26:2007/09/09(日) 15:06:45.78 ID:
俺はバイト仲間5人と海へ行くことにした。
しかし、海岸は物凄い人で、とても遊ぶことが出来ず、
俺達は目的をドライブに半ば無理やり変更し、海辺の道路をひたすら走っていた。

すると友人のYが、「あれ?この辺り人全然いないよ」と言う。
見てみると、確かにこの辺りだけ人がポカンとおらず、5人で遊ぶなら丁度いい広さがある。
浜に降り、ビーチバレーをしたり砂のお城を作ったりと、楽しい時間を過ごした。

するとYが、「私元水泳部なんだーあのブイまで泳ぎきったらかき氷おごってね!」と言い出した。
俺が返事をするより早く海に飛び込むY。
なるほど、水泳部だけあってか、綺麗な泳ぎでブイまでたどり着くY。
沖で大きく手を振るY。
俺達も浅瀬から手を降って返すが、どうも様子がおかしい。

「あれ!?溺れてるんじゃない!?」

誰かが叫んだ。
確かに今にも沈みそうだ!俺達は急いで救助に向かった。

しかし、水泳部のYと違い泳ぎの遅い俺達は、中々たどり着くことが出来ず、代わりにYは今にも沈みそうに・・・
おかしい・・・
そう思った俺は水中に潜った。
するとそこには、Yの身体にしがみ付き、引き込もうとする黒い影が無数に蠢いていた!!
このままじゃ俺達も・・・そう思った瞬間、大波の向こうから一人のサーファーが!!
寺生まれで霊感の強いTさんだった!
Tさんは板を華麗に操りYを抱き上げると、そのまま波に乗って陸地へ。

「破ぁ!!」

振り返らずにTさんが叫んだ。
すると、Tさんの板が起こした無数の泡がボコボコと集まり浮き輪状に。
俺達もそれにつかまって、陸までたどり着くことが出来た。

「ありがとうございますTさん。でも何でここへ?」

そう聞いた俺にTさんは、

「なぁに、この辺りは毎年水難事故が起こってるっていわく付きの海岸でな、こんな事もあろうかとな・・・」

そう言いながら、Yの胸に手をあて呪文を唱えるTさん。
すると、Yの口から汚れた水が吐き出され、Yは意識を取り戻した。

「きっと死者が死者を呼ぶ潮の流れなんだろうぜ、ここは・・・」

海岸線を見つめて呟くTさん。
顔を赤くしながら、「あ、あんたなんかに助けてもらうくらいなら死ねばよかったわ!」と大げさに言い放つYを見て、

寺生まれはスゴイ、俺はまたもやそう思った。

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