05592:2007/12/02(日) 17:23:18.80 ID:
「どこから話そうか・・・。私も色々と波乱万丈の人生を歩んでいてね」



・・・。俺よりもなのか?




「そうだな・・・。学生時代から、話そうか。
 私が大学生の頃の話だよ。7年か8年前ぐらいかな」




藤田さんは大卒だった。俺は中卒だ。
大卒が説教を垂れるのか。もうやめてくれ。俺はもう疲れたんだ。
俺は必死に自分を抑えていた。利己的な考えしか出来ない事に気付いてはいたが
俺の中では、もうとにかく「逃げたい」「逃げたい」だったのだ。




「当時、私は夢があってね。
 法学部に在籍してたんだが、そっち関係の仕事につきたかったんだ」
「・・・」
「だから、私は一生懸命だったよ。ただひたすら、勉強して、バイトして・・・」





この話に一体、何の意味があるというんだ・・・








605:2007/12/02(日) 17:25:46.99 ID:
藤田さん大卒だったか








607:2007/12/02(日) 17:26:18.79 ID:
まだ卒業したとは書いてないぜ








600:2007/12/02(日) 17:24:44.22 ID:
法学部でSEって時点で既に波乱だな







650:2007/12/02(日) 17:35:55.82 ID:
「だけど、人生は上手く行かないんだよ。努力・チャンス・そしてそれを見逃さない判断力。
 これらが無いと、中々成功は出来ないんだ」

良く分からないが、真剣に耳を傾けている俺が居た。激しく同意できた。
これは今の俺を説教してるんじゃない、何か重要な意味を持っている。

俺はそう感じた。


「当時、私には付き合ってた彼女が居てね。私はその彼女の事が本当に好きで、
 その人を幸せにするためだけに勉強してたようなもんだった」


大切な人。俺の印象では、そう聞こえた。

「彼女は年上で、3つか4つ上だったのかな。すでに社会人だったんだ。私は学生で、お金も無くてね。
 そんな彼女に、私は甘えていたのかもしれない。金銭的な面で、私はかなり援助してもらってたんだよ。
 法学部で、しかもそっち系の仕事に進むとなると、膨大な額のお金が掛かる。当然、バイトだけじゃ回りきらないんだ。 私は家族と、そこまで仲良くなかったから、正直な話、かなり彼女に期待していたんだよ」



藤田さんは独力で何でもこなす人だ。
この話を聞く限り、まだ学生時代ではそういうわけではなかったと伺える。
いや、むしろ、独力だけではどうしようもできない状況だったのか?



「まぁ、そんなこんなで、私は学年を重ねていったんだ。当時の私は、本当に充実していてね。
 毎日が楽しかったなぁ。本当に、真っ直ぐしか見えてなかった。
 何もかもが、自分のために動いていると思っていた」




藤田さん、あなたの言いたい事が、俺はだんだんと見えてきました。
あなたは・・・







657:2007/12/02(日) 17:37:57.09 ID:
俺にはぜんぜん見えてこねーwwwwww
ヤバッシュwwwwwwwwwwwwwwwwwwww







659:2007/12/02(日) 17:38:06.22 ID:
藤田さんにも人生の転機が回ってきたんだな。マに似ている気がする。







688:2007/12/02(日) 17:45:55.92 ID:
「大学3年生の冬の話だ。周りは就職活動で慌しくてね。当然、それは私もだった。
 だけど、それでも勉強し続けたよ。夢を掴むためにね。私はひたすらがむしゃらだった。
 そしてその先に、彼女と結婚し、幸せを築いている自分を描いていたんだ」

少しの沈黙。


「だけどね、私は結果を追い求める余りに、彼女に・・・彼女の異変かな・・・。
 気付いてあげれなかった。私は今でも後悔しているよ。なんで、気付かなかったのかと。
 いや、気付いていたんだ。だけど、私は自分の事で精一杯だった」


藤田さんの沈黙が多くなってきた。



「彼女の職業は・・・」



沈黙。俺は藤田さんの話に引き込まれていた。
似ている。
いや・・・何か俺と、同じ道を歩んでいる気がする・・・。



「・・・プログラマーでね。それはもう忙しそうだった。
 私が勉強に熱中しているせいで、会えないだけかと思ってた。
 けど、そうじゃなかったんだ。彼女自身も忙しくて、会えなかったんだ。
 そして、私の夢をかなえるために、彼女は凄く頑張った。自分の事じゃないんだよ?
 まだ未来も確定してない、ただの若造のために、彼女は頑張ったんだ。・・・けど」



言うな、言うな。言うな、藤田さん。



「頑張りすぎたのかな・・・。自殺して・・・しまってね」



俺は緊張の糸が切れたかの如く、泣いていた。








713:2007/12/02(日) 17:48:32.77 ID:
飲みの時の藤田さんの話思いだしてまた泣いた…
彼女つくるきないってそういうことか…







714:2007/12/02(日) 17:48:33.55 ID:
目から汗が湧き出でくるのですが(ToT)







730:2007/12/02(日) 17:51:34.44 ID:
有能な藤田さんがこのブラック会社にいるのは、
彼女を死なせてしまった自分への戒めだという事か、、、!








753:2007/12/02(日) 17:57:00.10 ID:
「私は驚いたというより、呆れたよ。本当に急な話だったんだよ? 笑ってしまうよね。
 呆れながら泣いたよ。全てが終わったと思った。そりゃそうだろう。私は彼女のためだけに頑張っていたんだ。それが急に居なくなった。一緒に買った指輪や、彼女から貰った物・・・それらが全て憎たらしかった」


もう・・・やめてくれ・・・。母ちゃんのことを思い出す・・・。



「私に残ったものは、計り知れない後悔と、積もりに積もった勉強道具・・・。そして、死の決意だった。
 もう生きていても何の意味もないと思ったよ。私の大学生活は、彼女のために存在していた。
 それが無くなったんだ。この先の人生なんて、何の意味も持たない。そう思っていたんだ」


部屋に、俺の嗚咽だけが響き渡る。

こらえろ、こらえろ、と念じるも、感情は高ぶっていく。



「彼女の葬式に出た時、私もすぐそっちに行くよ。という意味を込めて、指輪を花束の中に忍ばせた。
 そして葬式が終わり、私は死ぬために帰ろうとしたんだ。けど、そこでご両親に呼び止められてね」




俺は、俺の体験なんて、藤田さんの絶望に比べれば、全然大したことないじゃないか。
俺は何やってるんだ。自分を叱咤する。





755:2007/12/02(日) 17:57:14.08 ID:
彼女は法曹を目指してた藤田さんを応援してのたのに、藤田さんはそれを辞めたんだな。
彼女のがんばりってなんだ。







767:2007/12/02(日) 18:00:03.81 ID:
これは泣く
自分もこんな風にならないようにがんばらないとな・・・

がんばりすぎてもダメなんだよな
周りを見ながらやってかなくちゃ

難しいね










772:2007/12/02(日) 18:01:17.11 ID:
藤田さんが会社を立ち上げないのが不思議だな







796:2007/12/02(日) 18:11:30.50 ID:
「彼女の分まで、生きてやってくれ。そう言われたよ。こんな事言えるか?
 私のせいで彼女が死んだも同然なんだよ? 怒られて、殴られて、罵倒されて・・・それを覚悟してたのに
 生きてやってくれ、だよ?
 今思い出すと笑えて来るよね。どんだけお人好しなんだよ。家族ぐるみかよって。
 今思えば、これがチャンスだったのかな・・・。
 夢じゃなくなった夢を実現する・・・最後のチャンス・・・」

・・・。


「だけど、私はそんなに強くない。
 ドラマや漫画なら、ここで躍起になって、がむしゃらになって何が何でも夢を実現しようとするだろう。
 でも、私には無理だった。そんなに私は強くなかったんだ。
 だけど、ご両親の言葉が引っかかって、死ぬのも憚られた。
 そんな私が取った行動は、ただ何の目的も無く生きるだけ。
 つまり、今で言われているNEETだね。当時の私は何を考えていたんだろうね。
 こんな事したって、彼女が報われるわけがないのに」


似ている。藤田さんの人生は、俺と似ている。



「そうやって、私は時を無駄に過ごしていった。
 季節の移り変わり、出会いや別れ・・・。
 全てが、私の外で起きているものだと思っていた。
 私の中で、彼女が死んだ日から、時間が止まっていたんだろうね。
 だけど、そんな私にも転機が訪れたんだ。
 絶望のどん底に居た私を、奮い立たせる転機が」






809:2007/12/02(日) 18:14:02.64 ID:
2人の出会いはまさに奇跡だな。
こんなに共通点あるのはすごい!







