた。
包帯の上から小さな手が触れる。
小さな顔が俺の顔にそっと寄った。
柔らかな温もりが伝わってくる。

ζ( ー *ζ「私と……手を組みませんか?」

彼女の顔がゆっくり近づき、俺の唇に吐息が当たる。
デレはそっと服を緩めて胸元を広げ、俺の背中に手を回した。
柔らかな温度が俺の腹に当たる。
  _
(  ∀ )「………………」

ζ( ー *ζ「あなたになら……私の全てを捧げられます……」

俺は彼女の肩を掴みそっと体を引き離す。
そして、顔と顔を近づける為、もう一度自分の元へと寄せた。
そのまま彼女をベッドに引き倒し、仰向けに寝転がせる。
それに覆う形で俺は彼女に跨った。
  _
(  ∀ )「……面白いね」

224:2011/02/20(日) 23:05:25 ID:
_
(  ∀ )「フッ……ククク……アッハハハハハハハハハ!!」

ζ(゚ー゚*;ζ「!?」
  _
( ゚∀゚)「だが残念……。応えることはできないな」

ζ(゚、゚*;ζ「!!…どうしてですか!?」

俺はデレから離れ、ベッドから立ち上がった。
シャツを羽織り、ベストを重ねる。
デレは酷く困惑した顔を見せた。
  _
( ゚∀゚)「まず、アンタは3つ程勘違いをしてる」

コートの中の道具には手を付けられていないようだ。
まあ、こんなもん、傍から見たらなんの得にも感じないだろう。

ζ(゚、゚*;ζ「勘違い…ですか?」
  _
( ゚∀゚)「一つ、そもそも俺は『メデューサの瞳』になんの興味も沸かない」

興味津々でこの街に戻って来たが、それも昨日、一昨日の話だ。
今となっては微塵も湧かない。

225:2011/02/20(日) 23:07:17 ID:
_
( ゚∀゚)「二つ、俺はデレ……あんたを信用していない」
  _
( ゚∀゚)「確かに助けてもらった恩はあるが、それでもだ」

ζ(゚ー゚*ζ「どういう事……ですか?」
  _
( ゚∀゚)「アンタがこの取引をするために『巨人』を差し向けた可能性もあるってことさ」

ζ(゚ー゚*ζ「……全ては私の計画だったと?」
  _
( ゚∀゚)「さあな、そこまではわからねえ。ただアンタがフィレンクト卿の手先かどうかは証明しようがねえだろ?」

ブーツを履き、ハットを被る。
キャプテンジョルジュ、再起動だ。
  _
( ゚∀゚)「そして三つ。これが最も重要なファクターだ」

ζ(゚、゚*;ζ「……?」
  _
( ゚∀゚)「俺を色で誘うなら、もう2周りバストを増やしな」

ζ(゚ー゚*;ζ「なっ…!!」

デレは顔を赤らめながら、起き上がる。
しかしその目は確実に瞳孔を開いていた。

226:2011/02/20(日) 23:10:01 ID:
ζ(゚ー゚*;ζ「で、でも貴方の剣と銃は私が預かっているんですよ!それでもこの部屋を出ると言うのですか!?」
  _
( ゚∀゚)「ああ…じゃあもうしばらく預かっておいてくれ。気が向いたら取りに来る」

ζ(゚ー゚*;ζ「!!」

ζ(゚、゚*ζ「………………そうですか。分かりました」

彼女は悔しそうに俯く。
その姿も美しいが、恋する俺にそんな色仕掛けは通用しない。
デレは服を整えて、立ち上がった。

ζ(゚ー゚*ζ「貴方を引き入れる為に尾行し、助けたことは認めます。しかし……」

ζ(゚ー゚*ζ「私は貴方に『巨人』を差し向けるような事は一切しておりません。これだけは知っておいて下さい」
  _
( ゚∀゚)「……ああ、信じるよ」

そう言うと俺はドアを開け、部屋を出た。
外は驚くほどの晴天で、爽やかな風が通り抜けた。
  _
( ゚∀゚)「さて……どうしようか」

とにかく、クルー達に会いに行こう。
最愛の人が他の男と結婚すると言い、そのせいで次に狙っていた秘宝には興味も沸かず、
クルーを半殺しにした奴を殺してしまった為、一挙にやることが無くなった。
  _
( ゚∀゚)「海賊……やめるかあ…………?」

……なんだよ最後の『?』は。

227:2011/02/20(日) 23:10:07 ID:
しえん

228:2011/02/20(日) 23:13:09 ID:
(///<)「ん……………」

爪'ー`)「よう。目覚めたか」

(///<)「あ……あなたは?」

爪'ー`)「アンタの親分の知人さ」

(///<)「え…船長の?」

爪'ー`)「まあ気にせずゆっくりしな」

(///<)「……………………船長は」

爪'ー`)「さあな。生きてるのかもわからねえ」

(///<)「!!ど、どういうことですか!?」

爪'ー`)「昨日……『決闘』はアンタ達の敵を討つために『海底』と一騎打ちをしたんだ」

(;///<)「か、『海底』とですか!?」

爪'ー`)「安心しな。もちろん『決闘』は勝ったよ」

(;///<)「え……なら船長は…」

230:2011/02/20(日) 23:16:14 ID:
爪'ー`)「その後な……運か計画かはわからないが、『巨人』が現れてよ……」

(;///<)「『巨人』って……昨日の……体の大きい!?」

爪'ー`)「海に吹っ飛ばされたよ……そりゃあもうゴミ屑のように飛んでった」

(;///<)「吹っ飛ばされたって……それで船長はどうしたんですか!?」

爪'ー`)「俺もその場にいたんだが、飛ばされた後俺も『巨人』に追い回されてよ……」

爪'ー`)「逃げるので精一杯で助けてる余裕なんて無かったわ」

(;///<)「そ、そんな……」

爪'ー`)「朝一番に潜ってみたが奴の死体は見つからなかった。まだ生死は掴めてない」

(;///<)「……………」

爪'ー`)「……大丈夫だ。俺は半日程度しかあの人いなかったが、なんつーかこう……生き続ける事に対する執念を感じたぜ」

爪'ー`)「悪いが…あの人は簡単には死なねえよ。それはいつも一緒にいたアンタがよく知ってるだろ?」

(///<)「そ、そうです!!あの人は簡単に死なないんです!!」

爪'ー`)「…………ホントか?」

231:2011/02/20(日) 23:20:19 ID:
(///<)「本当なんです!!あの人は大蛇に飲み込まれても、腹を切り裂いて生き延びた猛者なんです!!」

(///<)「樽の上に乗って2日間大海原を漂流し続けた勇者なんです!!」

(///<)「あと…あと…お酒苦手なくせに僕達を盛り上げる為に一気飲みだってする命知らずなんです!!」

爪'ー`)「そりゃあ……すげえな」

(///<)「き、きっとそのうちすぐ現れるんです!!」

爪'ー`)「ああ。……俺もそう思うよ」

(///<)「はい!…………」

爪'ー`)∮y-「……そうだ。景気付けに1曲弾いてやろう」

(///<)「バイオリン……ですか?」



爪'ー`)∮y-「そうだ。俺は……音楽家なんだよ」

233:2011/02/20(日) 23:22:21 ID:
_
( ;゚∀゚)「な、なんだこれ……!?」

一難去ってまた一難。
今度は目の前に有刺鉄線が張られていた。
勢いよく前に出ていたら首に深く刺さっていただろう。
俺は身を屈め、潜り抜ける。
  _
( ;゚∀゚)「糞っ………!!俺が何をしたってんだ!」

『楽譜』の船を探している途中、俺はまたもや『駆除』の罠に掛かった。
相変わらずの360度死角無しの戦線が俺を襲う。
もちろん昨日の体験を活かした巧妙な対策などあるわけもなく、逃げの一手で状況を回避する。

前回は『楽譜』がいたので大分楽だったが今度はそうもいかない。
  _
( ;゚∀゚)「糞……傷が……!!」

俺は左手で盾を握り、右手で肩を抑えながら街の通りを駆け抜ける。
矢や銃弾に加え、落とし穴やトラバサミなど、人を小馬鹿にした仕掛けが幾つも追加されていた。
罠も増加し、味方は減り、おまけに体調は万全では無い。

状況はあまりにも絶望的だ。
強いて前回よりも良くなった点を挙げるとすれば、もう袋小路に陥るようにはならない事だけか。

234:2011/02/20(日) 23:25:05 ID:
_
( ;゚∀゚)「うおっ!!あぶねえ!!」

盾で身を守っても、今度は後ろから攻められる。
常に全方位+上空+地面を警戒しながら進むため、全く場を離れる事が出来ない。
激しい運動のせいで傷口は広がり、血が溢れ出した。
足は縺れはじめ、目眩は酷く、息も荒い。
初めは完全に避けることが出来た矢も、体に掠めて致命傷を回避するのがやっとだ。
  _
( ;゚∀゚)「っ!!」

投石が4発、脇から飛んできた。
とっさに盾を構え、石を弾く。

その時だった。
  _
( ; ∀)「うっ!!……あぐっ!」

足に火傷のような熱が走る。
その熱は次第に痛みに姿を変えて脳に伝わった。
  _
( ; ∀)「糞……………銃か…っ!!」

右足をやられた。
足はガクガクと奮え、ついにはその場に立っていられなくなり、へたっとしゃがみ込んだ。
足に力が入らず、起き上がる事すら困難に思える。
盾を構えるのがやっとだ。

235:2011/02/20(日) 23:28:09 ID:
立ち上がれる力はあるはずだ。
そこまでの重傷を足に負ったわけでも無い。
しかしどうしても力が入らないのだ。
それは目的の消失のせいか。無形の敵に対する恐怖か。
いずれにせよ、俺のそれは諦めに近い感情だった。
  _
( ; ∀)「…………矢か」

人間、死ぬ間際になるとやけに勘が冴えるもんだ。
感じる。俺の背に放たれた1本の矢が。
しかし俺は避ける気力や防ごうとする反射も働かなかった。

そうか。俺は死ぬのか。

そう思ったときに無性におかしくなった。
たった一人の女性が別の男と結ばれる。
たったそれだけで俺は生きることに諦めを抱くとは。
しかし、もうそんなことはどうでもよかった。


俺は静かに目を閉じた。

236:2011/02/20(日) 23:30:36 ID:
その時だった。
矢が俺の背に刺さった音でもない、金属音が聞こえたのは。








.

237:2011/02/20(日) 23:32:07 ID:
( ;・∀・)「大丈夫ですか!?ジョルジュさん!!」

俺の背後に立っていたのは身なりの良い男だった。
剣を構え、俺に背を向けている。
  _
( ;゚∀゚)「お……お前…!!」

顔を見なくても分かる。
俺が今一番会いたくない奴だ。
モララー子爵。

( ;・∀・)「いろいろ言いたいことはあると思いますが、とにかくここを抜け出しましょう」
  _
( ;゚∀゚)「ふざけるな!!離せ!!」

モララーは一定の矢を薙ぎ払った後、俺の腕を肩に乗せ、俺の体を起こした。
勘弁してくれ。
こいつに助けられるなんてそんな屈辱的なことがあるか。

俺は力ずくで腕をはがし、必死に抵抗する。
するとモララーはするっと力を抜いて、簡単に俺を解放した。

( ・∀・)「逃げれる元気はあるようですね」
  _
( ゚∀゚)「………」

238:2011/02/20(日) 23:33:08 ID:
支援

239:2011/02/20(日) 23:35:09 ID:
( ・∀・)「おそらく、『駆除』は襲いかかってはこないでしょう」
  _
( ゚∀゚)「どういうことだ?」

( ・∀・)「『駆除』は貴族を狙うことは決してしませんので」

ふと辺りを見渡すとあれほど飛び交っていたのが嘘のように消えていた。
辺りに散らばる無数の銃弾。
なるほど。
こいつがいるせいで『駆除』は俺を殺すことができないのか。

( ・∀・)「さあ、行きましょう。これ以上ここにいても…」
  _
( ゚∀゚)「何故助けた」

( ・∀・)「は?」

俺はモララーの胸倉を掴み、煉瓦の壁に押し付けた。
  _
( #゚∀゚)「いいか!?俺とお前はまだ決闘の最中なんだぞ?」
  _
( #゚∀゚)「何故助けた!!答えろ!」

こいつが俺に憐れみを掛ければ掛けるほど俺のプライドにヒビが入る。
それはあのまま『駆除』に殺されることよりもよっぽど恐ろしいことだ。

240:2011/02/20(日) 23:38:02 ID:
( ・∀・)「……あなたを殺すのは私だからですよ」
  _
( ゚∀゚)「……あ?」

( ・∀・)「決闘はまだ終わってないんでしょう…?」

モララーはニヤリと口角を上げながら胸ポケットを探った。
その手に握られていたのは俺の真黒な手袋だった。

( ・∀・)「決闘には通常白い手袋と定められていますが…」
  _
( ゚∀゚)「それは反則無しの決闘の話だろ?」

( ・∀・)「…………なるほど。では今度戦うときは十分に注意しましょう」
  _
( ゚∀゚)「……今度?」

( ・∀・)「見たところ、あなたは現在、剣を持っていないようですが…」

そう言われて俺はデレに剣を預けていたのを思い出した。
今の俺は銃も持ってい無い無防備人間だ。
  _
( ゚∀゚)「そんな甘いこと言ってていいのか?俺を殺せる最後のチャンスかもしれないぜ?」

241:2011/02/20(日) 23:40:37 ID:
( ・∀・)「あなたにはあなたのプライドがありますし、僕には僕のプライドがあります」

つまりそういうことです、とモララーは話を止めた。
その態度がまた気にいらない。
  _
( ゚∀゚)「ああ、そうか。なら決闘は次会った時だな」

( ・∀・)「そういうことになりますね」

モララーはそう言うと俺の右手袋を胸ポケットにしまった。

( ・∀・)「そう言えば…『金欠』はまだ生きているそうですよ」
  _
( ゚∀゚)「……?あ、ああ。アイツか」

すっかり忘れていた。
そうか。アイツは生きていたのか。
まあもう会うことはないだろうし、気に留めることもないだろう。
  _
( ゚∀゚)「それよりもお前…遠征はどうしたよ」

( ・∀・)「遠征……?ああ、ツンから聞いたんですね」
  _
( ゚∀゚)「なんだよ。中止になったのか?」

( ・∀・)「ええ。なんでもカルベ海に海獣が現れたとか」

242:2011/02/20(日) 23:43:11 ID:
このカルベの海には海獣と呼ばれるほど大きな肉食のサメがいる。
体長は6m程のものからから15m以上にもなるものもいる。
船をひっくり返し、おぼれた人間を喰い荒らす獰猛なサメだ。
この海の主と言っても過言ではないだろう。

カルベ海に接している島の全てに、海獣が目撃された日は航海をしてはいけない決まりがあるほどだ。
モララーが言うには、そいつが現れたせいで、遠征は中止になったという。
  _
( ゚∀゚)「つまり、暇になった時間を潰しているところに、俺と出会ったと」

( ・∀・)「概ねそんな感じです」

俺は、強張っていた肩の力を抜いた。
気付けば、こいつに対する怒りは無くなてしまったようだ。
しかし、こいつとツンのことに、納得が言ったわけではない。
  _
( ゚∀゚)「なあ」

俺はモララーに声をかける。

( ・∀・)「なんでしょうか」
  _
( ゚∀゚)「お前は…その……なんでツンと結婚するんだ?」

その言葉に、モララーは反応し、手を止めた。

( ・∀・)「やはり…あなたはツンを愛しているんですね?」

243:2011/02/20(日) 23:45:08 ID:
少しの沈黙を置いた後、俺は深く頷いた。
  _
( ゚∀゚)「…………ああ」

( ・∀・)「謝ろうとは思いません。ここは僕も引けないところではありますしね」
  _
( ゚∀゚)「だと助かる。同情されても困るからな」

( ・∀・)「……僕はどうも貴族の女性を好きにはなれないんです」

コイツはとても奇妙なことを言い出した。
貴族が貴族を愛せないとはどういうことなのか。

( ・∀・)「あなた方が思っている以上に貴族の世界は恐ろしい」

( ・∀・)「言論弾圧、政略結婚…存在価値など皆無に等しいものです」

俺にはこいつら貴族の悩みなど想像もつかないが、きっと苦難しているのだろう。
しかし、海賊の俺に同意を求められても困るが。

( ・∀・)「フィレンクト卿がこの島に就く事になり、直属の部下であった私は私の家系と離れることができました」
  _
( ゚∀゚)「あんたフィレンクトの部下だったのか?」

( ・∀・)「ええ、まあ」

244:2011/02/20(日) 23:45:52 ID:
これは驚いた。
まあ確かに今まで表町でも貴族など、この街で見たことが無かったが…。

( ・∀・)「私は自由に婚約者を探したい、そう思っていた矢先、彼女と出会いました」

他人事ならめでたい話だが、相手はツンだ。
どんなことになろうと認めるわけにはいかない。
  _
( ゚∀゚)「悪いが手を引け。そうすれば命だけは許してやるよ」

( ・∀・)「残念ですが…命など惜しくもない」
  _
( ゚∀゚)「そうか。もう後には引けないぜ」

決まりだ。
次こいつと会った時、俺はこいつを殺す。
俺がツンを諦めても、ツンをこいつと結ばせたりなどさせない。
決して……な。

( ・∀・)「……では私からも質問させてもよろしいでしょうか」
  _
( ゚∀゚)「なんだよ。ツンといつまで一緒に風呂に入ってたとかなら答えねえぞ」

( ・∀・)「いえ……話は変わってしまうのですが……」

( ゚∀゚)「何だよ」

( ・∀・)「…………あなたの父親についてです」

245:2011/02/20(日) 23:46:15 ID:
_
( ゚∀゚)「………………あ?」

俺は間抜けな声でモララーに返した。
まさかあいつからこんな質問が来るとは思わなかった。
いったい何の真似だ?

( ・∀・)「貴方の父、ジョリー・キッド……彼が現在に残した功績は大きい」
  _
( ゚∀゚)「………………………おい」

( ・∀・)「元々、彼は発明家、探検家として名を知られていました。様々な島を見つけ、様々な発明品を生み出しました」

( ・∀・)「しかし、ある時から彼は第一級海賊に指定されてしまった」
  _
(  ∀ )「……おい」

( ・∀・)「その後、ジョリーは巨大な渦潮に飲まれ死亡したと聞きますが、本当の所は良くわかっていません」

( ・∀・)「彼にはいくつかの謎が残されています。何故彼は海賊になったのか。何故海のプロである彼は渦潮に飲まれたのか。彼が探し求めていた物は何か」

( ・∀・)「その答えは……彼の息子、ジョルジュ・キッドが知っているのでは無いのでしょうか」

  _
( #゚∀゚)「いい加減にしろ!!」

246:2011/02/20(日) 23:46:56 ID:
俺はモララーの顔面を思い切り殴りつけた。
モララーはその場に倒れ、頬を押さえながらこっちを向く。
  _
( #゚∀゚)「……いいか……俺の前で二度とその話をするな……」

(∩・∀・)「……それはできません」
  _
( #゚∀゚)「ああ?」

( ・∀・)「彼は私の憧れの人でした。彼の枯渇知らずの探究心に幼少の私は感銘を受けました」

( ・∀・)「その彼が何故海賊にならなければいけなかったのか、理解に苦しみます」

俺はついに頭に来たので右手で奴の胸倉を掴み、左腕を振り上げた。
  _
( #゚∀゚)「……誰も聞いてねえ事を喋ってんじゃ……」

( ・∀・)「彼が海賊になった3日前……彼は探検家として最後となる航海に出ていました」

モララーは俺の言葉を喰うように話を続けた。
俺の腕はピタッと止まっていた。

( ・∀・)「その時の航海の目的は『秘宝』を探すこと」

( ・∀・)「その航海に……あなたも同行していたそうですね」

247:2011/02/20(日) 23:47:19 ID:
_
( ;゚∀゚)「…………」

( ・∀・)「……何があったんですか?」

俺の頬を一滴の汗が滴り落ちる。
そして、俺の中であらゆる記憶がフラッシュバックした。

あの日。
あの船。
あの航海。
あの事件。

忘れかけていた物が噴水のように湧き出てきた。
俺は腕を降ろし、モララーの服を離した。
その手をそのまま自分の額に当てた。
  _
( ; ∀)「その話は…………もう終わりだ」

( ;・∀・)「ですが、何としても私は……」
  _
( #∀ )「終わりだ!!」

俺は強く怒鳴り上げ、モララーの言葉を遮った。
顔を逸らし、モララーを視界に入れないように意識した。

248:2011/02/20(日) 23:47:43 ID:
( ;・∀・)「…………………………」

( -∀-)「…………………………」

( ・∀・)「………………わかりました」

沈黙の末、奴は手を引いた。
モララーもついに諦めたようだ。
  _
(  ∀ )「…………ああ、そういうことだから…」

その時、俺の脳に何かがよぎった。
とても重要なことだ。
俺は何か大きな見落としをしていたのではないか?
  _
( ゚∀゚)「おい」

( ・∀・)「どうしました?」
  _
( ゚∀゚)「なんで知っているんだ?」

( ・∀・)「……何をですか?」
  _
( ゚∀゚)「俺の親父の最後の航海のことだよ」

249:2011/02/20(日) 23:48:27 ID:
ふーむ

250:2011/02/20(日) 23:48:28 ID:
( ・∀・)「簡単ですよ。ジョリーが海賊になる前の出港記録を調べて…」
  _
( ゚∀゚)「違う。そっちじゃねえ」
  _
( ゚∀゚)「なんでお前は俺の親父の最後の航海が秘宝の探索だと知っていたんだ?」

( ・∀・)「………………それは」
  _
( ゚∀゚)「あれは俺らの船の中で口外禁止になった話だ。お前が探しても知る由もねえ」

( ・∀・)「………………」
  _
( ゚∀゚)「どこで聞いたんだよ。そして……答えろ」
  _
( ゚∀゚)「お前の目的は何だ」

モララーは黙り込んだ。
おそらく俺の質問が的確だったからだろう。

( ・∀・)「……………………やれやれ」

( ・∀・)「私としても…これだけは避けたかったんですけどね……」

251:2011/02/20(日) 23:48:54 ID:
そういうとモララーは手を挙げ、指と指を擦り弾いた。
パチンという音が町に響く。
その数秒後に俺の足元からカチッという音が聞こえた。
  _
( ;゚∀゚)「なっ……!?」

俺は高く飛び上がり、その場を離れた。
それと同時に、俺がさっきまで立っていた場所で鋭い破裂音が鳴る。
俺やモララーに被害は出なかった。
しかし、弧を描いて地に着地した途端、そこでまた地面がカチッと不自然な音を立てた。
  _
( ;゚∀゚)「くそっ…!!」

俺はまた飛び上がり距離を取る。
しかし着地するとまた音が聞こえる。
どこへ跳んでも音はついて来た。
  _
( ;゚∀゚)「うっ!?」

背中に固い衝撃が当たる。
後ろを見ると、煉瓦の壁があった。
気付けば俺は道の隅に追いやられていた。

なんとか体勢を持ち直そうと前を向く。
その時、どこから現れたのか、目の前には数十人にも及ぶ兵隊の群れ、そのそれぞれが銃を固く握りしめて俺に向けていた。

252:2011/02/20(日) 23:49:21 ID:
_
( ;゚∀゚)「あ……?」

その銃を構えていたのは……モララーだった。
人だけではない。
ここら一帯に仕掛けられた全ての武器が俺を捕らえていた。

( ・∀・)「まったく……素直に答えていればいいものの……」
  _
( ;゚∀゚)「……何の真似だ?」

( ・∀・)「紹介が遅れました……」

そういうと、モララーはニヤリと口角を上げる。









( ・∀・)「私が『駆除』です」

253:2011/02/20(日) 23:51:30 ID:
これは予想してなかった

254:2011/02/20(日) 23:52:16 ID:
】アンナ村:港【

ζ(゚ー゚*;ζ「やっぱりもっと早く手を打っておくべきでした……!」


】ジュリア村:港【

( ;^ω^)「お前ら!!直ぐに出航の準備をするお!!」


】レイナ村:港【

爪;'ー`)「今のうちに砲弾を買い占めておけ!!大量にだ!!」


】キャシー村:港【

(#,,゚Д゚)「何チンタラやってんだゴルァ!!早くしねえと出遅れるぞ!!」


】ベルニカ村:港【


(;,,^Д^)「いったいどうしたんだよ!!」

(^Д^ ;)「知らないのか!?」



(^Д^ ;)「明日……フィレンクトがついに出港するんだよ!!」

255:2011/02/20(日) 23:53:11 ID:
_
(;;#∀゚)「何だ。お前だったのか……一々つまらねえ子供騙しな玩具を作ってたのは」

( ・∀・)「ええ。中々楽しめたでしょう?」

俺は政府の連中に連行され、錆びれた溝の臭いが立ち込める牢に入れられた。
固く冷たく汚く……そして暗い。
俺以外の囚人は一切おらず、ただただ俺の小屋だけが騒がしい。
俺はモララーの部下数人に、棍棒のようなもので殴られ続けた。

元々貴族の類の言葉を信じた事は無いので、こんな種明かしでも素直に受け入れられる。
しかし、何故こいつはこんなタイミングで素性を明かしたのか?

