88:2011/07/18(月) 19:12:38.62 ID:
3年前くらいになるかな
当時俺はキャバクラのボーイをしていたんだよ

多分、みんな嬢に興味はあっても、
ボーイの事なんて興味すらないだろうから知らないと思うけど
もうね、元ホストから元IT関係者、元ヤクザまで様々な人種が来る
そして一ヶ月で10人いたら5人まで減るw
嬢とヤリ放題w
なんてまず無理なんだなぁ

でな、俺がその世界に飛び込んで4ヶ月経った頃
新規でお客さんが来たんだよ
パッと見50くらいかなぁ?
一見裕福では無さそうで、
キャバクラとは縁の無さそうな人柄の良さそうなオジサン
実はココ、結構お高い所でさ、正直大丈夫かぁ?とか思ってた

さらに不思議な事に恐らくフリーで入っただろうけど
隣にキャスト(キャバ嬢)がずっと付かないんだよ
もう一時間近く一人でチマチマと酒を飲んでるんだ

89:2011/07/18(月) 19:26:15.51 ID:
流石に気になってさ
カウンターに聞きに行ったんだよ

そしたらさ、隣に女性を付けなくていいからただここで飲ませてくれ
って入ってきた客だった訳
たまにあるんだよこういう客が来る事が・・・
っとカウンターも黒服も困り顔でな
人手はあるからさり気無く目的を探ってきてくれw
とか冗談半分で話してた

所が本当にその機会が回ってきた
多分飲んで暇に耐えられなくなったんだろう、
よりにもよってボーイの俺を場内指名してきたんだw
酒も飲めるしサボれるし、タバコも吸えるしで素晴らしい一時だ、
断る理由がないw

ボーイは極稀に指名される事があり、その時は一切の仕事を免除される
飲みすぎて潰れたらぶん殴られるけどねw

んでそのオジサンの隣に座って一通り楽しく喋ったんだよ
酒パワーもあってそれなりに楽しくアホみたいな会話してた

話題が尽きかけた時ふと、
「そういえばどうしてお客さんは嬢を指名せず、一人で飲んでいたんですか?」
そう話を切り出したんだ
91:2011/07/18(月) 19:42:07.82 ID:
その瞬間楽しい雰囲気は一瞬で吹っ飛んで
オジサンはすごい寂しそうな顔してな

「娘がここで働いていたんだ、私に内緒でね」

その時なーんか悟っちまった
あぁ、家出して行方不明とかか・・・
たしかに源氏名じゃ本名もわからないしキャストの本名を黒服陣に聞いても
答えてくれる筈がないもんな・・・

でも違った
「娘はね、死んだんだよ・・・悲惨な死に方だった・・・」
オイオイ、予想以上に重い・・・

「なんで娘が死んだか知りたいかい?」

「差支えが無ければ教えて貰ってもいいですか?」
ここまで来たら溢れ出す好奇心は止まらないもんだよ

「薬だよ。ドラッグに溺れて骨と皮だけになって死んだんだ・・・」

「ここが原因だろうね、娘の交友関係や職場などを調べたんだが親友だという子を締め上げたら
 この店の名前が出てきた。警察もここは調べてないから私は復讐に来たんだよ。」

鈍感な俺も復讐という言葉を聞いて流石に気がついた
あ、一番危ないのって近くに、というか隣にいる俺じゃね?って・・・
92:2011/07/18(月) 19:46:16.67 ID:
要約すると、は無しだぜw
93:2011/07/18(月) 19:59:46.41 ID:
確かにこの店の裏はそんな話もよく聞く
実際系列店にそういう風呂的な店もあってさ
打ち上げ後抱かせてもらった事もある

「ではお客さんは今日、復讐するためだけに来店されたんですか?」

「あぁ、そのつもりだった・・・でももうそんな気はないんだ・・・
今日は来てよかったよ・・」

その時そのオジサンが持ってたバックから包丁取り出したんだ
オイオイ、言葉と行動が逆じゃねーか!

「もう、娘に会えたからね。楽しそうに笑ってた・・・君がいてくれてよかった。」

そう言い、見せた包丁をしまってチェックのサイン
洒落にならねーよ・・・酔いも吹っ飛び心臓バクバクしてるよ・・・
娘が死んで頭がおかしくなったのか、それとも俺に娘の面影でも見たのか・・・

外に出てオジサンに挨拶したがまた来てくださいとは言えなかった
帰り際にオジサンが俺に向って笑いながら

「娘は本気だったみたいだね・・ならいいんだ・・もう・・いいんだ・・」

・・・アレ、俺なにか大事な事に気がついてないんじゃなかろうか・・
なにかが・・・

俺はそれに気が付いた後店を辞めた
そのオジサンはそれ以来、来なくなったと聞いている
94:2011/07/18(月) 20:13:49.87 ID:
怖いっていうより悲しいよ?
175:2011/07/19(火) 22:13:01.48 ID:
アレは2年前ぐらいかな
当時キャバクラのボーイだった俺はとある事情でそこを退社し、
以前から憧れていたバーテンダーの修行に入ったんだよ
なんせお酒もタバコも好きだしついでに女も好きw
これしかねぇ、とかあの時は本気で思ってた

