30:2007/09/09(日) 15:08:16.29 ID:
俺は彼女から深刻な相談をされた。

最近、自宅の老いた犬が、誰もいない玄関に向かってけたたましく吠えるというのだ。
俺が彼女の家に挨拶に行った時も、俺を見ても全く吠えなかった人なつっこいあの犬が、
突然ものすごい剣幕で吠えるのだという。しかも時間を問わず。
不安がる彼女が、霊を引き寄せやすい体質だったことを思い出し、
俺は寺生まれて霊感の強いTさんに相談する事をすすめた。

ファミレスで3人で食事をしながら事の話をすると、
Tさんは「大丈夫、その犬は帰ってきた先祖に挨拶してるんだよ、この時期だし」とのこと。
すっかり安心した彼女を送り返すと、Tさんから連絡が・・・

『彼女の言っていた事だが、確認したい事がある。あの子の家の前まで案内してくれ』

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深夜2時、彼女の家の前に行くと、確かに駐車場に繋がれた犬が吠えている。
「やはりな・・・」
そう呟いて、Tさんは彼女の家の向かいにある電柱に手を添えた。
すると、そこからスッと青白い光が走り、幾つもの亡者が彼女の家を通り抜けようとしているのが見える。
しかし犬の抵抗に遭い、上手く通り抜けられない模様。
「大した犬だ・・・ずっと家を守っていたのかい」
そういいながら犬の頭を撫でるTさん。

「破っ」

Tさんの声と共に、道は家を避け天に伸び、虹のように遠くの空に伸びていった・・・

「何故彼女に嘘をついたんですか?」の問いに、
「他人の女とはいえ、可愛い子を無駄に恐がらせるのは男の仕事じゃないぜ・・・」

寺生まれはスゴイ、俺は久しぶりにそう思った。

・・・数日後、彼女の家の犬が老衰で亡くなったと聞いた。
悲しみにくれる彼女を励ましてやると、

「ワン!」

と、元気なあの犬の声が聞こえた気がした。
きっと犬は、まだ家族を守っているんだな・・・
線香をあげながら俺は思った。

家族を見守る犬はスゴイ、俺はその夜ちょっと泣いた。

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