  _
(;;#∀゚)「海賊は嫌いじゃないんじゃなかったのか?」

( ・∀・)「ああ、すいません。嘘つきました」
  _
(;;#∀゚)「なら……どうして俺を助けた?」

( ・∀・)「私は貴方ならこの程度の罠、簡単にかい潜れる物だと思っていました」

( ・∀・)「ですが、それもどうやら買い被りだったようです」

また一発俺の頭に衝撃が走る。
ただでさえ赤いコートが赤く染まる。
むしろこれは赤紫か?

256:2011/02/20(日) 23:53:43 ID:
_
(;;#∀゚)「……俺の親父に憧れているってのも嘘か?」

( ・∀・)「ええ、嘘です。私の上司が貴方の父に大変興味を持っておりまして」
  _
(;;#∀゚)「フィレンクトが?興味だって?」

するとモララーは今までの聞く姿勢とは打って変わって饒舌に喋り出した。

( ・∀・)「貴方の父の真相は政府の中でもほんの一握りの人間しか知りません」

( ・∀・)「フィレンクト卿ほどの位の高い者でも知らないような……ね」
  _
(;;#∀゚)「…だから俺を執拗に狙ってたのか」

( ・∀・)「ええ。貴方を監視するよう言われていました」
  _
(;;#∀゚)「………………もしかして、ツンは…」

( ・∀・)「貴方に近付く為の口実です。彼女があなたの幼馴染だったことは調査済みですからね」
  _
(;;#∀゚)「クズ野郎が……!!」

反吐が出る。
こんな愛の欠片もない嘘吐き野郎にツンは騙されたっていうのか。
殺してやる。
こいつだけは……必ず。

257:2011/02/20(日) 23:54:13 ID:
今度は2発、右頬と左頬をやられた。
意識が朦朧とし、視界がぼやける。
しかし、抵抗する事さえもできない。
  _
(;;#∀゚)「勝手にしろ。俺は何があってもしゃべらねえ」

( ・∀・)「……………やれ」

その合図に従い、連中は俺の腹や顔を何度も殴りつけた。
歯は折れ、顔の穴という穴から血が飛び出た。
それでも俺は声を出さなかった。

それから数十分殴られ続けたが、結局俺の口から出たのは嗚咽とため息だけだった。

( ・∀・)「……………どうやら口だけは固いようですね」
  _
(;;#∀;;)「お前と……違ってな」

正直、強がっては居られない程に限界が来ている。
しかし、この程度の暴力なら耐えられる。
こいつらの思い通りになってたまるか。

( ・∀・)「そうですか…。では方法を変えましょう」

258:2011/02/20(日) 23:55:15 ID:
_
(;;#∀゚)「……?」

突然、モララーは手を上げ、俺を殴り続けた男達を退散させた。
その後、モララーは檻から出て、牢に鍵を掛ける。
鉄格子を挟んで俺達は二人だけになった。

( ・∀・)「『暗闇』…………という名前を覚えていますか?」
  _
(;;#∀゚)「『暗闇』……?なんだそれ」

( ・∀・)「……………まあ良いでしょう」

モララーはニヤニヤと俺を見つめながら話しかける。
貴族というのはどこまで気持ちが悪いのか。

( ・∀・)「『暗闇』……現在このドゥルトゥーガ島で問題となっている連続強姦殺人魔です」

連続強姦殺人魔…?
なんだ。そんなもんが流行ってんのか?
あまり強そうには聞こえねえが…。
  _
(;;#∀゚)「なんだよ。そいつがどうかしたのか?」

( ・∀・)「実は彼……私のペットでして」

259:2011/02/20(日) 23:55:44 ID:
ペット?
なんだコイツは獣姦でもやらせているのか?
悪趣味にも程がある。

( ・∀・)「人が嬲られる姿を見るととても興奮するんですよ」

( ・∀・)「ここ連日の殺人は全て彼にやらせています」

( ・∀・)「ターゲットとなるのは……島民の位の低い女性に限りますが……」
  _
(;;#∀゚)「……………?」

意味が分からない。
ならますます俺は関係ないじゃないか。

( ・∀・)「薄々はこうなる気がしていたんです」

( ・∀・)「あなたは自分自身の為に何かを犠牲にしない、と」
  _
(;;#∀゚)「……何が言いてえんだよ」

( ・∀・)「簡単ですよ。あなたの大切なものを壊せばいい」

その時妙に気持ちの悪い塊が、胃の下に落ちた感じがした。
俺は気付いてしまったのかもしれない。
こいつが言いたいことを。

260:2011/02/20(日) 23:56:18 ID:
( ・∀・)「すいません。貴族が苦手と言ったこと……あれも嘘です」

( ・∀・)「むしろ世の中は全て貴族だけでもいいと思っているくらいですから」

( ・∀・)「私が市民と結婚?はっ!それこそありえない」
  _
(;;#∀゚)「まさか………………」

( ・∀・)「そう言えば…そろそろあの時間ですね……」

( ・∀・)「あの子……市場に行く時間ですよね」
  _
(;;#∀゚)「おい!!……まさかツンに何かしたんじゃないだろうな!!」

( ・∀・)「いえいえ……するのはこれからですよ」

俺は腕を強く降り、鎖を力づくで外そうとするが、びくともしなかった。
これで繋がった。
こいつが『暗闇』なんていう馬鹿げた話をし始めた理由が。
  _
(;;#∀゚)「……どこまで腐ってんだよ……お前」

( ・∀・)「貴方達に汚れた手を使っても誰が私を責めますか?」

まずい。ツンの身に危険が迫っている。
助けられるのは…俺しかいない。

261:2011/02/20(日) 23:56:36 ID:
下衆いな

262:2011/02/20(日) 23:59:05 ID:
( ・∀・)「どうします?話しますか?」
  _
(;;#∀゚)「ぐっ……この野郎……」

( ・∀・)「既に『暗闇』は待機させております。私の合図ですぐに行動に入れるでしょう」

( ・∀・)「あの時の状況を話せば……彼女の安全だけは保証しましょう」
  _
(;;#∀゚)「………………!!」

モララーはそう言うと、牢獄のドアに向かって歩きだした。
答えは一つだった。
悩むまでもない。
  _
(;;#∀゚)「わかった。話す!話すから待て!!」

俺は声を張り上げモララーを止める。
モララーも俺の声に反応し、足を止めた。

( ・∀・)「では、お願いします。私もこれ以上は待てませんので」
  _
(;;#∀ )「この……クズ野郎……が……」

263:2011/02/20(日) 23:59:55 ID:
_
(;;#∀ )「15年前のあの日……9歳だった俺が初めて親父の航海について行った日だ」

俺はゆっくりと話し始める。
あの記憶。
決して思い出したくもない記憶。
  _
(;;#∀ )「世界には5つの秘宝があるのは知っているな?」

( ・∀・)「ええ。『ドラゴンの牙』『グリフォンの羽根』『キマイラの尾』『マーメイドの鱗』……そして『メデューサの瞳』」
  _
(;;#∀ )「そのうち3つは既に発見されている」
  _
(;;#∀ )「だが、姿も確認されていない他の2つはなんであると分かったんだ?」

( ・∀・)「それは…古い文献で……」
  _
(;;#∀ )「違う」
  _
(;;#∀ )「それらは全て親父が一度、発見したものだ」

( ;・∀・)「!!」

264:2011/02/21(月) 00:02:05 ID:
父は元々は名のある探検家兼発明家だった。
世界が求めている新たなる希望は全てあの人が担っていた。
母親を亡くしている俺にとって、父は唯一の肉親であり、そして同時に憧れの人でもあった。
未開の島の発見、科学の実用化…全世界が俺の父に注目していた。
その中でも特に注目を集めたのが、『秘宝』と呼ばれる宝石達だ。

誰がいつどこで作ったかもわからない。
しかし、人を魅了する美しさがそこにはある。それが『秘宝』。
秘宝は全世界の各地に散らばっており、そうやすやすと入手できるものではない。
  _
(;;#∀ )「そして…俺達は6つ目の秘宝のありかを突き止めた」

( ;・∀・)「6つ目!?秘宝は5つだけではなかったのですか!?」
  _
(;;#∀ )「ああ。秘宝は全部で10もある」

( ;・∀・)「じ、10!?まだ、半分しか存在が分かっていないのですか!?」

親父が言った言葉を俺はそのままモララーに伝える。
秘宝には別の秘宝の存在を示す文章が掘られている。
一つにつき一つ。
つまり10全ての秘宝が連結してその存在を証明しているのだ。
  _
(;;#∀ )「最初に2つの秘宝が見つかった。その2つの秘宝にはそれぞれ別の宝石の名前が記されていた」
  _
(;;#∀ )「一つは親父が探し当て、発見した。そしてもう一つはあんたらが狙っている『メデューサの瞳』だ」

もちろん、発見した秘宝にも別の秘宝の名が書かれていた。
これが親父の運命を変えることになった秘宝だ。

265:2011/02/21(月) 00:02:34 ID:
_
(;;#∀ )「俺達はもう少しで6つ目の秘宝を手に入れられる予定だった」

親父はカルベ海にある謎の島を発見し、そこに宝石があると確信した。
俺がその航海に連れて行ってほしいと駄々を捏ねると親父は快く承諾してくれた。

そしてこの島から4日後、その洞窟に到着した。
洞窟の中は立派な鍾乳洞になっており、とても広い空洞がいくつも存在した。
宝石は、空洞内に溜まった海水の中央にある台座にあった。
俺は子供心にはしゃぎ回り、泳いでその宝石を取りに行ったんだ。

しかし、そこでアクシデントが起きた。
海獣が現れたのだ。
その海水の底はカルベ海に繋がっており、海獣の住処になっていたのだ。
  _
(;;#∀ )「俺は襲われた。しかし、間一髪で船員のみんなが助けてくれたおかげで俺は怪我で済んだ」

俺が怪我を負ったことにより、親父達は帰還を余儀なくされた。
宝石はそのまま置いていくことにした。
そして他の船がその島に近付かせないように親父は宝石を無かったことにしたのだ。

( ;・∀・)「なるほど……つまりそれが原因で貴方の父は……」

相変わらずこいつの理解力には恐れ入る。
まったくもってその通りだ。
  _
(;;#∀ )「もちろんあの人は政府にこう言った。『あの洞窟には宝石は無かった』と」

266:2011/02/21(月) 00:03:03 ID:
しかし、政府はこれを怪しんだ。
もしかすると、ジョリーは宝石欲しさに嘘をついているのではないかと。
だが政府にはそれを確かめる術は無かった。

何せ相手は渦潮、海獣が襲いかかる魔の海域カルベ海。
普通の船乗りが行ったところで帰ってこれなくなるのがオチだろう。
かといってジョリーの船員に任せるわけにはいかなかった。
いくらジョリーの船員が優秀な人材揃いでも、肝心のこいつらが不信では任せられないだろう。
  _
(;;#∀ )「だから政府は親父を海賊に仕立て上げた。そうすれば親父を殺しても罪には問われないからな」

親父は政府に反論しようとはしなかった。
素直に、受け入れ海賊となる道を選んだ。
しかし、俺がその船に乗ることはもう無かった。
親父は俺の身を案じ、俺をフサギコの親父に預けたのだ。

その後、ジョリーは海難事故に遭い、死んだという話を聞いた。
親父の船がそんなことになるわけがないと最初は疑ったが、月日が流れるにつれてどうでもよくなってしまった。

気付けば俺は海賊になっていた。
理由?そんなの知らねえよ。

ただ……世界を見たくなったのと、貴族が嫌いになったことが同時に重なったのかもしれない。

267:2011/02/21(月) 00:03:23 ID:
俺はため息をつき、目を開ける。
これが、あの日起きた全てだ。
俺が隠し持っていたことをこいつに吐きだした。
  _
(;;#∀゚)「以上だ……。お前らの収穫になった話もあったはずだ……だから」

( ・∀・)「一つだけ質問をしても……?」
  _
(;;#∀゚)「……何だよ」

今更どんな質問をされても構わない。
俺は吐くだけ吐いた。
全てはツンの為に。

( ・∀・)「貴方は何故……この話をすることを拒んでいたのですか?」

( ・∀・)「今の話を聞く限りでは貴方の幼少の頃の過ちを打ち明けたにすぎません。別に身の危険を感じる要素は無いように思えますが……」
  _
(;;#∀゚)「単純な理由だ。『トラウマを蘇らせたく無かったから』それ以外ないだろ?」

( ・∀・)「フフフ……なるほど。確かに下らない」

モララーは口を手で押さえながらクスクスと笑う。
そしてそのままドアをゆっくりと開いた。

268:2011/02/21(月) 00:03:56 ID:
_
(;;#∀゚)「おい!!約束だぞ。ツンには手を出すなよ!!」

( ・∀・)「……………………」

モララーはピタッと動きを止めた。
止まったまま、奴は一歩も動かなかった。
暗くてよく分からないが、モララーは肩を震わせているのか?
その後モララーは顔だけねじり、俺の方へ振り向いた。
その顔は泥のように濁った気色の悪い笑顔をしていた。

( *・∀・)「すいません……………嘘つきました」
  _
(;;#∀゚)「………は?どういう事だよ……」

( *・∀・)「言葉通りですよ。ツンには死んでもらいます。」
  _
(;;#∀゚)「どういうことだ!!話が違うじゃねえか!!」

( *・∀・)「いえいえ……これは学習しない貴方が悪いんですよ?」

( ・∀・)「この趣味ばかりは……辞めることが出来ないんです」

俺は怒りのボルテージがMAXに達し、腹の底から奴を咎めた。
  _
(;;#∀゚)「ふざけるな!!どこまで頭が腐ってんだてめえは!!」

270:2011/02/21(月) 00:06:55 ID:
俺は腕に何度も力を入れて引っ張るが鎖の枷は外れる様子を見せない。
足をジタバタと暴れさせ、胴体を何度もくねらせた。

( ・∀・)「まあ、いいじゃないですか。もう貴方は彼女とは会えないんですから」
  _
(;;#∀゚)「ま、待て!!どこへ行く!!」

( ・∀・)「貴方に話す必要があるんですか?」
  _
(;;#∀゚)「おい!!逃げるな!!モララーああああああああああああああああああ!!」

奴は俺の声を耳に入れる事無く扉を閉め、去って行った。
俺は黒い世界に閉じ込められた。
  _
(;;#∀ )「くそっ……!!」

両足で床を何度も思い切り踏み付ける。
意味の無い行為なのは良く分かっている。
しかしこの感情をどこかにぶつけない訳にはいかなかった。
  _
(;;#∀ )「ツン…………!!」

まずい。

ツンが。

ツンが殺されてしまう…。

  _
(;;#∀゚)「うわあああああああああああああああああ!!」

271:2011/02/21(月) 00:07:22 ID:
( ・∀・)「ふう……やっと喋ったよ……」

( ・∀・)「見張りはドアの前に付けろ。中にはいらん」

( ・∀・)「セントジョーンズ!!セントジョーンズはいるか!?」

('e')「何か用でしょうか?」

( ・∀・)「裏町の大通りの角の酒場で働いているツンという巻き髪の女を殺せ」

('e')「酒場ですねぇ?了解しました」

( ・∀・)「今の時間なら市場にいるだろう。見つけ次第、好きにしていいぞ」

(*'e')「ンフフw どうしたんです?今日はやけに気前がいいですねぇ」

( ・∀・)「いや……できる限り手酷く後を残してくれ。今回はその方が都合がいい」

(*'e')「………つまり…脳姦もよろしくて?」

( ・∀・)「脳みそ、眼球、耳、鼻、内臓自由だ」

272:2011/02/21(月) 00:07:45 ID:
(*'e')「…………後で後悔しても知りませんよ?」

( ・∀・)「構わん」

(*'e')「……………ンフンフンフフフフフフ」

( ・∀・)「私はフィレンクト卿に用があるのでしばらくここを開ける」

( ・∀・)「お前は直ぐに市場に向かえ」

(*'e')「はあい。直ちに」

( ・∀・)「…………」

( ・∀・)「………………フフフ」

( ・∀・)「これでまた一歩……近づく」

( ・∀・)「あの人の理想に」

273:2011/02/21(月) 00:08:10 ID:
_
(;;#∀ )「ゲホッ!!エホッ!!……ガハッ!!」

俺は噎せ返った喉を咳で必死に直す。
こうしてはいられない。
急がなければツンが殺されてしまう。
俺は躍起となって策を練る。

どうする?
この鎖の錠と檻の錠。
2つの鍵をどうにかしなければいけない。
  _
(;;#∀゚)「とにかく……先に外すのは……鎖か」

考えるまでもない。
手が封じられた状態では檻には届かない。
檻を開ける事は一先ず置いておく。

体は大分損傷しているが……耐えられない程では無い。
どちらかの鍵を開ける方法は存在した。
俺のコートの中にその秘策は眠っている。
しかし、その為にはコートのボタンを開かなければならない。

274:2011/02/21(月) 00:08:35 ID:
俺は踵をうまく使い、靴を脱ぐ。
そしてその足の指をコートのボタンに近付ける。
しかし体の構造上どうしても指をボタンに引っ掛ける事ができない。
  _
(;;#∀゚)「くっ……駄目だ!!なにか引っ掛けるもの……引っ掛けるもの……!」

俺は一度足を床に降ろす。
その時、足に鋭い痛みを感じた。
  _
(;;#∀ )「いっ!!……な、何だ!?」

闇に慣れつつある目でその物体を見つめる。
足元に落ちているザラザラとした物体、それは尖った木片だった。
  _
(;;#∀゚)「何でこんなものが……」

そういや、あの男達が持っていた棒は木製だったな。
なるほど。
俺を殴りつけた際に欠けたのか。
これほど固い頭に感謝した日はない。
  _
(;;#∀゚)「これでいけるか……?」

ええい、物は試しだ。やるしかない。
足の指と指の間に木片を挟んで持ち上げる。
不安定な木片はゆっくりとコートのボタンに近付いていく。

275:2011/02/21(月) 00:08:59 ID:
_
(;;#∀゚)「あっ!……くそっ!」

木片は足の指から外れ地面に落ちた。
俺は足裏を床に摩り付けながら木片を探す。
見つけた木片をもう一度持ち上げて再挑戦する。
  _
(;;#∀゚)「…………………」

プルプルと震える足先の木片。
何度もフックにかけようと試みるが思い通りにいかない。

頼む。
引っ掛かってくれ。
しかし、木片はカツカツとボタンに当たるがフックまでは届かない。
  _
(;*#∀゚)「………………おっ!?」

ついに木片がボタンのフックにかかかった。
よし、これで一段落だ。
フックを外そうと、梃子の原理でボタンを押し出す。
  _
(;;#∀゚)「うあっ!?」

油断した。
木片がボタンの保持力に力負けしたせいで、木片が落ちてしまった。

276:2011/02/21(月) 00:09:26 ID:
_
(;;#∀゚)「ぐっ…………く、糞!!もう一度だ!!」

俺は指で掴み、再度同じ要領で挑戦する。
同じ轍を踏む気はない。
慎重に、冷静に。
同じやり方で2回目は難無く引っ掛かけることが出来た。
  _
(;;#∀゚)「よし………もう少しだ」

足の指に力を込めてボタンを押し出す。
ボタンはカチッと音を立てて外れた。
  _
(;;#∀゚)「おお!!取れた!!」

やった。
これで後2つ程外せば、道具を取り出す事ができる。
俺はすぐさま木片を次のボタンに掛けた。
  _
(;;#∀゚)「時間がねえが…焦るな……焦るな……」

俺は大きく深呼吸をした。

277:2011/02/21(月) 00:10:05 ID:
ξ;゚⊿゚)ξ「うわっ!!今日は随分と混んでるなあ……」

ξ;゚⊿゚)ξ「ちゃんと買えると良いけど……」

ξ゚⊿゚)ξ「えーっと……お魚、お魚…」

ξ*゚⊿゚)ξ「おっ!!あったあった!」

ξ゚⊿゚)ξ「うわっ安い!!何で!?」

ξ゚⊿゚)ξ「大漁だったのかな?まあともかく安いに越したことはないわね」

ξ*゚⊿゚)ξ「沢山買っちゃおう!!」

ξ*゚ー゚)ξ~♪





('e')「……………………」

278:2011/02/21(月) 00:10:28 ID:
_
(;;#∀゚)「よし!!取れた!!」

俺の苦労の甲斐あってボタンが3つ外れた。
これで道具を出すことができる。
俺はコートの中に足を入れ、内側に取り付けられた木箱を取り出す。

木箱は手の指の関節2つ分くらいの大きさだ。
箱の蓋を開け、中にある灰色で丸い物体を取り出す。


】海賊の七ツ道具その4:鋼粘土【


これは本当に面白い物体だ。
元は粘土のように柔らかく、握るだけで形を崩す事ができるが、
54kg以上の圧力を掛かれば忽ち鋼鉄のように硬くなり、握ることが出来なくなる。