812:2007/12/02(日) 18:14:42.88 ID:
やっと追いついた俺が流れをよまずうp
812


















藤田さんかっこよすぎだぜ・・・








829:2007/12/02(日) 18:16:23.83 ID:>>812
上原さんはもっと人間にしてあげようぜ・・・






835:2007/12/02(日) 18:18:03.54 ID:
>>812
おお・・・俺の脳内のリーダーのイメージまさにこんな感じ・・・







865:2007/12/02(日) 18:30:28.67 ID:
「夏のある日、私は何となしに郵便受けを見たんだ。小さな封筒が入っていた。
 宛名は彼女のご両親だったよ。開けてみてみると、手紙が入っていた。
 細かな内容は覚えてないけど、要するに、人づてに今の私の状況を聞いたが
 今のあなたの状況では、娘は喜べない。社会に貢献して欲しい。そう書かれていたんだ」


藤田さんが話を続ける。



「それで私は就職する気になった。だけど、4年か、5年かな。
 そのぐらいNEETやってた私に、就職先が中々見つからなくてね。
 学歴だって大学中退で、やはり厳しいんだよ。
 けど何を思ったのかなぁw
 彼女と同じ業種、プログラマの求人に応募した私が居たんだ。
 それでもやっぱり落ち続けて、行き着いた先がこの会社だった」


そ、そうだったのか・・・。よりによって・・・。



「まぁ、マ男くんも予想している通り、ホントにひどい有様でねw
 これは社長には内緒だよ?
 当時は上原さん、井出さん、リーダーしか居なくて、上原さん一人でこの会社が回ってるように見えた。
 それで私は思ったんだよ。
 彼女の立場は、上原さんのような位置だったのではないかと。
 私は決意したよ。これ以上、自殺者を出してたまるかって。
 だから必死に勉強して、吸収できるところは吸収してただひたすら仕事に打ち込んだんだ」



藤田さんの過去が、明らかになっていく。
今の藤田さんを形成している中身が、次々と見えていく。






877:2007/12/02(日) 18:33:01.14 ID:
つーか井出はずっと幸せだなwwwwwwwwwwwwwwwwwwww








894:2007/12/02(日) 18:39:20.39 ID:
でもこの会社、社長は悪い人じゃないんだよな。
社員の状況まで面倒見る気はないようだが







898:2007/12/02(日) 18:39:40.23 ID:
ほんと,就活のときは気をつけないとなぁ









899:2007/12/02(日) 18:39:43.65 ID:
ちょうど今デスマ中の俺が彼女に振られて、飼い犬が死んで、
仕事する気も会社行く気も起こらなかったが、このスレ見てるとちっぽけな事に思えるな。









905:2007/12/02(日) 18:40:53.31 ID:
「まぁ、変な話になっちゃうけど、動機は上原さんを助けることだね。
 ここだけの話、上原さんのイジメ、前と比べるとかなりマシになったんだよw
 本当は、もっと早い時点でこうしたかったんだけど、リーダーと井出さんは私の先輩だからね。
 やっぱり中々強く言えないんだよ。
 だから、仕事できるようになって、文句を言わせない立場になれば
 少しは発言力も高まるだろ? まぁそれでも、あまり目立った事はできないけどね」


俺はここまで聞いて、自分の人生と藤田さんの人生を照らし合わせた。
NEETになるまでは、俺とは対極の人生を歩んできた藤田さん・・・。
全てが上手く行き、全てが希望に満ちていた。俺はその逆だ。
だけど、NEETになってからは、共通点がとても多い。

いや、正確には彼女が死んでからだ。




今まで俺は、何のために仕事を頑張ってきたのか?
母ちゃんのためか、父ちゃんのためか、自分のためか。そ

んな事はわからん。


ただ言えることは、生き抜くためには仕事が出来ないといけない。
中卒でまともな人生を歩んでない俺が挽回するにはこの方法しかないと思ったのだ。

少なくとも、俺はそう思って仕事に打ち込んだ。



理由は違えど、どこか共通点のある藤田さんが話を続ける。






919:2007/12/02(日) 18:46:12.19 ID:
今より酷い状況でよく上原さん生きてたね・・・ちょっと勃起した・・・







926:2007/12/02(日) 18:48:36.02 ID:
彼女の幻影とはいえ他人を救うために仕事をする藤田さんまじいい人だな








935:2007/12/02(日) 18:50:27.99 ID:
一流のプログラマは文章が上手い人が多いしな。
アルファブロガーって言われてる人たちもプログラマばっかり。








231:2007/12/02(日) 21:05:41.66 ID:
SEもいいかなと思ってたけど、やっぱ営業やったほうがいいのかなぁ
デスマには耐えられそうにない。
あと良く考えれば集団が一箇所で仕事するなら人間関係を円滑に出来ないと駄目だよな。










232:2007/12/02(日) 21:06:25.43 ID:
ただいま。
全然関係ないけど、前スレの812が妙に嬉しかったなぁ。
書いた人ありがとうな。

じゃあ続き書くよ。






240:2007/12/02(日) 21:08:16.72 ID:
>>232
あの画像、上段中央が>>1だよ?







243:2007/12/02(日) 21:09:43.27 ID:
>>240 ちょwwwwwwwwwwwwwwwwww






283:2007/12/02(日) 21:26:36.35 ID:
「私は、マ男くんの過去にどんな事があったかは知らないよ。
 なんで学歴が中卒なのか。なんで今まで職務経験が無かったのか。
 ここについては、人によって意見が変わるだろう。
 でもね、私は思うんだよ。大事なのはそういう所じゃないんだ。
 何を理由に働くのか。何故自分は働くことにしたのか。
 ここが重要だと私は思う。一番最初に話したけど、努力、チャンス、そしてそれを見逃さない判断力・・・。
 マ男くん、私が見る限り、君はこの内の二つをすでに持ってるんだよ」



この人は、まだ俺にやめるべきではない、と言っている。
まだやれる。頑張れると言っている。



「君は未経験でこの会社に入ってきた。私と一緒でね。
 そして、リーダーから何も教えて貰わずに仕事を任されただろう。
 その時、君はどうした? 井出さんに聞いたり、私に聞きに来たりした。
 みんな忙しくて、マ男くんに構ってあげられなかった。
 それでも、君は諦めなかった。一人で努力して、一人で判断して、一人で完成させただろう。
 私は違ったよ。
 リーダーに何度も聞きに行って、怒鳴られながらも、教えてもらわないと仕事が出来ませんって反撃して
 そうやって、人の力を使って完成させた。
 どっちが凄いと思う? 私は、マ男くんの方が凄いと思うよ」




藤田さんと俺は、共通点も多いが、真逆だと言える部分も多いことが分かった。
俺は今まで、人を信用できた試しがなかった。友達だと思ってたやつにいじめられたり、手の平返されたり
常に裏切りと背中合わせで暮らしてきた。だから俺は、一人で頑張らないと生きていけないと思ったのだ。

所が藤田さんはどうだ。今まで上手く行ってきた分、人の温もりや優しさを知っている。
だからこそ、あの真底最悪のリーダーや井出にも諦めず、教えを請う事が出来た。
そしてそれが結果となっている。


俺と藤田さん・・・全く違う人生を歩み、ある一点で交錯する場所・・・。
藤田さんがこの部分を話し始める。





285:2007/12/02(日) 21:28:34.96 ID:
やっぱりいいね。考えさせられるよこの文章
スパイダーマンを見ているみたいだよ






287:2007/12/02(日) 21:28:54.25 ID:
伏線だったのか・・・
中卒ってことがいかに関係ないか思い知らされる文章力だなこりゃ






290:2007/12/02(日) 21:29:40.74 ID:
リーダーの教育方針は一貫していていいな






307:2007/12/02(日) 21:38:02.54 ID:
藤田さんイメージ
307
























309:2007/12/02(日) 21:39:20.86 ID:
>>307
イケメンwwwwwwwwwwww






334:2007/12/02(日) 21:54:07.33 ID:
藤田さんのようになりたいよな
人望ってのはそういうところから生まれるんだなとわかるいい人だと思うよ








337:2007/12/02(日) 21:55:55.08 ID:
「マ男くん、今君は、この会社をやめたいって思ってるだろう。その気持ちが分からない事もない。
 だけど、やめた先に何があるだろう? よく考えてごらん。私は、今はやめるべきではないと思うよ。
 君がどういう理由で、長い長い無職歴を捨て、働く気になったのかは知らない。
 私を例にあげるならば、私は彼女が死に、ご両親からの手紙で働く気が起きた。
 つまり、人の出会いと別れが、私の原動力となったんだ。
 こうなったら人は強い。どんな困難にだって立ち向かえる。
 私は少なくとも、こう思っている。
 君は私よりも無職歴が長いようだったから、私なんか足元にも及ばない衝撃を受けたんだろう」


藤田さんの言う通り、俺と藤田さんは人の死で大きく人生が変わった。
そして俺は、どんな事があってもくじけないと決めたんだ。
何度、書類選考で落とされようが、面接までこぎ着けて落とされようが、父ちゃんに良く頑張った、と言われようが
俺は決して諦めなかった。
入社日に考えられないような現実を突きつけられても、初めてのプロジェクトリーダーで死にそうになっても俺は諦めなかったんだ。


藤田さんは、人の出会いと別れが原動力となった、と言った。

俺が頑張ってこれたのは何故だ? 確かに先述の人の死もあるだろう。
だけど、何よりも、藤田さんのようになりたいから。藤田さんが憧れの人だったから。

なんだ、俺だって、出会いが原動力になってるじゃないか。
中卒がなんだ? 中卒だから仕事ができないのか? それは違う。

仕事ができないなら、できるようになればいい。
中卒なら、大卒に負けないぐらい仕事ができるようになればいい。

この考え方こそが、大事なんじゃないのか?


「君は、確かに今の時点では私や上原さん、中西さんには仕事ではかなわないだろうし
 コミュニケーションや度胸では、井出さんやリーダーにはかなわないだろう。
 だけどね、君はこれら全員を上回る底力を秘めてるんだよ。少なくとも私はそう思うよ」





340:2007/12/02(日) 21:56:56.51 ID:
藤田さんみたいな先輩が欲しい






365:2007/12/02(日) 22:06:08.77 ID:
中西はあれでもPG歴五年だからなあ






376:2007/12/02(日) 22:09:50.82 ID:
藤田さんは上原さんを亡くなった彼女と同じにするまいと思ってるから
上原さんを見捨てて転職するようなことはできんのじゃないか








396:2007/12/02(日) 22:14:08.84 ID:
「努力も出来て、一人で的確・・・かどうかは分からないけど、間違いではない判断も出来て。
 マ男くんは、真の意味で強い人間なんじゃないかな。それに、誰にだって挫折はある。
 重要なのは、そこでくじけるのか、それを力とするのか、この違いなんじゃないかな。
 君はチャンスに恵まれていない。酷かもしれないけど、私はそう思う。
 だけど、入社日に渡された仕事をこなした君を見て、私は君を育てたいと思った。
 私はそれを社長に言ったし、社長も私と同じことを思っていた。
 だからじゃないけど、君の事は気に掛けていたし、どうしようもない時は手を差し伸べた」


まさか、この件は・・・。俺はここで薄々感づいていた。
平成の孔明、藤田さんは、俺を


「学歴の件に関しても、バレた時に助けようと思ったよ。君は明らかに様子がおかしかったからね。
 だけど、私は思ったんだ。
 ここで助けたら、マ男くんは、いつまで経っても一人立ち出来ないのではないか。
 いつまで経っても、私を頼るんじゃないかとね。だから、限界まで私は我慢した。
 一種の賭けでもあった。最悪、連絡無しで会社を去る可能性だってあるんだから。
 私はこの事を社長に話し、辞職を願い出た時、私を呼んでもらうように言っておいたんだ」



間違いない。この人は、この学歴事件を上手く利用し、俺の精神的レベルアップを図っていたのだ。


なんという孔明の罠なのか・・・






402:2007/12/02(日) 22:15:36.12 ID:
「平成の孔明、藤田さんは、俺を・・・」
に反応したのは俺だけじゃないはず





414:2007/12/02(日) 22:17:20.73 ID:
藤田さんすげえええええええ
このぐらい先読みなんて孔明には造作も無いことなんだな
俺も頑張ろう……






412:2007/12/02(日) 22:17:03.16 ID:
俺の会社にも井手みたいなのがいたよ
企画押してるのに一人だけ「おやすみマンモス」と言って定時に帰ってタクシーに轢かれた






422:2007/12/02(日) 22:18:07.13 ID:
>>412
ちょwwwwwwwwwwwwwwwwww






436:2007/12/02(日) 22:23:25.71 ID:
空気読まなくてごめんなさい

にっ、似顔絵・・・描いてきました

436



















459:2007/12/02(日) 22:26:00.66 ID:
>>436

う、うう、うま









481:2007/12/02(日) 22:30:03.67 ID:
「社長は、私のこの提案を猛反対したよ。原石をドブに捨てるのと一緒だと。
 けど、私はそうは思わなかった。現場で君を見ていて、そんな事をするとは思えなかった。
 そして、君はやっぱり私の思った通り、きちんとケリをつけにきた。その君に、今私は話をしている」



俺の中で、何かが再び築き上げられていく。
働く決心、基本情報資格取得、就職、リーダー就任

そして



憧れの人からの認定資格。

自信が、より大きく、より強く、より完璧になって復活した瞬間だった。



「マ男くん、もう一度、頑張ってみないかな。

 私は、これからも君を助けていくし見捨てることもしない。

 いずれ、君は私と肩を並べ、私を追い越すだろう。

 もう一度、頑張ってみないかな」






俺はここで始めて口を開いた。







488:2007/12/02(日) 22:30:56.56 ID:
藤田さんかっけー








498:2007/12/02(日) 22:31:37.82 ID:
藤田さあああああああああん







527:2007/12/08(土) 09:06:16.02 ID:
「すいません、ありがとうございます・・・」


言葉が詰まった。色んな想いが、俺の中で渦巻いていた。
俺は自分をほんのちっぽけな存在としか思っていなかった。
例え俺が死んだ所で、世界には、日本には、この会社には何の影響も無いだろう。

そう思っていたが、それは違ったのかもしれない。
中には、引き止めは常識だから、と言う人も居るだろう。

だけど、藤田さんという一人の人間が、俺のために過去を語ってくれた。

確かに話の内容が本当かどうかは分からん。
だが俺に、やめるな、頑張れと励ましてくれた。これは紛れも無い事実だ。
俺はそれに応えないといけない。


「藤田さんのようになれるかどうか分からないですけど」

まだ俺は頑張れるだろう。

「頑張ろうと思います」



「おぉ、そうかw やっぱりマ男くんは、私の見込んだ通りの男だったなぁw」
いや、俺じゃなくて、あなたが凄いと思うが。


こうして俺は、退職を思いとどまった。

ケンジにこの件を話したら「お前を繋ぎとめておく罠だよ」と言われたが、お前ひどすぎるぞ。

先週書いた前述では、一気に復活したかのように書いてあるが、実際はそうでもない。


やはり、最初のうちは戸惑いや不安もあった。
だけど、背水の陣から、藤田さんという強力な後ろ盾が出来たという事が俺の中での最も大きな変化だった。あの人が居るから大丈夫、安心できる。
他人にそう思わせる事の出来る人が、この日本に何人居るだろうか。

藤田さんは、本当に尊敬できる人だ。






532:2007/12/08(土) 09:16:11.60 ID:
「じゃあ、マ男くん、顔を洗ってw 先に開発室で待っているよ」

鼻水と涙で、俺の顔はグショグショとなっていた。


「あ、待ってください」
「ん?」

中卒とみんなにバレた。みんなはどう思ってるんだ? 
意志が確認できたのは、藤田さんだけだ。


「えっと・・・ちょっと・・・あのー・・・戻りにくいっていうか・・・」
「ん? なんで?」
「いや、やっぱ・・・リーダーがあれだけ・・・でしたから・・・」
「あぁ、リーダー以外は気にしてないから大丈夫だよ。
 大体、うちのチームで大卒はリーダーだけだから」


そ、そうだったのか。確かに藤田さんも大学中退だもんな。


「みんな何か言ってましたか?」


細かく聞く俺。やはり受けた傷は未だに深い。


「いや、特には何も。リーダーが怖くて、みんないつも通りに接することが出来ないだけだよ。
 そのリーダーにも、私から話をしておいたから、君は何も気にせずに来れば大丈夫」


そう言って部屋を出て行く藤田さん。そんな事を言われてもな・・・。
しかし、あのリーダーに真っ向から話をしたと言うのか。凄い度肝だ。

俺はしばらく、部屋で考え事をしていた。
藤田さんの話した内容、俺が歩んできた人生、そしてこれからの事。

やはりどう考えても、今は辞める時じゃない。
俺はまだ、人生をやり直し始めたばかりなんだ。

俺がここで辞めたとしよう。誰が喜ぶだろう? 
親はもとより、俺自身も喜べるはずがない。まだ頑張れる。


よし、開発室に戻って

・・・ん? 

待てよ。・・・何か忘れている気がするな。なんだ?

うーむ、思い出せん。


特に重要じゃなかった事までは記憶しているが。






534:2007/12/08(土) 09:26:54.81 ID:
そんなこんなで、俺は開発室に戻った。

「ただいま戻りました」
「おかえり、マ男くん」

藤田さんだ。


「おい、マ男」


む・・・。リーダーか。


「はい」
「社長と話してきたのか?」


本当に藤田さんから話を聞いたらしい。


「えぇ」
「そうか。すまんかったな。まぁ気にするな。仕事が出来れば俺は文句無い」


社長と話したのを確認して謝罪なのかよorz 
しかも、この人の謝罪は信用できん。
しかし、とりあえずは一件落着という所か。


「なーマ男くん」


井出だ。なんだ?

「上原さん、生きてんのかなぁ?」


し、知らんがな・・・。何故それを俺に聞く・・・。


「さぁ・・・。確かに復帰遅いですよね」
「だよなぁ・・・」


間を置く井出。顔がニヤけている。何を考えている。


「ぶふっww ちょっとカワウソだったよねww」


・・・。


よし、仕事をしないと。


とりあえずは、元の雰囲気に戻りつつあった。
次第に俺も楽になり始めた頃、中西さんから呼び出しがかかった。

今更なんだ? 

俺はもうリーダーじゃないんだけどな。何かあったっけ・・・って、思い出した。
藤田さんが既婚でないこと、彼女居ないことを言うのを忘れていた。






539:2007/12/08(土) 09:35:39.08 ID:
これはまずい。だが、飲み会からずっとゴタゴタしていたのだ。
それ所ではなかった。てか、もう半年以上も前の話だぞ・・・。


「マ男さん、藤田さんの件なんですけど」


ほら来た。すいません、中西さん、言うの忘れてました。


「結局、自分で聞きました。で、彼女も居ないみたいで、結婚もしてないみたいなんです」


なんだ、知ってるのか。じゃあ俺はもうこれで


「けど、何ででしょう・・・。私、何か女性として見られてないみたいで・・・」


め、面倒なことになりそうだぞ、これは・・・。


「そ、そうですか。何でなんでしょうね」


藤田さんは過去の件から、もう恋人作らないと思うぞ・・・。


「女性として見られてないっていうか、恋愛対象? として見られてないんです」


それを俺に言われても困るんです、中西さん。
俺に恋愛相談なんて愚の骨頂なんです。


「どうしたらいいでしょうか・・・」


ほら来た。どうしたらいいでしょうかって、どうしようもないですよ。
そもそもで、この人は何故俺に聞くのか・・・。





542:2007/12/08(土) 09:41:34.97 ID:
中西さんにとって藤田さんは本命
マ男は間男ってことか





545:2007/12/08(土) 09:46:28.00 ID:
「うーん・・・諦めるとか・・・」


と言うと、睨まれてしまうぞ。
この人は、恋愛事になると執拗になる。上手くかわすんだ。


「中西さんの気持ちが伝わってないんじゃないですか?」
「マ男さんもそう思います?」


く、食いついてきた。
しまった。話の路線を変えるべきだ。


「それはどうかは分からないですけど、藤田さんって先天的にモテる人だなーっていうか」
「やっぱりそう思いますよね!? 実は私もうんたらかんたら」


な、なんなんだ。何かさっきからドツボにハマってないか? 
この人からは逃れられんのか!?


「もう好き過ぎて、自分でもどうにかなりそうで」


何故か俺に藤田さんの想いを語る中西さん。
それを藤田さんに言えば良いんじゃないのか・・・。
いや、言っても藤田さんは困るだけだろうし、結果も見えてるけど・・。


「と、とりあえず、私から言えることは、私に相談されてもどうしようも出来ないって事ですよ」


これだ。これで解放される。


「もう決めました」


何をだ。


「告白します・・・」



な、なんだってー!?

何がどうやったら、この流れになるんだ!?
これは面倒なことになってしまったぞ・・・一体これからどうなるのだ。



というか、俺を呼び出した意味あんのか、これ・・・。





547:2007/12/08(土) 09:51:08.57 ID:
こういう相談してくる時って、もう自分で答え出してるからな。。。
自己肯定のためだけに相談してきて自己完結するパターン






550:2007/12/08(土) 09:57:10.57 ID:
それからは、さすがに俺も何か対策は無いものかと頭をひねっていた。
しかし、藤田さんの過去をバラすわけにもいかないし、バラした所で中西さんの事だ。

自分が代わりになると言い出すだろう。

良い方法が思い浮かばん。誰も何のリスクも無しで済ます方法が思いつかん。
しかし中西さんの行動力は異常だ。いや、そうさせてしまう藤田さんが凄いのか?
どちらにせよ、中西さんが行動を起こしてしまえば、職場での人間関係がさらにカオスになること請け合いだ。


そんな時だった。


「藤田さん」


中西さんが、ついに動いた。


「うん?」
「今週末、晩御飯ご一緒できませんか?」


や、やりやがった。これで牽制を掛ける気だな。
てか職場で言うのか、この人は・・・。何という・・・。
これじゃ周りの空気を気にして、大概の人は断れんぞ・・・。
中西さん、何という戦略か。
すると俺の隣から


「えっ!?」


井出だった。おまえ、まだ諦めてなかったのか・・・。


「うーん・・・。それは何か理由があってのことかな」


藤田さんが切り返す。
開発室内の全員が、二人を凝視している。
ガン見である。


「断れ、断れっ」


小声で連呼する井出。
お前、たぶんそれ聞こえてるから。


「はい、プライベートでお会いしたいなって」


恥ずかしそうに言う中西さん。
端麗な容姿がさらに雰囲気を引き立てる。
コイツ、狙ってやがる。
藤田さんを落とそうとしている。



少し沈黙した後、藤田さんが答えた。







553:2007/12/08(土) 10:08:40.47 ID:
「ごめん、それは出来ない」


な、なんだってー!? こ、断ったぞ。


「っしゃ!!」


井出だけが猛烈に喜んでいた。
お前絶対ワザとだろ。


「え?」


中西さんが、なんで?という顔をしている。

相当な自信・・・かどうかは分からないが、この時点で切られるとは思ってなかったのだろう。
藤田さんはPCに顔を向け、口を開いた。



「気持ちは嬉しいよ。だけど、ごめん」
「えと・・・」
「プライベートは、ちょっと無理なんだ」


しばしの沈黙。
もう全員がドラマのワンシーンを見ているかの如く、二人を凝視していた。


「・・・わかりました」


いまいち納得が行ってない様子だが、トボトボと自分の席へと戻っていく中西さん。
リーダーが口を半開きにしている。井出が中西さんに声をかけた。



「中西さん、代わりに僕とどうかな? おいしいディナーを」
「ごめんなさい」



あ、哀れすぎる・・・。
なんだこの差は・・・。

露骨過ぎて、井出がかわいそうに見えてきた。



「はぁ・・・」


ため息をつき、席についた中西さん。
これじゃ、もう今日は仕事にならないだろうな。


そして翌日。







558:2007/12/08(土) 10:17:49.58 ID:
中西さんは、今日も元気がないようだ。昼休憩がやってきた。
井出が真っ先に会社を出る。続いて中西さんも出て行った。


「おい、藤田」
「はい」
「なんでお前、昨日断ったんだ?」
「断った・・・?」
「中西さんの誘いだ」


リーダーが珍しく、他人の問題に関与している。
傍若無人を絵に描いたような人が、昨日の件について気にしていた。
確かに藤田さんの過去を知らない人間からしてみれば、あんな美人から誘われて断る男はそうは居ないだろう。

俺だって断らない。たとえ好意が無くてもだ。

それを藤田さんは断った。気になるのも頷ける。


「私では、彼女に応えられないからですよ」
「なんだおまえ、好意に気付いてんのか」
「何となくは。まぁ私では、彼女とは不釣合いでしょう」


本音なのだろうか。
どちらにしろ、中西さんの恋が叶う可能性は、これでもう万に一つも無い。
藤田さんは何事も無かったかのように、再び仕事に打ち込み始めた。

その背中は、どこか寂しいものに俺は見えた。



・・・中西さんの恋は、静かに終わろうとしていた。





563:2007/12/08(土) 10:29:16.83 ID:
そして、時は過ぎ去っていく。
中西さんの契約終了の日が迫ってきた。美人が去る・・・。
恋愛対象として見ていなかったとは言え、俺も男だ。

やはりそれはどこか寂しかった。


「なぁ、中西さん。ウチで正社員にならんか? 俺が社長に直談してやるぞ」


リーダーが声を掛けた。
中西さんは仕事が出来る。
戦力として残ってもらいたい気持ちは、俺にも当然あった。


「いえ、お気持ちだけ受け取っておきます。今の私じゃ、ここに居るのはちょっとw」


だろうな。
藤田さんは、無表情で中西さんを見つめていた。何を思っているのだろうか。
藤田さんのことだ。このような経験、一度や二度では無かったはずだ。
その度に、この人はあぁやって断って来たのだろうか。
だとしたら、昔の彼女の死は、それ程に重かったのだろう。




「中西さん、実は俺ずっと」






井出落ち着け。空気を読め。







「では、みなさんありがとうございましたw また機会があったら、その時はw」






井出の恋は、派手に終わった。

もとい、元から散っていたものが、完全に消滅してしまった。








566:2007/12/08(土) 10:33:49.36 ID:
井出わろすw









570:2007/12/08(土) 10:40:40.12 ID:
第四部「平成の孔明、マ男に過去を語る」このレスで終了だぜ。


そして年月は過ぎ去り、新卒がやってくる季節・・・つまり、春がやってくる。
出会いあれば別れあり。
その逆も然りだ。中西さんは去っていった。

それと同時に、二人の人物が姿を現す事となるのだ。


その人物は、果たしてどんな人間なのか?
俺を支えてくれる存在なのか、はたまた邪魔してくれる存在なのか?


藤田さんの罠で、精神的なレベルアップを果たすことが出来た俺。
しかし、その代償である藤田さんの過去話・・・それは、想像を絶する内容であった。

あの藤田さんが元NEETだったとは。

意外な共通点を発見し、さらに距離を縮めた俺と藤田さんは、この先も絆を深めていくことになる。
だが当時の俺は、これからぶち当たるさらなる壁の存在を、この時は知る由もなかった・・・。


そして残された、いくつかの『謎』・・・。


上原さんはいつ復帰するのか?

藤田さんがリーダーをやらない理由とは?

新たにやって来た二人の新入り、俺としては始めての後輩となる人物とは?

そして、スレタイの意味する限界・・・。




全ての『謎』が、次回でついに明らかとなる!

どうする俺!? どうなる俺!? 続くぅ!!







次回、第五部・最終章『もう俺は限界かもしれない』

※続き→ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない 第五部
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