1:2015/09/28(月)23:58:31 ID:
スレを立てるのははじめてだ。
うまくいったら最後まで話したい。
ちょっとありきたりなんだけど、スレタイ通りずっと好きだった女子の話をしていいかな?

スペック
相手
24歳
職業看護師
和服がよく似合う小柄な子
よく笑う子でがんばり屋
でも少し面倒くさがり


26歳
色黒の酒好き

3:2015/09/28(月)23:59:39 ID:
相手のことを仮に綾子と呼びます。
俺が綾子と初めてあったのは小学生のときだった。
出身が九州らしく、東北にある小学校に突然転向してきた。
そのときの挨拶が少し九州の訛り方をしていて、容姿も可愛いかったからすぐに学校中で有名になる。

理科の実験で食塩水を熱してどうなるかって授業のとき、たまたま二人ペアになり、そこで初めて俺は綾子と話した。

アルコールランプにマッチで火をつけるのだが、綾子はうまくマッチに火をつけれないでいた。

負けず嫌いなのか彼女は何度もトライしては失敗していて、それを見た俺はマッチを奪い取って一発で火をつけることに成功した。
そこで俺「どうだ、スゴいべ!」とどや顔してやったったwww
そしたら
「わっ!俺君すごいんだね!」と綾子が笑顔で小さく拍手してくれた。
そんな綾子がすごく可愛かった。

それから綾子は教室で会うたびに挨拶してくれるようになった。
当時は好きとか嫌いとか、そういう感情はまだなく、俺の頭はゲームで埋め尽くされていた。
だからお互い何事もなく小学校生活を終える。
4:2015/09/29(火)00:00:45 ID:
俺の母ちゃんの名前だから別の名前にしてくれ…
8:2015/09/29(火)00:01:59 ID:
>>4
すまん、我慢してくれw
7:2015/09/29(火)00:01:28 ID:
中学に上がったとき、俺は兄貴が陸上部だからということでなんとなく陸上部に入った。
そしたらたまたま綾子も同じ部活に入っていて、同じ長距離走の競技になる。
ゲームばかりしてきた俺は足が早いわけでもなく、長距離走るなんて考えてもなかった。
ならなんで競技が長距離走なのかというと、綺麗な女性の先輩がいたからまんまと釣られてしまったのだ。
思春期だから仕方ない。

そんな俺の考えなんて綾子は知らず、「俺君、一緒に頑張ろうね!」と意気込んでいた。
ちなみに同じ競技で同年代は俺と綾子だけだった。
綾子とは学校のクラスは違うが、部活で頻繁に会うようになる。

やはり動機が不純だったが為に俺の足は綾子よりも鈍足で、普段は男女で練習内容が違うのだが俺と綾子は同じ内容だった。
別に綾子なんか眼中になかった当時の俺は、綺麗な先輩の尻を追いかけて部活動に参加していた。
もちろん、練習は真面目にやっていない。
というか記録を伸ばそうと本気で走っておらず、丁度いい綾子のペースにずっと合わせていた。
だからタイムもほぼ綾子と一緒で、練習中もずっと綾子と一緒。
綺麗な先輩はペースが速すぎて付いていくと疲れるから、滅多についていかなかった。

そんな俺と綾子の姿をみていた同級生から、いつしか夫婦なのかとからかわれるようになった。
この頃から、綾子のことが気になり始めたのかもしれない。
もちろんプライマリーは綺麗な先輩だが。

本気で綾子のことが好きになったのは大会のときだ。
俺は予選でいいタイムを残せず敗退となった(正直悔しかった)が綾子は決勝まで進んでいた。
たしかに、この頃の綾子はだんだんと速くなってきており、ペースを合わせてついていく俺の苦労も増えていた。

決勝レースが始まる少し前、偶然にもウォーミングアップをしている綾子と会うと元気よく声をかけてきた。
10:2015/09/29(火)00:02:51 ID:
あのときの会話はよく覚えている。

綾子「あ、俺君!」
俺「調子どうー?」
綾子「正直怖いよー、ここまで来たのに負けたくないよ」

綾子は心配そうに微笑んでいた。

俺「大丈夫だよ。 綾子、最近速いし準決勝までのタイムとか一番だったし。 いつも通り走ればいいべ」
綾子「いつも通りっていわれても、俺君が付いてきてくれなきゃいつも通りじゃないよー」
俺「いやいや、いつも通りってそういういつも通りじゃないからw」
綾子「えー!」
俺「まぁ、しっかりと応援するからさ、優勝して俺の仇もとってくれよ」
綾子「俺君、いつも応援適当だよね。 本当にしっかり応援してくれるのー?」

既に綾子には俺のヤル気なさと行動は全てをばれている。
先輩の尻を追いかけて同じ競技やっているっていうのはばれていないはずw

俺「するする!メガホン持ってするから安心しろって」
綾子「声出さなきゃ嫌だからね?」
俺「わかったよ、大声で応援するってw」
綾子「うん、なら安心だね! 俺君、ありがとね! 緊張とれたかも! 俺君の仇とってくるよ!」
俺「そかそか、んじゃあ頑張ってな」

この会話をして、俺なりに気づいたことがあった。

綾子、しっかりと俺のこと見てくれてたんだなって。

俺も俺で、綾子のこと無意識に見てるんだなと。

どうでもいいような会話で、綾子のことが気になっているんだと自覚でき、そこから異性として綾子を意識できるようになった。
12:2015/09/29(火)00:02:58 ID:
長えよしげる
13:2015/09/29(火)00:03:40 ID:
大会の結果としては見事綾子は優勝した。

一位の賞状をもらう彼女の姿はとても眩しく、どこか遠くにいるような存在に思えた。

近くにあったものが遠くにいくと感じる切なさはなんなのだろうか、中学生の俺にはまだわからない。



綾子が大会で優勝してから、綾子とは距離をおくようになってしまった。

意識できるようになってしまって、彼女の近くにいるのが心境的に恥ずかしくなり、何とも言えない若さという謎の理性に狂わされていた。

俺は練習の時も綾子にはついていかず、本気で走るようになる。

同級生達に夫婦喧嘩したのかとからかわれ、いつもはなんともなく聞き流してたが、かなり恥ずかしさを感じるようにもなる。



そんな時期を過ごしていたある日、綾子が練習中に転んでしまい、腰を悪くしてしまった。
打ち所が悪く、治るまでに時間がかかる。

綾子が大事な大会を控えていたのだが、怪我のため出場を諦めることになった。

落ち込んだ綾子の顔をみるのがすごく辛かった。
辛いのになにもしてあげなかった当時の自分がいまでも情けなく思う。



綾子は練習はできないものの、部活のほうには顔を出していて練習風景をみていた。

この頃は中学二年の冬で、受験の話もちらほら出てきている。
それと同時に、綾子が関東に引っ越しするという話もうっすらと流れてきていた。
それから綾子の怪我が治らず1ヶ月ほどしたあと、綾子に誘われて初めて一緒に下校した。



綾子「俺君、最近がんばってるね」

俺「先輩が引退したから当然」

物凄くカッコつけてるつもりの俺。
意識高いアピールしたかった。
16:2015/09/29(火)00:05:06 ID:
綾子「俺君、啓子先輩のこと好きだったならもっと早くから頑張ればよかったのになぁ」
俺「は?ちょっ、おまっ、なにいってんだ!んなわけねぇべ!」

