442:2013/06/14(金) 23:42:21.66 ID:

2年前の夏、友人5人(全員♂)で海の近くの民宿に出掛けた。 

夕方まで海水浴をして、全員が腹ペコになっていた。
民宿の主人が漁師もやっており、食事が美味しいことが評判であったので、
夕食で振舞われるであろう海の幸に期待しながら、
鬱蒼と木々に蓋われた人一人がやっと通れる細い道を通って帰った。
途中、いわくあり気な小さい古びた御堂などあったせいか、
「幽霊か妖怪でも出そうな雰囲気だな」とAが冗談めかして言った。


風呂に入って汗を流し、期待通りの豪華な夕食に5人全員が満足すると、
もう何もすることが無く、暇を持て余していた時、誰からともなく怪談話を始めた。
5人が知っている怪談を話し、何巡かして話も尽きた頃、Aが「肝試しをしよう」と言い出した。
民宿のおばさんから紙とペンを借り、一人ずつ例の御堂に出掛け、紙にサインして帰って来ることになった。

最初に言い出しっぺのAが紙とサインペンを持って出掛けた。
15分位してAが「オバケが出た~」と明らかに冗談と判ると口調で叫びながら帰って来た。
続いてB、C、Dと順番に出掛け、いよいよ私の番になった。
私は幽霊否定派ではあるが、このような雰囲気は好きではない。
それどころか出来れば避けたいと思っている。
しかし、私を怖がらせる目的で「御堂の陰に人影が見えたよな」等と会話をしながらニヤニヤしている他の4人の手前、
平気な振りをして出掛けた。
月も雲に隠れ、周囲は完全な闇に包まれていた。
私の持っている懐中電灯だけが唯一の光だった。

なんとか無事に御堂に辿り着き、扉の前に置いてあった紙とサインペンを回収して帰り道についた。
民宿の前で待っていた4人と「結局何も出なかったね」等と言いながら部屋に戻った。
明日も朝から海水浴の予定なので、そろそろ寝ようかとした時、
Aが「オイ、お前いつから改名したんだよ?!」と私に向って言った。
最初、Aの言っていることの意味が解らなかったのだが、Aから1枚の紙を見せられて愕然とした。
その紙は、私が回収してきた紙だったのだが、
私達4人の名前(私は最後だったのでサインはしていない)の他に、
『○○○○』と見知らぬ名前が書かれていたのだった。
しかも毛筆と思われる字で。




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