しかし、お湯をかければ元に戻るという不思議な道具だ。
素材も何もかもわかっていない未知の物体。
  _
(;;#∀゚)「よし………始めよう」

俺はこの粘土を鍵穴に押し込んだ。
グニュグニュと穴の中に潜り込み、隙間という隙間を埋め尽くす。
そして十分に広がった事を確認し、俺は強く粘土を握る。

279:2011/02/21(月) 00:10:52 ID:
粘土はじわじわと固まっていき、やがて鉄の硬度になった。
俺は粘土を捩り、鍵穴を回す。
カチャリと音を立てて鎖は外れた。
  _
(;;#∀゚)「よし!……次は檻か」

こっちは手枷よりも楽だ。
奴らは俺を殺そうとはしなかった。
それはつまり、俺にまだ利用価値があると判断したからだ。

先程の扉の奥から聞こえてきたモララーの声が正しいとすれば、こんな容易い事はない。
俺は息を大きく吸い込み、腹を膨らませる。
  _
(;;#∀゚)「アッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ」
  _
(;;#∀゚)「ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ」
  _
(;;#∀゚)「ッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!」

俺は大声で笑い声を上げる。
笑い声を聞き、10秒と経たずして見張りが入ってきた。
人数は3人。
余裕だ。
  _
(;;#∀゚)「モララーに伝えておけ……俺は今から舌を噛み切って自殺する」

俺はベロを垂らし、歯をあてる。
上の許可なしに俺を死なせるのはこいつらとしてもまずいだろう。
見張りは直ぐに鍵を開け、中に入ってきた。

280:2011/02/21(月) 00:11:25 ID:
_
(;;#∀゚)「おらっ!!」

俺は近付いてきた見張りの一人に頭突きをする。
俺の頭は奴の鼻に直撃し、一撃で相手をのした。
手錠が外れていることに気付いた見張りは俺に銃を向ける。

しかし、全てがもう遅い。
銃を構えたと同時に、俺は素早く木片をもう一人の目に突き刺した。
眼球は可愛らしい音を立てて潰れ、血が噴き出した。
そいつは目を手で押さえ、叫び声を上げながら銃を落とした。
  _
(;;#∀゚)「こいつはありがたく頂くぜ」

俺は銃を拾い上げ、なんの躊躇いもなく3人目に向けて引き金を引いた。
弾は左胸に命中し、一瞬にして、男は絶命した。
この間、わずか数秒。
まったくこんな奴らを見張りに置くなよ。
  _
(;;#∀゚)「さあて、脱出と洒落こむか」

俺はもう一つ銃を拾い上げ、両手に構える。
そこに、銃声を聞きつけた兵隊が何人も部屋に入ってきた。
さあて、どうやって陥落しようか。

281:2011/02/21(月) 00:12:16 ID:
_
(;;#∀゚)「残念だが俺はここから出る」

俺は牢に入って来たものを片っぱしから撃ち続ける。
虫のようにぞろぞろと来るが一人として俺に引き金を引いた奴はいない。
ある程度落ち着いたころを見計らい、俺は死んだ兵の銃を数本拾い上げ、外に出る。

外にも数人兵がいた。
連中も銃を俺に向かって放つが、緊張しているのかなかなか当たらない。
  _
(;;#∀゚)「おいおい……そんなへっぴり腰で要人さんを守れんのか?」

右から左から。
現れる兵士を片っぱしから打ち込む。
頭に当たるよう正確に射撃し、一撃で殺す。
できるだけ弾の節約には心がけよう。
フロアに敵がいなくなったら階段を駆け上がる。
  _
(;;#∀゚)「ここは……地下2階か」

上階段から足音が聞こえてきた。
俺は銃口を上に向け、足を目掛けて引き金を引いた。
一人が体勢を崩せば全体が崩れる。
階段はこれだから集団戦に向いていない。
  _
(;;#∀゚)「時間がねえんだ。階段の一部になりたくねえ奴は側壁になれ」

282:2011/02/21(月) 00:12:44 ID:
ξ゚⊿゚)ξ「お魚あんまり安いから買い過ぎちゃった」

ξ゚⊿゚)ξ「今日は美味しいムニエルが作れそう!」

ξ゚ー゚)ξ「…………………」

ξ*゚⊿゚)ξ「あ~……今日モララー様来ないかな~……」

ξ*゚ー゚)ξ「…………………」

ξ*゚⊿゚)ξ「モララー様……」

ξ*゚ー゚)ξ「ウフフ…………」

('e')「あの~」

ξ;゚⊿゚)ξ「ほっ!!……は、はい!?」

('e')「ちょっとお手伝い……というか頼み事をお願いしたいんですが……」

283:2011/02/21(月) 00:13:09 ID:
ξ゚⊿゚)ξ「……?はい?」

('e')「ほんとすぐに終わるんで。ほんとすぐ」

ξ゚⊿゚)ξ「……なんですか?」

('e')「いや、ちょっと……」








('e')「内臓見せて貰えませんか?」

ξ゚⊿゚)ξ「え?」



ξ゚⊿゚)ξ ブシュッ

284:2011/02/21(月) 00:13:31 ID:
_
(;;#∀゚)「おっと!」

背後から剣を振り回してくる奴がいた。
俺は飛び上がり、剣線を回避する。
そのまま、空中から奴の頭を狙撃した。

そして、地面に着地するまでに3人の人間を射殺。
着地と同時に襲いかかってきた男の顎を狙って蹴りを入れる。
怯んだ隙を突き、腹に一発。
  _
(;;#∀゚)「……不意打ち結構」

その背後で銃を構えていた奴に俺は振り向かず、銃口だけ向けて引き金を引いた。
銃弾は首に当たり、首から血を流して倒れた。
  _
(;;#∀゚)「…………終わったか」

気付けば、辺りには誰もいなくなっていた。
この建物は数十年も昔に処刑場として使われていた場所だ。
今は廃墟としてこの街に残っているが、まだ使う奴がいたとは。
俺は建物から飛び出し、一直線に裏町まで走る。

だいぶ時間をロスした。
ここから裏町までだいぶ距離がある。
しかし、アイツらを殺さねば脱出も厳しかっただろう。
  _
(;#∀゚)「頼む……無事でいてくれ……ツン!!」

285:2011/02/21(月) 00:13:54 ID:
ξ;゚⊿゚)ξ「え?あ……ああ……」

('e')「すいません。不意打ちで……」

('e')「私……ナイフ使いなもんでして……」

ξ;⊿ )ξ「え?え……ああ?……え?」

('e')「最近では有名になっているみたいですねぇ……私」

('e')「『暗闇』なんて異名貰っちゃいましたけど……いいもんですねぇ」

('e')「連続強姦殺人魔『暗闇』!!またもや街に降り立つ!!……なあーんて」

ξ;⊿ )ξ「く…『暗闇』!!」

('e')「私、そんな柄じゃないんですけどねぇ……」

ξ;⊿ )ξ「い、嫌!!た、助けて!!誰か!!」

('e')「何時もこの道を通ってるんですかぁ?ここは人気が全くないんですよぉ」

286:2011/02/21(月) 00:14:19 ID:
('e')「今度からはこの道は使わない方が良いんじゃないんすか?」

('e')「まあ……来世でってことで……」

ξ;⊿ )ξ「いやあああああああああああああ!!」

('e')「おや?逃げるんですか?」

('e')「無駄ですよぉ。私はどこまでも追いかけるんでねぇ」

ξ;⊿ )ξ「嫌!!お願い!!助けて!!」

('e')「いつもならもう少し逃げる時間を与えていたんですが……」

('e')「貴方の体を好きにしても良いというお知らせが子爵様から来たんでねぇ…」

('e')「今日はもう終わりにしましょう。そら、ナイフを投げますよ!」

ξ;゚⊿゚)ξ ドスッ

ξ;゚⊿゚)ξ「え……やだ……嘘……」

ξ;⊿ )ξ「死に……たく…な……」

287:2011/02/21(月) 00:14:47 ID:
('e')「………………」

('e')「うん、まだ生きてますね」

('e')「ンフフッフフフフフウフフフフフフフ」

('e')「この状態がたまらない……」

('e')「生きながらにして死んでいく様を見守るのがねぇ……」

('e')「……まずは……頭蓋骨に穴を開けますか」

('e')「ああ、いい髪だ……」

('e')「これはコレクション入りですねぇ……うんうん」

('e')「さあてt………………」

('e')「………………!!」

('e')「………………誰ですか…?あなた」


ζ(゚ー゚*ζ「………………」

288:2011/02/21(月) 00:15:09 ID:
ζ(゚ー゚*ζ「ツン……ジョルジュ・キッドの幼馴染…」

ζ(゚ー゚*ζ「彼の行方を知る唯一の人物……」

('e')「だからあなたは何だと聞いているのですよ?」

ζ(゚ー゚*ζ「…………その女性をどうするつもりですか?」

('e')「貴方には関係ない話ですが……見られた以上は貴方も巻き込まざるを得なくなりましたね」

ζ(゚ー゚*ζ「……貴方…『暗闇』ですね?」

('e')「ええ。巷ではそう呼ばれてますねぇ……」

ζ(゚ー゚*ζ「その方から離れて下さい。私はその方に用があるのです」

('e')「ははあ、ご友人でいらっしゃいますか?」

ζ(゚ー゚*ζ「少なくとも、私もあの方も同じ女性として貴方の敵であるということは伝えておきます」

('e')「……よくいるんですよ。私を女性の敵だと仰る人が」

('e')「しかし、私は女性を愛しているのです。これが何故分からないのですか?」

289:2011/02/21(月) 00:15:33 ID:
('e')「私は全ての女性を愛している!!」

('e')「女性の需要はその膨らんだ乳房と甘い蜜を溜めた性器だけでしょうか!?」

('e')「否!私は女性の体ならばどこでも愛することができる!!」

('e')「肛門!口!耳!鼻!筋肉!喉!眼球!」

('e')「大腸!小腸!肝臓!膵臓!脾臓!胆嚢!肺!胃!心臓!」

('e')「脳みそ!アキレス腱!上腕二頭筋!腹直筋!大腿骨!恥骨!肩甲骨!」

('e')「私の欲求を満たせぬ個所などございません!開ければ全て穴になるのですから!」

ζ(゚ー゚*ζ「……………それで?」

('e')「それで…?いやいや何を仰っているんですか?」

('e')「私は残忍と思われているのかもしれませんがこれは大きな誤解ですよ?」

('e')「他の男達は、女性の数%しか愛さずに死なせてしまうのですから……」

('e')「その点私は女性を余すことなく愛している!むしろ理想の男と称しても良いでしょう!」

290:2011/02/21(月) 00:15:59 ID:
ζ(゚ー゚*ζ「……そうですか」

('e')「そうですとも!分かりましたか?私の愛が!」

('e')「そして……貴方も愛してあげましょう」

ζ(゚ー゚*ζ「しかし、あなたは一つだけ愛していない個所がありますね」

('e')「……?何ですかそれは」

ζ(゚ー゚*ζ「心です」

('e')「はっ!!それは仕方のないことですよ私と女性はたった数分しか関われないんですからね」

ζ(゚ー゚*ζ「その数分を愛せない方に何をされて満足できるというのですか?」

('e')「ごちゃごちゃとうるさい方ですねぇ。その口は閉じた方が良い」 ヒュッ!

ζ(゚ー゚*;ζ「!!……ナイフ!?」

('e')「ほう……反射神経は身についているようですね」

291:2011/02/21(月) 00:16:33 ID:
('e')「ですが……接近戦においてナイフに勝る武器はありません」

('e')「何時まで避けられるか…見ものですね」

ζ(゚ー゚*ζ「……………」

('e')「私は投げるよりも切り刻む方が好きなのです。だから…」

('e')「貴方も切り裂いてあげましょう!」

ζ(゚ー゚*;ζ「くっ………!!」

('e')「ヌフフフフフフフフフ!ンフフフンフ!!」

ζ(゚ー゚*ζ(予想以上にナイフの扱いに長けている……)

ζ(゚ー゚*ζ(ここは距離をとったほうがよさそうですね……)

('e')「……?どうしたんですか?怖くなんかないですよ?」

ζ(゚ー゚*ζ「貴方が……ナイフを使うのならば……私はこれを使いましょう」

―Yζ(゚ー゚*ζ

('e')「………何ですかそれは……針…?」

292:2011/02/21(月) 00:16:53 ID:
('e')「そんな致命傷にもならない武器で私と戦うというのですか?」

ζ(゚ー゚*ζ「それはどうでしょうか。やってみます?」

('e')「面白い事を言いますね……ならば試してもらいましょうか」

('e')「ただし……できたらの話ですが…ね」

ζ(゚ー゚*ζ(!!……またナイフを投げて…!)

('e')「残念ですが私は中距離にも対応しているんですよ。なぜならナイフはいくらでもありますからねえ」

ζ(゚ー゚*ζ「本当に饒舌なお方ですのね。もう少し、声のトーンを落としてもらえないでしょうか」

('e')「すみませんねぇ…こういう人間でして」

ζ(゚ー゚*ζ「構いませんよ。もう針は届きましたから」

('e')「え…………?」

ζ(゚ー゚*ζ「ナイフは中距離には向いてません。なぜなら投げるモーションを見定められてしまいますからね」

ζ(゚ー゚*ζ「その点、針は違います。何時投げたのかも、投げるふりも、投げた軌道も全て隠すことができます」

(#'e')「!!……こ、小娘がぁ…」

293:2011/02/21(月) 00:17:23 ID:
(;'e')「……ハァ………ハァ………?」

(;'e')「なんだ?……呼吸が……うまく…」

ζ(゚ー゚*ζ「その針に塗られているのは神経毒です」

(;'e')「!?……ど、毒!?」

ζ(゚ー゚*ζ「即効性があり、呼吸器官を麻痺させる作用があります。直に立っていられなくなるでしょう」

(;e)「なっ……!!」

ζ(゚ー゚*ζ「申し遅れました……。私『蜂蜜』と申します」

(;e)「ひゃ……ひゃちみつ…!?」

[]ζ(゚ー゚*ζ「私……毒の調合が得意でして……効能別に分けただけでも300種類はございますの」

(;e)「な…にゃんだ!そ、その瓶は……!」

[]ζ(゚ー゚*ζ「見て下さい。この蜂蜜のような色…そしてとろみ」

(;e)「く、来るな!!……おい!!……おい!!」

294:2011/02/21(月) 00:18:02 ID:
ζ(゚ー゚*ζ「私の要件を邪魔した事…。そして今までの女性達の仇を込めて」

ζ(゚ー゚*ζ「この中身……貴方に差し上げますね♪」

(;e)「い、いらん!!た、助けて!!」

ζ(゚ー゚*ζ「何でですか?大丈夫ですよ。これは全身を溶かしてくれますから」

(;e)「!!」

ζ(゚ー゚*ζ「貴方以上に余すことなく愛してくれると思いますよ」

ζ(゚ー゚*ζ「どうぞ心行くまでお楽しみに」




(;e)「ひっ……!!ひゃああああああああああああああああああ!!」





ζ(゚ー゚*ζ「さようなら」

295:2011/02/21(月) 00:18:31 ID:
(‘_L’)「なるほど……宝石に別の宝石の名が…」

( ・∀・)「まさか秘宝が10もあるとは思いませんでした」

(‘_L’)「そうだな……これはますます興味がわいてきた」

( ・∀・)「秘宝は世界の宝石。たった一つで4つ以上の国が手に入るほどの価値があると言います」

( ・∀・)「世界は今や秘宝を手にしたものこそが権力を掌握する……まさにその通り」

( ・∀・)「既に一つは見つけたようなものでしょう。フィレンクト卿」

( ・∀・)「貴方は世界の頂点に立つべき方でございます」

(‘_L’)「この日をどれほど待ちわびたことか……」

(‘_L’)「これでこの国を牛耳る屑共にひと泡を吹かすことができる」

( ・∀・)「どこまでも付いていきましょう…フィレンクト卿」



(‘_L’)「フフフ……恩にきるよ……ジョリー・キッド」

296:2011/02/21(月) 00:19:04 ID:
ζ(゚ー゚*ζ「…………………」

;;e#)

ζ(゚ー゚*ζ「さてと、この人をどうにかして助けないと…」

ζ(゚、゚*ζ「……………ん?あれは……」

  _
(;;#∀゚)「ツン!!」

俺が市場に向かう途中、倒れているツンを発見した。
俺は直ぐに駆け寄り、ツンを抱え上げる。
体には数か所ナイフで刺された跡があり、服が血で滲んでいる。
  _
(;;#∀゚)「ツン!!しっかりしろ!!ツン!」

ツンの頭をガクガクと揺する。
すると、ツンはゆっくりと目を開けた。

ξ;⊿ )ξ「じ、ジョルジュ……?」

生きている。
虫の息ではあるが、かろうじて一命は取り留めていた。

297:2011/02/21(月) 00:19:28 ID:
_
(;;#∀゚)「ああ、ジョルジュだ!!しっかりしろ!」

ξ;ー )ξ「フフフ…なんて顔……傷だらけじゃない」

どんなに苦しくても彼女は俺の心配をした。
なんて馬鹿な奴だ。
  _
(;;#∀゚)「待ってろ!すぐ医者に見せるから……」

ξ;⊿ )ξ「ジョルジュ……行かないで」

ツンが必死に俺の服の袖を掴む。
その手は酷く震えていた。
  _
(;;#∀゚)「何言ってんだよ!俺も一緒に行くから安心しろ!」

ξ;⊿ )ξ「そうじゃないの……やめて……殺さ…ないで……」
  _
(;;#∀゚)「!!」



ξ;⊿ )ξ「モララー様……なんでしょ?…私を……殺そうと……したの」

298:2011/02/21(月) 00:19:54 ID:
ξ;⊿ )ξ「さっき、ナイフを持って……黒いコートをまとった男の人が……言ってたの」

ξ;⊿ )ξ「子爵様に……言われて来たんだって……」
  _
(;;#∀゚)「…………………」

ξ;⊿ )ξ「この街には子爵は一人しかいないって……モララー様言ってたからさ……それで」

ツンの目から血でも汗でもない液体が流れた。
その液体は頬を伝って俺の腕に落ちた。

ξ;ー )ξ「私って…本当に馬鹿だよね……簡単に騙されちゃった」

ξ;ー )ξ「分かってたんだけどね……モララー様が私なんか愛してくれないってこと」

ξ;ー )ξ「ごめんね……。ジョルジュにも迷惑……かけちゃった」
  _
(;;#∀;)「おい!そんなことはどうでもいいんだよ!!ツン!」

ξ;ー )ξ「だから……モララー様のとこにはいかないで…お願い……逃げ……」

彼女はそこで声を出すのを止め、死んだように眠った。

299:2011/02/21(月) 00:20:16 ID:
_
(;;#∀;)

ξ⊿ )ξ「……………………」
  _
(;;#∀)「………………………」

俺はツンの体を思いきり抱きしめた。
間隔の広い鼓動の音が俺の胸に伝わる。
か弱い吐息が俺の頬に当たった。
  _
(;;#∀ )「悪いな……ツン……俺…お前の願いは聞けねえわ」

ツンは死ななかった。
しかし、俺の怒りは彼女の傷の量で決まるものではない。
『海底』が俺のクルー傷付けた時とまったく同じ状況だ。

ツンの心を、体を傷つけたのだ。
許せるわけがないだろう?
  _
(;;#∀ )「ただ……あの日の約束は必ず守る」
  _
(;;#∀ )「モララーだけは……許せねえよ」

300:2011/02/21(月) 00:21:19 ID:
_
(;;#∀ )「デレ……」

ζ(゚ー゚*ζ「……………なんでしょうか」

俺は後ろに立っていたデレに声を掛ける。
この状況から察するに俺はこの女に借りをたくさん作ってしまったようだ。
  _
(;;#∀ )「ありがとな。ツンを守ってくれて……。お前がいなかったら…」

ζ(゚ー゚*ζ「いえ……私もたまたまこの場所に出くわしただけですから…」
  _
(;;#∀ )「俺に何かようだったのか?」

ζ(゚ー゚*ζ「……明日、フィレンクト卿が『メデューサの瞳』を取りに、カルベ海に進出するようです」
  _
(;;#∀ )「そうか……ならよ」

今となってはその話も他人事ではなくなっていた。
俺がとる選択肢は一つしかなかった。

ζ(゚ー゚*ζ「?」


  _
(;;#∀ )「俺の剣と銃を返してくれ」



第三章:END

301:2011/02/21(月) 00:22:53 ID:
すいません。いろいろリアルのほうで込み合っていて…

明日、最終章を必ず投下します。

ってかもうこれ短編じゃねえよ……
連載レベルだよ……

この時点で総レス数、約250ってどういうことなの……

302:2011/02/21(月) 00:23:32 ID:
乙!楽しみにしてるぜ

303:2011/02/21(月) 00:26:42 ID:

明日が楽しみだ

長編書いてもいいんだぜ(チラッチラッ

304:2011/02/21(月) 03:08:18 ID:


おもしろい!明日期待!!