皆にとってはバーテンダーって興味はあるけど実態が見えない
そんな職業だよな
軽く説明するけど思っている程華やかな世界ではない
水商売だし、やってる事は地味な事を積み重ねて
お客の前でカッコつける。
地味な所をいかに見せずにカッコよく見せるか
本気で目指すなら遊んでる暇なんてなく、
勉強の毎日給料雀の涙で頑張ってる

本気で目指す人間じゃなきゃ到底続かない世界
まぁこんな感じよ

でな、当然新人の俺には先輩バーテンダーが色々教えてくれる訳よ
その先輩ってのはそりゃぁもう、滅茶苦茶カッコいい人だった
一つ一つの動きがカッコよくて地味な所もかっこよく魅せる
その店の売り上げの2/3はその人のファンからだと言えるかもしれない

顔も良ければ性格もいい
こんな俺にも優しい物腰に敬語で丁寧に仕事を教えてくれる
おまけに声もイイ

性格の捻じ曲がった俺は当時から彼をライバル視して意地でも負けない、と無駄な努力をしていた
176:2011/07/19(火) 22:14:20.30 ID:
そんなパーフェクト人間の先輩にも悩みはあった
それはこの先輩に、どうして?と思えるような彼女の存在
言っちゃ悪いがお世辞にも美人とは言えないどこにでもいそうな女性
オマケに相当嫉妬深い性格で、
普通バーテンダーの恋人はお店には来ないものなんだけど
その子は彼氏が心配と、毎日のように足しげくお店に通って来る

先輩はそれをずっと悩んでるみたいで、バーテンダーという職業は客と話してなんぼ
彼は客に嘘は決してつかないが、惚れさせてお店に通わせるという手段を好んで使う
惚れた女性は太いお客さんになってくれるからね

そこに睨みを利かせた彼女がいたら誰も得しない
彼の悩みはそういう物だった
営業時間が終わった時に一度聞いた事がある

「彼女と別れないんですか?先輩ならもっと美人を狙えますよ」
「いや、愛してるからね」とニコリと笑い、話を切られる

ある日、店の裏で先輩とその子が口論している所に出くわしてしまった事がある
途中から聞き耳を立てたのでおおよそしか掴めなかったが
内容はこうだ

先輩がお客の女性に悩みを打ち明けられ、お店を閉めた後二人でどこかへ消えた
それが彼女さんがいなかった時の事であり、その日確実に浮気したこういう事らしい
その日初めて先輩が怒る所を見た、ついでに女性に手を上げたのも見た

その後しばらくその子は店に現れなかったんだが
先輩は落ち込む事なく、いつもの顔で女性を喜ばせていた
強い人だね
177:2011/07/19(火) 22:16:29.06 ID:
だがそれも数日経った後
あの先輩が無断欠席をぶちかましてくれおった
まさか先輩が飛んだ(バックれ)!?

もうお店はてんてこ舞いよw
シェイカーの振り方も料理も俺じゃなんにもわからん
オーナーさんも緊急で店に出てきてくれたが
余計邪魔w

とりあえず今日は店を早く閉める、そして料理や酒はバーテンダー不在のため
出来合いの完成された物を出す、という事でなんとかその場を凌いだが
先輩とは相変わらず連絡も取れないまま数日がたった・・・

急ごしらえのバーテンダーとしてカウンターに立ってた俺は
先輩の見よう見まねでお客と話し、正直クソマズイ酒を出す為
オーナーは修行セールと称しカクテルは格安で提供する羽目になった・・
正直スンマセンオーナー・・・
でな、なんとか形になってきた頃、先輩の彼女が来店してきたのよ

「今は貴方がバーテンダーなのね」

「えぇ、先輩が急にいなくなってしまいましてハンチク坊主ですが
カウンターに立たせてもらってます。
彼女さんは先輩がどこへ行ったかご存知ないですか?」

「知ってるわよ、ただ、もうバーテンダーとして生きていけないわね・・」
「それはどういう意味ですか?」
「フフッ、さぁね?」

彼女はそう言うと意味ありげに左手を出してきた
その薬指には光る指輪
178:2011/07/19(火) 22:18:27.05 ID:
あぁ!なるほど!