突然の爆弾発言にテンパりまくる俺。
そんな俺をみて綾子は楽しそうに笑っていた。

綾子「俺君ってわかりやすいんだもん」
俺「うるさいな。 俺をからかうために誘ったのか?」
綾子「ううん、それもいいけど別に話したいことがあって誘ったんだよ」

お、まさか、告白する気か?
綾子め、ついに動き始めたなwww

本気でそう思って、俺は身構えた。



綾子「私ね、お父さんの転勤に合わせて東京に引っ越すの」
俺「え」
綾子「噂で聞いてたと思うけど、俺君には直接いっておきたいって思って。 きっと中学で一番話したの俺君だから」

あのときの、彼女のどこか寂しそうな笑顔がいまだに忘れられない。
俺はなんて返事したらいいかわからなくて、黙ってしまった。
俺のバカ。

綾子「いままでありがとうね、俺君。部活でいい記録を残せてこれたのも、いつも練習で私を追いかけてきてプレッシャーを与えてくれてたからだよ。夏の大会のときも緊張を解いてくれたよね。啓子先輩のときしか真面目に応援してなかったのに、あのときはしっかり応援してくれたよね」

このときの彼女はすごく頑張って何かを使えようとしていたんだと思う。
俺にはそれがわからなかった。
ただ寂しく感じていた。

中学生で携帯電話なんかもっていなく、学校を転校したら最後だとも考えていた。



本当にお別れなのか、綾子と。



そう思うしかない心境だった。
綾子も同じ心境だったのか。

ああ、だから帰り際に誘ってくれたんだ。
なんで女子から誘わせてるんだよ。
俺、情けないぞ。
17:2015/09/29(火)00:06:25 ID:
なにか言わなければいけない。
本能的にそれを感じた。
何を言うか考える余裕なんて当時の俺には持ち合わせていない。

俺「大丈夫だ。保証できないけどいつかまた会える。いや、違う違う!いつかまた会おう」

ありのままに自分が思っている不満を、フォローするかのように口に出していた。
自分を救うための言葉だった。

綾子「もう、そんな恥ずかしいこと言うから夫婦だってからかわれるんだよー?」

俺「ぐぐぐぐ…!」

綾子「でもね、すごく嬉しい。なんだか安心できちゃったよ。約束だからね?」

俺「あ、ああ」

綾子「俺君、本当にありがとう」



綾子とまともに話したのはそれが中学生最後だった。
彼女はそれから間もなくしてすぐに関東へ引っ越していった。

いつかまた会う約束。

これだけが俺と綾子をうっすらと繋げてくれていた。




俺は高校になった。

なんとか受験に成功して、超バカ高校だけど公立の学校に進学できた。
18:2015/09/29(火)00:07:07 ID:
中学で部活を引退してから、家にパソコンが配置され、俺はネットゲームにはまり、高校生活は灰色だったが個人的に納得のいく楽しみ方をしていた。

携帯電話を持ち始め、当時はモバゲーというSNSが流行っていて、当然俺も仲間と一緒にやりはじめる。
同じ学年でアイドル的な存在の子の日記を読むのが俺の趣味でもあった。
他にも、中学一緒だった友人の日記や、憧れの啓子先輩の日記もしっかりと監視していた。

そんなある日、啓子先輩の日記にある写真が載せられていた。
綾子の写真だ。
一緒に食事にいったらしく、楽しそうにアイスを食べている綾子の姿が写っていた。

透かさず俺は画像を保存した。
そしてプライベートフォルダーにつっこんで、セキュリティをつけ、じっくりと写真をみる。

彼女の姿をみるのは三年振りだったが、すごく綺麗になっていた。
啓子先輩よりもいいんじゃないのか?
そんなことさえ思った記憶がある。

啓子先輩のページに飛び、友達のリンクを開く。
もしかしたら、綾子のページがあるかも知れないと思ったからだ。

しかし、見つからなかった。
啓子先輩に直接聞くのもありだが、告白して振られており、そんな人に聞くのは抵抗があってできないでいた。

唯一、知れた情報というのが啓子先輩の日記にかいてあった綾子の希望進路だ。

どうやら看護師になるために大学にいくらしい。


看護師かぁ、すごいな
当時の俺は職業にあまり詳しくなく、看護師は頭が良くなければなれないという感覚しかなかった。
19:2015/09/29(火)00:07:22 ID:
ここまで

小中一緒の女の子>>4の母
中学陸上部で同じ部活
>>4の母転校でお別れ
23:2015/09/29(火)00:09:10 ID:
>>19
まとめありがとう
20:2015/09/29(火)00:07:59 ID:
なんだか綾子に負けたくない感情が生まれた。
丁度進路に迷っていた時期であり、なんとなく専門学校ってどんなのがあるのかみてみる。

料理関係、医療関係、建設関係など色々な専門学校があった。
そのなかで一番目についたのが、航空整備士を養成する専門学校だった。

飛行機の整備士かぁ、車よりすごそうだ。

本当にこんな感覚。
まさか地獄への道をこんな感じで選ぶことになるとは俺自身おもってもみなかった。
21:2015/09/29(火)00:08:33 ID:
小学生の頃から想い続けるとか
秒速5センチメートルかよww

22:2015/09/29(火)00:08:53 ID:
時は過ぎて、俺は専門学校に進学した。

実家からは飛び出し、学生寮にひとり暮らしだ。

パソコンはなく、ネットゲームは封印されてしまった。
仕方ない。

どんな専門学校かはご想像にまかせる。



とにかく俺は専門学校を舐めていた。
学生だから楽しいでしょと思っていたが、現実は全くべつだ。
ひたすら勉強の毎日。
遊び呆けていた高校時代とは訳が違った。

整備士になるには筆記試験と実地試験というのを受けなければならず、筆記試験はまぁ勉強すれば簡単にいける。

しかし実地試験だけはかなり勉強と練習が必要だった。
同級生達との順位争い、高い学費による親からのプレッシャー、将来に対する不安。
心が押し潰されそうになった。

あの当時俺の心を支えていたのは綾子の写真だった。

きっと綾子も大学でかなり苦しんでいるに違いない。
いや、俺よりももっと辛いかもしれない。
なんせ医療関係だ。
24:2015/09/29(火)00:10:03 ID:
ひたすら歯を食い縛り、我慢と努力を続けた。

初めは順位が低く、どうしようもなかった俺だがみるみるうちに順位が上がっていった。
その度に綾子という存在に近づいていってるような感覚があった。
だから頑張り続けれたのだと思う。



俺は二十歳になる。
そう、二十歳といえば成人式だ。
成人式といえば、同窓会だ。

同窓会当日、俺はワクワクしていた。

何年振りだろうか、綾子に会えるかもしれない。
何を話したらいいのだろう。
いきなり看護師になれそうか聞いたらなんで知ってるの?って話になるよな
ストーカーと勘違いされたくないぞ。

いろいろ考えていると、同窓会ははじまった。
懐かしい中学時代の友人たちがたくさんいる。
しかし、綾子の姿がみえない。

俺はお酒には手をつけず、綾子を探し回った。
だけども見つからない。
それでも諦めずに探していると、同じ陸上部だった綾子の友達に声をかけられた。
25:2015/09/29(火)00:10:34 ID:
友達「俺くん、久しぶりー!もしかして綾子さがしてるのー?」

俺「おっ、久しぶり!なんでわかったんだよw」

友達「だって、さっきから明らかに誰か探し回ってるしw」

俺「恥ずかしいところみられちまったなぁww綾子って今日はこないのか?」

友達「綾子は今日、同じ高校だった人達のところの同窓会に参加してるよ」

俺「え、そうなん!?」

あいつ、なんでこっちの飲み会に参加しないんだよ。
俺との約束だってあるってのに…

悲しい気分になったのはよく覚えている。

友達「というか俺くん全然飲んでないじゃん!いま元陸上部で話してるから俺くんも参加しなよ!ほらほら!」

そうして俺は元陸上部の仲間たちとお酒を飲み、皆がそれぞれどんな進路にいこうとしているのか話を聞いた。

中でも一目おかれていたのは消防士になろうとしていた俺の友達。

イケメンで、将来安定しているのか女子達からすごくちやほやされていた。
消防士になればよかったかもしれない。
26:2015/09/29(火)00:11:35 ID:
就職活動は難なく終えることができた。
本当に運が良く、第一希望の企業に一発で内定をいただいた。

そしてなんとなく社会人になる。
転勤族になってしまい、もう地元の東北に戻ることはなさそうだ。

綾子にはいまだに会えていない。
連絡先もなにもかも知らない。

それでも希望は感じていた。
いつかまた会える。
それだけを信じて、日々仕事をこなしていく。

社会人になって一年目、同期の一人にFacebookというSNSに誘われ、スマホにアプリをインストールして始めてみた。

携帯のアドレス帳から友達かもしれない人を紹介してくれる機能があり、知り合いの人達が次々とでてきては友達申請をしてくれる。

かなりの人達がこのSNSをやっているらしかった。

情報収集にも役立ち、友人達のページを眺め回っているとすごいものを発見した。

友達かも?、というページに綾子の名前があったのだ。

まじかよ!
あいつもこれやってたのかよ!

すぐにページをみる。
見なければよかったのに。



綾子のページには大学生活をすごく楽しんでいるような写真がたくさんあり、その中にも綾子の写っている写真がたくさんあった。

本当に綾子は綺麗になっていた。
相変わらずの笑顔をしていて、毎日楽しそうな雰囲気がそのページには溢れている。
27:2015/09/29(火)00:11:48 ID:
この近くに自分がいないことをすごく切なく感じた。
中学のあのときから、俺と綾子の道は完全に別れきっていたのだと実感がもてる。

たまらず、携帯をスリープモードにした。

綾子はもう、俺との約束を覚えてないのかもしれない。

初めて、諦めそうになった。
28:2015/09/29(火)00:12:47 ID:
それからというもの、我武者羅に働いた。
何かを忘れたくて、働きに働き続けた。
職場にも慣れてきて、仕事も覚えてきて、綾子のことを忘れていられる時間も増えた。

これでいいんだ。
別の素敵な人といつか巡り会える。
そして素敵な家庭を築いてやるんだ。


何度も諦めようとした。
だけど、小学校のときの出逢いや、中学での思い出が脳裏に流れてくる。
時間が経てば経つほど、思い出って綺麗に思えるし切なくもなると知った。



結局俺は諦めることに失敗して、綾子のページをたまにみるようになった。
とはいっても綾子はあんまり近況を投稿したりせず、就職活動や資格取得が忙しいのか大して情報は入ってこなかった。
ストーカー紛いだが、ギリギリセーフだと思いたい。


こんなことするなら、綾子にさっさと友達申請して、アプリ内のメッセンジャーで連絡を取ればいいというのに、俺はそれだけはしなかった。

連絡を取り合えば、更に傷つくような気がしたからだ。
臆病だった。
どうすればいいかも、動くこともできず、まるで牢屋に閉じ込められているようだ。

時は残酷にも進んでいき、綾子は無事に看護師になり、男の影も感じられるようになってきた。
21歳の時だ。
綾子のSNSのページに男と二人っきりで仲良くお祭りに行っている写真が張られていた。
心に深い傷を負うというのはまさにこのことかも知れない。
29:2015/09/29(火)00:13:49 ID:
結局俺は綾子を思うだけで、なにも行動できず、ただただ流れていく時間を過ごしていただけ。
あの写真に写る綾子の笑顔を思い出すだけで苦しくなった。
人は苦しいことを進んでする生き物じゃない。
だから俺は自然と綾子のSNSのページをそのころから見なくなる。

仕事にひたすら明け暮れる日々を過ごした。
進んで会社に残り、資格取得の勉強をする。
3年ぐらいしてから、それなりに資格を獲得し、仕事もできるようになった。
給料も安定してきたし、人間関係もよくなる。

当然女性の知り合いも増えていった。
よくいく小さな居酒屋の看板娘と友達になり、二人で遊びに行くことも。
業務中によく話すCAと食事にいくようになったした。
本当にただの友達みたいなもので、お互い彼氏彼女の関係になろうとは思っていない。

彼女達と二人でいると、どうにも綾子のことを思い出してしまう。
別にもう綾子には興味はないし、向こうだって俺のことなんて覚えていないだろう。
いつかの約束なんて所詮、そんなものなんだ。
30:2015/09/29(火)00:14:33 ID:
それなのにどんなに拒絶しても考えてしまう。
綾子はどんな反応するだろうか。
どんな声で話すのだろう。
デートの時にはどんな服を着て来てくれるんだろう。

だからデートに行くたびにやや微妙な空気になる。
俺ももう24歳だ。
結婚とか子孫とか、いろいろなことを考えなくちゃいけない。
ぶっちゃけ童貞をなんとかしなければいけない。

ある日、とうとう綾子の夢をみてしまった。
前を走っている成長した姿の綾子に走って追いかけるだけの夢。
綾子を追いかけていた筈がいつの間にか俺は綾子を追い抜いてしまった。
追い抜いたときに、綾子が何か喋っていたような気がして、耳を澄ましたとこで夢は終わる。

目覚めてからものすごく変な夢だと思った。
途端にこれがきっかけになったのだろう。
綾子にたまらなく会いたくなって、我慢ができなくなった。

ここで、中学の時から綾子と仲がよかった女子にメールを送る。
SNSで仲よさそうにしていたから、連絡先を知っているものだと思った。
綾子のSNSは2年ぐらい前から更新がとまっており、きっともう放置している。

1時間ぐらいしてから送ったメールに返事がくる。
「久しぶり!いきなりメール送ってきてどうしたの?普通LINEじゃない?笑」

そのまんまこの文章できた。
32:2015/09/29(火)00:19:13 ID:
見てるぞ
34:2015/09/29(火)00:20:44 ID:
>>32
ありがと
33:2015/09/29(火)00:20:01 ID:
LINEがいいらしいので、仕方なくLINEに切り替えて返事する。

「いきなりでごめんな。綾子って覚えてる?連絡先知ってたら教えてほしいんだけど」

綾子はきっと東京にいるのだろう。
幸いにも俺は空港があるところならどこにでもいける。
すぐにメッセージに既読がつき、返事がくる。

友「覚えてるけど・・・まさかあんた何も知らないの?」

俺「え?なにかあった?」

友「綾子、交通事故で亡くなったんだよ」
37:2015/09/29(火)00:22:25 ID:
まじか…
38:2015/09/29(火)00:22:45 ID:
oh...
39:2015/09/29(火)00:23:14 ID:
言葉がでない
40:2015/09/29(火)00:23:24 ID:
ちょいとここから書き溜めないから遅くなる
ごめんよぉ
41:2015/09/29(火)00:23:28 ID:
衝撃の展開。
自分だったら精神おかしくなってる。
42:2015/09/29(火)00:23:56 ID:
まったく全てのことにやる気を見出せなくなった。

十年以上想い続けていた人は、車に轢かれもうこの世にはいなかったのだ。

彼女は遅番あがりの帰り道、飲酒運転のドライバーにより轢かれてしまった。
運転手は人を轢いた事に気付かず、綾子は約50メートル引きずられた。
痛かっただろう。
助けてほしかっただろう。

交通事故現場はすでに綺麗になっており、ここで人が轢かれたなんて想像もできない。
それでも、綾子はこの場所で轢き殺されたのだ。
事件が起きたのは夢を見た日の丁度1年前。
葬式も終わっており、綾子はすでに墓の中にいた。
44:2015/09/29(火)00:26:24 ID:
俺は仕事ができなくなった。
だからやめた。

綾子に追いつきたくて頑張った毎日。
綾子に釣り合うような男になろうとした。
綾子が尊敬してくれるような仕事を始めた。
いつか、いつか綾子との約束を果たしたかった。

全ては奪われた。
よりにもよって、俺が日々いじっている乗り物という物にだ。
車も船も、飛行機も関係ない。
俺たちは運転手の安全の願って整備をし続けている。
整備士のミスで運転手が危険な目に逢う。
運転手の行いで誰かが傷つき、死ぬことだってある。
人が利便の増進を願って作った乗り物は凶器だったのだ。

俺はそんな凶器を日々整備している。
綾子の命を奪ったそれを。

手を動かすことができなくなった。
目の前にある仕事をこなすことができなくなってしまったのだ。
だから俺はやめた。
仕事ができなくなった。
46:2015/09/29(火)00:35:18 ID:
その子が1の心の支えだったんだな
脳内の思い出の女とバーチャル一人相撲してただけなのに
48:2015/09/29(火)00:37:43 ID:
半年間ぐらい、ずっとノイローゼのように家から出ず、ひたすら苦しみ続けた。
どうしてこんなに人を想ってしまったんだろうか。
ここまで苦しむなら、何故なにもしなかったのだ。

どんなに苦しんでも、悲しんでも彼女は戻ってこない。
夢で逢えたらいいのに。
俺も死んだら、彼女にまた会えるのだろうか。
本気でそんなことを考え続けた。


死のう。
自殺しよう。


そして俺は決心してしまった。
他人の迷惑なんて考えない、好きなように死んでやるんだ。




でも、その前にやることがある。




いま思うと、何故そんなことを考えたのか謎だ。
49:2015/09/29(火)00:42:41 ID:
何で2歳差なのに同級生なんだよガバガバすぎ
って思ってたらそういうこと…
50:2015/09/29(火)00:48:08 ID:
死ぬ前に綾子の墓をみたいと思った。
場所は友達から既に聞いていた。

残りわずかな貯金を引き出し、1日をかけて身なりを整えた。
散髪。
礼服の購入。
彼女の墓がある場所までの移動手段の購入。


俺は、ついにやってきた。
目の前には綾子のお墓がある。
真っ黒な墓石に彼女の名前が彫ってあり、その墓地の周りには静けさが漂っていた。
バケツに水を汲み、持ってきたハンドタオルで彼女の墓を綺麗にしてやる。
とにかく必死に綺麗にした。
礼服が汚れても関係ない。
十分に綺麗になったところで、線香を添える。

そして、手を合わせ目を閉じた。




綾子、会いに来たぞ。
何年振りだろうな。大きくなっただろ、俺。
本当ならもっと早く会いに行けばよかったんだけどな。
結局、お前に追いつくことができなかったよ。
ごめんな。
約束、果たすの遅れてごめんな。
52:2015/09/29(火)00:50:02 ID:
俺は全力で泣いた。
大人がここまで泣いていいのかというぐらい、泣いた。


俺はお前との思い出もない。
俺はお前の姿すらよく思い出せない。
俺はお前の声がわからない。
俺はお前の身長もわからない。
俺はお前の・・・全てを俺はわかっていない。

悔しくて、悲しくて、何もなくて、愛しくて。
叫ぶように泣いた。

全てを失った。
もう俺には何も残っていない。
54:2015/09/29(火)00:54:30 ID:
今北産業
55:2015/09/29(火)00:56:13 ID:
初恋の
娘が死んだから
自殺しよう
56:2015/09/29(火)00:56:50 ID:
それからの記憶はあまりない。
泣いているときに誰かがきて、ひたすら俺を慰めてくれた。
やさしい老人だった。
近くのベンチに俺を連れて行き、座らせる。

老人「話せば落ち着く」

おじいさんはそういって俺が何故悲しんでいるのか聞いてくれた。
綾子を想い続けた俺の狂った人生を全て聞いてくれた。
すべて話し終わって、おじいさんはやさしく笑って俺に言葉を放つ。

老人「綾子っていう娘さん、幸せじゃよ」
59:2015/09/29(火)00:58:36 ID:
たったそれだけの言葉だった。
何時間も話して、老人が言ったのはそれだけ。
それだけなのに、俺には十分すぎた。


少しでも綾子の為になれたのかもしれない。俺は。


自分では気付くことができなかった、ちょっとしたこと。
ずっと一人で苦しんでいた男にはわかるはずもない他人の気持ち。
半年振りに、生き返ったような気分になった。
61:2015/09/29(火)01:03:13 ID:
おじいさんも1年前に最愛の人をなくしたらしい。
すごく悲しんだ。
毎日一緒にいた人がいなくなるということがどういうことなのか、教えてくれた。
それでもおじいさんは生き続けると語る。
死後の世界でもし会えたなら、少しでも長く生きた分、思い出話を聞かせてやれる。
だから長生きするのだと。
人生の大先輩はそれを伝えると、そろそろ帰ると言って重い腰を上げた。

老人「若いの、失ってからが人生の本番。取り返すも内に秘めるも自由」

難しい言葉を残して、おじいさんは去っていった。
62:2015/09/29(火)01:04:47 ID:
結果として、俺は生きている。
俺は内に秘めていこうと思う。
誰も知らない。
本人も知らないままで終わったくだらない俺の恋愛。

日本社会はいかに傷ついて倒れていようと、病んでとまっていても容赦はなかった。
半年間なにもしなかった分のつけが回ってくる。
就職しようにも仕事がみつからず、貯金だって残っていない。
あるのは人と人のつながりだけだった。
63:2015/09/29(火)01:05:23 ID:
家族、友人、元同僚、元上司、お店の店員。

いろんな人が俺のことを知っている。
俺は恥をしのんで、その人達に頭を下げ続けた。
仕事をください。
チャンスをください。

何度も何度も頭を下げて、元会社の課長からとある職場を紹介された。
それが今の職業である、飛行機の製造工場員。
日本は高い品質が世界で評価されており、飛行機の部品も数多く日本で製造している。
そんな会社を紹介してもらった。

無事に採用してもらい、日々物造りを頑張っている。
整備経験が買われたのか、今度アメリカに出張しにいくことになった。

人生大変だが、俺は必死に生きている。
失って気付いたことは、人の温かさ。
最近はお金をためて海外旅行とかいきまくっている。
相手はいない、一人旅だ。
なぜかっていうと、おじいさんのように思い出をいっぱい作っておこうかなと思って。
ロシアいったときに殺されそうになったことや、イタリアで美人な姉さんとワンナイトラブしかけたのはいい思い出だろう。
64:2015/09/29(火)01:06:30 ID:
ワンナイトライブ詳細はよ
66:2015/09/29(火)01:07:51 ID:
長くなったけど、俺の話はここまで。
最近、機会があって綾子の両親に会って話をきかせてもらってきた。
中学生のときに綾子はよく俺の話をしてくれていたらしい。
そこで綾子の思い出話を聞いたら、話したくなった。
だから勝手ながら掲示板を使わせてもらいました。




最後まで付き合ってくれた人、ありがとう。



質問は気が向いたら返すと思う。
それじゃあ、みんなも人の想い過ぎるときは覚悟しておけなー
67:2015/09/29(火)01:08:48 ID:
この話作ろうと思ったきっかけは?
69:2015/09/29(火)01:10:20 ID:
>>67
綾子のことを思い出したからじゃだめっすかw
73:2015/09/30(水)01:38:56 ID:
死に別れは、あまりにも辛い
言葉がない
72:2015/09/30(水)00:49:54 ID:
創作かはさておき感動した