307:2011/02/21(月) 18:19:53 ID:
最終章:海賊達のマスカレード



( ・∀・)「フィレンクト卿」

(‘_L’)「何だ」

( ・∀・)「出港の準備が整いました。直ちに出発します」

(‘_L’)「そうか。ご苦労」

( ・∀・)「もう間もなくですね……」

(‘_L’)「フフフ……ついに私も秘宝を手にすることが出来るのだ」

(‘_L’)「モララー……よくぞ見つけてくれたな」

( ・∀・)「いえいえ…フィレンクト卿が秘宝を求めるならどこへでもついて行きましょう」

(‘_L’)「お前には…何か褒美をやらないとな」

( ・∀・)「ありがたきお言葉を…………」

(‘_L’)「何が欲しい?地位か?金か?」

( ・∀・)「では……フィレンクト卿が本国に帰還した際に、この島の自治を任せて下さいませ」

308:2011/02/21(月) 18:20:44 ID:
(‘_L’)「……?こんなゴミ山のような島にか」

( ・∀・)「ええ」

(‘_L’)「構わんが………理解に苦しむな。何故だ?」

( ・∀・)「嫌いだからですよ。海賊というゴミが」

( ・∀・)「人は生まれ持った地位があります。生まれたからにはその運命に従わなければならない」

( ・∀・)「皇帝なら皇帝に。伯爵なら伯爵に。市民なら市民に」

( ・∀・)「奴隷なら………奴隷に」

(‘_L’)「………………」

( ・∀・)「そんな当たり前の事すら受け入れられずに海賊はあの町にのさばり、船を襲い、揚句には貴族を平気で殺す」

( ・∀・)「私の夢は海賊の撲滅、ただそれだけです。そのためならば、どんな手を使っても構わない」

( ・∀・)「私にこの島を任せて下さい。必ずしや2年までに島の海賊を撲滅させて見せましょう」

(‘_L’)「フッ……流石だな…モララー…いや『駆除」よ」


(‘_L’)「いいだろう。その願い承ろうか」

309:2011/02/21(月) 18:21:31 ID:
_
( ;゚∀゚)「どういう事だ……?」

('A`)「あっ、キャプテン!おはようございます!!」

( ><)「遅いんです!!」

/ ゚、。 /「もう出港の準備はできてますよ船長」

/ ,' 3「…………………」
  _
( ;゚∀゚)「……………………」

早朝。
俺はデレに指定された港に向かうとありえない光景を見た。
なぜかデレの船に、俺のクルーが乗っている。
それも全員。
  _
( ;゚∀゚)「お、お前らどうしたんだよ!体は大丈夫なのか?」

(#'A`)「キャプテン!どういうことですか!!」
  _
( ;゚∀゚)「……は?」

(#'A`)「あの女性ですよ!!3日前の人ですよね!!」

310:2011/02/21(月) 18:22:06 ID:
_
( ;゚∀゚)「知らねえよ!たまたま協力してくれるって言ったんだよ!それより…」

( #><)「見損なったんです!ツンさんがいながらそんなこと……やらしっ!!」
  _
( ;゚∀゚)「そんなんじゃねえよ!!だから…」

/ ゚、。 /「流石に僕も性病は……治せないですよ」
  _
( ;゚∀゚)「人の話を聞け!!殴るぞ!!」

/ ,' 3「……………………」

どういうことだ?
こいつらは『海底』に半殺しにされていたんじゃないのか?
袖の隙間からちらちらと包帯が見えるから、無理しているのは明白だが…。

/ ゚、。 /「ツンさんの具合…どうだったんですか?」
  _
( ;゚∀゚)「あ、ああ。一応命に別状はないそうだが…」

/ ゚、。 /「僕達も行くんですよね?『メデューサの瞳』に」
  _
( ;゚∀゚)「…………知っていたのか?」

/ ゚、。 /「分かりますよ…。あなたの考えていることなんて」

/ ゚、。 /「自分ひとりで抱え込まないでください。僕達はクルーなんですから」

311:2011/02/21(月) 18:22:30 ID:
_
( ;゚∀゚)「だが…お前ら、体の方は大丈夫なのか?」

/ ゚、。 /「ええ。ここに来る前にちゃんと診断しておきました。全員、航海に支障はありません」

/ ゚、。 /「それにほら」

ダイオードが船上にいるドクオ達を指さす。

('A`)「この船の操舵室はどこだ?」

( ><)「甲板の裏に入り口があるんです!」

('A`;)「ちょっ!水漏れしてんじゃねか!スカルチノフさーん!板ー!」

/ ,' 3「…………?」

('A`;)「いや…だからえーっとね?こう…ITA?状の物……持ってきて?」
  _
( ;゚∀゚)「………………………」

一人で抱え込むな…か。
確かに俺は全ての問題を自分ひとりの力で何とかしようと思っていたのかも知れない。
  _
( ゚∀゚)「……………………ああ、悪かったよ」

/ ゚、。 /「しっかりして下さいよ船長。あの宝石でツンさんにプロポーズするんでしょう?」

312:2011/02/21(月) 18:22:53 ID:
_
( ゚∀゚)「ああ。やっぱもう一度挑戦して……ん?」
  _
( ゚∀゚)「なんでお前知ってんだ?ツンのこと」

/ ゚、。 /「ああ……ドクオさんから聞きました」

('A`;)「ダイオードてめえ!!」
  _
( ゚∀゚)「ドクオ後でこっち来い」

('A`;)「ちょっ……勘弁して下さいよ……」

俺は一息つけてダイオードを見る。
俺はこいつらを過小評価しすぎていたのかもしれない。
  _
( ゚∀゚)「すまねえな。ダイオード。心配掛けた」

/ ゚、。 /「何かあったら僕に言って下さい。なんでも治しますから」

/ ゚、。 /「あっ………恋の病以外なら」
  _
( ゚∀゚)「ぶっ殺す」

ζ(゚ー゚*ζ「皆さん……もうお揃いでしたか」

313:2011/02/21(月) 18:23:13 ID:
俺達がワイワイと騒いでいると、港からデレがやってきた。
これで全員が揃った。
  _
( ゚∀゚)「どこ行ってたんだ?」

ζ(゚ー゚*ζ「ちょっと調合しておりまして……」
  _
( ゚∀゚)「調合?なんだ、薬でも持っていくのか?」

ζ(゚ー゚*ζ「いえ……大したものではありませんわ」
  _
( ゚∀゚)「ふうん……そうかい」

俺は適当にデレの話を流し、船を見る。

ドクオ。
ダイオード。
ビロード。
スカルチノフ。
デレ。

このメンバーで、『メデューサの瞳』が眠る洞窟まで向かう。
これからは俺達全員の力で決着をつけるんだ。
  _
( ゚∀゚)「それじゃあ、行くか」

俺は勢いよく船に乗り込んだ。

314:2011/02/21(月) 18:23:32 ID:
( `ー´)「………………」

( `ハ´)「……………」

( `ー´)「ジョルジュがいないといまいち盛りあがれネーノ」

( `ハ´)「なんだかんだ言ってアイツが一番この酒場にいたアルネ…」

( `ー´)「アイツ……生きてんのかなあ」

( `ハ´)「さあ……『巨人』に目を着けられちゃあ……おしまいアルヨ」

<*ヽ`∀´>「ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!傑作ニダ!」

<*ヽ`∀´>「最高ニダ!馬鹿ニダ!メシウマニダ!」

( `ー´)「………………」

( `ハ´)「…………………」

<*ヽ`∀´>「アホニダ!強欲だからこうなるニダ!ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」

<*ヽ`∀´>「ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ」

<ヽ`∀´>「ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ……」

315:2011/02/21(月) 18:23:57 ID:
( `ー´)「…………………………」

( `ハ´)「……………………………」

<;ヽ`∀´>「ヒャ……ヒャヒャ…ヒャヒャヒャ………ヒャ」

( `ー´)「テンション高いな」

<;ヽ`∀´>「なんかごめん」

( `ハ´)「どうかしたアルか?」

<ヽ`∀´>「そ、そうニダ!とっても面白いことになったニダ!!」

<ヽ`∀´>「たった今、カルベに海獣危険警報が発令されたニダ!」

( `ー´)「カルベに…?………あっ!!」

<ヽ`∀´>「フィレンクトとそれを追っかけた奴ら全員が餌食ニダ!!」

( `ー´)「そいつはまたドンマイな話じゃネーノ…」

<ヽ`∀´>「ただでさえ渦潮の激しい海なのに…きっと誰も帰ってこれないニダ!」

316:2011/02/21(月) 18:24:18 ID:
( `ハ´)「それにしても…海獣警報は分かるが海獣“危険”警報ってのは何アルか?」

<ヽ`∀´>「ああ、なんでも群れで海に現れたらしいニダ」

(;`ハ´)「む、群れで!?」

<ヽ`∀´>「あんな化け物…一匹でもお腹いっぱいなのに数十匹もいるらしいニダ!!」

(;`ハ´)「もう駄目かもわからんね」

ミ;,,゚Д゚彡「………………」

<ヽ`∀´>「まぁ、帰ってこれたら凄いニダ」

( `ー´)「もしかしたら結局だれも『メデューサの瞳』を手に入れられないんじゃネーノ?」

( `ハ´)「その可能性はあるアルネ」



ミ;,,゚Д゚彡(大丈夫だろうな……ジョルジュ…)

ミ;,,゚Д゚彡(無事……帰ってこいよ…)

317:2011/02/21(月) 18:24:30 ID:
がんばれー

318:2011/02/21(月) 18:24:41 ID:
_
( ゚∀゚)「静かだな……」

ζ(゚ー゚*ζ「そうですね……」

空は快晴。
波も穏やか。
嵐の前触れのように能天気な海の上を俺達は進む。
風も強くはないので突然の時化に警戒することもない。

ζ(゚ー゚*ζ「こんなに陸から離れた海に来たのは初めてです」
  _
( ゚∀゚)「……?じゃあこの船は何なんだよ」

俺達が使っている船は明らかに性能が良く耐久性に優れている長距離用の帆船だ。
そもそも女性が一人で船を所有しているだけでもずいぶん驚きだが。

ζ(゚ー゚*ζ「ああ、これも盗品ですよ」
  _
( ゚∀゚)「………………」

ああ、そう。

ζ(゚ー゚*ζ「ところで……この船の指針は大丈夫なのですか?」
  _
( ゚∀゚)「ああ。大丈夫だ」

319:2011/02/21(月) 18:25:02 ID:
俺はポケットから望遠鏡を取り出し、デレに渡した。
デレは何だか分からないような顔をしながらも望遠鏡を受け取り、レンズを覗く。
  _
( ゚∀゚)「前に船がいるのがわかるだろう?」

ζ(゚ー゚*ζ「ええ。ですがフィレンクト卿の船ではなさそうですが……」
  _
( ゚∀゚)「それでいいんだ」

俺は遠くにいる船に指をさし、デレにわかりやすく説明する。
  _
( ゚∀゚)「俺達にも『メデューサの瞳』を狙ってる奴がいるのは知っているな?」

ζ(゚ー゚*ζ「ええ、私が調べただけでも30以上はいます」
  _
( ゚∀゚)「あの船もその一つだ」

ζ(゚、゚*ζ「え…?」

デレはもう一度望遠鏡を覗き船を見る。
船のマストに掲げられた海賊期を確認した後、俺の顔を見た。
  _
( ゚∀゚)「あれも宝石を奪おうとしているなら、フィレンクトの船を追っているはずだ」

320:2011/02/21(月) 18:25:23 ID:
ζ(゚ー゚*ζ「なるほど……その追っている船を追っていると」
  _
( ゚∀゚)「あたり」

実際、海上でフィレンクト卿と当たるのは避けたい。
どんなに戦術や経験があろうとも、向こうの船の設備の方が上だ。
こればかりは怒りに任せるほど馬鹿な俺じゃない。

負けるもんは負ける。
これを理解しているかどうかで戦況は大きく変わる。
俺達は上陸した後を狙う作戦でフィレンクト卿に挑む事にした。

/;゚、。 /「船長!!大変です!!」

その時、突然マストに登っていたダイオードが叫ぶ。
何やらただ事では無いようだ。
ダイオードは進行方向をまっすぐ見つめていた。
  _
( ゚∀゚)「どうした!敵か?」

/;゚、。 /「目の前に渦潮が現れました!!しかもかなり大きめの!!」
  _
( ゚∀゚)「何?」

ζ(゚ー゚*;ζ「う、渦潮…!?……………きゃっ!!」

俺はデレから望遠鏡を取り上げ海を見る。
その円の中にははっきりと大きな2つの渦が映っていた。

321:2011/02/21(月) 18:25:43 ID:
_
( ゚∀゚)「ビロード!!」

( ><)「はい!」
  _
( ゚∀゚)「ドクオに指示を頼む」

( ><)「了解なんです!!」

ビロードは船首に乗り、コンパスを開く。
そのまま海を真剣に見つめ、ブツブツと何かを呟きだした。

( ;><)「………………」ブツブツ

ζ(゚ー゚*;ζ「……彼は何をやっているんですか?」
  _
( ゚∀゚)「いいから黙ってろ」

この船から渦までの時間はざっと10分といったところか。
カルベの海は不規則に渦が現れる事で知られている。
とくに一度渦が発生すると、そのエリアに集中的にうじゃうじゃと現れる。
まるで船を飲み込もうという意思でもあるかのように。

( ;><)「わかったんです!!」

突然、ビロードは立ち上がり振り返った。
どうやらビロードの読解が終わったようだ。

322:2011/02/21(月) 18:26:02 ID:
( ><)「ドクオ!!11時半の方向に舵を!」

('A`)「おーらいっと……」

ドクオは操舵輪を寸分狂わぬ正確さで回す。
船は少しだけ進路を変え、先へ進む。

( ><)「…………うん、ピッタリなんです!」

ビロードは船の進路を確認した後、ドクオにわかるように両手で大きな丸を作った。
どうやら進路は確定したらしい。

ζ(゚ー゚*;ζ「た、たったこれだけですか!?」
  _
( ゚∀゚)「なんだよ」

ζ(゚ー゚*;ζ「だって……この角度では渦に巻き込まれてしまいますよ!」
  _
( ゚∀゚)「うるせえな。うちの航海士と操舵手を信じろ」

/ ゚、。 /「前方右手と左手に新たな渦が一つずつ出現しました!!」

見張りのダイオードが声を張った。
よくみると今まで何も無かった海に新しい渦が出現していた。
だが俺達の乗った船は全く影響を受けず、渦の隙間をかい潜り、そのまま真っ直ぐに進んだ。

323:2011/02/21(月) 18:26:22 ID:
ζ(゚ー゚*;ζ「え?……そ、そんなことが……」
  _
( ゚∀゚)「どうだ?うちの航海士と操舵手の腕は」

ζ(゚ー゚*;ζ「………恐れ入りました」

ビロードは波のスペシャリスト。
渦だろうと、荒波だろうと奴に読めない波は無い。
波の動きから魚がいる場所まで特定することができる。

そしてドクオは人間分度器。
こいつは何も見なくても正確な角度を図ることができる。
こいつに好きな方向を指示すれば針の太さレベルで正確に船を走らせる事も可能だ。

俺の船はコイツラがいる限り、遭難はおろか漂流さえも許さないのだ。

/;゚、。 /「前方…さらに渦が増えてきました!!2時に1つ、11時に2つ、正面に2つです!」

( ;><)「了解なんです!」

('A`)「とりあえず1時に向けとくぞ!!変更はあるか?」

( ><)「1時は渦が発生する可能性が高いです!!進路は……10時40分の方角で!!」

('A`)「あいよ~!!」

あれ程大量に現れた渦も障害とは思えない程にすいすいと避けていった。
まるで渦の方が逃げているようだ。

324:2011/02/21(月) 18:26:39 ID:
結局、俺達は進路に苦労することなく渦潮を潜り抜けた。

/ ゚、。 /「……?船長!!後方から船がやって来ます!!」
  _
( ゚∀゚)「船だあ?」

俺は後方甲板まで走り、背後の海を見渡す。
望遠鏡を使うまでも無く、肉眼で捕らえる距離で船は迫ってきていた。
俺は望遠鏡を取り出し、旗と乗組員を見た。

旗は海賊旗。
どうやらあの船は海賊船らしい。
そして、甲板には覚えのある顔が2つあった。


【( ,,^Д^) (^Д^ )】

  _
( ゚∀゚)「あいつら……生きていたのか」

ζ(゚ー゚*ζ「誰ですか?」
  _
( ゚∀゚)「俺がデレと初めて会った時にあんたを襲ってた……」

ζ(゚ー゚*ζ「ああ、貴方の気を引かせる為にわざと私から挑発したあの二人組ですね」
  _
( ;゚∀゚)「………………」

325:2011/02/21(月) 18:26:59 ID:
( ><)「………………!?」

( ;><)「え……………………?」

( ;><)「…………………」

( ;><)「…………何だろう」

( ;><)「………波がおかしいんです」



奴らは運よく渦に遭遇せず俺達の元へたどり着いた。
最初は逃げようかと考えたりもしたが、あいつらの為に進路変更するのもめんどくさかったので、結局何もせず進む事にした。

( ,,^Д^)「何処の三流海賊かと思えば……この前の卑怯野郎じゃねえか」

( #^Д^)「ああ!?あの女……やっぱりお前らグルだったのか!!」

( ,,^Д^)「何処までも汚え野郎だな!!」
  _
( ゚∀゚)「…………俺達はグルだったのか?」

ζ(゚ー゚*ζ「まあ…………そうなんですかね?」

326:2011/02/21(月) 18:27:18 ID:
( ,,^Д^)「いくら戦闘で強くても…海上で俺らに勝てるかな…?」

( ^Д^)「許しを請いたってもう遅えんだよ!!」

向こうの甲板でワイワイと騒ぐ連中。
正直だいぶストレスが溜まる。
無視できないのが辛いところだ。
  _
( ゚∀゚)「……どうする?戦うか?」

('A`)「まあ……どっちでも」

/ ゚、。 /「弾の無駄じゃないですかね」

ζ(゚ー゚*ζ「でも……しつこそうですよ?」

( ;><)「……………………まずい」

俺達があれこれ相談している中に、ビロードが大声を上げた。

( ;><)「船長!大変です!」
  _
( ゚∀゚)「ん?どうした?」


( ;><)「海獣が迫ってきているんです!!」

327:2011/02/21(月) 18:27:37 ID:
_
( ゚∀゚)「何だって……?」

( ;><)「すぐそこまで来ているんです!!」

俺は海を見る。
しかし、なにか動物がいるような気配はない。
だがビロードの波を読む力は絶対だ。
従わなければならない。
  _
( ;゚∀゚)「どこへ逃げればいい!?」

( ;><)「えーっと……このまま前進で大丈夫です!なので全速力でお願いします!!」
  _
( ゚∀゚)「よし!前進だな!」

俺は帆を全開にし、風の有効範囲を広げた。
これで先ほどよりもスピードは上がる。

( ,,^Д^)「おい!逃げるのか!?」

( ^Д^)「この腰ぬけが!!」

連中がなにかわめいているが聞いている暇はない。

328:2011/02/21(月) 18:27:58 ID:
_
( ;゚∀゚)「悪いな!!生きて帰れたら相手してやるよ!」

俺は軽く挨拶だけ済ますと、すぐに逃げる準備をした。

(#,,^Д^)「おい!何を言って……!!」

( ;^Д^)「お、おい兄貴!!」

( ,,^Д^)「ああ?どうした」

( ; Д )「し……………下、下…」

2人組の一人が血相を変えた目で海を指さした。
まさかもう来たのか…?

( ,,^Д^)「ああ?下?」

もう一人も怪訝そうな顔で海を見た。




するとその瞬間、巨大な物体が飛び上がった。

329:2011/02/21(月) 18:28:23 ID:
('A`;)「は?……………え?な、何?」


その物体は船を噛み砕いた。


( ;><)「え……………………」


バキバキと音を立てる船体。


/;゚、。 /「あ……あああ……あ…」


それは生物というよりも、壁に近かった。


ζ(゚ー゚*;ζ「こ……これが…海獣……!」


巨大肉食ザメ……通称、海獣。


/ ,' 3「…………………………」

  _
( ;゚∀゚)「……………………に」

330:2011/02/21(月) 18:28:41 ID:
_
( ;゚∀゚)「逃げろおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

俺は大声で叫んだ。

('A`;)「うわああああああああああああああ!!」

俺は帆を前回まで広げ、風を最大限に受け止める。

( ;><)「なんですかあれ!なんですかあれ!!わかんないんです!!」
  _
( ;゚∀゚)「いいから急いで逃げるぞ!!どこへ向かえばいい!」

( ;><)「えっ!?あ、…あああ!前進で大丈夫です!」
  _
( ;゚∀゚)「前進で良いんだな!!おい漕ぐぞ!」

俺は倉から緊急用のオールを数本取り出し、甲板に放り投げた!
  _
( ;゚∀゚)「暇な奴は漕げ!今のうちにできるだけアイツから遠ざけるぞ!!」

俺の号令にハッとなり、手の余った奴はすぐさまオールを掴ん漕ぎ始めた。
通常の倍以上のスピードでその場を後にする。

アイツらには申し訳ないが囮になってもらおう。

331:2011/02/21(月) 18:29:00 ID:
_
( ;゚∀゚)「ハァ……ハァ……ハァ……」

('A`;)「うう…ゲホッ!ゴホッ!!ああ…ああああ」

ζ(゚ー゚*;ζ「ハァ……ハァ……」

/;,' 3「…………………」

( ;><)「…………えっと、なんとか進路も無事元に戻りました」

俺達は何とか海獣のいた海からだいぶ遠くまで離れることができた。
大海原を右往左往。
迷子もびっくりな逃走劇だ。
  _
( ;゚∀゚)「糞っ……無駄な体力を使っちまった……」

ここで寝転んでいたいがそうしている場合ではない。
俺は甲板に倒れこみ、大の字になって寝そべった。

/;゚、。 /「あの……………船長」
  _
( ;゚∀゚)「大丈夫だ。すぐに起きる」

/;゚、。 /「いえ、そうではないんですが……」

/;゚、。 /「何か聞こえませんか?」

332:2011/02/21(月) 18:29:20 ID:
_
( ゚∀゚)「聞こえる?……もしかしてまた海獣か?」

/;゚、。 /「いやそういう類の音じゃなく…もっとこう……音楽みたいな…」
  _
( ;゚∀゚)「音楽だあ?」

なんでこんな何もない海の上で音楽が聞こえるんだよ。
波の音しか聞こえないような世界で。

/;゚、。 /「あっ、ほら聞こえますよ……よく聞いてみて下さい」
  _
( ゚∀゚)「何だよ一体……」

最初はダイオードの冗談かと思っていたが、あまりにも聞こえると言うので真剣に耳を澄ましてみた。
そんな…音楽なんて俺が一番聞きた……

~♪~~~♪♪~~♪~~♪~
  _
( ゚∀゚)「……………」

/ ゚、。 /「ね?聞こえましたよね」

そんな馬鹿な。

333:2011/02/21(月) 18:29:42 ID:
これは間違いなく音楽だ。
しかもこれは交響曲。
弦楽器、金管楽器、木管楽器、打楽器、鍵盤楽器が合わさり美しい音色を奏でている。
だが何故こんなところで聞こえてくるんだ…?