たしかに夜の世界に生きていては結婚は厳しいだろう
昼夜は逆転するし収入もはっきり言って家族を養える程あるとは思えない
足を洗いまともに生きる事を先輩なら選択するだろう
でも一言くらい声かけてほしかったなぁ・・・
なにも飛ばなくても・・・w

「おめでとうございます!そういう理由でしたか!」
「ウフフッ。有り難う」
「ではお店から一杯出させていただきます!未熟者ですがなにがいいですか」
「そうねぇ・・じゃあコレを使って最高の一杯を貰おうかしら」


ゴロン


あの時は思考が止まったね
なんせそこに出されたのは小さいビニールに包まれた指だった
血が抜かれているのか、全体が紫、というより黒ずんでいて
恐らく親指だろう・・・それも男性の・・・
179:2011/07/19(火) 22:19:44.66 ID:
「聞いていたんでしょう?貴方」
「え?」
「あの時確かに貴方がいた・・聞き耳を立てていた事は知っていたのよ」

バレテルー・・・
会話を一旦途切れさせ、思考を纏めるためにタバコに火をつける

「では、それを使って最高の一杯をお作りしましょう。
マドラーとして使うだけですが、とても優しい味になるでしょう」

・・・終わった・・
沈黙が痛い・・・

「面白いわね、貴方」
「今日来たのは釘を打つためだったけど、貴方はプロみたいだから安心したわ」

そう言って彼女は最高の笑顔を見せ、指を持ち店を出て行った

先輩とその子にはもう会う事はないんだろう
夜の職業だと色んな人種に出会える
そして出会いの数だけ別れもある
色んな形でね・・・

あれから先輩とその子がどうなったか、親しい友人達もわからないみたいだ・・

終わり
181:2011/07/19(火) 22:33:49.47 ID:
怖いわ…(笑)
182:2011/07/19(火) 22:35:51.93 ID:
てゆうか、バーテンさんキモ座りすぎじゃね?w
183:2011/07/19(火) 22:47:38.71 ID:
ぞくっとした
185:2011/07/20(水) 00:19:00.16 ID:
アレはいつだったか・・・

当時バーテンダー見習いとして働いていたんだが
これが相当酷いもんだった
慕っていた頼れる先輩が飛び、誰かに師事するという事も出来ず
無様にカコカコ鳴らし見よう見まねで クソマズイカクテルもどきを作り
イッチョまえにカッコつけてお客さんにお出しするという、
とんでもないバーテンダーになっていた

配合量などは十分合っている筈なのに
技術が無いため、素人は騙せてもお酒好きは騙せない酒を作っていた
情けない・・・

最高のバーテンダーだった先輩目当てに通っていた客も徐々に足が遠のき、
以前とは客層も少々変わってしまっていた
ハンチクな腕前、未熟な話術、先輩には遠く及ばない容姿、マズイ酒・・・
流行る方がオカシイってもんだ

そんなある日一人のスーツ姿の背の高い、いかにもその道の人だろう客が来た
見た目は20代・・いや、30代・・待てよ・・40代・・・
俺より若くも見えるし遥かに上のようにも見える

こういう時は大抵年上という黄金パターンがあるもんだが
触らぬ神に祟りなしw
触れずに置こうw
186:2011/07/20(水) 00:21:56.29 ID:
「適当に頼む」
「好きな酒や嫌いな酒、好みなどはありますか?」
「黙って作れ」

「・・・はい・・」

心温まる会話をありがとう
俺のクソマズイ自信作を食らいやがれ

「マズイ」

デスヨネー

「申し訳ございません、とある事情で未熟者がここに立たせて頂いてます。
  お気に召さないようでしたらウィスキーや焼酎などご用意させていただきます」

「それを寄こせ、濃い方がいい」

好みあるんじゃねーか、先に言えや!!
まぁまぁよく飲む事5杯目を飲み干し
また新しく注ぐ頃、彼は静かに語りだした

「バーテン、お前は自分の手を汚した事があるか?」

「いえ、私は良くも悪くもただの一般人です。一般人の範囲でお答えできるなら
 綺麗な方ではないのかもしれませんが」

「そうか、俺は毎日のように汚してる。今日も汚してきた・・・
 どんなに洗ってもこの汚れは落ちないな」

コエーよヤべーよ逃げてーYO!
187:2011/07/20(水) 00:23:29.46 ID:
「お前、豚は食った事はあるか?」
「えぇ?まぁ人並みに好きではありますね?」
「そうか。では豚のエサってなにか知ってるか?」
「肉を柔らかくするためにワインなどを混ぜたり・・米とか食べると聞きますね」
「あぁ、まともな所ならまともな物を食べさせてる」

「だがな、アレらは雑食なんだ。なんでも綺麗に食べる。それこそ骨すら残さずに」

ピーンときたね
とても悪い方向に・・・
いや・・まさか・・

青ざめる俺の顔を見て彼は表情を和らげ

「ごちそうさん、お前が成長しうまい酒を作れるようになった頃また来る」

そういうと彼は確かな足取りで会計を済まし
無表情で店を出て行った
入れ替わりで若いカップルが来る

アリガトウゴザイマシター・・
出来れば二度と来て頂きたくないデスガ・・・

それ以降俺の食べれない物のリストに豚が並んだ
今もそれは継続してる

終わり
188:2011/07/20(水) 00:54:33.71 ID:
>>88
>>175
>>185

コレらは一応流れになってます
では。
189:2011/07/20(水) 01:18:18.88 ID:
元スレ: