267: :2008/08/03(日) 01:44:23 ID:
その日の放課後、私は3年生の教室へ向かった。
ポルターガイスト現象の本を貸してくれた、先輩に会うためだ。
廊下で名前を出して聞いてみると、すぐに教室は分かった。
先輩は私の顔を見るなり、オッ、という顔をして手招きをしたが、席まで行くとすぐに両手を顔の前で合わせて謝る。
「ゴメン。今日はこれから部活なんだ」
「剣道は止めたんじゃなかったんですか」と聞くと、「文科け~い」と言って、トランペットを吹く真似をする。
吹奏楽部かなにからしい。
「一つだけ教えてください」
そう言う私に、「ま、座りなさい」と近くの席から椅子を引っ張ってくる。
その周りでは帰り支度をする生徒たちが、私を物珍しそうに横目で見ている。
多少は時間をとってくれるようなので、順序立てて聞くことにする。
「先輩の家で起こったポルターガイスト現象は、イタズラでしたか?」
先輩は目を丸くしてから笑う。
「いきなりだな。でも違うよ。私だって驚いてた。ホントに目の前で、花が宙に浮かんだりしたんだ」
「じゃあ原因はなんですか?」
「……あの本もう読んだんだ?私に聞くってことは」
頷く。
「まあ、知ってると思うけど、あたしの家って両親が仲良くないワケよ。今も別居してるし。
そんで小学4年生のころって、一番バチバチやりあってた時期なのよ。
家の中でも、顔あわせれば喧嘩ばっかり。
子どもの目の前で酷い口論してたんだから。まるであたしがそこに居ないみたいに」
私のイメージの中で、シルエットの男と女がいがみ合っている。
そしてその傍らには10歳くらいの少女が、怯えた表情で身体を縮ませている。
「超能力だか心霊現象だか知らないけど、たぶん原因はあたしなんだろうと思う。今となっては、だけど」
「じゃあ。どうやってそれが収まったんですか」
※「怪物(転)」【師匠シリーズ】
ポルターガイスト現象の本を貸してくれた、先輩に会うためだ。
廊下で名前を出して聞いてみると、すぐに教室は分かった。
先輩は私の顔を見るなり、オッ、という顔をして手招きをしたが、席まで行くとすぐに両手を顔の前で合わせて謝る。
「ゴメン。今日はこれから部活なんだ」
「剣道は止めたんじゃなかったんですか」と聞くと、「文科け~い」と言って、トランペットを吹く真似をする。
吹奏楽部かなにからしい。
「一つだけ教えてください」
そう言う私に、「ま、座りなさい」と近くの席から椅子を引っ張ってくる。
その周りでは帰り支度をする生徒たちが、私を物珍しそうに横目で見ている。
多少は時間をとってくれるようなので、順序立てて聞くことにする。
「先輩の家で起こったポルターガイスト現象は、イタズラでしたか?」
先輩は目を丸くしてから笑う。
「いきなりだな。でも違うよ。私だって驚いてた。ホントに目の前で、花が宙に浮かんだりしたんだ」
「じゃあ原因はなんですか?」
「……あの本もう読んだんだ?私に聞くってことは」
頷く。
「まあ、知ってると思うけど、あたしの家って両親が仲良くないワケよ。今も別居してるし。
そんで小学4年生のころって、一番バチバチやりあってた時期なのよ。
家の中でも、顔あわせれば喧嘩ばっかり。
子どもの目の前で酷い口論してたんだから。まるであたしがそこに居ないみたいに」
私のイメージの中で、シルエットの男と女がいがみ合っている。
そしてその傍らには10歳くらいの少女が、怯えた表情で身体を縮ませている。
「超能力だか心霊現象だか知らないけど、たぶん原因はあたしなんだろうと思う。今となっては、だけど」
「じゃあ。どうやってそれが収まったんですか」
※「怪物(転)」【師匠シリーズ】