('A`;)「船長!大変です!3時の方角より海賊船が迫ってきてます!!」
  _
( ゚∀゚)「…………何?」

俺は走ってドクオが指した海を見る。
もはや望遠鏡など必要のないほどの距離に、その船はいた。
俺らに用があるのかは知らないが、近付いている事だけは事実だ。

その時、あることに気付いた。
音楽もだんだんと大きくなっている。
この音楽はあの船から聞こえてきたのだ。
  _
( ゚∀゚)「どうなってやがる…!」

俺は望遠鏡で件の船を見る。
よく見ると、その船の甲板に音楽隊がいた。
指揮者は熱烈と指揮を振り、それに合わせて演奏者たちが音色を奏でている。

ドクオの見間違いかと思ったが、確かに海賊旗は掲げられていた。

334:2011/02/21(月) 18:30:06 ID:
_
( ゚∀゚)「……………お?」

そうこうしていると、演奏が終わった。
そのうち、指揮をしていた一人の男がこっちへ歩いてきた。
船の手摺まで付くと、奴は大きくこっちに向けて手を振った。

  _
( ;゚∀゚)「………………なっ!!」

望遠鏡を見なくてもその男の正体がわかった。
そいつは俺にとってとても馴染みのある顔だった。

( ;><)「あ…あの人は…!!」



  _
( ;゚∀゚)「来ていたのか………ここに」








爪'ー`)「よう『決闘』。元気にしていたかい?」

335:2011/02/21(月) 18:30:27 ID:
そこにいたのは『楽譜』だった。
音楽家とは聞いていたが、まさかここまでするとは。

爪'ー`)「楽しんでくれたかい?オーディエンスの皆さま」
  _
( ;゚∀゚)「後ろの音楽隊は…お前の部下か?」

爪'ー`)「ああ、そうさ。全員プロ並みの技術を持ち合わせているぜ」
  _
( ;゚∀゚)「ああ…驚いた」

こんな危険な海でそんなことすんなよ。
フォックスがタクトを振ると、音楽隊連中はぞろぞろとどこかへ去って行った。

爪'ー`)「……無事だったのか」
  _
( ゚∀゚)「……ああ、おかげさまでな」

この数日間、こいつには色々と借りを作ってしまった。
こいつがいてくれたから今の俺がいると言っても過言ではないだろう。
  _
( ゚∀゚)「礼を言う。お前と出会えて良かったよ」

爪'ー`)「何だい急に…照れるじゃねえか」

336:2011/02/21(月) 18:30:37 ID:
おお最終章か。
楽しみにしてます。

337:2011/02/21(月) 18:30:48 ID:
爪'ー`)「良いってことよ。一ファンのお節介程度に思っておけば」
  _
( ゚∀゚)「いや、これはけじめだ、本当にありがとう」

爪'ー`)「なんだよ。礼を言われたらダイアでもくれんのかい?」

『楽譜』はクスクスと笑いながら俺に向かってこう告げた。

爪'ー`)「何か願い事を聞いてくれるってんなら…そうだな」

爪'ー`)「俺の言葉を一つだけ思い出してくれ」
  _
( ゚∀゚)「お前の……?」

コイツは何か言ったっけか?
俺はこいつと出会ってから今までのことを思い返す。






爪'ー`)「言っただろ?戦うのは海上でってな」

338:2011/02/21(月) 18:31:07 ID:
_
( ゚∀゚)「………………」

爪'ー`)「おいおい…まさか忘れたわけじゃあ…ねえよな」
  _
( ゚∀゚)「ああ…。はっきりと覚えてるぜ」

そうだ。
街でいくら恩の着せ合いをしても海に出れば話は別だ。
互いの目的は同じ。
ならば俺達は互いに全力で潰し合わなければならない。

爪'ー`)「なあ『決闘』。俺が何故『楽譜』って呼ばれているか知っているかい?」
  _
( ゚∀゚)「……楽譜のように無機質だからか?」

爪'ー`)「違う」




爪'ー`)「……穴を空け過ぎて…相手の船が楽譜みたいになっちまうからだよ」
  _
( ;゚∀゚)

その瞬間、奴の船のありとあらゆる場所から砲台が現れた。
その数二十……いや三十はあるか。
全てが俺らの船に向いていた。

339:2011/02/21(月) 18:31:28 ID:
爪'ー`)「どうだ?これが俺の戦い方だよ」
  _
( ;゚∀゚)「すげえな……金の使い方間違ってるんじゃねえのか?」

爪'ー`)「そんなことはない。まあこれの為に少々船を軽くする必要があったがな」

重々しい威圧感が俺達の船にのしかかる。
あんな要塞みたいなのと俺らは戦わなければならないのか。

ζ(゚ー゚*;ζ「ど、どう言うことですか…?まさか…」
  _
( ;゚∀゚)「悪いことは言わねえ。最悪のシナリオをイメージしておけ」


爪'ー`)「…さて、まもなく開演します。ごゆるりとお楽しみを」

爪'ー`)「狂騒交響組曲より、序曲、狂詩曲、円舞曲、そして最終楽曲をどうぞ」

そう言うと『楽譜』はタクトを大きく上に上げた。
その棒が振り下ろされた瞬間、一斉に大砲から砲弾が飛び出してきた。

('A`;)「うわっうわっうわああああああああああああああああああ!!」

ドクオは操舵輪を極限まで回し、船を旋回させた。
大砲は当たることはなかったが、海に落ちて水面下で爆発した。
高い水柱が船の傍でいくつも起きた。

340:2011/02/21(月) 18:31:47 ID:
('A`;)「やだああああああああああああああああああああ!!」

このままでは俺達は海の藻屑になってしまう。
なんとか手を打たなければ。
俺はうろうろ慌てふためいているクルーに怒鳴りつけた。
  _
( ;゚∀゚)「手が空いている奴は砲台をセットしろ!!」

( ;><)「は、はいなんです!!」

ζ(゚ー゚*;ζ「ど、どうするつもりですか!?」
  _
( ;゚∀゚)「俺らも撃つに決まってんだろ!!やられっぱなしでたまるか!」

俺はビロードを連れて砲台室に入った。
素早く、弾をセットしマッチで火をつける。
大砲数は明らかに俺らの方が下だが、何もしないよりはましだ。

('A`;)「きゃあああああああああああああああああああああああ!!」
  _
( ;゚∀゚)「うおああ!!」

( ;><)「ど、ドクオ!?急にどうしたんですか!?」

船が急激なカーブを切り、俺達は壁に叩きつけられた。
放った砲弾は全く見当違いな場所に飛んでいってしまった。

341:2011/02/21(月) 18:32:09 ID:
爪'ー`)「さあ、オーバーチュアも終わりまして…続いてはラプソディー」
  _
( ;゚∀゚)「!?」

俺達が慌てふためいている間に、『楽譜』の船に変化があった。
甲板の大砲の首が高く上がっている。
まるで空に向かって撃つかのように。

爪'ー`)「さあ!存分に狂え!」

大砲が一気に発射する。
しかし今度と違う点は、タイミングをずらして真上から降ってくるということだ。
  _
( ;゚∀゚)「おおおおおおおおお!?」

('A`;)「ずあああああああああああああ!!」

前からだけではなく上空からも降ってくる。
2方向の攻撃を防ぐのは相当な至難の業だ。

前からの襲撃を避けるので精いっぱいだったドクオもついにパニックに陥り、何も考えずに舵を切るようになってしまった。

('A`;)「ウミコワイイイイイイイイイイイイイヨオオオオオオオオオオ!!」
  _
( ;゚∀゚)「おい!ドクオ落ち着け!!」

その瞬間、傍で大きな音がした。

342:2011/02/21(月) 18:32:32 ID:
/;゚、。 /「サブマストがやられました!!」
  _
( ;゚∀゚)「な、何だと!?」

俺は急いで甲板に戻る。
そこには燃え盛るサブマストの姿があった。
  _
( ;゚∀゚)「糞っ…!!」

俺は剣を抜き、マストを根元から切り裂いた。
マストは倒れ、そのまま海へと着水し、沈んでいく。
流石にこんな状態で無傷で助かろうと思う方が無理か。

爪'ー`)「そして。ワルツ……。華麗なる舞曲をお楽しみください」

『楽譜』の指揮の合図に、奴らの船が動きだした。
俺達の船を中心に、弧を描くように回る。
しかし、その間も砲撃は続いていた。
  _
( ;゚∀゚)「全方向から撃ってくるってか!!」

奴らの船が移動したことにより、ついに攻撃が2方向どころではなくなった。
様々な角度から攻撃は続く。
その後も、2度砲撃にあったが幸運にも船が沈むような致命的な攻撃は避けられた。

343:2011/02/21(月) 18:32:56 ID:
何よりまずいのはこちらの攻撃が全く当たっていないところにある。
ただでさえ砲台の数は少ないのに、ドクオの不規則運転、奴らの移動により俺らの砲台の軌道は読めなくなってしまったのだ。
俺はドクオに何度も目を覚ますよう叫んだが、パニックに陥って俺の声が届いていない。

ζ(゚ー゚*;ζ「ど、どうするんですか!?」
  _
( ;゚∀゚)「待ってろ!今考えてる!!」

俺まで判断に冷静さが欠けてしまっている。
頭を掻き回し、無い知恵を振り絞る。


( ;><)「うう~…全然当たらないんです……」

/ ,' 3「……………」チョイチョイ

( ;><)「え…?なんですかスカルチノフさん…」

/ ,' 3「………………」クルクル

( ;><)「え?か、代わりたいんですか?」

/ ,' 3「……………………」コクコク

344:2011/02/21(月) 18:33:14 ID:
その時、『楽譜』の船から大きな爆発音が聞こえた。
  _
( ;゚∀゚)「!!」

爪;'ー`)「な、なんだ!?」

見ると、甲板の砲台から大きな煙が出ている。
どうやら砲台付近で爆発が起き、そこから他の砲台に誘発して爆発を引き起こしたのだ。
  _
( ;゚∀゚)「整備が悪かったのか…?」

そう思っていた矢先、俺の船から一発の砲弾が飛び出した。
その弾は『楽譜』の船の側面に見事に命中し爆破した。
  _
( ;゚∀゚)「おい!誰だ撃ったのは!!すげえぞ!」

俺が砲台室に戻ると、大砲を構えているスカルチノフの姿があった。

( *><)「スカルチノフさん…すごいんです!!」
  _
( ;゚∀゚)「お前かスカルチノフ!!」

/ ,' 3「………………………」

なんて隠れた才能だ。
まさか異国の地で見つけた船大工が砲撃のセンスを兼ねそろえているとは。

345:2011/02/21(月) 18:33:39 ID:
スカルチノフの才能はすさまじく、奴が放った砲弾は確実に敵船にダメージを与えていた。
ドクオが荒々しい運転をしているおかげであっちの攻撃もそんなに当たらない。
俺はこいつらを部下にして本当によかったと思っている。

爪;'ー`)「糞!……あんな優秀な人材がいたとはな…」

爪;'ー`)「そろそろ頃合いか……」

爪'ー`)「お前ら!!フィナーレに移るぞ!!」

『楽譜』がまたタクトを振り上げた。
すると、奴らの船は向きを変え、俺達の船に迫ってきた。
今まで一定の距離を保っていた連中が攻めてくる。
  _
( ;゚∀゚)「アイツ…一気に攻める気か」

ζ(゚ー゚*;ζ「どうします…?近寄られたら勝ち目はありませんよ?」

分かっている。
アイツらに足りないのは命中力だ。
それは近付いてしまえば簡単に補える問題だ。
  _
( ;゚∀゚)「待ってろ……今考える」

考えろ。
この窮地…どうやったら挽回できる?

346:2011/02/21(月) 18:34:00 ID:
_
( -∀-)「………………」
  _
( ゚∀゚)「よし………」

ζ(゚ー゚*ζ「決まったんですか?」
  _
( ゚∀゚)「ああ。決まった」

アイツらがアイツらの戦い方をしているのなら、俺は俺の戦い方をすればいい。
  _
( ゚∀゚)「おい、みんな聞け!」

('A`;)「!!」

俺の号令にあのドクオまでも耳を傾けた。
これで、全てを終わらせる。




  _
( ゚∀゚)「今から最後の作戦に移る。よく聞け」

347:2011/02/21(月) 18:34:22 ID:
爪'ー`)「…………………?」

爪'ー`)(船の動きが止まった……?)

爪'ー`)「おい、砲撃を止めろ」

爪'ー`)「……………こりゃあ何かあるな」

爪'ー`)「さあ……………どう出る?『決闘』」



  _
( ゚∀゚)「準備は良いか?」

ζ(゚ー゚*;ζ「ほ、本当に大丈夫なんですか?」
  _
( ゚∀゚)「あ?大丈夫に決まってんだろ?子供のころやらなかったか?」

ζ(゚ー゚*;ζ「やってませんよ!」

( ;><)「船長!!準備おっけーです!」
  _
( ゚∀゚)「よし!じゃあスカルチノフ頼んだ!」

/ ,' 3「…………………」コクコク

348:2011/02/21(月) 18:34:51 ID:
爪'ー`)「!!(砲撃か…?)」

爪;'ー`)「……………………」

爪;'ー`)「飛んできたのは砲弾……………じゃ…ない」

爪;'ー`)「まさか………………………」
  _
( ゚∀゚)「うおおあああああああああああああああああああああああああああ!!」

爪;'ー`)「に……人間大砲!?」

俺は大砲によって『楽譜』の船の甲板まで飛んだ。
空中で宙返りをし、ピタッと足を甲板に付けた。


爪;'ー`)「……………はっ…最高だよあんた…」






  _
( ゚∀゚)「よう『楽譜』。元気にしてたかい?」

349:2011/02/21(月) 18:35:15 ID:
最後の作戦。
これは俺が単身で敵船に乗り込むことだった。
別にここで全員と戦うのもかまわないが、俺には考えがあった。

『楽譜の』部下が一斉に武器を構える。
しかし、奴はそれをタクトの一振りで制した。

爪'ー`)「まだ演奏は終わってないんだ。席から立たないでもらいたいね」
  _
( ゚∀゚)「気にすんな。俺は独奏だ」

爪'ー`)「…………あんたがここに来た真意を聞きたいね。……まあ大方見当はつくが」
  _
( ゚∀゚)「だろうな」

たった1日だが、俺はこいつとともに街を掛け回った。
それだけで相手の考えてることなんてわかるもんさ。
  _
( ゚∀゚)「別にお前ら全員を相手にしてもいいんだが…」
  _
( ゚∀゚)「どうせ決着をつけるなら被害は最小限に抑えたい……そう思わないか?」

爪'ー`)「だとしたら……どうなる?」

もちろん答えは一つだ。


  _
( ゚∀゚)「決闘だ」

350:2011/02/21(月) 18:35:42 ID:
爪'ー`)「……思いもしなかったよ。あんたが俺に決闘を申し込むなんてね…」
  _
( ゚∀゚)「そうか?俺は誰でも構わず申し込むが」

爪'ー`)「………………いいぜ。受けて立つよ」

『楽譜』は腰に掛けられた2丁の銃を取り出す。
俺も剣を抜こうとしたら、『楽譜』はそれを制した。

爪'ー`)「あんたが決闘を申し込んだんだ。ならルールは俺が決めてもいいだろう?」
  _
( ゚∀゚)「ああ、構わねえよ。何がいい?」

奴は拳銃を前に突き出し、俺に見せる。

爪'ー`)「このどちらかを選んでくれ。この決闘ではこの2つの拳銃だけ使う」
  _
( ゚∀゚)「……撃ちあいか」

爪'ー`)「その通り。互いに背を向けあい1つカウントするごとに一歩前に前進する」

爪'ー`)「5つのカウントが0になった瞬間、振りかえり引き金を引く……立っていられた方が勝者だ」

面白い。
手っ取り早く、且つコストが少ない。
理想の決闘方法だ。

351:2011/02/21(月) 18:36:01 ID:
_
( ゚∀゚)「この銃……どっちかは弾が出ないなんてことはねえよな」

爪'ー`)「それは無い。あったとしても選ぶのはあんただ」
  _
( ゚∀゚)「まあ…そりゃあそうか」

ここで銃を不平等にするのは所有者側の方が辛いだろう。
もし俺が弾の入っている王を選んだ場合、そいつはただの的になるからだ。
俺は2つの拳銃をじっと見比べる。
特に性能にも変化はなさそうだ。
  _
( ゚∀゚)「じゃあ…俺はこいつを選ぶ」

俺は『楽譜』左手に握られている拳銃を手に取った。

爪'ー`)「そっちでいいんだな?」
  _
( ゚∀゚)「ああ、構わない」

俺達は拳銃をしっかりと握ると、所定の位置についた。

爪'ー`)「もう一度ルールを確認する」

爪'ー`)「カウントは5つ。1つ数えるたびに一歩進む」

爪'ー`)「カウントは…そうだな、おいそこのお嬢さん」

そう言うと『楽譜』はデレに向かって声をかけた。

352:2011/02/21(月) 18:36:20 ID:
ζ(゚ー゚*ζ「は…はい?」

爪'ー`)「ちょっとカウント係を頼んでくれねえかな。5つ」

ζ(゚ー゚*ζ「え、ああ……わかりました」

でれは困惑しながらも、その役目を受け入れた。

爪'ー`)「そして彼女が0と言った瞬間に振りかえり、拳銃の引き金を引く」
  _
( ゚∀゚)「後は生きるか死ぬかか……いいぜ。質問はねえ」

爪'ー`)「……………そうか。それじゃあ始めよう」

俺達は振り返り、背と背を合わせた。
一昨日、『駆除』に襲われたあの日を思い出す。

爪'ー`)「おそらく……あんたも同じことを考えてるんだろうな…」
  _
( ゚∀゚)「お前もか」

この決闘は俺が生きていた中でもっとも価値のある決闘になるかもしれない。

爪'ー`)「それでは始めよう」

353:2011/02/21(月) 18:36:39 ID:
ζ(゚ー゚*ζ「5………」

俺と『楽譜』は一歩ずつ前に出た。
触れた背中が解かれる。
相手の気配はまだ肌で感じられる。

ζ(゚ー゚*ζ「4………」
  _
( ゚∀゚)「……………………」

爪'ー`)「……………………」

また一歩。
これで奴がどのようにしているのか分からなくなった。
ギャラリーは息を飲む。

ζ(゚ー゚*ζ「3………」

一歩。
俺達は進む。
相手を撃つ距離を求めて。

354:2011/02/21(月) 18:37:02 ID:
ζ(゚ー゚*ζ「2………」

爪'ー`)「………………………」

爪'ー`)(すまねえ『決闘』……)

爪'ー`)(俺はこう見えても臆病者でね……できる限り敵を自分の陣地に入れたくないんだよ)

爪'ー`)(だから俺は長距離の向く武器を選んだ。これで俺は安心できるからな)

爪'ー`)(この船に入ってきた時点であんたの勝ちは決まってるようなもんだよ)

ζ(゚ー゚*ζ「1………」

爪'ー`)(だが俺は部下の前ではどうしても負けられねえんだ)

爪'ー`)(だからあんたに罠を張った。許してくれ)

爪'ー`)(この銃には安全装置が付いていてそれを外さないと弾は出ない仕組みになっている)

爪'ー`)(装置のレバーはかなり見分けのつかないところだ。知らない奴が見たってほぼ確実に分からないだろう)

爪'ー`)(あんたの銃は……弾が出ないんだよ)

爪'ー`)(この勝負は……勝たせてくれ。悪いな)

355:2011/02/21(月) 18:37:19 ID:
ζ(゚ー゚*ζ「0!」

  _
( ゚∀゚)「!!」

爪'ー`)「!!」

その瞬間、俺達は一斉に振り向き、銃を構え、引き金を引いた。

しかし、鳴った銃声は1つだけだった。

鳴り響く銃声。
動きが止まる俺と『楽譜』。
傍から見ればどっちが撃ったのかさえ分からない。
  _
( ゚∀゚)「………………………」

爪'ー`)「………………………」





爪;'ー`)「が…………………っ!」

次の瞬間、『楽譜』は腹を押さえて膝をついた。

356:2011/02/21(月) 18:37:38 ID:
直ぐに奴の周りに部下が集まった。
しかし、『楽譜』はそれを払う様に手を振り、部下を近寄らせなかった。

爪;'ー`)「流石だ……!!恐れ入ったよ……」
  _
( ゚∀゚)「……何の話だ?」

爪; ー )「そんな……とぼけちゃってさあ…!!」

奴は俺の手に握られた銃を見る。
それは右手に握られた奴の銃では無く、左手に握られた俺の銃だった。

爪; ー )「確かに……他の銃を使っちゃいけないとは…言ってなかったな」

そう言うと奴はその場に倒れこんだ。
今度こそ部下が集まり、『楽譜』に肩を貸し、船の中へと引っ込んで行った。

爪; ー )「楽しかったよ……ありがとうな」
  _
( ゚∀゚)「馬鹿。それは俺のセリフだ」

奴は俺の方を振り向かず、大きく手を上げると最後にこう言った。

爪; ー )「あばよ。ジョルジュ」

俺もその言葉に返した。
  _
( ゚∀゚)「じゃあな。フォックス」

357:2011/02/21(月) 18:37:59 ID:
(*‘_L’)「おおおおお……こ、これがあの…」

( ・∀・)「ええ…。これが『メデューサの瞳』です」

(*‘_L’)「なんという美しさだ…。恐ろしい……」

( ・∀・)「どうぞ。フィレンクト卿。貴方様の手でお納めになって下さい」

(*‘_L’)「あ、ああ……」

(‘_L’)「………………………」

(‘_L’)「………………素晴らしい。持っているだけで威圧感を感じるよ」

( ・∀・)「これで…その秘宝はフィレンクト卿の物でございます」

(*‘_L’)「やった……やったぞ…!!これで…これでこの宝石は私の物だ!!」

( ・∀・)「おめでとうございます。フィレンクト卿それでは早々に立ち去り…」



「待てゴルァ!!」

358:2011/02/21(月) 18:39:01 ID:
( ・∀・)「……?」

(‘_L’)「誰だアイツらは……」

(,,゚Д゚)「どうやら俺が一番乗りのようだな…」

( ・∀・)「あれは……『金欠』」

(,,゚Д゚)「おう!糞役人共!!今すぐその宝石をよこせ!!」

(‘_L’)「ふん……品の無い奴だ」

( ・∀・)「フィレンクト卿……危険ですので下がって下さい」

(,,゚Д゚)「どうする!?命を選ぶか!!宝石を選ぶか!さあ答えろ」

(‘_L’)「こうなる事であれば先発隊にクックルを連れて来るべきだったな」

( ・∀・)「ご安心を……。あの程度の海賊……私一人の手で何とかしましょう」

(,,゚Д゚)「ああ!?何だお前……」

( ・∀・)「身分を弁えましょう。私は貴方のようなゴミと話すつもりはありませんので」

(,,゚Д゚)「あぁ…?てめえ潰されてえのかゴルァ!!」

359:2011/02/21(月) 18:39:22 ID:
( ・∀・)「宝石は渡しません。そのかわり相手はしてあげますよ」

(,,゚Д゚)「て、てめぇ!!うるあああああああああああ!!」

( ・∀・)「ああ……一つ言い忘れていました…」

( ・∀・)「そこから3歩先より前に近寄らない方がいい」

(,,゚Д゚)「はっ!!今更命乞いか!?てめえら!!殺せ!」



( ・∀・)「……馬鹿な真似を……」


(;,,゚Д゚)「!!」





(;,,゚Д゚)「なっ……!!」

360:2011/02/21(月) 18:39:47 ID:
_
( ゚∀゚)「……ここだな」

( ;><)「距離や方角から判断して……ここで間違い無いんです!」

/ ゚、。 /「向こうにフィレンクト卿の船がありました!!」

岩場の奥から岩と岩を飛び移りながらダイオードが帰ってきた。
なるほど。
フィレンクト達は向こうに船を停めたのか。
  _
( ゚∀゚)「じゃあ確定だな」

カルベの海のど真ん中にひっそりとたっていた巨大な岩の数々。
島と呼ぶには小さく、岩と呼ぶには広過ぎた。
その中に明らかに人工的に作られたであろう穴が存在した。
この中に『メデューサの瞳』はあるようだ。

今のところ見つけた船は3つ。
つまりそれ以外の船は全て途中で頓挫したようだ。

('∀`)「さあ、行きましょうキャプテン!」

意気揚々とはしゃぐドクオ。
確かにこの洞窟の中にはロマンが詰まっていると思うが……。
  _
( ゚∀゚)「………いや、お前達はここで残れ」

361:2011/02/21(月) 18:40:06 ID:
('A`;)「え……?ど、どういう事ですか!?」
  _
( ゚∀゚)「無理すんな。まだ完治はしていないんだろ?」

ただでさえ重傷なのに、フォックスの時にさらに体力を駆使しているんだ。
正直、こいつらは戦力にはならないだろう。
  _
( ゚∀゚)「この中には俺とデレで行く。お前らには船を任せる」

( ;><)「で、でもここまで来ておいて…!!」
  _
( ゚∀゚)「駄目だ。……それにいざ船を襲われた時に、お前ら4人がいれば確実に船の安全は確保できる」

これは間違いなくそうだと言える。
ドクオとビロードがいれば例えどんなに船が離れてもここに帰ってくることができる。
スカルチノフが大砲を担当すれば敵を撃退することも可能で、万が一にやられてもうちの優秀な船医ダイオードが付いている。
こいつらだけでも世界旅行ができるだろう。

/;゚、。 /「……………………」

/ ゚、。 /「……わかりました。船長命令ならしかたありませんね」

('A`;)「むう………………」
  _
( ゚∀゚)「悪いな……」

362:2011/02/21(月) 18:40:25 ID:
/ ゚、。 /「そのかわり……必ず秘宝を持って帰って来てくださいね!!」

('A`#)「持ってこなかったら乗せませんよ!!」

( ><)「留守は任せるんです!!」

/ ,' 3「………………」コクコク
  _
( ゚∀゚)「………ああ。ありがとよ」

俺は拳を高々と挙げ、クルー達に見せる。
俺はこいつらから元気を貰った。
その代償を持ち帰る必要がある。

ζ(゚ー゚*ζ「それじゃあ…行きましょうか」
  _
( ゚∀゚)「ああ…」

俺とデレは洞窟の中にゆっくりと入る。
この闇に…挑むんだ。

363:2011/02/21(月) 18:40:43 ID:
ξ-⊿-)ξ「………………………」

ξ゚⊿-)ξ「ん…………………」

ξ゚⊿゚)ξ「……………」

ξ゚⊿゚)ξ「あ…………寝てたんだ…………私」



ミ;,,゚Д゚彡「ツン…!!起きたのか」

ξ゚⊿゚)ξ「!……お父さん…」

ミ;,,゚Д゚彡「ど、どうだ?体調の方は…」

ξ゚ー゚)ξ「うん……大丈夫……それよりもお店は?」

ミ;,,゚Д゚彡「大丈夫!大丈夫!一人でも何とかやってけてるよ」

ξ゚⊿゚)ξ「そう………ごめんなさい」

ミ,,゚Д゚彡「いやいや!気にしなくていい!むしろ生きていてくれてよかったくらいだ!」

364:2011/02/21(月) 18:41:03 ID:
ξ゚⊿゚)ξ「………………」

ミ;,,゚Д゚彡「…………………」

ミ;,,゚Д゚彡「あっ……そ、そういえばさっき港で凄いことがあってさ!」

ミ;,,゚Д゚彡「『巨人』の奴が急に現れて海に飛び込んだんだよ!波がブアーってなってさ!」

ミ;,,゚Д゚彡「それで飛び込んだ後、何をしたと思う?なんと…『巨人』がいきなり泳ぎ始めたんだよ!クロールで!」

ミ;,,゚Д゚彡「そして、そのまま沖の方へ泳いでいっちゃってさあ!それが面白いのなんの……」

ξ゚⊿゚)ξ「お父さん……」

ミ,,゚Д゚彡「!…………ゴホン……な、なんだい…?」

ξ゚⊿゚)ξ「ジョルジュは……?」

ミ,,゚Д゚彡「……………………」

ξ゚⊿゚)ξ「ジョルジュは……どうしたの…?」

365:2011/02/21(月) 18:41:23 ID:
ミ,,゚Д゚彡「……フィレンクト卿を追っ掛けて……カルベ海に行ったよ」

ξ゚⊿゚)ξ「…………そう」

ミ;,,゚Д゚彡「………………」

ξ#⊿ )ξ「あの馬鹿……何で私の言うことが聞けないのよ……」

ミ,,゚Д゚彡「……………」

ξ;⊿;)ξ「幼なじみの……言うことくらい……聞きなさいよ…!!」

ミ,,゚Д゚彡「……………大丈夫だよ」

ξ;⊿;)ξ「……え?」

ミ,,゚Д゚彡「アイツはちゃんと帰ってくる。今までだってそうだったろう?」

366:2011/02/21(月) 18:41:44 ID:
ξ;⊿;)ξ「でも……でも!!」

ミ,,゚Д゚彡「アイツはツンがここにいる限り……ちゃんと帰ってくるさ。必ずね」

ξ;⊿;)ξ「…………………」

ミ,,゚Д゚彡「だから胸を張って堂々とジョルジュの帰りを待ってなさい」

ミ,,゚Д゚彡「アイツが帰って来たときに心配してたんだと思われるのは癪だξ゚⊿゚)ξ「それは絶対に嫌」


ミ;,,゚Д゚彡「………………うん」

ミ,,゚Д゚彡「だ、だから安心して待っていなさい。ね?」

ξ゚⊿゚)ξ「…………………………」





ξ゚ー゚)ξ「うん………………」

367:2011/02/21(月) 18:42:01 ID:
ζ(゚、゚*;ζ「こ、これは………」
  _
( ;゚∀゚)「酷えなこりゃ……」

俺達はランプの明かりを頼りに、どんどん奥へと進む。
既に日の光りは届かず、暗闇だけが支配していた。
入口からしばらく進んだ所であるものを見かけた。

バラバラに切り刻まれた無数の死体。

血の臭いが洞窟中に漂っており、吐き気がする。
傷は新しく、つい数時間前のように思える。
服装や身なりから推測して、どうやらこいつらは海賊のようだ。

おそらくは岩陰に停泊していた船の持ち主達だろう。
どうしとこんな目にあったのか分からないが、俺達もこうなる可能性がある。
慎重に慎重を重ねて進まねば。

その時、遠くの方から大きな悲鳴が聞こえてきた。
低くがなった男の声だ。
声は洞窟中に反響し、やがて消えた。
  _
( ;゚∀゚)「なっ………なんだ?」

ζ(゚、゚*;ζ「この先から聞こえましたね……」

俺達は少しだけ速度を上げて歩きはじめる。
この先で何かが起こっているんだ。

368:2011/02/21(月) 18:42:38 ID:
しばらく洞窟内を進むと、遠くの方からうっすらと明るい光りが見えた。
こんな洞窟の奥深くで何故明かりが…?
  _
( ゚∀゚)「デレ………行くぞ」

ζ(゚ー゚*ζ「……はい」

俺達は意を決して光りの元へ駆け出した。
最初は眩しくて目を開けることができなかったが、次第に慣れ、はっきりと見えるようになった。
  _
( ;゚∀゚)「!!」

ζ(゚ー゚*ζ「!!」

俺達の目に飛び込んで来たのはコロッセオ程の広さの空洞に大量に転がる死体の山だった。
夥しい程の血が一面に飛び散り、中には人の形を留めていない死体もあった。

ζ(゚、゚*;ζ「これは一体……」
  _
( ゚∀゚)「…………………アイツの仕業だ」

ζ(゚、゚*;ζ「え?」

死体よりも俺は目につく者がいた。
そいつは巨大な血まみれの男の上に立っていた。



( ・∀・)「やはり来ましたか…ジョルジュ・キッド」

370:2011/02/21(月) 23:13:21 ID:
うむ、素晴らしい

372:2011/02/22(火) 00:28:54 ID:
_
( ;゚∀゚)「モララーぁ………!!」

その男は顔を血で赤く染め、ニタリと笑った。
蘇るゴミのような目。
害虫を彷彿とさせる口。

俺が会いたかった男、モララー。
やはりフィレンクト卿と共にここに来ていたか……。

( ・∀・)「この男が誰だか分かりますか?」
  _
( ゚∀゚)「ああ?」

そう言ってモララーは足元に落ちていた肉の塊を蹴った。

( ・∀・)「これは3日前に貴方と戦った男……『金欠』です」
  _
( ;゚∀゚)「なっ……!」

『金欠』は俺が戦った時とはまったくもって別の物のように、無残な姿をしていた。

( ・∀・)「さっきまでしぶとく足掻いていたんですがね……たった今絶命しました」

374:2011/02/22(火) 00:48:22 ID:
(‘_L’)「……そうか……君があの『決闘』か…」
  _
( ゚∀゚)「ああ?」

空洞の中には他にも人間がいた。
モララーが率いている十数人の兵士。
そして、際立って身分の高そうな男が一人いた。

(‘_L’)「君が話してくれたジョリーの事…大変為になったよ…」
  _
( #゚∀゚)「てめぇ……!!」

こいつが元凶。
モララーの上司であり、ドゥルトゥーガ島の支配者。
フィレンクト卿。
こいつを殴りたい気持ちを懸命に抑え、俺は奴を睨みつけた。
奴の手には『メデューサの瞳』が握られている。

(‘_L’)「まさか…彼の生涯にそんな秘話があったとはな…」
  _
( #゚∀゚)「お前が俺の親父の何を知ってるんだって?ああ?」

(‘_L’)「まあいい。もうこれ以上君から得られる情報もないだろう」

そう言って、フィレンクトは宝石を手に取り別の穴に向かった。
あの穴に何があるというのか。

375:2011/02/22(火) 00:55:15 ID:
(‘_L’)「モララー。あのゴミ共を掃除しておきなさい」

( ・∀・)「かしこまりました」
  _
( #゚∀゚)「待て!逃げるなフィレンクト!!」

まずい。あそこからも脱出できるのか。
俺は腰から銃を取り出し、フィレンクトに向ける。

( ・∀・)「それはさせないよ」
  _
( ;゚∀゚)「!!」

その瞬間。脇から銃弾が飛んできた。
俺はとっさに避け、銃を引っ込めた。

( ・∀・)「……私はここに初めて来た時に、念を入れて罠を仕掛けておいたんですよ…」
  _
( ;゚∀゚)「糞っ……!!」

フィレンクトは穴の中に入り、見えなくなった。

( ・∀・)「他の者も全員フィレンクト卿をお守りしろ!」

その掛け声と共に、兵士は全員フィレンクトを追って行った。

389:2011/02/22(火) 18:51:51 ID:
_
( ;゚∀゚)「デレ!!フィレンクトを追え!」

ζ(゚ー゚*;ζ「は、はい!!」

デレは駆け出してフィレンクトの入った穴に向かった。
しかし、その行動をモララーは見逃さなかった。

( ・∀・)「誰が言ってもいいと許可したんですか?」

モララーが手を上に挙げ、指を構えた。
奴の罠の発動を止められるのは俺しかいない。
  _
( ゚∀゚)「俺が言ったが…文句あるか?」

俺はモララーに銃を向け引き金を引く。
モララーは俺が引き金を引く寸前に気付き、さっと身を引いた。

( ・∀・)「!!……小賢しいですね」
  _
( ゚∀゚)「お前にだけは言われたくねーな」

その隙に、デレは向こう側の穴に到達した。
  _
( ゚∀゚)「デレ!そのまま頼んだぞ」

ζ(゚ー゚*ζ「分かりました……貴方の健闘……祈っています」

376:2011/02/22(火) 01:09:19 ID:
そう言うと、デレは穴の中に消えていった。
空洞の中に取り残された俺とモララー。
ようやくあの日の約束が果たせそうだ。

( ・∀・)「まったく……めんどくさいことになりましたね」
  _
( ゚∀゚)「悪いな。生まれつきこうなんだ」

( ・∀・)「脱走も成功し、『暗闇』も倒してさぞ調子に乗ってるようですね」
  _
( ゚∀゚)「今日の俺はなんでも行ける気がするんだ」

( ・∀・)「そうですか……それはついてない」

そう言うとモララーは俺の手袋を取り出した。

( ・∀・)「どうします?始めますか」

その問いに俺は一言で返した。






  _
( ゚∀゚)「決闘だ」

377:2011/02/22(火) 01:17:05 ID:
(‘_L’)「まったく……とんだ時間を食ったものだ……」

(‘_L’)「急ぐぞ。一刻も早く島に帰る」

(‘_L’)「……………………」

(‘_L’)「………………………?」ピタッ

(‘_L’)「こんな壁……さっきまであったか?」


「おっおっおっwそこまでだお」


(‘_L’)「!!……誰だ?」



( ^ω^)「おはよう。フィレンクト卿」

390:2011/02/22(火) 18:52:16 ID:
( ^ω^)「この道は全て封じさせて貰ったおw」

(‘_L’)「…………?……封じた、だと?」

( ^ω^)「岩場の穴を埋める楽な仕事だったお」

(‘_L’)「………下らん」

( ^ω^)「おっおっおっwやけに強がるおねw」

( ^ω^)「でも今この状況で誰が助けてくれるお?」

( ^ω^)「人数的にも僕らの方が有利ですぐに潰せちゃうお?」

(‘_L’)「つまり何が言いたいんだ?」

( ^ω^)「その宝石を大人しく渡すお。半殺しで許してやるお」

(‘_L’)「本当に貴様ら海賊は人が簡単に宝石を手放すと本気で思っているようだな……」

( ^ω^)「この状況でそう言えるのは見事だお」

(‘_L’)「この状況?一体何のことだ?」

378:2011/02/22(火) 01:20:58 ID:
^ω^)「……?壁が見えないのかお?」

(‘_L’)「壁?壁なんか何処にある?」

( ;^ω^)「何を言って……」ピシッ


( ^ω^)(ピシッ……?)

(‘_L’)「ふん……こっちの戦力はこれだけでは無いことを忘れるな」

( ;^ω^)「!!……い、岩にヒビが……!?」

(‘_L’)「随分と遅かったな……『巨人』」


( ゚∋゚)「……………」


( ゚∋゚)「スグニ コノカベヲ ハカイシマス」

( ;゚ω゚)「!!……う」

( ;゚ω゚)「うおおおおおおおおおお!?」

379:2011/02/22(火) 01:31:04 ID:
ζ(゚ー゚*;ζ「!!え………」

(‘_L’)「……ふん。屑が……」

(;;#;ωメ)

ζ(゚ー゚*;ζ「あれは……『酒樽』!!」

( ゚∋゚)「コイツ ドウシマスカ」

(‘_L’)「殺せ。その後……あそこにいる女もだ」

ζ(゚ー゚*;ζ「き……『巨人』!?」

( ゚∋゚)「リョウカイ シマシタ」

ζ(゚ー゚*;ζ「うっ……!まずい…フィレンクトを逃がしてしまう…!!」

( ゚∋゚)「ドコニモ イカセナイ」

ζ(゚ー゚*;ζ「!!」

ζ(゚ー゚*;ζ(……殺される…!!)

380:2011/02/22(火) 01:35:39 ID:
( ・∀・)「彼女を追わなくていいんですか?」
  _
( ゚∀゚)「関係ねえよ。俺とアイツはそれぞれの目的があるからな」

デレも俺もそれぞれの目的に命を掛けてここまで来た。
こんなところで、誰かの助けを求めることなどしない。

( ・∀・)「つまり……貴方の目的というのが…私ということですね?」
  _
( ゚∀゚)「なんだ?罪悪感でも感じてんのか?」

( ・∀・)「まさか。悪は貴方達の方でしょう?」

正義か悪か。
こんなものは水かけ論でしかない。
歴史を辿っても、正義を決める権利をもつものは全て勝者だ。

海賊が世界を征服すればそれが正義となる。
  _
( ゚∀゚)「残念だが……殺すぜ?」

( ・∀・)「私が仕掛けた罠を攻略ができなかった貴方がですか?」

381:2011/02/22(火) 01:45:11 ID:
_
( ゚∀゚)「甘いな。今と今までは状況が違う」

俺の道具はできる限り人の目に触れさせたくなかった。
何故ならこれらは全て俺が作りだした道具ではない。
全て、発明家の父であるジョリー・キッドの作品である。

今までこの島で戦ってきた勝負は誰かが見ているものだった。
しかし、ここには現在俺とこいつしかいない。

今ならいくらでも七ツ道具を使うことができる。
俺はコートを開き、くの字の板を3枚取り出した。

】海賊の七ツ道具その五:ブーメラン【

( ・∀・)「……?何ですか?それは……」

どうやらモララーはブーメランを知らないようだ。
それも仕方がないだろう。
奴は貴族という檻の中で暮らしていたのだから。
  _
( ゚∀゚)「これを舐めていると……痛い目にあうぜ」

382:2011/02/22(火) 01:54:02 ID:
俺は銃を取り出し、奴に向ける。
そしてためらいもなく引き金を引いた。

( ・∀・)「舐めてかかっているのは貴方の方じゃありませんか?」

その瞬間、どこからともなく飛んできた矢が、モララーの目の前に出現した。
矢は俺の放った銃弾とタイミング良く接触し、弾け飛んだ。
銃弾も軌道が代わり、モララーに当たることなく脇に逸れていった。

( ・∀・)「この空洞にはまだまだ罠が仕掛けられています」

( ・∀・)「君が何をしようか分かれば、その瞬間に対策を練ることができる」
  _
( ゚∀゚)「へぇ…俺は包囲されたのか?」

( ・∀・)「包囲されていなければこの男達はこんな血まみれにはならなかったでしょうね」
  _
( ゚∀゚)「!!」

モララーが指を弾くと、天井の壁から銃口が現れ、突然銃弾が発射された。
俺はとっさに転がり、銃弾を避けた。
天井から降り落ちる銃弾の雨。
無差別な威力は人の意志を感じさせることのない無情な攻撃だった。

383:2011/02/22(火) 02:02:45 ID:
_
( ゚∀゚)「…………………」

( ・∀・)「それだけで避けたつもりになってるんですか?」

またモララーが指を弾くと、今度は壁から拳銃が飛び出た。
なぜか、奴が立っている場所だけには銃弾が注がれることはなかった。
当たり前と言えば当たり前なのだが。

街中で遭遇した『駆除』の攻撃が、空からも警戒しなくければならなくなったに過ぎない。
状況は今までと何も変わっていない。
  _
( ゚∀゚)「……3度は喰らわねえよ」

( ・∀・)「!!」

俺は3枚のブーメランを構え、全て壁に向かって投げつける。
ブーメランは銃に当たり、銃口を綺麗に切り裂いて俺の元に戻ってきた。

( ・∀・)「銃が……切れた…?」

奴は己の目を疑ったに違いない。
まさかこんな武器で銃を仕留めることができるとは思わなかっただろう。
3枚全てが狙った銃を切り裂き、俺の手元に戻ってきた。
  _
( ゚∀゚)「こいつは盾と同じ硬度の金属で作られている」
  _
( ゚∀゚)「切れ味はそこらの剣とは比にならないぜ」

387:2011/02/22(火) 18:31:20 ID:
やっと追いついた
ジョルジュ格好良すぎる

392:2011/02/22(火) 19:01:33 ID:
( ;・∀・)「自分の手元に戻る武器ですか……」
  _
( ゚∀゚)「ああ。軌道が読めない武器は…苦手だろ?」

( ;・∀・)「………………」

大当たりだ。
コイツは直線の攻撃しか防ぐことができない。
そもそも曲がる武器にコイツは出くわしたことが無いんじゃないのか?
この道具はこいつを攻略する唯一の手段だ。
  _
( ゚∀゚)「さあ……これを受け取ってみろよ」

俺はモララーにブーメランを投げつけた。
曲線を描いた攻撃に奴はたじろいだ。

( ;・∀・)「ぐっ!!」

モララーは剣を構えブーメランを弾く。
しかし、投げたのは1枚だけではない。
全てを弾くのは、剣に自信がある俺でも厳しいだろう。

( ;・∀・)「うわあっ!!」

向きを変えたブーメランにモララーが当たりそうになり、モララーはとっさに転倒し、事無きこと得た。

393:2011/02/22(火) 19:21:02 ID:
_
( ゚∀゚)「そんなにゆっくりと構えていていいのか?」

( ;・∀・)「!!」

俺はモララーに詰め寄り、剣を振りかざす。
モララーは反射的に剣を構え、俺の攻撃を防ぐ。
  _
( ゚∀゚)「………どうした?俺の攻撃を全て防ぐんじゃなかったのか?」

( ;・∀・)「随分と調子に乗っていますね…!!」
  _
( ゚∀゚)「わかるか?俺はぶちギレてんだよ」

ツンの痛み。
全てを踏みにじったこいつを俺は絶対に許さない。

( ・∀・)「はっ!!まだ貴方はそんな子供のようなことを言っているのですか?」

モララーはまたあの不気味な笑顔を見せた。
その笑い方にまたストレスが蓄積されていく。

( ・∀・)「いいですか?貴方達のようなゴミは政府の靴裏を舐めて生きるしかないんですよ!」

( ・∀・)「私はその身分の違いを教えたに過ぎない!!」

( ・∀・)「むしろ感謝をして欲しいくらいだ!」

394:2011/02/22(火) 19:27:30 ID:
_
( ゚∀゚)「悪いな。お前らのように数カ国語を教わったわけじゃねーんだ。意味のわかるように話せよ」

( ・∀・)「今に分かりますよ。君達が如何に愚かだったのかを」
  _
( ゚∀゚)「!!」

モララーの足元から銃口が顔を出した。
その向きは俺の顔に向いている。
  _
( ;゚∀゚)「くそっ!!」

俺はモララーを突き飛ばし、サッと後ろに引く。
銃弾は1発だけ飛び出し、天井に当たった。

( ・∀・)「その程度の覚悟で私を殺すなんてよくもまあ言えたものですね」
  _
( ;゚∀゚)「ワンパターンで攻めるお前もお前だがな」

気付けばモララーは俺との間隔を十分に空けていた。
俺が銃に気を取られている間にモララーも下がったようだ。

( ・∀・)「……貴方はここに来た時点で罠に嵌っていたのですよ」
  _
( ゚∀゚)「……何が言いたい」

( ・∀・)「見せてあげますよ。私のお気に入りをね」

モララーがそう言った時、モララーの足元か何か黒い立方体のようなものが現れた。

395:2011/02/22(火) 19:37:19 ID:
_
( ゚∀゚)「…………?なんだそりゃ」

奴がとりだしたのは金属製の箱。
大きさにすると砲弾2つ分だ。

( ・∀・)「ご存じないとは思いますが…この中にはメタンと呼ばれる気体が入っています」
  _
( ゚∀゚)「めたん?」

( ・∀・)「天然ガスですよ。まあ貴方に言っても無駄でしょう」

意味不明な言葉を言いながらモララーはその箱を構えた。
その箱には取っ手が付けられており、別の面には細い筒があった。
まるでジョウロのような形。
……と言うことは、その筒から何か……メタンとやらが出てくるのか?

( ・∀・)「知っておくと良いことはメタンは非常に燃えやすいということです」

モララーはその筒を俺の方に向けた。
何か嫌な予感がする。

( ・∀・)「そしてこの筒の根元には発火装置が仕掛けられている。…もうお分かりでしょう」
  _
( ;゚∀゚)「……まさか……炎が飛ぶのか…?」

( ・∀・)「飛ぶ?違いますよ」


( ・∀・)「放射するんです」

396:2011/02/22(火) 19:50:34 ID:
モララーは箱の脇に付いた突起を思いっきり引いた。
すると摩擦により火花が散り、筒の根元で小さな発火が起こる。
筒の中から炎の渦が勢いよく飛び出してきた。
  _
( ;゚∀゚)「うおおおあああ!!」

俺はとっさに脇に飛び込み、地を転がった。
炎は俺の後ろの壁まで大蛇のように飛んできた。

( ・∀・)「全ての攻撃で最も優れているのは、物体ではない攻撃です」

モララーが箱の向きを変えると、その方向に連なって炎は鞭のように軌道を描く。
攻撃の恐ろしさは重々承知しているが何よりも恐ろしいのはその攻撃範囲だ。
この大きな空洞の直径を全て焼き尽くすことができる。
  _
( ;゚∀゚)「くそっ!逃げ切れねぇ!」

コートから盾を取り出し、右手で握って炎から俺の身をガードする。
炎は盾にぶつかり、俺の身を守った。
しかし、火の危険からは守れても、熱をガードすることはできなかった。
  _
( ;゚∀゚)「!!あ、熱っ!!」

盾の金属は直ぐに熱を伝達させ、俺の盾の取っ手を焦がした。
俺はもう一度飛び避け、盾をその場に捨てた。

397:2011/02/22(火) 20:07:05 ID:
( ・∀・)「これが私の切り札です。どうです?すごいでしょう」
  _
( ;゚∀゚)「はっ!政府の金の使い方は理解に困るな」

( ・∀・)「強がるのは大いに結構。しかし、私に一歩も近づけないのが現状」
  _
( ;゚∀゚)「ぐっ…!!」

情けないが、モララーの言っていることは正しい。
これ以上の距離を縮めると、炎の振り幅が狭くなり、走っても逃げ切れなくなってしまう。
そしてそれは同時に奴に攻撃をすることができないことも意味していた。

( ・∀・)「分かりますか?これが貴方と私の距離です。そして……」
  _
( ;゚∀゚)「!!」

モララーはさらに指を鳴らした。
今まで静かになっていた銃や弓矢が一斉に稼働した。
俺は避けるべき対象が増えたが、モララーの炎はそのそれらを妨害することなく放つことができた。
どこを見ればいい?
どこに避ければいい?
  _
( ; ∀ )「ぐあっ!!……がっ!!……」

背中に矢が刺さる。
銃が足に当たる。
炎が服を掠める。

もはや、何をしても地獄だった。

398:2011/02/22(火) 20:15:17 ID:
ζ(゚ー゚*;ζ(何とかして『巨人』を崩さないと……)

( ゚∋゚)「…………………」

( ゚∋゚)「オマエ オンナカ?」

ζ(゚ー゚*;ζ「!!……そ、そうですが……何か?」

( ゚∋゚)「ハジメテダ オレニ タチムカッテキタ オンナハ」

( ゚∋゚)「ミンナ ニゲルカ アヤマルカ……マア ミナゴロシニ シタガナ」

ζ(゚ー゚*;ζ「そ、そうですか……貴方の初めてになれて光栄に思います…」

( ゚∋゚)「フン キサマモ ケッキョクハ シヌダケダ」

ζ(゚ー゚*ζ「あら……そうでしょうか?もしかしたらもう一つくらい初めてを貰えるかもしれませんよ?」

( ゚∋゚)「ナンダ ソレハ」

ζ(゚ー゚*ζ「簡単です。……『貴方が初めて殺された人』」

( ゚∋゚)「…………タワゴトヲ」

399:2011/02/22(火) 20:22:07 ID:
( ゚∋゚)「ハナシハ オワリダ キサマヲ コロセト イワレテイルノデナ」

ζ(゚ー゚*;ζ「!!(正拳突き…!?)」

( ゚∋゚)「ハアッ!!」

ζ(゚ー゚*;ζ「きゃあ!!」

( ゚∋゚)「ホウ…………………ウマク サケタナ」

ζ(゚ー゚*;ζ(あ、危ない……避けていなければ確実に一撃で……)

ζ(゚ー゚*;ζ(……彼に普通の毒は効くのでしょうか……)

ζ(゚ー゚*;ζ(……とにかく、攻撃をしないと……)

( ゚∋゚)「ウウウウウウウアアアアアアアアア!!」

ζ(゚ー゚*;ζ「なっ!!(あんなに大きな岩を片手で軽々と…!!)」

( ゚∋゚)「ツブレロ!」

ζ(゚、゚*;ζ「うわっ!!あ、危ない!!」

400:2011/02/22(火) 20:31:39 ID:
ζ(゚ー゚*;ζ「ハァ……ハァ……ハァ……」

( ゚∋゚)「チョロチョロト ニゲマワル オンナダ」

ζ(゚ー゚*;ζ(……………おかしい…)

ζ(゚ー゚*;ζ(…………確かに針は5本も刺したはず……)

ζ(゚ー゚*;ζ(普通の成人なら失神していてもおかしくない量なのに…)

( ゚∋゚)「……………………?」

ζ(゚ー゚*;ζ(まったく…効いている気配は無し…か)

( ゚∋゚)「サッサト ケリヲ ツケヨウ」

ζ(゚ー゚*;ζ「!!ボディーブロー…!!」

( ゚∋゚)「ザンネン ケリダ」

ζ(゚、゚*;ζ「えっ……………あっ!!」

( #゚∋゚)「あああああああああああああああああああああああああ!!」

ζ( д *;ζ「がっ!!あああ…っ!」

401:2011/02/22(火) 20:47:30 ID:
ζ( д *;ζ(まずい…お腹を……!)

( #゚∋゚)「マダ オワッテ イナイ!!」

ζ( д *;ζ(に……逃げなきゃ!!)

( #゚∋゚)「アアアイイイイイイッ!!」

ζ( д *;ζ「あああああ!!……カハッ!」

( ゚∋゚)「フン……ヤハリ タダノオンナカ」

ζ( д *;ζ(……い、意識が……飛びそう……!)

ζ( - *;ζ(ここは……諦めるしかないようですね……)

ζ( - *;ζ(このままじゃあ……どうしようもない)

( ゚∋゚)「……!オドロイタ マダ タチアガル チカラガ アルトハナ」

ζ( ー *;ζ(こうなったら……これに賭けましょう……)ゴソゴソ

( ゚∋゚)「………?ナンダ ソレハ」

ζ( ー *;ζ「見てわかりませんか?」

ζ(゚ー *;ζ「羽根ペンですよ」

402:2011/02/22(火) 20:56:21 ID:
( ゚∋゚)「ハネペン……?ソンナモノ ナニニツカウ?」

ζ(゚ー *;ζ「普通の人はこの状況であれば……遺書でも書くのですかね?」

( ゚∋゚)「コンナトコロデ イショナドカイテ ダレガヨム」

ζ(゚ー *;ζ「私は違いますよ。遺書なんか書きません」

ζ(゚ー *;ζ「これは貴方を殺す道具なのです」

ζ(゚ー *;ζ(もう…短時間で相手を倒すことは止めましょう)

ζ(゚ー゚*;ζ(狙うは耐久戦……どちらかが倒れるまでのサドンデス)

( ゚∋゚)「ソンナ ペンデ オレヲ コロス ツモリナノカ?」

ζ(゚ー゚*ζ「ええ。ペンは剣よりも強しと言いますからね」

( ゚∋゚)「………………ヤッテミロ」

ζ(゚ー゚*ζ(……とにかく投げ続けましょう。いつか必ず勝機は訪れる)

( ゚∋゚)「!!……ペンガ アシニ……」

ζ(゚ー゚*ζ「気を着けて下さいね?私のペンは容赦なく飛んでくるので」

403:2011/02/22(火) 20:56:41 ID:
支援!

404:2011/02/22(火) 21:06:27 ID:
( ゚∋゚)「シラン キサマノ コトナド ドウデモイイ」

( ゚∋゚)「ナニガ シタイノカ ワカランガ オレハ オマエヲ ソウキュウニ ツブス」

( #゚∋゚)「オオオアッ!!」

ζ( ー *;ζ「うっ!!(……ビンタだけでも…この威力ですか!!)」

( #゚∋゚)「ガアッ!!」

ζ(;;д#;;ζ「あぐっ!!……ゲホッ!!(これで……5本!)」

( #゚∋゚)「ホネガ クダケルマデ ナグリ ツヅケル!」

ζ(;;д#;;ζ「あああああああああああああああああああああああああっ!!」

( #゚∋゚)「アアアアアアアアアッ!!」

ζ(;;д#;;ζ「ガフッ!!……ゲボッ!!……グガッ!!」

( ゚∋゚)「フン!!」

ζ(;;д#;;ζ「あ……あああ……」

( ゚∋゚)「コレデ キサマモ タテマイ」

405:2011/02/22(火) 21:12:24 ID:
ζ(;;-#;;;ζ(……これで……13本……)

ζ(;;-#;;;ζ(まだ…回らないのですか……)

( ゚∋゚)「……!ナンダ コノビンハ……」

ζ(;;-#;;;ζ(!!……私の毒液……)

( ゚∋゚)「オマエノ ダナ……? ナンテ キタナイ イロヲ シテイルンダ」

ζ(;;-#;;;ζ(あれは……体内に入れないと意味がない毒……)

ζ(;;-#;;;ζ(あの様子では…飲もうとはしないですよね)

( ゚∋゚)「キミノワルイ エキタイダ ミタクモナイ」 バシャッ

ζ(;;-#;;;ζ(!!……中身を捨てた……?)

ζ(;;-#;;;ζ(……………………)

ζ(;;-#;;;ζ(もしかするとこれは………)

ζ(゚ー#*;ζ(勝機かもしれない……!!)

406:2011/02/22(火) 21:24:26 ID:
( ゚∋゚)「!!……マダ タチアガルノカ」

ζ(゚ー#*;ζ「ええ……私としても……譲れないので」

( ゚∋゚)「シブトイ ヤツハ キライダ」

( #゚∋゚)「ツギハ カクジツニ シヌマデ ナグリツヅケテ ヤル」

ζ(゚ー#*;ζ「ええ。私も長引かせるつもりはありませんよ」

ζ(゚ー#*;ζ(ここから3歩左…この位置に行けば…!!)

( ゚∋゚)「!!ドコヘ ニゲル!!」

ζ(゚ー#*;ζ「戦略的撤退と言って下さい」

( #゚∋゚)「ニガスカ!!」

ζ(゚ー#*;ζ(来たっ!!)

( ;゚∋゚)「ウオオオッ……!?」

( ;゚∋゚)「シマッタ!!スベッテ……!!」

ζ(゚ー#*;ζ「貴方が捨てた液体……あの液体にオイルをふんだんに使っているのを思い出しました」

407:2011/02/22(火) 21:34:20 ID:
( ;゚∋゚)「ウッ!……ク、クソ! フカクダ!コンナ トコロデ コケル ナンテ……!」

( ;゚∋゚)「!!」

( ;゚∋゚)「アノオンナ……ドコニ…!?」

ζ(゚ー#*;ζ「こんなに大きな背中に乗ったのは初めてですよ」

( #゚∋゚)「ソコカ!!」

ζ(゚ー#*;ζ「もう私がどこにいようかなど…関係ありませんよ」

( #゚∋゚)「ダマレ! イマスグ コロシ…………」

( ;゚∋゚)「…………………?」

( ;゚∋゚)「………………カ、カラダガ ウゴカン」

ζ(゚ー#*;ζ「貴方にずっと刺していたペンのインク芯には毒が入っていました」

( ;゚∋゚)「ド……ドクダト!?」

ζ(゚ー#*;ζ「あの毒は2回以上刺さると確実に死に至る毒です」

ζ(゚ー#*;ζ「1回では何も起りませんが、複数の毒が体に混ざると反応を起こし毒となります」

408:2011/02/22(火) 21:47:45 ID:
( ; ∋ )「ヒュー……カッ……コッ…!ガッ!」

ζ(゚ー#*;ζ「しかし貴方は死ななかった。体の構造上から違うせいなのかもしれませんが……」

( ; ∋ )「グッ!!……ガアッ!!アアアアアアアアアアアア!!」

ζ(゚ー#*;ζ「貴方に刺した本数は全部で23本。定量の11倍です」

( ; ∋ )「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!ゴォ!ゲェッ!」

ζ(゚ー#*;ζ「……流石に効いたようですね」

(;# ∋゚)「コ……コロシテ…コロシテヤル!!」

ζ(゚ー#*;ζ「!!」

(;# ∋゚)「コ、コノオレガ コンナ コムスメ ナンカニ……!!」

ζ(゚ー#*;ζ「ど、毒の進行が遅い……うわっ!!」

(;# ∋゚)「キサマ クライ……!ニギリ ツブセルン………!!」

( ; ∋ )「グッ!!…………………ア…アア…」

ζ(゚ー#*;ζ「…………………?」

409:2011/02/22(火) 22:08:25 ID:
( ; ∋ )「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

( ; ∋ )「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

( ; ∋ )「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

( ; ∋ )「コ………カ………………………」

(  ∋ )

ζ(゚ー#*;ζ「………………………」

ζ(゚ー#*;ζ「………………し、死んだようです……ね」

ζ(゚ー#*;ζ「………………」

ζ(゚ー#*;ζ「フィレンクト………………!」

ζ(゚ー#*;ζ「………………」

ζ(゚ー#*;ζ「追いかけないと………!!」

410:2011/02/22(火) 22:17:49 ID:
_
(;;#д )「ハァ……ハァ……」

背中に5本の刺さった矢。
体中のいたるところに食い込んだ銃弾。
火傷、焦げ跡。
満身創痍もいいところだった。

( ・∀・)「フフフ……これで『決闘』も終わりですか?」
  _
(;;#∀ )「ば、馬鹿言うな……。俺…俺は……お前を……」

( ・∀・)「あ~あ…完全にうわ言になってしまいましたね」

モララーは銃火器全てを止め、俺を遠くから眺めている。
今が奴を打ち取るチャンスなのに、俺は何もすることができない。
しかし、もう少しなのだ。もう少しで……。

( ・∀・)「あなたを見ている生活はとても楽しかったです。久しぶりに退屈を忘れることができました」

( ・∀・)「しかし、所詮は屑の中の一人。最後の最後でツメが甘いんですよ」
  _
(;;#∀ )「ハァ……ハァ……屑は……お前だろ?」

( ・∀・)「この状況を見て誰が私を屑だと言うんです?」

もう少し。
もう少しなんだ。
俺は尽きそうな体力の中、少しずつ前進する。

411:2011/02/22(火) 22:27:04 ID:
_
(;;#∀ )「お前は怖いんだよ……。俺達海賊がな」

( ・∀・)「!!」
  _
(;;#∀ )「俺達が怖いから……罠なんか張るんだ。まともに立ち向かうことができないからな」

( #・∀・)「ち、挑発をするだけの元気はあるようですね!」
  _
(;;#∀ )「罠を張って引っ掛かった海賊たちを見て喜ぶクズ野郎だ」
  _
(;;#∀ )「自分の部下に強姦をさせてそれを見ることしかできないクズ野郎だ」
  _
(;;#∀ )「自分の上司を絶対だと思い込んでいる、命令しか聞けないクズ野郎だ」

( #・∀・)「だ、黙れ!!黙れえ!!」

( #・∀・)「私がお前ら屑を恐れているだと!?見当違いなことを言うな!!」

その時、俺の足に一枚のブーメランが当たった。
これだ。俺が待ち望んでいたものは。
モララーはまた箱を構えた。

しかし、奴が構えるよりも先に、俺がブーメランを投げた。

412:2011/02/22(火) 22:40:29 ID:
( ;・∀・)「なっ!!……くっ!まだそんな体力を…!!」

クルクルと回転しながらブーメランは曲線を描き、モララーの元へと向かった。
モララーは剣を取り出し、迫るブーメランに対して構えた。
無駄だ。
お前にはその攻撃を防ぐことはできない。

( ;・∀・)「え!?……ふ、増えただと!?」

ブーメランは奴の元に届く前に、2つに分裂し、襲いかかった。
1つでは確実に防がれていたが、2つあれば回避は困難だろう。
ブーメランの特徴として、ブーメラン自体を隠せるところにある。

モララーは迫ってきた一つを上手く剣で弾いたが、分裂した2つ目を弾くことはできなかった。
2つ目はモララーではなく、箱に目掛けて飛んでいった。

( ;・∀・)「や、やめろおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
  _
(;;#∀ )「その炎も終わりか?」

ブーメランは箱を真っ二つに切り裂き、地面に刺さった。

( #・∀・)「ぐっ……ジョルジュ・キッドぉ……!!」


  _
(;;#∀゚)「こいよモララー。これでケリを着けてやる」

413:2011/02/22(火) 22:45:17 ID:
俺はコートから最後の一枠である道具を取り出した。
透明の液体が入った注射器。
ここぞという時にしか使えないとっておきだ。

】海賊の七ツ道具その六:麻酔針【

俺は針を腕に刺し、液体を注入する。
これでしばらくの間は痛みを感じない。
その代わり、意識が朦朧とするなど、様々な副作用があるので俺はめったに使わないのだが。

俺は剣を握りしめ、モララーを睨みつける。

( ・∀・)「お前には俺の全ての罠で相手をしてやる」

モララーが指を弾くと、天井、壁、床、全ての場所から銃や弓矢が顔を出した。
コイツはこんな誰も来ないような空洞によくもまあここまで仕掛けたものだ。
これはフィレンクトに対する忠誠心なのか。
それとも盗られることを恐れた臆病者の行為なのか。
  _
(;;#∀゚)「はっ!これだけか?足りないんじゃねえのか?」

( #・∀・)「骨すら残らない程に八つ裂きにしてやる…!!」

414:2011/02/22(火) 22:52:10 ID:
罠が一斉に作動した。
嵐とも呼ぶべき銃弾、矢、爆弾、投石。
じわじわと麻酔が効いてくるのが分かる。
これで痛みに恐れる心配はない。

( #・∀・)「さあ!今度はどこへ逃げる!?」
  _
(;;#∀゚)「逃げるなんてとんでもねぇ……正面突破だ」

俺は右手に銃を、左手に剣を構えて走り出した。
銃弾が体に当たるが気にしない。
矢が背に刺さるが気にしない。
血がどんなに出ようとも気にしない。
  _
(;;#∀゚)「これが俺の戦い方だ…!!」

( ;・∀・)「!!う、嘘だろ……!?」

俺とモララーの距離はどんどんと縮まる。
どんなに攻撃を受けてもびくともしない俺の姿を奴は怯えた目で見ていた。
どうだ。やっぱりお前は怯えていただろう?
  _
(;;#∀゚)「モララあああああああああああああああああああああ!!」

415:2011/02/22(火) 23:04:36 ID:
_
(;;#∀゚)「ああああああああああああああああああああああああああ!!」

距離30m。
右手に握っていた銃が銃弾によって弾かれた。
しかし、俺は拾うことなく先へ進む。

( ;・∀・)「う、うわああ!!……く……くっ!」

距離20m。
流石のモララーも危機感を感じずには居られなかったようだ。
剣を構え、俺を睨む。
それでも俺は前へ進む。

( ;・∀・)「く…来るなあああああああああああ!!」

距離10m。
気付けば銃弾によって俺の剣はボロボロになっていた。
それでも構わない。
奴を斬れるスペースがあれば構える。



  _
(;;#∀゚)「あばよ!!『駆除』!!」

俺は剣を思い切り振り上げ、素早く振り下ろした。

416:2011/02/22(火) 23:15:30 ID:
_
(;;#∀゚)



( ;・∀・)




( ;・∀・)「…………………あ」

( ;・∀・)「あ…あっ、ああああ!」

モララーの剣と俺の剣が再び交わったその瞬間。
ついに耐えきれなかった俺の剣がモララーの攻撃によって折れた。
刃先は弾け飛び、モララーの頭上を越えて地面に突き刺さった。

( ;・∀・)「あーっはっはっはっはっはっはっは!!」

( *・∀・)「折れた!!折れたよお前の剣!!」

( *・∀・)「そんな剣で俺を殺すって言うのか?あっはっはっはっはっはっはっはっは!!」
  _
(;;#∀゚)「………………………」

( *・∀・)「コイツは傑作だあ!!『決闘』の剣が折れた!!」

417:2011/02/22(火) 23:22:50 ID:
モララーは俺の折れた剣に対して、高らかに笑い上げた。
よっぽどこいつのツボに入るものがあったのだろう。

( ・∀・)「おい!何とか言ったらどうなんだ!?丸腰海賊!!」
  _
(;;#∀゚)「………………………」

俺は逆にとても落ち着いていた。
それは『海底』との勝負に決着がついた時のような感覚に似ていた。

( ・∀・)「出す手が無くて悔しいのか!?それとも剣が折れて悲しいのか!?」
  _
(;;#∀゚)「…………………………モララー」

俺は声を出す。
それと同時に、俺は折れた剣を投げ捨てた。

( ・∀・)「何だ!?『調子に乗ってすみません』か!?命乞いか!?」
  _
(;;#∀゚)「親父の航海に言った時の話……その続きを話してやるよ」

( ・∀・)「ああ?今さら何をいっ…………」

俺はモララーに近付き、モララーの腹に左手を当てた。
モララーの体はえらく震えていた。

418:2011/02/22(火) 23:32:27 ID:
_
(;;#∀゚)「あの時、俺が怪我を負った場所は左腕だった」
  _
(;;#∀゚)「俺の左腕は綺麗に海獣に喰われ、9歳で俺は肘から下を失った」
  _
(;;#∀゚)「しかし、その時発明家の父が早急に作ってくれたんだ。俺の義手をな」

( ;・∀・)「う………ああ……ああ……!!」

モララーの口から血が溢れる。
奴は握っていた剣を落とし、俺の左手を掴んだ。
  _
(;;#∀゚)「義手の接合は上手くできたがその義手には2つの技術が組み込まれていた」
  _
(;;#∀゚)「一つは義手の掌にだけ、強力な磁石を埋め込んだ」
  _
(;;#∀゚)「こうすることにより、俺は鉄ならば左手で掴むことができるようになった」

俺の七ツ道具…。
鉤爪ロープも、盾も、パチ○コも、ブーメランも。
そして剣にも全てのグリップに金属が埋め込まれていた。
俺が道具を持ち歩くのは、左手でできる握れるものがそれしかないからだ。
  _
(;;#∀゚)「そしてもう一つ」

( ; ∀ )「あ……あああああ………ああ…」
  _
(;;#∀゚)「この手には………仕込み剣が隠されている」

】海賊の七ツ道具その七:仕込み剣【

419:2011/02/22(火) 23:44:33 ID:
俺の掌にその剣の隠れ場所があった。
俺が義手のある取っ手を引くと、その剣は現れる。
長さはそこまで無いが、身を守るだけならば十分だ。
弱かった俺に父が与えてくれた最後の武器だ。
  _
(;;#∀゚)「悪かったなモララー……これが海賊の決闘なんだ」

( ; ∀ )「くそっ……!!おのれぇ……!!」

その剣は今、モララーの体内に深く刺さっている。
俺の左手袋を突き破り、モララーの腹を裂いた。
血がドクドクと溢れだし、足元に何滴も零れ落ちた。
モララーは俺を突き飛ばし、剣を抜いた。

( ; ∀ )「殺す……殺してやる……!」

( ; ∀ )「海賊を潰すのは私の仕事だ……私の仕事なんだ……!!」

モララーは落とした自分の剣を拾い、大きく振り上げた。

( ; ∀ )「死ね……ジョルジュ……!!」
  _
(;;#∀゚)「だから………言っただろう?」



  _
(;;#∀゚)「俺の手には強力な磁石が入っているって」

422:2011/02/22(火) 23:50:12 ID:
その時、モララーの後ろに落ちていた俺の剣の刃先が俺の手に吸い寄せられるように飛んできた。
もちろん、その進行方向にいたモララーは障害となり、もららーに刃は当たった。
剣がモララーの左胸を背中から貫き、体を貫通した。

( ・∀・)「………………………」

( ・∀・)「あ…………れ……………………」

(  ∀ )

その後、モララーはフラフラと体を揺らしながら倒れた。
モララーは立ち上がることはなかった。
その瞬間、あれほど騒がしく飛び交っていた罠がピタリと止んだ。
おそらく、モララーがこの安全地帯から離れたら自動で止まるように仕掛けられていたのだろう。
  _
(;;#∀゚)「………………………」
  _
(;;#∀゚)「じゃあな。嘘つき野郎」
  _
(;;#∀゚)「俺は正直者だから正直に答えてやるよ」
  _
(;;#∀゚)「お前を見ている生活はとても楽しかった。久しぶりに退屈を忘れることができたよ」

モララーの服から俺の右手袋を探し出し、手にはめる。
俺は戦利品として、モララーの剣を拾い、その場を後にした。
残す目的はあと一つ。

『メデューサの瞳』だ。

423:2011/02/22(火) 23:56:42 ID:
_
(;#∀゚)「!!…デレ!!」

フィレンクトが通った穴を進む途中、横たわったデレを見つけた。
体中を酷く打ち付けており、骨もところどころ折れていた。
その横には、『巨人』の死体があった。

ζ(;;ー#*ζ「う………ジョルジュさんですか?」
  _
(;#∀゚)「おお!大丈夫か!?」

デレは生きていた。しかしその声はとても掠れている。

ζ(;;ー#*ζ「すいません……フィレンクトを追おうと思ったのですが、足の骨を折っており……」
  _
(;#∀゚)「ああ、気にするな。それよりも…お前が倒したのか?」

町の絶対的暴力と恐れられていた『巨人』。
まさかこいつを倒したのがこんな女性だとは。

ζ(;;ー#*ζ「おそらく……フィレンクトはまだこの傍にいます。ですから……」
  _
(;#∀゚)「ああ、わかった。後は俺に任せろ」

俺はデレを担ぎ、洞窟を出た。
残す敵はあと一人、フィレンクト卿だけだ。

424:2011/02/23(水) 00:03:35 ID:
(‘_L’)「……………………」

(‘_L’)「遅い………………」

(‘_L’)「モララーの奴は何をやっているんだ……」

(‘_L’)「クックルもそんなにかかる相手ではないだろう……」

(‘_L’)「…………もういい。先に行くぞ」

(‘_L’)「船を出せ。アイツらなら上手いことやって帰ってこれるだろう」


「待ってくれよ。まだ俺が乗るぜ」

(‘_L’)「!!誰だ……………」

(;‘_L’)「何故お前がここに………も、モララーは……」




  _
(;;#∀゚)「『メデューサの瞳』……奪いに来たぜ」

425:2011/02/23(水) 00:06:42 ID:
(;‘_L’)「お、お前ら!奴を仕留めろ!!」

フィレンクトは俺を殺すよう、部下に命令を下した。
船は出港し、後戻りのできない状況だ。
それでも構わない。
  _
(;;#∀゚)「来いよ……相手してやるぜ…!」

俺はすかさず近くにいた兵士を斬りつけた。
一人、二人……。
とにかく戦闘態勢に入ろうとする奴から斬りかかる。

銃を構える奴は好都合だ。
その銃を俺が拾い上げ、使うことができる。
今は痛みを全く感じない。
死んでいないということは致命傷に当たる攻撃は喰らっていないということだ。
  _
(;;#∀゚)「おら!!もっと手ごたえのある奴はいないのか!?」

剣を交えても、2回以上当ててしまうとすぐに隙が見えてしまう。
いくら近距離から銃で狙われても、緊張してしまい、全く俺まで当らない。
気付けば船は海の真ん中まで来ていた。

426:2011/02/23(水) 00:16:30 ID:
(;‘_L’)「ば……馬鹿な!!」

(;‘_L’)「おい!何をやっている!!」

(;‘_L’)「相手は怪我を負った海賊一人だぞ!?」

(;‘_L’)「何故……何故殺せないんだ!!」
  _
(;;#∀゚)「じゃあお前がかかってこいよ」

(;‘_L’)「は?…………え、え?」

船に乗ってわずか数分、俺は船員を全滅にした。
本当に手ごたえのない奴らだ。
この船にはもう俺とフィレンクト卿しか乗っていない。
  _
(;;#∀゚)「残念だが……あんたは殺す。宝石がどうなろうとな」

(;‘_L’)「ば、馬鹿な!そんなことをして許されると思っているのか!?」
  _
(;;#∀゚)「あんたは許可を得て貴族の船を襲った海賊を見たことがあるのか?」

俺は銃を構えながらフィレンクトの元へ近づく。



その瞬間だった。

427:2011/02/23(水) 00:27:16 ID:
_
(;;#∀゚)「!!」

(;‘_L’)「!?なっなんだ!」

大きな揺れが俺達の船を襲う。
なんだ?砲撃か?
しかし、この船以外に周りに船など見当たらなかった。
じゃあいったい、この衝撃は何だ…?

その瞬間、俺の目の前に大きな影が現れた。

(;‘_L’)「あああああああ……ああ」
  _
(;;#∀゚)「で…でけぇ…………!」

揺れの正体は砲撃ではなかった。
まさか1日に2匹も出会うとは…。



俺達の目の前に出現したのは



1匹の


巨大な海獣。

428:2011/02/23(水) 00:34:34 ID:
(;‘_L’)「ひゃっひゃあああああああああああああああああああ!」
  _
(;;#∀゚)「うわああああああああああああああ!!」

さっき見た海獣とは比較にならない程の大きさ。
体長は10mを優に超えている。
血の匂いにつられてやって来たのだろう。
海獣は船の半分ほどの口を大きく開き、もう一度海に潜りこんだ。

(;‘_L’)「わわわわかった!!私があの宝石を持ち出したのが悪かったんだな!!」

(;‘_L’)「海の神よ!!私の罪をお許し下され!!」

フィレンクトは発狂し、宝石を取り出すと、海に向かって腕を振り被った。
まずい。こいつ海に宝石を捨てるつもりだ。
俺はフィレンクトを押さえつけ、宝石を奪う。
  _
(;;#∀゚)「おい!馬鹿な真似はやめろ!!」

(;‘_L’)「は、離せ!!死にたくない!!」
  _
(;;#∀゚)「馬鹿か!もう俺達は海獣の!!」

その時、船の両側から同時に無数の牙が生えた物体が海から現れた。
誰が見たってその存在は明らかだ。

海獣の上顎と下顎に挟まれたのだ。

429:2011/02/23(水) 00:41:52 ID:
_
(;;#∀゚)「うわあああああああああああああああ!!」

俺はとっさに飛び上がり船首にしがみつく。
船の中央は噛み砕かれ、文字通り船は真っ二つになった。
船は傾き沈み始めた。
俺に残された時間はこの半分になった船の浮力に頼るばかりとなった。

(;‘_L’)「誰か!!誰かあ!!た、助けてくれ!!助けてくれえ!!」

よく見ると、沈みかけた船にフィレンクトが必死にしがみついていた。
足は海にどっぷりと浸かっており、上体だけでなんとか船に残っていた。
こいつ…なかなかの強運だ。
  _
(;;#∀゚)「助かりたきゃ自分で這い上がってきな!!」

この時点で俺は自分の命を救うだけでやっとだってのに、こいつのことなど構っていられるか。

(;‘_L’)「頼む!!さっきの攻撃で足を喰われてしまったんだ!!」
  _
(;;#∀゚)「何だって?」

よく見ると、フィレンクトの周りだけ、海の色が赤かった。
なるほど、下半身はもう無いのか。
それでは一人で這い上がってこれないだろう。
別にこいつを助ける義理はないが、この緊急時の中で無視するわけにもいかなかったので俺は助けることにした。
  _
(;;#∀゚)「……おい!今からそっちに行くからちょっと待って……」

その時、俺の目の前でフィレンクトは海獣に攫われていった。

430:2011/02/23(水) 00:50:03 ID:
_
(;;#∀゚)「…………………え?」

本当に一瞬の出来事だった。
あっという間に海獣はフィレンクトを飲み込み、海に潜っていった。
何たる暴虐。
これが同じ生物だと言うのか。
  _
(;;#∀゚)「くそっ!!どうする!?」

ここまでくれば落ちは読める。
次に狙われるのは俺だ。
だが、全ての目的を俺は達成したのだ。
こんなところで死ぬわけにはいかないんだ。
  _
(;;#∀゚)「……………………来たか…」

俺の前に大きな顔を出した。
まるで大きな岩を見ているかのような大きさ。
俺の存在が如何にちっぽけなのかがよくわかる。
奴は大きな口を開け、俺に近付いてきた。
  _
(;;#∀゚)「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

どうする!?
何ができる!?
しかし、対策などなにも思いつかない。
俺は死を覚悟した。

その瞬間までは。

431:2011/02/23(水) 00:58:35 ID:
一発の砲弾が海獣を襲った。
海獣は驚いて海に潜る。
俺は一命を取り留めた。
  _
(;;#∀゚)「なっ……砲弾…!?」

俺は辺りを見渡す。
するとそこには頼れる面々がいた。

('A`;)「キャプテン!!大丈夫っすか!?」

( ;><)「スカルチノフさんがまたやってくれたんです!!」

/ ゚、。 /「めっちゃ怪我してるじゃないですか!!直ぐに戻って手当てをしましょう!!」

/ ,' 3「………………」グッ

ζ(;;ー゚#*ζ「ジョルジュさん……!」

ドクオ、ビロード、ダイオード、スカルチノフ、デレ。
出港メンバーが船に乗り、すぐ側まで来てくれた。
おそらくデレがクルー達に教えてくれたのだろう。
  _
(;;#∀゚)「お、お前ら………!!」

まさかこいつらが来てくれるとは…。
しかし、それはそれで大変な問題になった。

432:2011/02/23(水) 01:07:02 ID:
_
(;;#∀゚)「直ぐに逃げろ!!お前らまで狙われるぞ!!」

俺は大声で奴らに向かって叫ぶ。
まずい。俺の次はアイツらが喰われてしまう。
急いでここを離れてくれ。

('A`;)「だ、駄目ですよ!!何を言ってるんすか!」

( ;><)「皆で島に帰るんです!!」
  _
(;;#∀゚)「馬鹿言ってんじゃねえ!これは遊びじゃねえんだぞ!」

/;゚、。 /「でも…船長を連れて帰らないと…!」
  _
(;;#∀゚)「俺にかまうな!!いいから先に……」

その時、3度目の影が現れた。
今度は砲撃などでは引かないだろう。
  _
(;;#∀゚)「ははっ……俺を喰うってのか?」

覚悟を決めろよジョルジュ・キッド…『決闘』
お前はクルーを守るために戦うんだ。
  _
(;;#∀゚)「来いよ……相手してやるぜ……」

大切な者の為……それがお前の戦う理由だろう?
  _
(;;#∀゚)「決闘だ」

433:2011/02/23(水) 01:11:20 ID:
奴が大きな口を空ける。
もうここまできたら後には引けない。

('A`;)「キャプテン!!ちょっと!!」

クルーの声はもう聞こえない。
後は俺とこいつだけだ。
  _
(;;#∀゚)「こいよ!お前は俺が殺してやる!!」

牙が沈みかけた船を覆い、日の光を閉ざした。
俺を喰えばお前はきっと満足するはずさ。

( ;><)「船長!!逃げて下さい!!」

/;゚、。 /「船長!!船長!!」


俺の誇りを。

俺の命を。



賭けてやる。



.

434:2011/02/23(水) 01:17:46 ID:
.






.

435:2011/02/23(水) 01:17:58 ID:
('A`;)「………………………」

( ;><)「せ……船長?」

/;゚、。 /「そ……そんな…」

/;,' 3「………………………」

ζ(;;ー゚*;ζ「……………………」

(;A;)「きゃ……キャプテン………嘘だろ…?」

(;A;)「キャプテン……う…ううう…」

(;A;)「うわあああああああああああああああああああああ!!」

(;A;)「わあああああああああああああああああああああ!!」

/;゚、。 /「………………………ん?」

/;゚、。 /「何だ?なにか海から…飛んで……」

( ;><)「うわああああ!何かがマストに巻き付いたんです!!」

ζ(;;ー゚*;ζ「な、何ですか!?…ロープ?」


(;A;)「そ、それ……………!!キャプテンの鉤爪ロープじゃねえか!!」

436:2011/02/23(水) 01:30:13 ID:
_
(;;#∀゚)「おい!誰か引き上げてくれ!!」

(;A;)「きゃ……キャプテン!!」

俺は海面から顔を出し、大声で船員に声をかける。
俺の存在に気付いたクルーは大急ぎでロープを引き上げた。

( ;><)「船長!だ、大丈夫だったんですか!?」

/;゚、。 /「確実に喰われて海に沈んだじゃないですか!」
  _
(;;#∀゚)「ああ、まあそうなんだけどな」


喰われた瞬間、俺は飲みこまれる前に、銃で3発口内を攻撃し、
その後ブーメランで皮膚を切断。そのわずかな隙間から剣で切り裂いた。
口をぱっくり裂き、そこから脱出、最後に鉤爪ロープを使い、船に戻ることができた。
海獣は相当深手を負ったしあの口ではしばらくは何も噛むことができないだろう。

俺は何とか生き延びた。

(;A;)「キャプテエエエエエエエエエエン!!死んじゃったのかと思いましたよおおおお!」

ドクオが俺に抱きついてきた。
それと同時ぐらいに俺は麻酔が切れたので体のあちこちが痛みだした。
  _
(;;#∀゚)「やめろおおおおおおおおおおおおお!マジで死ぬわ!」

437:2011/02/23(水) 01:36:31 ID:
/;゚、。 /「穴だらけじゃないですか!!すぐに手当てをしないと…!」

ダイオードが担架を用意し、俺を船内に運ぶ。
ビロードとドクオに運転は頼み、俺はゆっくりと休むことにする。

ζ(゚ー゚*ζ「宝石……しっかり持って来たんですね」
  _
(;;#∀゚)「ああ…まあな」

俺はどんな状況でもこれだけは手放さなかった。
『メデューサの瞳』。
いろいろ慌ただしくて見ることができなかったがよくよく見てみるととても美しい。
確かに秘宝と呼ばれるだけの価値はある。
  _
(;;#∀゚)「分け前は…半々だったか?」

ζ(゚ー゚*ζ「その件ですが……私は受け取るわけにはいきません」
  _
(;;#∀゚)「ああ?どうしたよ急に…」

ζ(゚ー゚*ζ「ここまでこれたのは全て貴方達の挑戦の結果です。私は何もしていない」
  _
(;;#∀゚)「何言ってんだよ『巨人』を倒したのはお前だぜ?」

ζ(゚ー゚*ζ「それだけです。私は何としてもフィレンクトから宝石を取り戻したかった」

438:2011/02/23(水) 01:37:46 ID:
さすが蛇の腹から帰還した男だぜ

439:2011/02/23(水) 01:38:31 ID:
終わっちまうのか…

440:2011/02/23(水) 01:42:37 ID:
急な話で驚いたが、本人が引く気が無いようなのでありがたく頂戴することにした。
しかし、船まで借りといてこれでは俺も後味が悪い。
俺も何か彼女の為にしてやりたい。
  _
(;;#∀゚)「なあ、デレ」

ζ(゚ー゚*ζ「………何ですか?」
  _
(;;#∀゚)「お前…俺の海賊団に入らないか?」

ζ(゚ー゚*;ζ「え……!?」
  _
(;;#∀゚)「今回の航海……。やっぱりお前の力もあっての成功だ。お前は単独で生きるのには惜しい」

ζ(゚ー゚*;ζ「……………………」
  _
(;;#∀゚)「無理にとは言わねえ。ただ一つだけ言わせてくれ」
  _
(;;#∀゚)「俺はお前のシチューがもう一度食べてえな」

ζ(゚ー゚*ζ「……………………」

ζ(゚ー゚*ζ「私……あまりバストが無いんですけど」
  _
(;;#∀゚)「俺が誘う分には問題なしだ」

ζ(゚ー゚*ζ「………なんですかそれw」

デレはクスッと頬笑んだ。
俺の海賊団に5人目の仲間ができた瞬間である。

441:2011/02/23(水) 01:49:56 ID:
島に戻り、俺は直ぐ様ツンの元に行こうとした。
しかし、怪我で体が動かなかったのでダイオードのドクターストップがかかり、結局面会は1週間後になった。
ドクオ達に俺の安否だけ伝えてもらい、俺はその間一生懸命練習した。

何の練習かって?
言わせんな恥ずかしい。

そして待ちに待った一週間後、俺はツンの家に出向いた。

('A`;)「大丈夫です!その宝石を見せて落ちない女はいません!」
  _
( ;゚∀゚)「マジ!?本当!?」

( ;><)「深呼吸です!深呼吸!」
  _
( ;゚∀゚)「ビッ!ビッ!ブー!ビッ!ビッ!ブー!」

/;゚、。 /「キザは今日日流行んないですよ!狙うはクール一択です」
  _
( ;゚∀゚)「おっけ!まかせろやあ!!」

/ ,' 3「………………」ニヤニヤ

ζ(゚ー゚*ζ「落ち着いてくださいよ!船長!」
  _
( ;゚∀゚)「どどど、どこをどう見たらお、お、俺が落ち着いてないんだよ!」

442:2011/02/23(水) 01:52:59 ID:
ニヤニヤ

443:2011/02/23(水) 01:55:46 ID:
いけ!漢をみせろ!

444:2011/02/23(水) 01:55:52 ID:
_
( ;゚∀゚)「よし……行ってくるわ」

俺は拳を握りしめ、ツンの元へ行く。
さあ、今日こそは言うんだ。
あの言葉を。

ξ゚⊿゚)ξ「いらっしゃいま……………」

ξ゚⊿゚)ξ「あ………………」
  _
( ゚∀゚)「……………………おう」

久しぶりのツンは相変わらず美しかった。
特に顔色が悪いわけでもなく、普段の日常を取り戻しつつあるようだ。
店は賑わっていたが気にすることはない。
  _
( ゚∀゚)「久しぶりだな……体は大丈夫か?」

ξ゚⊿゚)ξ「あんたこそ…結構怪我したって聞いたわよ?」
  _
( ゚∀゚)「まあ、な」

はじめは気楽な世間話から入る。
その次が最大の問題だ。
  _
( ;゚∀゚)「あのさ…実は…ξ゚⊿゚)ξ「ねぇ……」
  _
( ;゚∀゚)「え?あ、ああおう、何だよ」

445:2011/02/23(水) 01:56:45 ID:
完全にツンに言葉を喰われた。
俺はプロポーズを中断し、ツンの話を聞くことにする。

ξ゚⊿゚)ξ「モララー様……は?」
  _
( ゚∀゚)「………………………」

俺はどう答えればいいか迷った。
騙されていたとはいえ、ツンが一度は愛した男だ。
アイツのことは俺しか知らない。
  _
( ゚∀゚)「モララーは…………俺が殺した」

考えた末、俺は正直に伝えることにした。
もしかしたらツンはそこまで望んではいなかったのかもしれない。
しかし、俺はアイツを殺さないわけにはいかなかった。

ξ゚⊿゚)ξ「そう……………………」

ツンはそれだけしか返さなかった。
それ以上の言葉は彼女の口からは出ることはなかった。

ξ゚⊿゚)ξ「私ね…………偽物の恋愛をしていたみたい」

ξ゚⊿゚)ξ「モララー様と過ごした日は確かに楽しかった。でも……」

ξ゚ー゚)ξ「空っぽだった……」

446:2011/02/23(水) 01:57:26 ID:
_
( ゚∀゚)「ツン………………」

ξ゚ー゚)ξ「私は自分で自分に嘘をついてたの」

ξ゚ー゚)ξ「私はモララー様が好きなんだー、愛しているんだ―って」

ξ゚ー゚)ξ「でも違った。心のどこかで否定している自分を受け入れようとはしなかった」

ξ゚ー゚)ξ「ごめんねジョルジュ…わたしのせいでこんなことになって…」
  _
( ;゚∀゚)「気にすんなよ!俺は…気にしてねえから」

ξ゚ー゚)ξ「うん……私は気付かなかったの。本当の幸せなんて一番近い場所にあるんだって」
  _
( ;゚∀゚)「ツン!!それって……」

ξ゚ー゚)ξ「うん……私………」






ξ゚ー゚)ξ「常連のイトーイさんと結婚する!!」




.

447:2011/02/23(水) 01:57:43 ID:
oh...

448:2011/02/23(水) 01:58:15 ID:
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「すごおおおおおお…ぶしゅううううううう…」

ξ*゚⊿゚)ξ「イトーイさん!」

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「ぶうぶうぶおおおおおおおおお…」

ξ*゚⊿゚)ξ「そんなやだあ……」



  _
( ゚∀゚)



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「ごごごごううううううう……」



  _
( ゚∀゚)


  _
( ゚∀゚)

449:2011/02/23(水) 01:58:37 ID:
お……おいィィィ!?

450:2011/02/23(水) 01:58:55 ID:
_
( ゚∀゚)「え?……あ………あれ?」

ξ゚⊿゚)ξ「ジョルジュ!そう言うことだから!」
  _
( ゚∀゚)「え?え?な、何、え?」

ミ;,,゚Д゚彡(あーあ………)

ξ;゚⊿゚)ξ「あっ…ジョルジュには紹介してなかったね」

ξ゚⊿゚)ξ「この人…私の恋人のイトーイさん!」

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「ぶしゅうううううううううう…!」



ξ*゚ー゚)ξ「ジョルジュもよろしくね!」



  _
(  ∀ )

451:2011/02/23(水) 01:59:53 ID:
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「しゅうううううごおおおおおおううう…?」

ξ゚⊿゚)ξ「ああ、ただの知り合い。子供の頃によく遊んだ」



  _
(  ∀ )


ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「ぢゅぢゅぢゅううう……ごふっごふっ…・」




ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「すぽぽぽぽぽぽぽぽぽぅ………」

  _
(  ∀ )「……………………ヶ」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「……………………………け?」


.

453:2011/02/23(水) 02:00:25 ID:
_
( #゚∀゚)「決闘だあああああああ!!」






.

457:2011/02/23(水) 02:04:32 ID:
】人はその男を『決闘』と呼ぶようです【

                                 完








.

461:2011/02/23(水) 02:12:40 ID:
長期戦だったな


462:2011/02/23(水) 02:12:43 ID:
すいません…。
音楽祭り最初から投下してたのにまにあわなかった…

くそっ!!長過ぎんだよ!


あとがきとしましては
ここの登場人物は全て子供のような思考の人たちだけで構成しました。

・珍しいものを使って好きな子の気を引こうとする男の子
・嫌いな子がいるから間接的にいじめる子
・好きな子にすぐ結婚とか言っちゃう子
・一番最初に触らなきゃ気が済まない子……etc

それを海賊とミックスした形になります。
テーマとなる曲から子供じみた感情を受け取ったもので。

本酉はフェスのあとがきスレ公開します。
463:2011/02/23(水) 02:29:29 ID:
乙です!
楽しかったぜ
464:2011/02/23(水) 07:00:27 ID:
長かったな……本当にお疲れ様!
面白かった
465:2011/02/23(水) 09:53:22 ID:

最高だった
466:2011/02/23(水) 18:18:56 ID:
乙!おもしろかったよ!
元スレ: